2025年8月2日土曜日

床にホストされるファミリ

レベルに置きたいのに・・・

今回は「ファミリを配置したら床にホストされてしまった。レベルに配置したいのにホストの変更ができない。」というような場合の対処方法です。

ホスト先をレベルにしたい!

解決策1~断面・立面ビューでレベルを選択

簡単な解決策としては断面・立面・3Dビューなどレベルが表示されているビューを開き、新しいホストとしてレベルを選択する方法です。数がそれほど多くないのであればこの方法が簡単です。

  1. レベルが選択可能なビューを開く
  2. 対象となる要素を選択し、修正タブ>ホストパネル>新しいホストを選択
  3. レベルを選択

ホストがレベルに変更される

解決策2~ファミリの改造

ファミリを選択したときにリボンの表示が異なることがあります。

A
B

Bには「作業面を編集」というボタンがあり、これを押すとレベルを選択することができます。

作業面としてレベルを選択できる

この違いはファミリパラメータ「作業面ベース」のON/OFFで生じます。ファミリをファミリエディタで開いて見ましょう。

ファミリパラメータ

作業面ベースに✔が入っているとBのような「作業面を編集」ボタンが表示され、どのようなビューでもレベルにファミリを配置できます。しかも複数の要素を一度に変更できるので多数の要素がある場合はとても便利です。

新規作成時もオプションが異なる

作業弁ベースのファミリを新規作成するときもリボンの表示に注目してください。

作業面に配置を選択すると、作業面を選択できる
面に配置と作業面に配置を選択でき、作業面に配置を選択すると、ドロップダウンからレベルまたは名前の付いた参照面を選択することができます。

2025年7月27日日曜日

建築工事標準詳細図(4-11) ~木製建具

木製建具

建築工事標準詳細図4-11は木製建具(ドア)の詳細です。

木製ドア(コンクリート壁の場合)

建築工事標準詳細図令和4年版.rvt(ver2024)

とりあえず4-11の木製ドアのファミリを作成してみました。

建具取合い:木製建具(コンクリート壁の場合)

  • 4-11-1 木製建具枠
  • 4-11-2 木製建具枠
  • 4-11-3 木製建具枠

それぞれのファミリには、以下のドアパネルのファミリがネストされています。

  • 4-01 A-1 フラッシュ戸
  • 4-01 A-2 フラッシュ戸
  • 4-01 A-3 フラッシュ戸
  • 4-01 A-4 フラッシュ戸
  • 4-01 A-5 フラッシュ戸
  • 4-01 A-6 フラッシュ戸
  • 4-01 B-1 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-2 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-3 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-4 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-5 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-6 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-7 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-8 ガラス入フラッシュ戸
    建築工事標準詳細図 4-01より抜粋

ネストされたドアパネルにはラベル「戸形状」が設定されていて、タイプごとにタイプを切り替えるようにしています。

ネストファミリの位置合わせについて

ネストされているファミリはパラメータの値を変更するだけで形状が変わります。このようにネストファミリを切りかえる場合は、それぞれのネストファミリに含まれる参照面の「参照」パラメータの値が重要です。
参照面の「参照」の値には、「参照なし」「強参照」「弱参照」のほかに次の値があります。
  • 中心(左/右)
  • 正面
  • 中心(正面/背面)
  • 背面
  • 中心(高さ)
  • 参照面の「参照」

これらの参照は、ネストファミリの位置合わせのための値です。ファミリを切り替えるときRevitはネストファミリに含まれるこれらの参照の値をもつ参照面が一致するように、位置合わせを行います。ネストファミリには、必ずしもすべての参照を指定する必要はありませんが、少なくとも左右、正面背面、上下で一つの参照を指定する必要があります。
平面

