2017年8月27日日曜日

回転するファミリ(2)

2軸回転

ファミリチュートリアルで「回転するファミリ」について書きましたが、もう少し踏み込んで、ネストしたファミリを、回転角と仰角のパラメータを使って、2軸で回転できるクレーンのブームのようなファミリを作ってみます。
2軸で回転するファミリの作成方法を説明します
2軸で回転するファミリは
本体
仰角回転台
水平角回転台
の順にネストしたファミリで作成します。

本体(角棒1.rfa)の作成

まず、「一般モデル(メートル単位).rft」のテンプレートを使って下の図のようなファミリを作成し、「角棒1.rfa」とします。長さの値を変えたとき、右方向にだけ伸びるように、原点を棒の左側にとります。また長さはインスタンスパラメータです。
「一般モデル(メートル単位).rft」で作成した角棒1.rfa
ファミリのプロパティで「作業面ベース」はオン、「常に垂直」はオフにします。
作業面ベースを☑、常に垂直は□

仰角回転台

再び「一般モデル(メートル単位).rft」のテンプレートを使ってファミリを作成します。

  1. 立面図>正面を開く。
  2. 挿入タブ>ライブラリからロード>ファミリをロードで本体.rfaをロード。
  3. 修正|配置コンポーネントタブ>配置パネル>作業面に配置。
  4. 原点に配置
    角棒1を原点に配置
  5. 選択パネル>修正
  6. 角棒1を選択し 修正パネル>回転
  7. オプションバーの回転中心[配置]をクリックし、原点をクリック
  8. 適当な角度に回転する。
    適当な角度に回転
  9. 注釈タブ>寸法パネル>角度寸法 で参照レベルと重なっている参照線と角棒1の中心線に角度寸法を作成
    角度寸法をつける
  10. 選択パネル>修正 で角度寸法を選択
  11. 寸法にラベルをつけるパネル>パラメータを作成
  12. 名前「仰角」、インスタンスパラメータを作成
    インスタンスパラメータ「仰角」を作成
  13. 角棒1を選択し、プロパティウィンドゥの長さの関連付けボタンをクリック。
  14. インスタンスパラメータ「角棒の長さ」を作成して関連付ける。
    長さパラメータを関連付け
  15. 角棒_仰角回転台.rfaとして保存
パラメータの値を変更して、角棒が任意の角度に回転するか、長さが変更できるかをチェックします。

水平回転台の作成

もう一度「一般モデル(メートル単位).rft」のテンプレートを使ってファミリを作成します。
    1. 挿入タブ>ライブラリからロード>ファミリをロードで角棒_仰角回転台.rfaをロード。
    2. 原点をクリックして配置
    3. 選択パネル>修正
    4. 配置した角棒2を選択し、修正パネル>回転
    5. オプションバーの回転の中心[配置]をクリックし、原点をクリック
    6. 適当な位置に回転して配置
      回転後の様子
    7. 注釈タブ>寸法パネル>角度寸法
    8. 下の図のように寸法を配置
      角度寸法を配置
    9. 寸法を選択し、インスタンスパラメータ「回転角」を設定
      回転角パラメータ
    10. 角棒2を選択し、プロパティウィンドゥの「仰角」の関連付けボタンをクリックして、新規インスタンスパラメータ「仰角」を作成。
      仰角
    11. 同様に、「角棒の長さ」を新規インスタンスパラメータ「角棒の長さ」に関連付けする。
      角棒の長さ
    12. 角棒_回転台.rfaとして保存
    さあ、これで完成です。プロパティパネル>ファミリタイプ でパラメータの値を変更して、ファミリのふるまいをチェックしてみましょう。
    二つの角度と長さを変更してみる

    これでクレーンのブームのように任意の方向に回転したり、伸びたりする角棒が出来上がりました。

    Revitは「作業面」を基準としたモデリングが基本なので、複数の方向に回転するファミリを作る場合、回転方向の数だけ、ファミリをネストすると比較的簡単に作成できます。

    2017年8月19日土曜日

    階段のサブカテゴリ

    階段の表示/グラフィックス

    表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックスで階段のカテゴリを展開すると下の図のように多くのサブカテゴリが表示されます。これらはいったいどの部分を指しているのでしょうか?
    これを英語版で見てみるとこのようになっています。
    <の上>って<Above>のことだったのね・・・
    今回はこのサブカテゴリをはっきりさせたいと思います。

