2016年6月26日日曜日

塗り潰しパターンをつくる

オリジナルの塗り潰しパターンを作るには?

Revitの塗り潰しパターンはAutoCADのpatファイルと定義方法は同じで、メモ帳さえあれば作成できます。タイルパターンを作りながら、定義の仕方を見てみます。

メモ帳を開いたら、先頭行に

;%UNITS=MM

と入力し、この定義がミリ単位であることを宣言します。次に「*(アスタリスク)」に続いて、パターン名を入れます。

*パターン名

次に、パターンが「製図」ならば

;%TYPE=DRAFTING

「モデル」ならば

;%TYPE=MODEL

とします。これは塗り潰しパターンの以下の部分に相当します。
塗り潰しパターンのタイプ
ここまではもう「お決まりのパターン」ともいうべき部分です。まとめると、

;%UNITS=MM
*馬目地100×50
;%TYPE=MODEL

となります。

タイリングパターンを読む


ここからは、タイルパターンの作成に入ります。基本的な書式はカンマ区切りで

  1. 角度
  2. 始点X
  3. 始点Y
  4. オフセットX
  5. オフセットY
  6. ペンUP
  7. ペンDOWN
を1行ずつ記入します。とはいってもこれだけでは何のことやらさっぱりわかりません。そこで、まず下の図を見てください。
馬目地を読む!
このタイルパターンは何本のセグメント(線)の繰り返しでできているか考えてみてください。答えは3セグメントです。これは以下の図に示す、赤、青、緑のセグメントの繰り返しでできています。
実は3つのセグメントの繰り返し

では、この赤、青、緑のセグメントを記述していきます。

連続線のセグメント

赤のセグメントは、水平の無限線が50mm間隔で並んでいます。これを表現するには、


  1. 角度        0
  2. 始点X         0
  3. 始点Y         0
これは、「角度0で、(0,0)を通る線」という意味です。しかしこれでは線が一本しか書けません。これを何度も繰り返して描画させるために、次の描画の移動量を4,5で示します。
上の図を見ると、赤線はY方向に50mm移動しています。(X方向は移動していませんので0です。)
したがって、
  1. 角度        0
  2. 始点X         0
  3. 始点Y         0
  4. オフセットX  0
  5. オフセットY  50
となるため、メモ帳には

0,0,0,0,50

と記述します。

破線のセグメント

青と緑は50mmピッチの破線になっています。角度は90度であることは簡単に推測できるでしょう。
まずは青の線を考えてみます。

  1. 角度      90
  2. 始点X         0
  3. 始点Y         0
までは、いいと思います。問題は次のオフセットです。普通に考えると、X方向に100mm、Y方向に0mmと考えてしまいそうです。ところが、行の先頭で角度が90度と宣言しているので、これは下の図のように考えます。
オフセットは角度により考え方を変える
ですから、答えは
  1. 角度         90
  2. 始点X            0
  3. 始点Y            0
  4. オフセットX     0
  5. オフセットY  100
となります。そして、50mmごとにペンを上げたり下げたりするので、続けて
  1. 角度         90
  2. 始点X            0
  3. 始点Y            0
  4. オフセットX     0
  5. オフセットY  100
  6. ペンダウン    50
  7. ペンアップ   -50  (ペンアップはマイナスをつける)
メモ帳には

90,0,0,0,100,50,-50

と記述します。

始点をずらす


次に緑のセグメントを見てみると、青のセグメントの開始点が(0,0)ですから、(50,50)となります。
  1. 角度         90
  2. 始点X           50
  3. 始点Y           50
  4. オフセットX     0
  5. オフセットY  100
  6. ペンダウン    50
  7. ペンアップ   -50  (ペンアップはマイナスをつける)
したがってメモ帳には、青の線の始点X,Yを書き換えて

90,50,50,0,100,50,-50

とします。

パターンファイルを保存


さて、メモ帳は次のようになりました。

;%UNITS=MM
*馬目地100×50
;%TYPE=MODEL
0,0,0,0,50
90,0,0,0,100,50,-50
90,50,50,0,100,50,-50

これを、拡張子を「pat」として、任意のフォルダに保存します。これを実際に使ってみましょう。Revitを開いて

(1) [管理]-[設定]-[その他の設定]-[塗り潰しパターン]
(2) パターンタイプで「モデル」を選び「新規作成」
(3) [カスタム]を選び、[読み込み]を押して、保存したpatファイルを指定。
カスタムパターンを読み込む
(4) そのままOKする。