正面


ネストファミリの平面/天井伏表示について

ドアパネルの中にはガラスやガラリが含まれているものがあります。例えばB-6はガラスとガラリが入ったパネルです。
B-6

平面図1FLのビューを開くと次のように表示されます。
断面位置を変えてもパネルの表示は変わらない

ビュー範囲の断面はFL+1200です。ビュー範囲をガラスを切断するようにFL+1500にしても表示は変わりません。天井伏も同様です。
ドア・窓・造作工事の平面・天井伏の表示表現はファミリエディタでファミリを保存した時点の平面・天井伏ビューの断面位置での表示に固定されます。これを「平面プレカット」といいます。
4-11-1 木製建具枠のファミリを開き、さらにネストされている4-01 B-6 ガラス入フラッシュ戸を開きます。
平面図>基準レベルのビュー範囲の断面は基準レベル+950となっていて、ちょうどガラスとガラリの中間で切断した状態を表示しています。
断面は基準レベル+1500

平面で切断された時の表示はこの表現で固定されます。

またガラスやガラリの表示設定は平面・天伏では表示されないように設定しています。
ガラス・ガラリは平面/天伏では表示しない

ネストファミリの表示表現はホストのファミリではなく、ネストファミリで設定されますので、平面・天伏ビューの保存時の表示表現には十分注意を払ってください。

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください

2025年7月20日日曜日

配列複写ファミリ

配列複写ファミリの基本

Revit2025からファミリ内の配列複製が改善されて、配列数0と1が使えるようになりました。これはかなりの朗報です。詳細はヘルプをご覧ください。今回はファミリで配列を作成する基本を押さえておきましょう。

配列数(n)を指定(配列サンプル1)

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「一般モデル(メートル単位).rft」を選択
  2. 作成タブ>フォームパネル>押し出し で参照面の交点に半径100mm高さ250mmの円柱を作成
  3. 作成したフォームを選択し、修正|押出タブ>修正パネル>配列(AR)をクリック
  4. [直線状][グループおよび関連付け]がON、指定が[2点間]になっていることを確認
    配列パネルの設定

  5. 水平の参照面上を、間隔が300mmになるように2点クリックする。
    間隔が300mmになるように2点をクリック

  6. 任意のフォームを選択し、表示された配列数を示す線を選択
    配列数を示す線を選択する

  7. ラベル付けパネルのパラメータを作成ボタンをクリック
    ぽあらめーたを作成ボタン

  8. 名前をn、[インスタンス]を選択してOK
    パラメータプロパティ

  9. ファイル>名前を付けて保存>ファミリ で「配列サンプル1」として任意のフォルダに保存する。
プロジェクトにロードしてふるまいを確認してください。nの数を任意に指定できます
nの値に従ってフォームが増える

また、0にするとフォームが表示されなくなります。

間隔(d)も指定する(配列サンプル2)

配列数(n)だけではなく、間隔(d)も指定したい場合は間隔の寸法が作成できるように参照面を配列複製の要素に含めます。

  1. 配列サンプル1の手順3までを実行します。
  2. 円柱のフォームの中心をとおるように、つまり中心(左/右)の参照面に重ねて短い参照面を追加します。
    参照面を追加する

  3. 円柱のフォームと追加した参照面を選択し、修正|押出タブ>修正パネル>配列(AR)をクリック
  4. [直線状][グループおよび関連付け]がON、指定が[2点間]になっていることを確認
  5. 水平の参照面上を、間隔が300mm程度になるように2点クリックする。
  6. 任意のフォームを選択し、表示された配列数を示す線を選択し、配列サンプル1と同様にパラメータnを追加する。
  7. 複製元の参照面(追加した参照面)と配列複製した参照面とに寸法を作成。
    寸法は参照面同士に作成

  8. 作成した寸法を選択し、寸法にラベルを付けるパネルのパラメータを作成ボタンをクリック
    パラメータを作成ボタン

  9. 名前をd、インスタンスを選択してOK
    パラメータプロパティ

  10. ファイル>名前を付けて保存>ファミリ で配列サンプル2として任意のフォルダに保存。
プロジェクトにロードしてふるまいをチェックします。
間隔(d)を変えてふるまいをチェックしよう

2点間に割り付ける(配列サンプル3)

