2021年4月24日土曜日

照明のファミリ(4)

照度計算

作成した照明のファミリを使ってレンダリングをしてみましょう。次の図のように部屋の中にテーブルが2つあるような部屋を題材にしてみます。


まず、テーブルの直上に照明のファミリを配置してみます。テーブル面の照度はいくらになるでしょうか?照度を計測するには、「スペース」を配置します。

  1. 解析タブ>スペース及びゾーンパネル>スペース
  2. 部屋の内部をクリックしてスペースを配置
  3. 配置したスペースを選択し、インスタンスプロパティ照明の計算 作業面を800に設定。これはテーブル面の高さを示しています。
  4. 天井の反射率、壁の反射率、床の反射率をそれぞれ70%、50%、10%に設定。材料がわかっている場合は、材料に応じた値を設定します。
  5. 平均推定照度の値を確認する。

照度が計算される

リアリスティック

この状態でカメラを配置し、リアリスティックで表示してみます。

  1. カメラを配置して、詳細レベルを「詳細」に設定。照明器具の形状は詳細の時に表示されます。

  2. ビューのプロパティ「グラフィック表示オプション」の編集ボタンをクリック。
  3. グラフィック表示オプションダイアログボックスで次の図のように設定。
    照明>スキームを内部:人工照明のみに設定

リアリスティックでも照明の状態は表示されます。


レンダリング

  1. 表示タブ>プレゼンテーションパネル>レンダリング
  2. レンダリングダイアログボックスで次のように設定します。スキームで内部:人工照明を選択しておくことがポイントです。

  3. レンダリングをクリック

レンダリングはより正確に照明の状態を再現できる

照度計算で適切な灯数を配置する

こうしてみるとリアリスティックもレンダリングも大きな違いはないのではないかと思います。そこで照度が100lx程度になるまで照明を増やしてみます。

16灯で105.84lxまで上げた
リアリスティック
リアリスティックでは2灯も16灯も大きな違いはない
レンダリング
レンダリングだと大きな違いがある。

レンダリングのほうがかなり実際にちかい状況を再現できます。ただ、レンダリングには時間がかかります。レンダリング結果を参考にしながら、リアリスティックの露出を調整してみます。

これにより明るさを調整することができます。
リアリスティックでも近い状態にはできる。


2021年4月17日土曜日

照明のファミリ(3)

記号の設定

ダウンライトの直径は120mm程度なので、200分の1の図に配置すると直径0.6mmとなってしまいます。一般には電気の記号は図面の尺度にかかわらず一定の大きさの記号です。そのためには、一般注釈として記号を作成して、照明のファミリにネストします。

一般注釈ファミリの作成

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で注釈フォルダを開き、一般注釈(メートル単位).rft を選択して開く。
  2. 作成タブ>詳細パネル>マスキング領域

    1. 図のように半径1.0mmの円を作成。出力時に⌀2mmの円となります。
    2. モードパネル>✔
  3. 作成タブ>文字パネル>文字
    1. タイプ編集ボタンを押して、名前変更
    2. 1.3mmとしてOK
    3. 文字フォント:Arial Narrow
    4. 文字サイズ:1.3mm
    5. 幅係数:0.8
    6. OK
  4. 中心に文字「DL」を作成

    1. 水平位置合わせ:中心
    2. 垂直位置合わせ:中央
  5. 名前を付けて保存。ここでは 記号_照明_ダウンライト とします。

ポイント:フォントの選び方

フォントは原則として何を選んでもいいのですが、BIM360を使用している場合は、サポートされているフォントがある程度限られているので、こちらのWebページを参考にしてフォントを選択してください。

照明器具ファミリへの配置

  1. 照明器具のファミリを開き、平面図>参照レベルを開く
  2. 挿入タブ>ライブラリからロードパネル>ファミリロード で作成した 記号_照明_ダウンライトを選択して開く。
  3. 注釈タブ>詳細パネル>記号
  4. 中心に記号を配置。
  5. 記号を選択して、表示パネル>表示設定 で詳細の✔を外す。これにより簡略と標準の時に記号が表示されます。

