2025年12月13日土曜日

モデルコーディネーション基礎(2/3)~検査編

モデル詳細

データアップロード直後は、Revitの内部原点(0,0,0,)で各モデルが位置合わせされた状態です。必要であれば、アップロード後にモデルを移動して位置合わせをします。
  1. モデル詳細をクリック
  2. 移動したいモデルを選択し、ビューアで開くをクリック

  3. 位置変換をクリック
  4. モデル詳細からモデルを選択
  5. X、Y、Zの移動距離と回転角度を入力
    この例では構造モデルを100mm上方に移動している

  6. [位置変換を保存]をクリック
  7. 右上に次のようなメッセージが表示されます。

  8. 右上のXをクリックし、モデル詳細に戻ります。
新たに干渉チェックが開始され、終了すると移動が完了したモデルには移動アイコンが表示されます。
移動アイコンが表示される

ヒント

  • 移動量はあらかじめRevitで測定しておくことをお勧めします。
  • 2で基準となるモデルを選択し、5で[点から点]を使って画面上で指定することもできますが、事前に移動量を数値で把握しておいた方が確実です。
  • 移動量はメートル単位です。ミリではありませんので注意してください。
  • 真北を設定したモデルは回転しています。回転の値を0にすることをお勧めします。

チェックビューの作成

干渉チェックの目的別のビューを作成して保存することができます。例えば構造フレームとダクト・配管との干渉をチェックするならば
  • 構造フレーム
  • ダクト・ダクト継手・ダクト付属品
  • 配管・配管継手・配管付属品
のみを表示したビューを作成しておくと、干渉項目が絞り込まれて便利です。

  1. モデル詳細で構造全体と設備全体をチェックし、[ビューアで開く]をクリック

  2. モデルブラウザをクリックし、基本フィルタを編集をクリック

  3. 任意のプロパティを検索して追加します。お勧めの設定としては「分野」「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」の順です。
    フィルタを追加する

  4. [更新する]を押すと、次の図のように指定したプロパティが表示されます。

  5. 分野から構造、配管、機械
  6. カテゴリをクリックし、以下のカテゴリのみオンにします。
    1. 構造フレーム
    2. ダクト・ダクト継手・ダクト付属品
    3. 配管・配管継手・配管付属品
  7. [ビューを保存]をクリックし、件名を「構造フレームとダクトと配管」として[ビューを保存]をクリックb

  8. 右上の×をクリック
  9. 左側のペインから[ビュー]を選択すると、保存したビューにアクセスできます。

チェックビューの作成にはこのフィルタの仕組みを理解することが非常に重要です。

干渉部位

干渉部位を確認するには、「何が」「何に」干渉しているかを調べたいかを指定する必要があります。前者が選択肢A(単一指定)、後者が選択肢B(複数指定可)です。
  1. [ビュー]をクリックし、一覧から調査したいビューをクリック
  2. [干渉部位]をクリックします。
  3. 選択肢Aに構造モデル、選択肢Bに設備モデルを指定します。
選択肢Aと選択肢Bを指定
すると、干渉している箇所が一覧に表示されます。一覧には選択肢Aに選択肢Bの干渉オブジェクトがリストアップされます。
選択肢Aの要素に干渉している選択肢Bの要素

カテゴリごとにグルーピングする

干渉要素のリストは初期値ではオブジェクトごとにグルーピングされています。これをカテゴリとオブジェクトでグルーピングしてみます。
  1. 干渉のグループ化基準のオブジェクト名をクリック

  2. プロパティを追加リストからカテゴリの+をクリックしてグループ化の順序リストに追加し、ハンドルをドラッグして最上位とします。

  3. 更新すると、リストが選択肢Aの構造モデルのカテゴリ+オブジェクト名でグルーピングされます。
  4. 任意の構造フレームのアイテムを展開すると、干渉している設備の要素がリストアップされます。
  5. またチェックを入れると、当該要素が強調表示されます。

干渉チェックを保存とは?

選択肢A、選択肢B、干渉のグループ化基準などの設定に名前を付けて保存します。

  1. 干渉チェックを保存をクリック
  2. 名前を設定して[保存]

  3. 一番上のリストに名前が表示されていることを確認してください。次回からはこのリストから選択することができます。

調査対象をレベルで絞り込む

干渉している要素をレベルで絞り込んでみましょう。
  1. [レベル]をクリックします
  2. [次からレベルを表示]で、レベル情報を取り出すビューを選択します。
  3. 目的のレベルを選択します。(解除するにはもう一度選択したレベルをクリックします。)
    レベルを指定してレベル間の要素のみとする

  4. [干渉部位]をクリックし、干渉を検査します。


注意:レベルでの切断はビューに保存されません。

レベルで絞り込むことでさらに範囲を限定して調査を効率的に進めることができます。次回は調査で見つかった不具合を管理するプロセスについて説明します。

2025年12月6日土曜日

モデルコーディネーション基礎(1/3)~準備編

Model Coordination

Autodesk Construction Cloud(以降ACC)のModel Coordinationを使うためのコツを解説します。

モデルコーディネーションを使いこなそう!

