2016年10月29日土曜日

折上天井の垂れ壁と間接照明

垂れ壁と天井

今回は垂れ壁の作り方です。
以前にも垂れ壁についての記述があったのですが、今回は間接照明も含めて作成方法をご紹介します。

まずは梁カバーとか折上天井などで使う「垂れ壁」の作り方を考えてみます。上の図は天井と壁で作成しています。大事な点は
  • 天井と同じレイヤ構成の壁タイプを用意する
ということです。例えば天井の仕上が軽量鉄骨下地+GB9.5+ビニルクロスだったとします。
天井のレイヤ
そうすると、垂れ壁にも同じ構成の「垂れ壁」という名前の壁タイプを作成します。
壁のレイヤ
それぞれのレイヤに同じマテリアルを割り当てることがポイントです。

モデリング

順番はどちらでもいいのですが、天井の上の面と下の面を作成します。このとき、下の面が上の面に壁厚分(この場合9.5+57=66.6mm)かぶるように作成します。

上の天井

まず上の天井をスケッチします。✅をクリックする前に、スケッチラインをクリップボードにコピーしておきましょう。
上の面をスケッチ

下の天井

次に下の面の天井をスケッチします。外形を囲んだ後、[修正]-[貼り付け]-[現在のビューに位置合せ]で上の天井の線を貼り付けます。
外形をスケッチし、上の天井のスケッチラインを貼り付ける
[修正]-[オフセット]でオプションバーの[コピー]のチェックを外し、[オフセット]の値に、「66.5」といれて、上の天井ラインを内側にオフセットする。
天井は上と下で壁厚分かぶるようにモデリング
垂れ壁
天井伏図で垂れ壁をモデリングします。
(1) [建築]-[構築]-[壁]
(2) オプションバーで[配置基準線]を「仕上面:外部」とし、下の天井の縁に沿って壁を作成。
垂れ壁を作成
(3) 任意の位置に断面を作成し、垂れ壁の上下の位置を下の図の位置に合わせる。軽鉄の上端と下端に合わせるのがポイントです。
軽鉄の上端と下端に合わせる
(4) 天井と壁を結合します。[修正]-[ジオメトリ]パネル-[結合(接合)]で、壁と天井を結合します。
下の結合が変です。
(5) 下側の結合状況がヘンなので、[修正]-[ジオメトリ]-[結合]-[結合順序を切り替え]で、下の天井と垂れ壁をクリックします。
結合順序を入れ替えて完成
これをすべての壁に適用すれば完成です。結合は一つ一つ調整する必要がありますが、垂れ壁の高さの調整は[修正]-[クリップボード]-[タイププロパティコピー]で可能です。
完成した折り上げ天井(リアリスティック表示)

間接照明

折り上げ部分に間接照明を含む場合は、下側の天井を「屋根」で作成すると意外と便利です。天井同様に、同じレイヤ構成の屋根タイプを作成します。
屋根タイプを同じレイヤ構成で作成
次に天井の範囲をスケッチします。
屋根の範囲をスケッチ
スケッチを終了し、屋根の高さを調整します。次に段鼻の目隠し板を作成するために、プロファイルを作成します。プロファイルの用途は「鼻隠し」として、プロジェクトにロードします。
鼻隠しのプロファイルを作成
[建築]-[構築]-[屋根]-[鼻隠し]で、「タイプを編集」をクリックし、以下のようにプロパティを設定する。
鼻隠しのタイププロパティ
屋根の下側のエッジを連続してクリックし、鼻隠しを作成する。
屋根の下側のエッジを選択
鼻隠しと屋根を結合して出来上がり。
間接照明
もちろん天井およびインプレイスファミリのスイープで作成することもOKなのですが、この方法で作成した場合、屋根の高さが変わった場合、鼻隠しも追随して移動してくれます。
屋根で天井を作成してもかまわない
屋根を使うことに若干の抵抗があるかもしれませんが、屋根は様々な天井を効率的に作成する有効な要素です。
リアリスティック・エッジあり・フォトグラフィック露出

2016年10月23日日曜日

コメントの活用

注釈に文字を使わないことのススメ

Revitで図面を作成するとき、つい2D図面と同じように「文字」で注釈をいろいろ書き込んでしまいがちですが、「文字」はあまりRevit的ではありません。Revitの本質は建築データベースですから、

  • プロパティに値を設定して、タグで引き出す

のが本来のあり方です。そうすると、図面の作成時に意外と便利です。百聞は一見に如かず。まずはやってみましょう。

インスタンスパラメータ 「コメント」

Revitのほとんどすべての要素のインスタンスパラメータに「コメント」というプロパティがあります。しかしカテゴリ別にタグを用意するのは面倒です。こんなとき役に立つのが「マルチカテゴリタグ」です。 カテゴリにとらわれず、なんにでもタグを作成できます。

