2016年9月25日日曜日

躯体モデルチュートリアル(8) 各種目地

目地

今回は目地を作成します。目地を作成する方法はいくつかありますが、「定番」ともいえるモデリング方法を考えてみましょう。
壁にも梁にも柱にも目地はある

壁のリビールで作成する

壁の目地で一番手っ取り早い方法は「壁のリビール」で作成することです。まずは、右のライブラリから「躯体モデル_60」をダウンロードして開いてください。プロジェクトにはすでに壁のリビールとして、「目地W25D15」がロードされています。

このタイププロパティをみてみると、下の図のようにプロファイル「p目地:W25D15」が設定されています。
壁のリビールのタイププロパティ
これは、プロジェクトブラウザの[ファミリ]-[プロファイル]-[p目地]を編集すればわかるのですが、下の図のようなプロファイルです。
プロファイル p目地.rfa
プロファイルを作成すればいろいろな形で壁をくりぬくことができます。
実際に壁のリビールを配置してみます。

目地の作成

(1) ビュー「立面図」-「立面図 西」を開きます。
(2) [建築]-[構築]-[壁]--[壁:化粧目地]
壁:リビール(化粧目地)
(3) タイプセレクタで「目地W25D15」を選択し、[修正|配置リビール]で、[垂直]を選択。
垂直の目地を作成
(4) 壁をクリック-[リビールを再実行]-壁をクリック、を繰り返して2か所程度リビールを作成し、[修正]を選択して終了。
壁面をクリックしてリビールを作成
出来上がったリビールを3Dで確認します。
壁に作成されたリビール

壁のリビールの問題点

壁のリビールはとても手軽な目地作成方法です。しかしながら躯体図の作成としてはいくつかの問題点があります。まず、平面図において、目地の中心に寸法を作成することができません。
[構造伏図(見上図)]-[1階見上]で寸法を入れてみると・・・
次に問題なのは当たり前ですが、「壁にしか作成できない」という点です。

鉄骨造であれば、目地が入るのはほとんど壁だけですから、この方法は適切です。しかし、RC造の場合は、梁も柱も目地いれの対象となるので、別の方法が必要です。

何にでもつく目地

柱や梁の表面には「壁のリビール」は使えません。そこで、何にでも利用可能な目地ファミリを作成してみました。まずはこのファミリを使って目地を作成してみます。

(1) ビュー「立面図」-「立面図 西」を開きます。
(2) [建築]-[構築]-[コンポーネント]
(3) [タイプセレクタ]で「打継目地:W25D15」を選択。
(4) [面に配置]をクリック
面に配置オプションを選択
(5) 基礎梁がハイライトされた状態で、面をクリックし、水平に移動してもう1点クリック。
基礎梁の面を2点クリックして配置
(6) [修正|配置コンポーネント]-[ジオメトリ]-[切り取り]
切り取りコマンド
(7) 基礎梁→目地ファミリの順でクリックし、3Dビューで梁が切りかかれたことを確認。
梁に作成された打継目地ファミリ
(8) もう一度立面図に戻り、レベルに位置合わせし、長さもいっぱいに広げる。線形ファミリなので、伸ばす場合は[単一要素をトリム/延長]が使えるので試してください。
この時点ではほかの柱梁は切りかかれていない。
(9) 3Dビューで、(7)の手順を繰り返し、他の柱、梁を切り取る。
ほかの柱や梁も切り取る
このファミリを使えば、「切り取り」の関係づけは必要ですが、要素のカテゴリに関係なく目地を作成できます。
ほかにも「太目地:W25D15」のファミリもあります。同様の手順で下の図のように、壁も梁も切り取ることができます。
壁も構造フレームも切り取り可能
もちろん目地芯の寸法も作成できます。
目地芯の寸法も作成可能

目地ファミリの作り方

簡単に目地ファミリの作り方を説明してます。まず、使用したテンプレートは

  • 「一般モデル(メートル単位)、線基準面.rft」

です。そしてファミリのプロパティとして「作業面に基づく」と「ロード時にボイドで切り取り」をチェックします。
ファミリのプロパティ
あとは、目地の形をしたボイドだけを作成します。作業面に基づくをチェックしておくことで、ファミリのは一時に「面に配置」「作業面に配置」を選べるようになり、「ロード時にボイドで切り取り」を選択することで「切り取り」コマンドが使えるようになります。

目地の定番モデリングは、鉄骨造は壁のリビールRC造は目地ファミリであると思います。


2016年9月17日土曜日

躯体モデルチュートリアル(7) バルコニー

はねだしバルコニー

今回はバルコニーのモデリングの練習です。
バルコニー躯体には様々な「しかけ」があります。
まずは右のリンクから「躯体モデル_50」をダウンロードして開いてください。