以上で、カスタム塗り潰しパターンを利用することができるようになります。





2016年6月12日日曜日

躯体モデルチュートリアル(3) スラブ(1)

スラブ

スラブは床で作成するのですが、タグについて以下のような問題があります。

  • スラブ厚がタグに表示できない(2017で解決)
  • スラブレベルがタグに表示できない
  • 断熱材だけの厚さタグにを表示できない

このようにスラブ自体は床で難なく作成できるのですが、タグに表示できる情報はかなり限られています。

そこで、いくつかの共有パラメータをプロジェクトに追加して、手動でその値を記入してみます。手動といっても単に書き込み文字とするのではなく、集計表を活用して、できるだけ整合性を保つようにしてみます。

右のライブラリから「躯体モデル_30.rvtをダウンロードして開いてください。

スラブのタイプ

プロジェクトには次の床タイプが含まれています。

  • S1-------スラブ厚150mm
  • S1(i25)---スラブ厚150mm 断熱材25mm
  • S2-------スラブ厚250mm

これらは下の図のように配置されています。
スラブの配置状況

平面図-構造伏図(見下図)-基礎伏-基礎伏図を開きます。この図には1階床スラブ、および小梁の情報が表示されていることがわかります。
上部のスラブや小梁の情報を表示するには?

このように、切断面情報のスラブや梁の情報を伏図に表示することが可能です。ビューに表示することができれば、タグを付与することも可能になります。

切断面より上のスラブや小梁を表示するには

これは意外と簡単な方法で表示することができます。まず、基礎伏図を作成し切断位置を調整します。これは基礎天端よりやや上で切断するとよいでしょう。サンプルの「基礎伏図 練習用」ビューを開いて、ビューのプロパティ「ビュー範囲」を見てください。
ビュー範囲の設定

次に、ビュープロパティ「下敷参照図」を下の図のように設定します。これで基礎伏レベルの天井伏図をビューに重ねて表示することができます。
下敷参照図(アンダーレイ)の設定
この状態で、ラインワークで、小梁とスラブを「2Dot 黒 HA02」を使ってクリックします。スラブは梁の内法で作成しているので、小梁の線を二回クリックすれば、小梁とスラブを破線で「なぞる」ことができます。
ラインワークで上方の要素を破線表示にする
寸法もこの状態で作成できます。

タグの表示

[注釈]-[カテゴリ別にタグをつける]で床と小梁にタグを配置します。
タグを配置する
さて、配置された床タグをみると、すでにレベル、部材名、スラブ厚が記入されています。しかしながら、S2のスラブ厚は250mmなので、200と記入されている現在の状態は間違っています。これを修正してみましょう。

集計表でスラブ厚の情報を記入する

集計表-床集計を開きます。
集計表「床集計」
グレーの列は床要素のプロパティをそのまま表示した列、黄色の列はそれらの計算の結果の列、白い列はタグに表示するために手動で入力する列です。
赤くなっているセルは、入力上のミスがあることを示しています。

スラブ厚

スラブ厚はどのようになっているのか見てみます。
スラブ厚に関係する列
「Δ躯体」は[上部躯体の高さ-下部躯体の高さ]です。フィールドをみてみると下の図のようになっています。
計算値のフィールド
この計算結果がスラブ厚なので、「スラブ厚」の列に、この情報を見ながら手入力で厚さを入れていきます。
「スラブ厚チェック」の列は
となっています。この値が0出ない場合は、「スラブ厚」のセルが赤くなるようにしています。スラブ厚フィールドの「書式」の「条件付き書式」をみてみると下の図のようになっています。
条件付き書式

これは---「スラブ厚チェック」の値が0出ない場合は、「スラブ厚」のセルを赤色にする---という意味です。この「200」の値を「250」に変更すると、セルの色が白になります。
スラブ厚を250に変えるとセルの色が白に
このように集計表を利用することで、間違いをなくすことができます。スラブレベルも赤いセルがあるので修正してください。

集計表はモデルを間違いなく作成するために、非常に有効です。プロパティ情報を最大限に活用して、効率的なモデル作成を目指しましょう。