(1) [R]-[新規作成]-[ファミリ]で[注釈]-[マルチカテゴリ タグ(メートル単位).rft]
(2) [作成]-[文字]-[ラベル]で、参照面の交点のあたりをクリック。

カテゴリパラメータに使用可能なパラメータ名が並んでいます。
マルチカテゴリタグに使用可能なパラメータ
これらのパラメータはほとんどがタイプパラメータですが、これらのうち

  • コメント
  • マーク

はインスタンスパラメータです。個々の要素に対する注釈は「コメントタイプに対するコメントは「タイプの説明を使うとよいでしょう。

(3) 「コメント」を選択し、[→]で追加しOK。
(4) 追加したラベルを選択し、[タイプを編集]して、文字の大きさやフォントを設定しOK。
文字の大きさやフォントを設定
(5) 「マルチカテゴリ_コメント.rfa」として保存。

プロジェクトで利用する

出来上がったタグをプロジェクトにロードして利用してみます。

(1) [注釈]-[タグ]-[マルチカテゴリ]
(2) タイプセレクタで「マルチカテゴリ_コメント」が選択されていることを確認
(3) コメントをつけたい要素を選択しタグの位置を調整。
マルチカテゴリタグを追加
(4) ?をクリックし、コメントを入力
コメントのプロパティが設定される
インプレイスで入力したコメントの値は、要素のインスタンスプロパティに反映されます。

プロパティ+タグで注釈を作成するメリット

文字ではなくプロパティとタグで注釈を表示する習慣をつけておけば、要素自体に情報がどんどん蓄積され、建築データベースとしての価値が高まります。またあの図面とこの図面で使っている用語が異なるというようなミスも防げます。
例えば、下の図は1階の平面図の庇にタグで注釈をつけています。
平面図で庇に「コメント」
こうしておけば立面図にも同じ用語で注釈を作成できます。
立面図にもタグを作成
同じような図面(実施平面図と申請関連などの各種届け出用の図面など)を目的に応じて複数作成する、ということは実際の業務において多々発生することです。このとき、ビューを詳細を含めて複製するするのですが、文字では変更に対処するとき手間が発生しエラーも起こしがちです。

図面の注釈には、文字はできるだけ使わずに、プロパティ+マルチカテゴリタグを利用するようにしてみてはいかがでしょうか?
3Dビューにもタグが作成できます。

2016年10月15日土曜日

ダイナモ白熱教室(11)-線分を壁に変換する

線を壁にする

ダイナモを使って線分から壁を立ち上げてみましょう。線分から壁をつくるシチュエーションとしては

  • エリア分割線から壁を作成
  • 読み込んだDWG/DXFの線分から壁を作成

などいろいろな場面で使えます。具体的にやってみましょう。

Revitでエリア線分を作成する

まず、エリア平面図を使って、線分で平面図をスケッチしてみます。

(1) プロジェクトを建築テンプレートで新規に作成
(2) [建築タブ]-[部屋とエリアパネル]-[エリア]-[エリアプラン]
(3) [レベル1]を選んで[OK]、[いいえ]
(4) [エリアの境界]で適当にプランを作成する
(5) エリアを配置する。
プランを作成

ダイナモを開く

このエリア境界線を壁に変換してみましょう。

(1) [管理]タブ-[ビジュアルプログラミング]-[Dynamo]でダイナモを起動。
2017では管理タブ
(2) [新規作成]

要素を選択

壁に変換するエリア境界を選択します。

(1) [Revit]-[Selection]-[Select Model elements]ノードを追加。
Select Model Elements
(2) [選択]を押して、窓で囲んでエリア境界とエリアをすべて選択する。
要素をすべて選択

モデル線分だけを選択する

[Core]-[Watch]ノードを追加し、つないでみると「ModelCurve」「Area」「AreaTag」が選択されていることがわかります。
複数のタイプの要素が選択されている。
このなかからはエリア境界線(デル線分)だけを選択します。

(1) [BuiltIn]-[RemoveIfNot]ノードと、[Core]-[Input]-[String]ノードを追加。
(2) Stringノードに「ModelCurve」と入力し、図のようにつなぐ
(3) [Watch]ノードをつなぎなおして、ModelCurveだけが選択されていることを確認する。
ModelCurveだけが選択された

ジオメトリを取り出す

壁を作成するノード [Revit]-[Elements]-[Wall]-[ByCurveAndLevels]ノードを追加してみます。
壁作成に必要な情報は

  1. カーブ(直線や円弧など幾何学的な位置情報) c
  2. 上のレベルと下のレベル                              endLevel startLevel
  3. 壁タイプ                                                      wallType

です。ModelCurveから純粋な幾何学情報(Curve)を取り出してみましょう。

(1) [Revit]-[Elements]-[Element]-[Geometry]ノードを追加し、図のようにつなぐ。
(2) [Watch]ノードをつなぎなおして結果を確認する。
ジオメトリの抽出