バルコニー床

バルコニーの床には水勾配があります。躯体の上端に増し打ちをして勾配をとってみます。つまり躯体そのものは水平だということです。

(1) 「2階床伏」を開く
(2) [構造]-[構造]-[床]で、図のように2FL-100で床を作成する。
(3) 作成した床を選択し複製して、タイプを「バルコニー床」とする。
タイプを複製
(4) [タイプを編集]をクリックし、[構造]-[編集]でレイヤを確認する。構造150mmの下に15mmの下地と上に100mmの下地がある。
躯体150mmの上に100mm、下に15mmの増し打ち

水勾配

作成したスラブに水勾配をつけます。

(1) 作成した床を選択。
(2) [修正|床]の[折れ線を追加]
折れ線を追加
で、図のように折れ線を作成する。この時点では寸法は気にしなくてよい。
折れ線
(3) [注釈]-[寸法]で平行寸法を作成。
寸法線を追加
(4) [修正]で[TAB]キーを利用しながら折れ線を選択すると、作成した寸法が青になるので値を修正して位置を整える。
折れ線の位置を修正
(5) もう一度床を選択し、[修正|床]で[サブ要素を修正]で、各「点」のレベルを修正。このとき「辺」のレベルではなく、「点」を修正することがコツです。
点のレベルを調整する
(6) さらに山にしたい部分に折れ線を追加して点のレベルを修正します。
さらに山を追加(下側も同様に)
(6) 作成したスラブを選択し、[検索ボックス]で3Dビューを見てみる。
床全体が「変形」している
水勾配自体はうまくできていますが、床全体が変形していることがわかります。勾配を付けたいのは一番上の100mmの増し打ち部分だけですから、タイプを編集して変形するレイヤを限定します。
(1) 作成した床を選択し[タイプを編集]-[構造]-[編集]
(2) 図のように、一番上のレイヤの「変数」にのみ、チェックをいれてOK。
レイヤ1だけ変形する
3Dビューで確認すると、下端はフラットになっていることがわかります。
上側だけが変形した!

手すり壁

手すり壁を作成します。ここでポイントとなるのは、上部と下部の面取りや、水切りなどの溝をどのように作るかです。
(1) 2階見下を開く
(2) [構造]-[構造]-[壁]を選択
(3) オプションバーで「見上げ」「指定」「1100」「躯体面内部」に設定。
(4) 壁タイプで「バルコニー手すり壁」を選択。
(4) 作成したスラブの周辺部をクリックして壁を作成。
手すり壁
(5) 断面図を作成し、位置合わせなどを使って壁の下端をスラブの下端に合わせる。
壁の下端を床の下端に合わせる

天端の加工

天端は外側に15x15の面取り、内側に20mmの勾配をつけます。

(1) [R]-[新規作成]-[ファミリ]で「プロファイル - リビール(メートル単位).rft」を指定して開く。
(2) 図のように三角形を作成し、「上端面取15x15」という名前で保存。
プロファイルを作成
(3) [プロジェクトにロードして閉じる]
(4) バルコニー壁を選択し、[タイプを編集]-[構造]-[編集]
(5) プレビューをクリックし、ビューを「断面図:タイプ属性を修正」とし、サンプルの高さを1200にする。
断面をプレビュー表示
(6) [リビール]をクリック。
(7) [追加]で「上端面取15x15:上端面取15x15」を選択し、基準を「上」にし[OK]
外側の上にリビールを追加する
出来上がったモデルを確認する。
外側の上に面取りが追加された
同様に、下の図のようなプロファイルがプロジェクトにロードされています。
下端面取15x15
上端面取165x20

水切15x25



上記の手順を繰り返し下の図のように壁タイプにリビールを適用します。
リビールの設定
結果として、図のような天端と下端に切り欠きのついた壁を作成できます。
面取と水切がついた手すり壁

壁の1レイヤを調整

内側の下地レイヤを、FL±0まで上げてみます。
(1) 手すり壁を選択し、[タイプを編集]-[構造]-[編集]
(2) プレビューに断面図を表示しておいて、[修正]
(3) プレビュー画面の下端を拡大して、水平部分をTABを使いながらクリックすると、鍵のアイコンが現れるので、解除します。
レイヤ3(内側)の
(4) 壁タイプの編集を終了し、断面図を表示。
(5) ▼の形状ハンドルが現れるので、ドラッグして位置を調整。
内側のレイヤの下端を移動
そして、床と壁を結合します。
出来上がったバルコニー

コーナーの水切

最後のレイヤ3の下端の位置調整は、プロファイルを作成してリビールしてももちろんかまいません。このように壁タイプは様々な加工ができます。壁タイプは一度作っておけば、他のプロジェクトへもコピペで使いまわしが可能なので「定番の手すり壁」は、時間に余裕のある時につくっておくといいですね。

