2014年9月27日土曜日

鉄骨階段(2)

階段タイプ

階段は以下の3つのコンポーネント

  • 階段経路(階段コンポーネントということもある)
  • 桁(側桁・階段支持など訳が一定してないので非常にわかりにくい)
  • 踊り場

の三つのコンポーネントで構成されており、階段タイプでそれぞれどのコンポーネントを使用するかを指定します。屋外鉄骨階段を例にとって、新たに階段タイプを作成してみます。
プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[組み立て階段]-[階段]を展開し、「鉄骨」(なければどれでもよい)をダブルクリックし、タイププロパティダイアログを表示します。まずは、[複製]ボタンをおしてあらたに「屋外鉄骨階段」を作成したうえで始めましょう。

蹴上と踏面と階段幅

ダイアログの一番上の「計算規則」グループで

  • 蹴上の最大高=最大蹴上寸法(蹴上寸法):200
  • 最小の踏板奥行き(踏面寸法):240
  • 最小階段経路(階段幅):900

を設定します。(用語があまりにひどいので、日本語訳をつけておきます。)

階段経路

[階段経路のタイプ]をクリックすると、右端に[...]ボタンが表示されるので、これをクリックします。ここでも[複製]を押して[屋外鉄骨階段]という新たなタイプを作成します。
階段経路には二つのシステムファミリがあります。

  • 一体型の階段経路(RC、PC階段)
  • 非一体型の階段経路(木造、鉄骨階段)

一体型(Monolithicとは、支持と踏板が一体となっていることを意味しています。鉄骨の場合踏板をササラで支持するので「非一体型(Non-Monolithic)」を使います。

踏み面グループと蹴上げグループ(踏板グループと蹴込板グループ)

踏板と蹴込板の形状を決定します。プロファイルを工夫すればいろいろな形状が作成できますが、まずは

  • 踏み板のプロファイル(踏板のプロファイル)
  • 段鼻のプロファイル
  • 蹴込み板のプロファイル(蹴込板のプロファイル)

をどちらも[規定値]にした場合、プロパティと作成される階段の形状の関係は以下の図の通りです。


規定値のプロファイルは矩形なので、そのサイズは実際の蹴上寸法や踏面寸法により変化します。蹴上げグループの[斜め]をOFFにすると、蹴込板が垂直になります。
[斜め]をOFFの場合
プロファイルを変更してみる
ここでプロファイルを変更してみましょう。建築テンプレートには次のようなプロファイルが含まれています。
踏板のプロファイル(赤→が原点=段鼻)
これを踏み板のプロファイルに設定し、蹴上げのチェックボックスをOFFにすると、次のような階段になります。

踏み板にプロファイルを適用した例
これを応用すると、横森製作所のFRC階段なども作成可能です。次のようなプロファイルを作成し・・・
同様に踏み板のプロファイルに割り当てます。
独自のプロファイルを適用した階段
もちろん3Dにしても、表示されます。ただし、この場合、踊り場まではプロファイルに追随してくれないので、踊り場部分はインプレイスファミリとして自作する必要があります。

ノンスリップを加えてみる

段鼻にとりつけるノンスリップは、正確な形状を表そうとしたら、別途ファミリを作成してひとつづつ取り付けるしかありませんが、断面形状だけでよければ、段鼻のプロファイルとして作成可能です。

ノンスリップのプロファイルを作成する。

[R(アプリケーションマーク)]-[新規作成]-[ファミリ]で「プロファイル - 段鼻(メートル単位)」を選択します。
第一象限に図のように35mm×5mm程度の矩形を描画し、名前を「ノンスリップ」とつけて保存し、プロジェクトにロードします。

ノンスリップを割り当てる

階段経路のプロパティを以下のように設定します。踏み板のプロファイルは規定値に戻しておきます。

踏み板のプロファイルを規定値、段鼻のプロファイルをノンスリップに設定
断面は次のようになります。
断面(ノンスリップつき)
3Dでみると・・・・
蹴込み板あり


さらに蹴上をなしにすると
蹴込み板なし

次回はササラと踊り場のお話です。

2014年9月21日日曜日

鉄骨階段(1)

階段はわかりにくい?

ダイナモのお話は少しお休みして、階段のお話をします。階段は手すりとならんで複雑なシステムファミリです。下図はコンポーネント階段を使って作成した鉄骨階段です。プロパティや振る舞いをきちんと理解すれば、正確な階段を表現することが可能です。
鉄骨階段の例(1階と2-3階の階高は異なっています。)
この階段を作りながら、「どこをいじれば何が変わるのか?」そういったところを中心にお話を進めてまいります。

階段を作成するには?

Revitに標準で添付されている建築テンプレートを使って新規のプロジェクトを作成し、レベルを追加します。

まずは1FLから2FLへの階段を作成します。1FLの平面図に移動し、
[建築]-[階段]-[階段]-[コンポーネントによる階段]
に入ります。

階段を作成するときに最初にすべきこと

すぐに書き始めたいところですが、焦らず、まずはいくつかの設定を行います。

タイプの選択

プロパティで階段のタイプを選択します。まずは鉄骨階段を作成したいので、[組み立て階段]-[鉄鋼](相変わらず名前がヘンですが。。。)を選びます。

段数の指定

プロパティの[寸法]-[指定の蹴上げ数]で段数を指定します。この値を変更すると[実際の蹴上げ寸法]の値が変化し、1段分の高さが計算されるので、、この値を参考にしながら決定します。