  6. 3Dビューを開く
  7. 本体と反射板を選択し、プロパティウィンドウで表示/グラフィックスの上書きをクリック。

  8. 簡略と標準の✔を外す。これでフォームは詳細の時のみ表示されるようになります。
  9. 保存

コネクタの設定

電気コネクタを配置します。コネクタはMEPの機能で、回路の設定、負荷の計算などの役割があります。

  1. 照明器具のファミリを開き、3Dビューを開く。
  2. 作成タブ>コネクタパネル>電気コネクタ
  3. 本体の上面をクリックして配置

    1. コネクタはフォームの面または作業面に取り付きます。
  4. 配置したコネクタを選択し、プロパティウィンドウで


    1. システムタイプ:電力 - 平衡
    2. 極数:1
    3. 負荷分類:照明
    4. 電圧:100V
    5. 皮相負荷:関連付けボタンを押し、タイプパラメータ「皮相負荷」と関連付ける。
    6. 力率:関連付けボタンを押し、タイプパラメータ「力率」と関連付ける。

ワンポイント:電力 - 平衡 と電力 - 不平衡の違い

システムタイプ電力には平行と不平衡があります。不平衡を選択しても、極数が1の場合は、平衡と機能は全く同じです。極数を2にすると、皮相負荷 相2が使えるようになります。極数とは電圧線の数に相当します。例えば単相三線の配電システムの場合、100Vならば極数は1、200Vならば極数は2となります。不平衡の場合は、極数が2のとき、それぞれの電圧線に負荷が何VAかかっているのかを設定するような仕組みになっています。
不平衡の場合は各相ごとに負荷を決定できる

システムタイプが電力であれば平衡でも不平衡でも回路に接続することは可能なので、ここでは平衡を使って話を進めていきます。

ワンポイント:負荷分類とは

負荷分類とはいわば電気の使い道を示しています。MEPでは回路を盤に接続すると、その盤がにどんな負荷分類の電力が何VA接続されているかを集計することが可能です。たとえば一般照明と非常用照明を分けて集計したい場合は、負荷分類「非常用照明」を作成して設定します。
プロジェクトごとに自由に変更したい場合は、負荷分類の関連付けボタンを使って、パラメータに関連付けるといいでしょう。

プレビューを設定して保存する

これでファミリの設定はすべて終了です。プレビューを設定して保存します。
  1. 3Dビュー>ビュー1を開く
  2. 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス で 光源の✔を外してOK
  3. コネクタを選択し、ビューコントロールバーの眼鏡のアイコンをクリックし、要素を非表示

  4. ビューキューブを操作して、後左下の角をクリック

  5. ファイル>名前を付けて保存>ファミリ
  6. オプションをクリックし、ソースを3Dビュー:ビュー 1、ビュー/シートが最新でない場合は再生成にチェックしてOK
  7. ファイル名に 照明 ダウンライト LGD1100.rfa として保存。

次回はこのファミリを使って照度計算やレンダリングをしてみましょう。

2021年4月10日土曜日

照明のファミリ(2)

光源

ライトがどのように光るかは光源の設定が大事です。光源の設定方法をマスターしましょう。

IESファイルを手に入れる

光源設定のベストプラクティスはIESファイルを入手することです。IESファイルとは配光データのことで、ライトがどのように光るかを表しています。パナソニックの場合IESNA配光データのダウンロードがこちらから可能です。法人向けのサイトですが、会員登録(無料)さえすれば利用できます。

パナソニックの配光データダウンロードサイト

器具品番を入力(LGD1100)を入力し、器具とランプを選択します。データ形式でLM63-2002(推奨)を選択して、ダウンロードボタンを押します。照明器具ファミリと同じフォルダに配置しておくとよいでしょう。

光源の設定

iesファイルをファミリの光源に設定します。

  1. 前回作成した照明器具ファミリを開き、光源(黄色いボール状の要素)を選択
  2. 照明パネル>光源設定

  3. 上の段は光源の形状、下の段は光の拡散を示しています。光の拡散でフォトメトリックウェブを選択しOK。

  4. プロパティパネル>ファミリタイプで
    1. フォトメトリックWebファイルで、ダウンロードしたiesファイルを選択。
    2. 傾斜角を90°に設定