配列サンプル2 を応用すると、全長を指定して、その中に指定した数だけ要素を配置することもできます。

  1. サンプル2の手順2までを実行します。
  2. 円柱のフォームと追加した参照面を選択し、修正|押出タブ>修正パネル>配列(AR)をクリック
  3. 配列パネルで指定:終端管を選択
    終端間を選択

  4. 水平の参照面上を、間隔が2000mm程度になるように2点クリックする。
  5. 任意のフォームを選択し、表示された配列数を示す線を選択し、配列サンプル1と同様にインスタンスパラメータnを追加する。
  6. 複製元の参照面(追加した参照面)と配列複製した参照面とに寸法を作成。
    寸法は参照面同士に

  7. 作成した寸法を選択し、寸法にラベルを付けるパネルのパラメータを作成ボタンをクリックし、名前をd、インスタンスを選択してOK
  8. ファイル>名前を付けて保存>ファミリ で配列サンプル3として任意のフォルダに保存。
プロジェクトにロードしてふるまいをチェックします。
全長と割付数を指定


2025年7月13日日曜日

構造フレームの質量と重量

構造マテリアルを使う時

構造フレームや構造柱、構造壁といった構造体には、組み込みパラメータ「構造マテリアル」があります。構造マテリアルはその要素の構造的な特性を表すマテリアル、つまりマテリアルに「材質」を追加しておきます。

マテリアルに材質を追加する

そうすると、ふつうならばマテリアル集計表でなければアクセスできないマテリアルのプロパティに普通の集計表でアクセスできるようになります。

たとえば構造テンプレートに含まれるマテリアル「SN400」の「材質」タブには構造体の密度(質量密度)を表す情報が設定できるので、集計表を使って要素の質量と重量を求めてみましょう。


次のようなサンプルモデルを作成しました。この鉄骨部分とRC部分の構造フレームの重量を求めてみます。

鉄骨部材とRC部材

集計表

構造フレームの集計表を作成します。

  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量
  2. カテゴリを構造フレームとしてOK
  3. フィールドタブで次のフィールドを追加します。
    1. ファミリとタイプ
    2. 容積
    3. 構造マテリアル
  4. 使用可能なフィールドを選択 で構造マテリアルを選択
    使用可能なフィールドを選択で構造マテリアルを選択

  5. 構造マテリアルに関する次のフィールドを追加
    1. 構造マテリアル:密度
    2. 構造マテリアル:単位重量
  6. OKを数回押して集計表を表示する
    鉄骨部材は密度が空欄だが・・・

出来上がった集計表をみると、鉄骨の構造マテリアル:密度の値は空欄になっています。一方、"構造マテリアル:単位重量"はマテリアルの材料タブでは設定してもいないのに値が表示されていますね・・・・。どうやらマテリアルの材料で指定した密度(kg/㎥)の値が単位重量(kN/㎥)に換算されているようです。

実際に計算フィールドを追加して確認してみます。

  1. 集計表のビュープロパティ"フィールド"の編集ボタンをクリック
  2. "計算されたパラメータを追加"ボタンをクリック
  3. 密度=単位重量/9.80665(重力加速度)なので、次のように設定します。
    計算フィールドの設定

  4. OKを数回押して集計表を表示します
    マテリアルに設定した値と一致

ここで集計表の質量密度フィールドとマテリアルの材料:密度の値を比較してみると一致していることがわかります。どうやら材質を問わずに質量・重量を計算するには"構造マテリアル:単位重量"が便利そうです。

質量と重量を求めてみる

質量と重量も計算フィールドを追加します
  • 部材重量=容積*構造マテリアル:単位重量
    タイプは重量

  • 部材質量=容積*質量密度=容積 * 構造マテリアル: 単位重量/9.80665
    タイプは質量

これで質量と重量を求めることができます。

2025年7月6日日曜日

配管の質量

単位長さあたりの質量はセグメントに定義できない

配管の重さを求めるためには、その配管(=セグメント)に長さあたりの質量を設定すればいいのですが、Revitのセグメントで定義できるのは呼び径、外径と内径の3種類だけで、長さあたりの質量を定義することはできません。