踏面の奥行

[実際の踏み板奥行き]に踏面の奥行の値を入力します。

階段幅

階段の幅をオプションバーの[実際の経路幅]で指定します。

まずは条件設定
蹴上の最大寸法、踏面の最小奥行、最小階段幅は階段のタイプで決まっていますので、その制限値を超えて指定することはできません。たとえば階段の幅を900にすることはできませんが、この制限値を変更することは可能です。[タイプを編集]ボタンをおして、以下の図の部分で制限値を変更してください。
制限値は変更可能
これはモデリング上のミスをなくすための制限値なので、タイプを複製して
内部階段
外部階段
を作成し、それぞれに制限値を決めておくとよいでしょう。

いよいよ作成

準備が整ったところで、実際に階段を作成してみます。任意のポイントをクリックし、そのままポインターを移動すると、階段の絵が現れて、下部に「○○蹴上げが作成されました。××継続中」という文字が現れます。
作成中の段数が表示される。
この表示を参考にしながら作成を進めます。この例では22段を指定しているので、11段でいったんクリックします。さらに続けて22段まで作成します。
最後の段まで作成したところ

1段送るには?

鉄骨階段なので、第二のフライト(段の集合)を一段分上方へ送ります。2番目に作成した経路を選択します。
経路を選択
これを[修正]-[移動]を使って左に一段移動します。
上側の経路を移動したところ
経路の形状を変えずに、位置を移動するには「移動」を使います。

階段同士の間隔を変更するには

次に経路同士の間隔を変更します。上方または下方の経路(フライト)を選択すると、仮寸法が表示されるので、これをクリックして任意の値に変更します。
仮寸法を変更する。
踊り場の位置を変更するには?
規定では踊り場は階段作成終了位置からすぐに曲がってしまうのですが、ここにすこし余裕を与えておかないとササラのおさまりがおかしくなります。ここでは150mmほど右へ踊り場を移動します。
まず踊り場を選択し、踊り場幅を示す仮寸法に150加えた値を入力します。
踊り場の奥行に+150
次に踊り場の経路と経路の間のエッジに表示されている形状ハンドルをドラッグして、仮寸法が元の踊り場幅になるように調整します。
踊り場の幅を調整
このほかにも参照面を作成して、位置合わせを行う方法もあります。

手すりの選択

使用する手すりを選択します。手すりについては以前ご紹介しましたが、階段用の手すりはまたちょっと特別な設定が必要な場合がありますので、のちほど詳細に説明します。今回は階段に話を集中するためにあえて、手すりなし、とします。
[ツール]-[手すり]で[なし]を選択

上方の踊り場
階段上部にも踊り場を作成することができます。[コンポーネント]パネルの[踊り場]を選択し、[スケッチを作成]を選択します。
スケッチを作成、を使う
下の図のように、閉じた形状で踊り場をスケッチします。
踊り場のスケッチ。形状は閉じていなければならない。
踊り場のスケッチを[モード]の✔で終了します。

ササラを一部削除する

3Dを表示してみます。最上部のササラが余計なので、これを選択して×あるいはDELETEキーで削除します。
最上部のササラが余計

コンポーネントとは

階段の作成を[モード]の✔で終了します。

この一連の作成手続きを通してお分かりいただけたように、鉄骨階段は

  • 経路
  • 側桁(ササラ)
  • 踊り場

の三つの要素(=コンポーネント)で構成されています。これをコンポーネントによる階段と呼んでいるわけです。

次回は各コンポーネントの数値を変更し、どこをいじれば何が変わるのかを詳しく見ていきましょう。



2014年9月7日日曜日

ダイナモ白熱教室(4)~エクセル

座標値を編集する

前回取得したCSVファイルをエクセルで編集し、Y座標から1mを引いてして、新しい座標を作成します。
CSVをエクセルで開いて、値を編集する

この座標値を利用して、新たにファミリを配置してみます。

CSVファイルの読み取り

ファイルを読み取るには次の2つのノードが必要です。左の「Search」のところに、テキストを打ち込んで検索すると早いです。

  1. [File Path]ファイル名を指定する
  2. [ImportFromCSV] CSVファイルのインポート
[File Path]のBrowseボタンをおして、CSVファイルを指定し、1の>と2のfilePathを接続します。ここでF5を押して実行してみると、下の図のような数字のリストを取得できていることがわかります。
CSVファイルから座標の値を取得

座標リストの作成

CSVファイルから数値を読み込むと、列ごとにX,Y,Z座標に分かれたリストになっているので、XYZの座標に組み替えて座標のリスト変換します。

  1. [GetItemAtIndex] x3 インデックスを与えて、そのリストを取得
  2. [Number] x3 数字を入力する
1,2それぞれX,Y,Z座標ように3つ用意し、Numberにはそれぞれ0,1,2の数字をいれて、2のindexに接続し、X,Y,Zの座標値のリストを作成します。
X,Y,Zそれぞれの座標値のリストを作成

ファミリの作成

座標値とファミリの名前を指定してファミリを作成します。

  1. [Family Types] ファミリタイプを選択
  2. [FamilyInstance.ByCoodinates] XYZの座標値でファミリインスタンスを作成する

1でファミリ名を選択します。現在のバージョンでは2バイト文字に対応していないのでファミリの名前はあらかじめ半角英数にしておきます。
3つのList.GetItemAtIndexをそれぞれ2のX,Y,Zに接続します。
ファミリタイプと座標値を接続
それではF5を押して実行してみましょう。
ソファの1m前にテーブルが作成された
上の図のような結果になりました。下の図は今回作成した全体の様子です。
全体図
前回と今回でファミリの座標をエクセルに抽出する方法と座標を読み込んでファミリを配置する方法を説明しました。Revitだけでは、ファミリの座標を取得することはできません。それには別途プログラムを使ったカスタマイズが必要だったのですが、ダイナモがあれば比較的容易に座標を活用することができるようになります。Revitを活用した様々な分析に利用できるのではないでしょうか?