    基本のサブカテゴリをまとめてみる

    まず<の上>というサブカテゴリ(英語版の<ABOVE>)は、各サブカテゴリの要素の「平面図の切断位置より上」の部分を示しているので、以下のようにまとめます。

    1. 切断マーク----------Cut Mark----------<の上>あり
    2. 外枠-----------------Outlines-----------<の上>あり
    3. 桁-------------------Supports----------<の上>あり
    4. 段鼻線---------------Nosing Lines------<の上>あり
    5. 蹴上げ線------------Riser Lines---------<の上>あり
    6. 踏み面/蹴上げ-------Treads/Riser
    階段の3Dビューと平面ビューを見ながらサブカテゴリが示す部分を見ていきます。

    サブカテゴリが示す要素

    まず3D表示で、下の図のような鉄骨階段を考えてみます。
    鉄骨階段
    表示/グラフィックスの上書きを次のように設定します。
    <の上>は同じ色で破線にしています。このときの3D表示は下の図のようになります。
    3Dビューでは有効なサブカテゴリは「桁」と「踏み面/蹴上げ」
    このことから、3D表示に関係しているのは

    • 踏み面/蹴上げ

    だけで「○○」と「切断マーク」「外枠」は3D表示には関係ないことがわかります。
    平面図
    平面図にも同じ表示/グラフィックスの設定をしてみます。
    平面図
    こちらでは「踏み板/蹴上げ」は平面図の表示には関係ないことがわかります。
    段鼻線が点線表示になっているのは踏み板にかくれて隠線扱いとなっているからです。

    <の上>

    サブカテゴリ○○<の上>とは、平面ビューにおいて切断位置(上の図ではFL+1200)よりも上にある部分の表示を示しています。ですから、<の上>がついているサブカテゴリを非表示にすると
    <の上>が非表示の場合
    となります。

    外枠

    外枠とは一体何を意味しているのか?というとこれは「階段の外形」を表示しています。上の図で「外枠<の上>」を表示、「外枠」を非表示とすると
    「外枠」非表示、「外枠<の上>」表示
    となります。切断線より上は団の表示はいらない、という場合に使います。また天井伏図では外枠と外枠<の上>だけの表示でいいかもしれません。

    切断マーク<の上>

    切断マークに<の上>があるのはなぜでしょうか?切断マークはダブルラインで表示することができます。以下の手順で変更してみます。

    1. 階段を選択して[タイプを編集]
    2. 切断マークのタイプの[…]をクリック。
      階段のタイププロパティ
    3. 切断線のタイプを「二重線」に変更
    4. OKを数回押してダイアログボックスをすべて閉じる。
    すると、下の図のように切断マークがダブルで表示されます。
    切断マーク<の上>



    蹴上げ線と段鼻線

    蹴上げ線とはいったい何を意味しているのかというと、蹴込板と踏板の交わる位置を示しています。断面図と並べてみるとよくわかります。
    段鼻線(緑)と蹴上げ線(青破線)
    階段経路のタイププロパティ「段鼻の長さ」が0の場合は、蹴上げ線は段鼻線と重なります。

    ベストな表示設定は?

    以上のサブカテゴリの特性を踏まえて、平面ビューにおいて一番無難な表示設定を探ってみると、最下レベルは別として、<の上>と、外枠と蹴上げ線は非表示としておいたほうが無難だと思います。
    <の上>と外枠・蹴上げ線をOFF
    また、切断マークも単線で十分です。なぜなら段鼻線の位置が上下階でそろっているのであればうまく機能しますが、
    上下の階段の段鼻線がそろっている場合
    少しでもずれていると、結局単線と変わらないからです。
    上下の階段の段鼻線がそろっていない場合
    また、階段パスも、色々な場合に対処することを考えると今のところ「固定された上方向」がもっとも適用範囲が広いといえるでしょう。
    階段パス:固定された上方向

    2017年8月12日土曜日

    180度を超える角度寸法

    180°以上の角度寸法は作れないのか?

    Revitでは180°以上の角度寸法を作成しようとすると、自動的に内角側(180°以下)に寸法が移動してしまいます。確かに実用上の問題はありませんが、180°以上の角度寸法は全く作成不可能なのでしょうか。実はちょっと無理がありますが、できないことはないのです。
    180度を超える寸法を作成するには?
    どうしても必要な場合は以下の手順をフォローしてみてください。

    作成手順

    上図にあるような壁の角度寸法を作成してみます。
    1. ①、②の2本の詳細線分を作成します。基準となる水平の詳細線分から180°以内に収まるようにいったん作成します。
      2本の詳細線分を追加
    2. 注釈タブ>寸法パネル>角度寸法
    3. 水平線、①、②と選択して角度寸法を作成。
      3つの線を選択して角度寸法を作成
    4. ①の線を回転して、目的の位置(この場合は斜めの壁)に合わせる。
      ①の線を目的の位置に回転して移動
    5. ②の線を回転して、①を「少しだけ」超えた位置におく。(矢印が反転するように)
      ②の線を回転して移動
    6. ②の線を右クリック>ビューで非表示>要素(②用の線種を作成してカテゴリで非表示でも良い)
      ②を非表示にして完成