Model Coordinationは言ってみれば「自動干渉チェック」です。Docs上の指定したフォルダ内にある複数のデータ(rvt,ifc,dwg,nwcなど)同士の干渉を総チェックする仕組みです。次の2ステップです。

  1. 干渉チェック用データの準備
  2. 統合モデル空間の準備

干渉チェック用データの準備

まず、Revitのファイルを開き、干渉チェックの対象となる要素を表示した3Dビューを作成します。干渉チェックの対象はファイルではなく3Dビューであることがポイントです。例えば

  1. 対象となるカテゴリだけを表示した3Dビュー
  2. 断面ボックスを使って対象となる範囲だけを表示した3Dビュー

などを作成しておきます。例えば・・・・

  • 意匠モデルの例:全体を表示したビュー
    意匠全体を表示したビュー


  • 意匠モデルの例:区画壁のみを表示したビュー
    区画壁のみを表示したビュー

  • 構造モデルの例:構造体全体を表示したビュー
    構造全体を表示したビュー

  • 設備モデルの例:電衛空全体を表示したビュー
    MEP情報のみを表示したビュー

などを用意します。

ヒント

  • Model Coordinationでもプロパティなどのルールによって対象要素を絞り込むことはできるが、あらかじめ操作に慣れたRevitでビューを用意しておくとよい。
  • Revitであればルールに基づかない任意の要素だけを表示したビューが作成できる利点がある。

その他の注意事項

ビューの名前をわかりやすく!

作成した干渉チェック用ビューにはわかりやすいビュー名を付けましょう。例えば、「干渉チェック_」を接頭するというようにしてください。

トリミング領域は使わない!

ビューのプロパティ「ビューをトリミング」はオフにしてください。オンにしておくとモデルコーディネーション上でトリミング領域外の要素はゴースト表示されますが、干渉検査の対象にはなりません。誤解しやすいのでオフにしておくのが無難です。

ビューをトリミングはOFFが推奨

IFCについて

IFCも干渉チェックの対象です。ヘルプにはけっこう細かな制限が書いてあるのですが、IFCであればだいたい問題はないようです。AVEVA E3D Design(3.1.8.0 以降)から書き出されたIFCも対象なので、プラント建屋を設計している方には朗報ですね。

パブリッシュ設定

作成した干渉チェック対象の3Dビューをパブリッシュ設定します。これが重要で、ビューを作成しただけでは干渉チェックの対象とはなりません。必ずパブリッシュ設定をしておきます。

セット00_ModelCoordinationを作成し、3Dビュー:干渉チェック_全体のビューを含めている例。この状態で保存して閉じる

統合モデル空間の準備

Docsでフォルダを作成

ACCで対象となるプロジェクトを開き、製品ピッカーでDocsに切り替えます。

Docsをクリック

そして、干渉チェックの作業場となるサブフォルダを作成します。

干渉チェックの作業場(サブフォルダ)を作成

このフォルダの中に配置するデータが干渉チェックの対象となります。特別なことは必要なく、単純に任意の場所にフォルダを作成してください。

そして準備したファイルを作成したフォルダに配置します。このときリンクファイルは特に必要ありません。

ファイルをアップロード
それぞれクリックして、干渉チェック用のビューがパブリッシュされていることを確認してください。

パブリッシュの状況を確認する


統合モデル空間の指定

統合モデル空間とは要するに干渉チェック対象データが配置されているフォルダのことです。次の手順で作成したフォルダを統合モデル空間に指定しましょう。

  1. 製品ピッカーをModelCoordinationに切り替えます。

  2. [設定]をクリックし、[統合モデル空間を作成する]をクリック。

  3. 名前を指定し、統合モデル空間のメインフォルダを選択で、作成したフォルダを指定します。

  4. [干渉チェックをオン]をクリックし、右下の[作成]ボタンをクリックします。

干渉チェックの結果を見る

以上の手順で干渉チェックが自動で行われます。ModelCoordinationの干渉部位をクリックすると結果が表示されます。
[干渉部位]で状況を確認

この表には縦横軸にフォルダ内のパブリッシュされてすべてのビューが表示されて、それぞれのビューで干渉している箇所を示しています。この数字のセルをクリックすると・・・
干渉チェック結果

干渉チェックの結果が表示されます。

次回はこの干渉チェック結果を検証するときのコツについてお伝えします。