レベルと壁タイプ


(1) [Revit]-[Selection]-[Levels]ノードを追加し、「レベル1」「レベル2」を選択。
(2) [Revit]-[Selection]-[WallType]ノードを追加し、任意の壁タイプを選択。
(3) これらを下の図のように[Wall.ByCurveAndLevels]ノードに接続。
壁の作成

以上でエリア境界線上に壁が作成されます。Revitで確認してください。
壁が作成された
今回はエリア境界を使用しましたが、DWGを読み込んで分解した線分も同様に壁を立ち上げることができます。ライブラリにグラフを登録しておきますので参考にしてください。
全体像

2016年10月2日日曜日

ダイナモ白熱教室(10)-ファミリの座標をExcelに出力

久しぶりにダイナモを取り上げます。今回はファミリの座標をEXCELに出力する方法を説明します。
普段のRevitでの作業では座標を意識することは全くないのですが、解析にデータを回したりする場合、特定のファミリの挿入点をCSVやエクセルに出力する必要があります。

今回はダイナモを使って、プロジェクト内部にあるファミリの挿入点をエクセルに出力してみます。

ダイナモの最新バージョンは1.1.0で、こちらからダウンロードできます。

ダイナモの起動


Revitでサンプルプロジェクトを立ち上げ、ダイナモをスタートします。

(1) [R]-[開く]-[サンプルファイル]で「rac_advanced_sample_project.rvt」を開く。[表示]-[3Dビュー]でアクソメ表示にしておきます。
(2) 2016までは[アドイン]から、2017では[管理]からダイナモを起動し[新規作成]を選択します。

要素をカテゴリで選択する


「家具」のカテゴリにある要素(Element)をすべて選択します。

(1) [Revit]-[Selection]-[Categories]ノードを追加し、「家具」を選択。
(2) [Revit]-[Selection]-[All Elements of Category]ノードを追加して、図のようにつなぐ。
すべての家具を選択
(3) 検索ボックスに「Watch」と入力し、Watchノードを追加し、どのような家具が取得できたか確認する。
取得した家具を確認する

ファミリの挿入点を取得する


次に取得した家具ファミリインスタンスの挿入点を取得します。

(1) [Revit]-[Elements]-[Familyinstance]-[Location]ノードを追加
(2) 図のように接続し、Watchノードをつなぎ変えて、座標の状況を確認する。
座標が取得できた!

Excelに書き出す


座標が取得できたので、書き出すためのExcelブックを準備します。Excelを立ち上げて、適切な場所に空のブックを保存します。ここではMyDocumentに座標出力.xlsxという名前で保存して閉じます。

(1) [Office]-[WriteToFile]ノードを追加
(2) <filepath>を指定するために、[Core]-[Input]-[File Path]ノードを追加し、[参照]ボタンをおして、上記で作成したExcelブックを指定。
(3) <sheetName>を指定するため、[Core]-[Input]-[String]を追加し、「Sheet1」とする。
(4) <startRow><startCol.を指定するため、[Core]-[Input]-[Number]を追加し、「0」とする。
(5) <overwrite>を指定するため、[Core]-[Input]-[Boolean]を追加し、「True」を選択。
(6) 図のように接続すると、座標がエクセルに書き出されます。
Excelに座標を出力
Excelを見てみると、下の図のように、A列のセルに「Point(X = -7985.799, Y = 29089.041, Z = 0.000)」と出力できました。
A列のセルに座標が出力されてた
しかし、やはりX、Y、Zの数字だけをそれぞれA,B,C列に取り込みたいところです。

座標XYZを別々のセルに取り込む

そのためにはまず、X,Y,Zの数字のリストを作る必要があります。上の図の1行目を例にとれば、
-7985.799,29089.041,0.000
というような、数字だけのリストです。

数字だけのリストをつくるには

(1) [Geometry]-[Point]-[X]、[Y]、[Z]ノードを追加し、下の図のようにつなぎます。
X,Y,Zノード
(2) [Core]-[List]-[List.Create]ノードを追加し、[+]の2回クリックし、item2まで作って、x,y,zをそれぞれに接続。
List.createノード
(3) [Watch]ノードを追加して、[List.Create]の<list>につないでみます。
[0]ListはXの、[1]ListはYの、[2]ListはZの値になっている。
この状態で、[List.Create]の<list>を[Excel.WriteToFile]の<data>につなぐと、1行目にXの値、2行目にYの値、3行目にZの値がセルに分かれて出力されます。
1行目はX、2行目はY、3行目はZ

ですが、こうではなく、やはりA列にX、B列にY、C列にZの値を出力したいところです。

(4) [Core]-[List]-[Transpose]ノードを追加し、図のようにつなぐ。

すると、下の図のようにExcelに出力されます。
出力された座標
ライブラリにこのグラフを置いておきます。このようにDynamoはRevitデータの分析にも大変便利です。