セグメントの定義

そこでJISに記載されている配管の「密度」に着目して、配管の質量を集計表で求めてみます。

配管材料密度のパラメータ

例えばVP、VM、VU管の密度は1.43グラム/立法センチメートルです。この値を配管タイプのタイプパラメータとして追加します。集計表で使うだけなのでプロジェクトパラメータでOKです。

  1. 設備テンプレートで新しいプロジェクトを作成
  2. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
  3. プロジェクトパラメータダイアログボックスで新しいパラメータボタンをクリック

  4. 次の図のように設定し、配管のタイプパラメータを追加します。データタイプ密度は専門分野「一般」にありますが、ここでは専門分野「配管」の「密度」を使用します。どちらでもいいのですが、配管用の密度ということでこちらを採用します。
    専門分野「配管」データタイプ「密度」


  5. OKを2回押してダイアログボックスを閉じます。
  6. プロジェクトブラウザ>ファミリ>配管>配管タイプ>プラスチック - 水をダブルクリックしてタイププロパティダイアログボックスを開く
  7. 配管材料密度を設定する。このタイプはセグメントとしてPVC-U - JIS K 6742を使用しているのでVP管の密度を設定します。Revitでは密度の単位は㎏/㎥なのでg/㎤の値を換算(1000倍)して、1430とします。(単位換算サイトが便利です)
    単位に注意!


  8. 設備タブ>衛生設備及び配管パネル>配管 で直径100mmの配管をいくつか作成しておきます。長さ1mの配管も作成しておくとチェックに便利です。
    サンプルとして配管を作成しておく

集計表

集計表を作成して配管の質量を求めます。まず配管の容積を求めて、容積に配管材料密度をかけて求めます。いくつか段階を追って求めてみます。

  • 配管断面積=pi()*((外径/2)^2-(内径/2)^2)
  • 配管容積=長さ*配管断面積
  • 配管質量=配管容積*配管材料密度

  1. 表示タブ>作成パネル>集計表▼>集計表/数量
  2. 新しい集計表ダイアログボックスでカテゴリから配管を選択し、名前を配管質量とします。
    配管の集計表を作成する

  3. フィールドタブで「タイプ」「配管材料密度」「外径」「内径」「長さ」のフィールドを追加
  4. 計算されたパラメータを追加 ボタンをクリック

  5. 「配管断面積」の計算フィールドを次のように設定する。式は上記よりコピーしてください。またタイプを「面積」にすることを忘れずに。
    単位は面積

  6. 同様に「配管容積」の計算フィールドを追加します。タイプは「容積」です。
    単位は「容積」

  7. 書式タブをクリックし、配管断面積を選択し、[形式]ボタンをクリック。丸めをカスタムにして丸目の増分を0.00000001とし表示桁数を調整します。
    表示桁数を調整する

  8. 同様に配管容積も形式を修正します。
  9. OKを数回押して、いったん集計表を表示します。
    集計表

質量

いよいよ配管質量の計算フィールドを追加します。質量のタイプは専門分野「一般」ではなく、専門分野「配管」から選択できます。
  1. プロパティウィンドウのフィールドの編集ボタンを押す
  2. 計算されたパラメータを追加 ボタンをクリックし、「配管質量」の計算フィールドを追加する。このとき専門分野を「配管」として、「質量」を選択します。
    専門分野に注意

  3. OKをいくつか押して集計表を表示します。
    配管の質量が計算できました

計算式をまとめると

今回は確認のため段階を踏みましたが、もちろん配管質量をいきなり求めても問題ありません。

  • 配管質量=長さ*pi()*((外径/2)^2-(内径/2)^2)*配管材料密度

タグに表示

配管材料密度パラメータを共有パラメータとして作成すれば、上記の式をタグに設定してビューに表示することも可能です。
配管材料密度を共有パラメータにすれば配管質量をタグに表示できる

この場合、配管タグのラベルで共有パラメータ配管材料密度を追加しておいて、計算式を設定します。
タグのラベルに計算式を設定する