    使用上のご注意

    円は一周360°であり、内角を表示しようが、外角を表示しようが測定誤差の心配はありません。ここでご紹介した方法は、あくまでも最終手段として慎重に適用を検討してください。どうしても!という場合以外は普通に内角を表示するようにするべきだと思います。


    2017年8月5日土曜日

    プロジェクトパラメータを共有パラメータにする

    プロジェクトパラメータを共有化したい!

    プロジェクトパラメータは集計表には表示されますが、タグに表示することはできません。しかし、いったんプロジェクトパラメータとしてプロジェクトに追加したら、あとから共有パラメータに変更することはできません。
    たとえば、下の図はRevitのサンプルプロジェクトを開いて、管理タブ>プロジェクトパラメータで表示した「Closer」パラメータのプロパティです。
    プロジェクトパラメータを共有パラメータにするには?
    このようにプロジェクトパラメータが選択されていて、グレーアウトして編集することは不可能です。このプロジェクトパラメータを共有パラメータに変更してみましょう。なお、以下の作業はRevitUserToolsがあることが前提です。残念ですがLTは不可です。RevitUserTools(以下RUTS)は右のリンクからダウンロードできます。

    引っ越し先の作成

    プロジェクトパラメータを共有化すること自体はできないので、いったんこのプロジェクトパラメータを削除して、新たに同じ名前、同じプロパティのパラメータを共有パラメータとして作成し、プロジェクトに追加します。
    しかし、単純にプロジェクトパラメータを削除してしまうと、値がなくなってしまいます。そこで、いったん「引っ越し先」を作成します。

    1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
    2. 共有化したいパラメータを選択してOK
    3. パラメータの名前、専門分野、パラメータタイプ、パラメータグループ、タイプかインスタンスか?、カテゴリ をすべてメモしてOK。
      パラメータの属性をメモ
    4. [追加]を押して、名前を「Closer引っ越し」として、その他の設定はすべて同じにしてOK。
      名前だけ変えてあとはすべて同じ
    5. OKしてダイアログボックスを閉じる。

    パラメータの値を引っ越す

    RUTSを利用して、パラメータの値を作成した引っ越し先にコピーします。
    1. RUSTタブ>Parameterパネル>パラメータ間コピー
      パラメータ間コピー
    2. カテゴリ、タイプorインスタンス、コピー元、コピー先を指定してOK。
      パラメータをコピーする

    プロジェクトパラメータを削除

    共有パラメータに変更したいプロジェクトパラメータを削除します。
    1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
    2. 目的のパラメータ(ここではCloser)を選択し、[削除]
    3. 警告が出ますが、[はい]を選択し、[OK]

    共有パラメータを作成してプロジェクトに追加

    1. 管理タブ>設定パネル>共有パラメータ
    2. グリープの[新規作成]をクリックし、適切なパラメータグループを作成してOK.
    3. パラメータの[新規作成]
    4. パラメータプロパティで、元のパラメータと「名前」「専門分野」「パラメータタイプ」を同じにしてOK。
      名前、専門分野、パラメータタイプを元のパラメータと同じにする
    5. OKしてダイアログボックスを閉じる。
    6. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
    7. [追加]
    8. 「共有パラメータ」を選択し[選択]
    9. 上で作成した共有パラメータを選択してOK
      共有パラメータを指定
    10. パラメータグループ、タイプorインスタンス、カテゴリを同じものを選択してOK。
      パラメータグループ、タイプorインスタンス、カテゴリを同じにする
    11. OKしてすべてのダイアログボックスを閉じる。

    引っ越し先のパラメータの値を共有パラメータにコピー

    いったん引っ越し先にコピーしておいたパラメータを、共有パラメータに戻します。
    1. RUTSタブ>Parameterパネル>パラメータ間コピー
    2. カテゴリ、コピー元、コピー先を選んでOK.
      引っ越し先から共有パラメータへコピー
    3. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
    4. 引っ越し先のパラメータ(ここではCloser引っ越し)を選んで[削除]。
    5. 警告が出ますが[はい]を選択して、OK。
    以上で、プロジェクトパラメータを共有化することができました。これで、ファミリでこのパラメータを利用できます。
    ファミリで共有パラメータを利用できるようになりました。