  5. 3Dビューで光源の形状を確認します。

  6. こちらをクリックして、照明器具のHPを表示します。
  7. 器具光束が485lm、色温度が6200Kであることを確認します。
  8. プロパティパネル>ファミリタイプで
    1. 初期強度を485lm(カタログ値)
    2. 初期の色を6200K(カタログ値)

識別情報の設定

識別情報は、照明器具表などの電気図で使用します。
  1. プロパティパネル>ファミリタイプで、照明器具のHPのURLをコピーし、URLに張り付ける。
  2. 照明器具のHPでメイン画像をダウンロードし、照明器具と同じフォルダに配置。
  3. プロパティパネル>ファミリタイプでイメージ(タイプ)をクリックし、[...]をクリック。
  4. ダウンロードした照明器具の画像を選択してOK。

  5. モデルに製品名を、製造元にパナソニック株式会社を、説明に商品の説明を設定

次回は照明の記号を作成して図面上の表示を設定していきます。

2021年4月3日土曜日

照明のファミリ(1)

ダウンライトをつくってみよう

照明ファミリには「光源」があります。この光源をうまく使えばレンダリングだけではなく、照度計算も可能です。まずは基本的なダウンライトを作成して、コツをつかみましょう。今回作成する照明は、パナソニックのLGD1100です。


このチュートリアルでは次の項目について複数回にわたって連載します。

  1. 照明器具ファミリの作り方
  2. iesファイルを使用した光源の設定方法
  3. レンダリング
  4. 照度計算
  5. 電気図

照度計算も標準機能で可能

本体を作る

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で 照明器具(メートル単位).rft を選択
  2. 立面図>正面を開く
  3. 作成タブ>フォームパネル>回転
  4. 次の図のように基準レベルと光源軸(左/右)の交点に、境界線をスケッチする。詳細な断面が見つけられなかったのであくまで目安です。


  5. 描画パネル>軸線 を選択し、中心に軸線を作成します。


  6. モードパネル>✔
  7. 作成したフォームを選択し、プロパティウィンドウのマテリアルの関連付けボタンを押し、新たに本体というパラメータを作成する。

  8. 平面図>基準レベル
  9. 作成タブ>フォームパネル>押し出し で下の図のようにスケッチ


  10. モードパネル>✔
  11. プロパティウィンドウで、押し出し終端の値を-4.5とする。
  12. 7と同様の手順でフォームのマテリアルを「反射板」パラメータを新規作成して関連付ける。

光源の配置

照明器具のテンプレートには光源があります。光源をダウンライト本体の下方に移動します。
  1. 正面のビュー上部にある光源をダウンライトの下方に移動しますが、このとき光源ではなく光源がロックされている参照面(光源高さ)を選択します。

  2. SHFTキーを押しながらドラッグして参照レベルの下に移動し、仮寸法を使って10mmに設定。このとき照明器具のフォームに光源の中心が埋もれないようにするのがポイントです。

マテリアル

光源は相手を照らすことはしても自分自身は光りません。レンダリング時に照明器具が輝いて見えるようにするには、自己照明型のマテリアルをフォームに設定する必要があります。
  1. 作成パネル>プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. 反射板の<カテゴリ別>を選択し、[...]ボタンをクリック。
  3. 新しいマテリアルを作成 を選択

  4. アイデンティティタブで名前を「反射板」とします。
  5. 外観タブで このアセットを置き換えます ボタンをクリック。

  6. 外観ライブラリ>その他>放射光を選択し、「LED - SMD 5630 - 8lm (白)」を選択して右端の置き換えボタンをクリック。


  7. アセットブラウザは右上の×で閉じる
  8. グラフィックスパネルでレンダリングの外観を使用に✔
  9. OK
  10. 本体の,カテゴリ別>を選択し[...]ボタンをクリック。
  11. 同様に「本体」というマテリアルを作成します。本体にはプラスチック-マット(白)を設定します。

これで照明器具の本体は完成です。次回は光源にiesファイルを設定するなど、光源の調整方法について学習しましょう。