2014年10月12日日曜日

鉄骨階段(4)

1F-3F階段の作成

まず、1FL-2FL間の階段を「鉄骨階段(1)」の要領で作成してください。同様に2FL-3FLの階段も作成してみましょう。
(1)2FLの平面図ビューを開き、[建築]-[階段]-[コンポーネントによる階段]を選択。
(2)階段のインスタンスプロパティで、「指定の蹴上げ数」「実際の踏み板奥」を確認。
(3)オプションバーで「実際の経路幅」を確認
まずは、このプロパティに注意

(4)図のように、階段と踊り場を作成。このとき、1番目の階段経路は、必要段数+1で作成するのがコツです。
1段多く作成するのがコツ

(5)✔で終了し、3Dビューで確認します。

踊り場との取り合いがヘンです。

こうしてみると、2階の踊り場と最初の1段目の取り合いがおかしいですね。この状態を何とか改善してみましょう。そのためには階段コンポーネント(階段経路・側桁・踊り場)のインスタンスパラメーターを調整する必要があります。

階段経路のインスタンスプロパティ

TABキーを使って、2FL-3FLの最初の階段経路を選択してください。

階段経路を選択した状態で、プロパティボックスを注目してください。まず、「蹴込み板をつけて開始」のチェックを外します。

階段経路を踏み板から始めるように設定


ここで「適用」ボタンを押すと警告が出ますが、ここではOKを押して無視します。すると、階段の上がり始めの形状が次のようになります。
ささら桁がヘン?

同様に、「踏み板の基準より下に延長」に-270と入れて[適用]します。
踏み板を下に270mm延長すると、ささら桁も延長される

こうすることでささら桁が踊り場のささら桁とうまくとりあいます。
きれいに取り合いました。

また、断面図を作成して、階段上部が3FLに到達しているか確認してください。

平面図の調整

1段目を踏み板にすることで、見た目はよくなりましたが、平面図では段差がないところに線が引かれているので、これをラインワークで非表示にします。
ラインワークで最初の線を消す。

矢印の調整

階段矢印を選択し、タイプを「固定された上方向:標準」に変更します。必要に応じてタイプパラメーターを調整し、矢印の形状や、始点のマークを変更しましょう。
矢印もカスタマイズ

また、矢印のインスタンスパラメーターを調整し、UP文字の表示非表示などを調整できます。
これを繰り返せば、次のような鉄骨階段を作成できます。
鉄骨階段の完成
階段はタイプパラメーターとインスタンスパラメーターをうまく調整することで、適切に表現することができます。




2014年10月4日土曜日

鉄骨階段(3)

ささら桁【ササラゲタ】

横森製作所のHPではささら桁を「踏板を両側から挟む鋼板」と定義しています。Revtiの場合は「階段経路」を挟む部材と言い換えることもできるでしょう。Revitではコマンドや状況で訳がころころ変わっていて非常にわかりにくいです。

  • 桁(オブジェクトスタイルなど)
  • 支持(階段作成コマンドなど)
  • 側桁(ファミリブラウザなど)

これらはすべて同じものをさしていると考えてください。

側桁のプロパティ

プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[階段]-[側桁]を展開すると、ささら桁ファミリがあります。(こちらも作成時には「支持」となっており、訳に一貫性がありませんので注意してください。)
これを右クリックし、複製して、ダブルクリックしてタイププロパティダイアログを開きます。
側桁のタイプパラメータ
断面図プロファイルの値が「規定値」の場合、断面形状は単純な矩形であり、そのサイズは
幅×奥行き合計
です。
ささら桁の寸法
階段経路の構造の奥行きとは、下の図のような鉄骨階段としてはなんだか妙な位置を示しています。
階段経路の構造の奥行きはここ
一般には、鉄骨階段の場合、段鼻からささら桁上端までの距離を30mm程度に決めることが多いので、この位置では希望通りの階段にしにくいのは事実です。計算で設定することも可能ですが、蹴上が変わるごとに異なるタイプを作成する必要がありますので、実用的には60~70程度にしておくとよいでしょう。

踊り場

踊り場のシステムファミリは、階段経路のプロパティを継承する場合と、独自に踊り場だけの設定を行うことができます。前者の場合、ささら桁の「踊り場構造の奥行き」というパラメーターは以下の断面図の通りです。

ささら桁を30mm、踊り場の踏み板厚を45mmとして、300-(30+45)=225というわけです。
踊り場のタイププロパティを見てみると以下のような設定になっています。
階段経路に準ずる場合
「階段経路と同じ」を選択した場合、階段経路と同じ設定が適用されますが、このチェックボックスを外すと、
階段経路と異なる設定をする場合
踊り場だけの踏板の厚さなどが設定できます。

中央桁

階段を支持する要素として、「側桁」のほかにもう一つ「中央桁」というシステムファミリがあります。プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[階段]-[中央桁]の中にあるのですが、これは下の図のような階段を作る場合に使用します。
(開いた)中央桁を使用した例

再度、階段のプロパティを見てみると、「桁」の欄に[右側の桁][左側の桁]というプロパティがあり、その選択肢が

  • なし
  • (閉じた)側桁
  • (開いた)中央桁

というこれまた意味不明の用語が並んでいます。上の図の階段の設定を以下に示します。
(開いた)中央桁
中央桁支持をONにし、右の側桁、左の側桁をなしとすれば、下のような階段を作成できます。
中央支持を使用した例
上の階段のプロパティ

おさらい

コンポーネント階段は次の三つのタイプがあります。

  • プレキャスト階段
  • 現場打ち階段
  • 組み立て階段

そして、これらは次のシステムファミリの組み合わせです。

  • 階段経路(一体型、非一体型)
  • 踊り場(一体型、非一体型)
  • 側桁
  • 中央桁

ここまで、それぞれの「タイププロパティ」を見てきましたが、実際のモデリングではそれぞれの「インスタンスプロパティ」の振る舞いを知ることが重要です。次回は複数階の鉄骨階段を作成しながらインスタンスプロパティについて解説していきます。