追伸
バルコニーについてコメントを寄せていただきましたYASUさん、まことにありがとうございました。



2016年9月4日日曜日

躯体モデルチュートリアル(6) ふかし(2)

壁のふかし

断熱材などの関係上、壁の一部をふかさなければならないことがあります。この場合は壁を切断して、ふかし付きの壁タイプを作成します。右のリンクから「躯体モデル_50」をダウンロードして練習してみましょう。
壁のふかし
(1) 1階見上のビューを開いて、壁を切断します。[修正]-[要素を分割]で、適切な位置で壁を切断します。
壁を分割
(2) ふかしたいほうの壁を選択し、[タイプを編集]
(3) 適切な名前(ここでは(R)RC150/25/25)をつけて、[構造]の編集ボタンをおして、下図のようにレイヤを設定します。このとき注意することは、構造を[下地]にし、適切なマテリアルを設定することです。
レイヤの設定
(4) 壁の端部をすこしだけドラッグすると、包絡されます。
端部を「気持ち」ドラッグすると結合する

躯体の線が破線で表示されている理由

1階見上のビューでは、壁の躯体のラインが破線で表示されています。これは、壁のサブカテゴリ「共有エッジ」がオブジェクトスタイルで「HA02」の破線に設定されているからです。
壁の共有エッジの線種パターン

スラブ段差

段差補強を伴うような段差は「スラブの段差補強」の回で説明しました。同様に今回は単純な矩形の補強で200mm程度の段差を作ってみます。

(1) 1階床伏図を開きます。右下のX2-X3とY1-Y2間にはすでに異なる段差でスラブが作成されています。この2枚のスラブを選択し、
[修正|床]-[検索ボックス]をクリックし、3Dビューを表示します。
検索ボックスで表示
(2) プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[プロファイル]-[pスラブ段差矩形]の[150x150]を右クリックして[複製]し、名前を「150x200」とする。
(3) 複製した「150x200」をダブルクリックして、タイププロパティをD:200、W:150とする。
プロファイルを設定
(4) プロジェクトブラウザで[床]-[スラブエッジ]-[スラブ段差150]を右クリックして複製し、名前を「スラブ段差200」とする。
(5) ダブルクリックして、タイプパラメータを下図のように設定する。
プロファイルとマテリアルを設定
(6) 作成した「スラブ段差200」をビューにドラッグドロップして、上側のスラブの下端を3か所クリックすして、スラブエッジを作成する。
上のスラブの下のエッジを選択
(7) 作成できたら、スラブエッジと下側のスラブを「結合」しておく。

梁の上端ふかし

梁の上端をふかして、スラブとの段差を埋めます。このふかしは「ふかし」の回で紹介したファミリを利用します。

(1) [建築]-[コンポーネント]で「ふかし_矩形」を選んで、インスタンスパラメータのDの値を200に。
Dの値を段差とおなじ200に
(2) [配置]-[面に配置]を選択し、梁の上面を選択して配置。
梁の上面を指定して配置
(3) 「1階床伏」ビューを表示して、各ふかしの形状ハンドルをドラッグしてサイズと位置を修正。
ふかしの位置とサイズを調整

ふかし厚

ふかし部分の厚さをタグで表示してみましょう。

 [注釈]-[カテゴリ別にタグをつける]を選択し、オプションバーの「引出線」のチェックを外して、ふかしをクリックして、タグ「ラベル_ふかし」を配置。
ラベル_ふかしを追加


レベルを入れる

ふかしの厚さよりも、天端レベルを表示したいこともあります。

(1) [注釈]-[指定点高さ]で、タイプセレクタから「相対レベル」を選ぶ。
(2) オプションバーの引出線とショルダにチェックを入れる。
(3) ふかし部分と、ふかしていない部分にそれぞれタグを作成する。
指定点高さの記入
3Dビューで形状を確認しましょう。
3Dビューで確認

Revitで作業スピードを上げるには

Revitでの作業では常に「モデルを修正するという意識」が大事です。モデルを修正すれば図面は勝手についてきます。
また、「仕事中に試行錯誤をしない」ということも大事です。Revitはいろいろできるので、一つのモデリングをするにも様々な「解」が存在します。あいまいな部分は「コレ」というやり方を定める、いわば定番のモデリングを定めることが重要です。

みなさん、ぜひコメントにこういったモデリングがいつもあいまいなんだけど。。。。という部位をお知らせください。

たとえば

  • パラペット
  • エキスパンションジョイント
  • バルコニー
  • 防水立ち上がり
  • 屋上目隠し
  • ハト小屋


などなど。定番のモデリングを皆さんの代わりに私が探って記事にいたします。