2024年11月2日土曜日

形状ハンドルが表示されない?

参照面+インスタンスパラメータで形状ハンドル

ファミリの形状を変更する◀▶のマークを「形状ハンドル」といいます。このマークをドラッグしたり、位置合わせで目的の面に一致させたりすることで、ファミリの形状を変更できるので大変便利です。

一般には「参照面」に寸法を作成して、インスタンパラメータのラベルを付与すればOKです。

図A : 参照面+インスタンスパラメータ

これをプロジェクトにロード、配置し選択すると形状ハンドルが表示されます。

図B : プロジェクトにロードすると形状ハンドルが表示される
この形状ハンドルをドラッグして、インスタンスパラメータの値(図AでいえばXとYの値)を変更することができます。

形状ハンドルが表示されないとき

この形状ハンドルが表示されない場合があります。図Aで右側の参照面の参照を[参照なし]に設定し、

図C:参照面の参照プロパティの値を[参照なし]に設定

プロジェクトにロードします。すると右側の形状ハンドルが表示されなくなります。

図D:参照なしの参照面には形状ハンドルは表示されない

上下の形状ハンドルに注意!

ファミリエディタで正面のビューで、次のように参照面+インスタンスパラメータの寸法を作成しました。h1、h2の上下端の参照面の参照は弱参照です

図E:正面ビュー

こんな場合も形状ハンドルが表示されません。

図F:上下に形状ハンドルが表示されない

これはなぜでしょうか?これは図Eのh1、h2の寸法がレベルと参照面の間に作成されているからです。

図G:寸法は参照面とレベルの間に作成されていた

形状ハンドルを表示するには参照面と参照面の間に寸法を作成する必要があります。多くのファミリテンプレートでは、参照レベルに参照面がロックされています。参照レベル側の寸法補助線を、参照レベルにロックされている参照面に付け替えて、再度パラメータh1、h2を与えます。

図H:参照レベルにロックされた参照面を使う

そしてプロジェクトにロードすると無事形状ハンドルが表示されます

図I:参照面同士に寸法を作成すると形状ハンドルが表示される

特に意識していないと、立面ビューで寸法を作成する時、レベルを押さえてしまうので、レベルにロックされている参照面を押さえるようにしてください。

2024年10月27日日曜日

ACCのDocsで新旧比較

モデルの新旧比較

Autodesk Construction Cloud(以下ACC)のDocsを使って、モデルの新旧比較をしてみます。異なるバージョン間で何が変更になったのかを知るにはRevitだけではなかなか難しいのですが、ACCを使えば容易に把握することができます。

ACCでモデルの新旧比較をしてみよう

準備

何事も準備が大事です。DocsにおけるRevitでの準備とはパブリッシュ設定のことです。パブリッシュとは情報公開のことで、クラウド上でビューを閲覧可能にすることです。

サンプルのデータとして、Revit標準添付のプロジェクトrst_advanced_sample_project.rvtを使用しました。

  1. コラボレートタブ>モデルを管理パネル>パブリッシュ設定
    1. 既定で「セット1」があるのでこのセットを使用します。
  2. セット1をクリックし、
    • リストに表示:モデル内のすべてのビュー及びシート
    • すべて選択ボタンをクリックし、セット1にモデル内にすべてのビューとシートを追加します。本当は比較する対象となるビューだけ(たとえば{3D})でいいのですが、今回は操作を単純化するためにすべて「セット1」に追加します。
  3. セット1に✔が入っていることを確認して[保存して閉じる]

V1モデルをクラウドモデルとして保存

パブリッシュ設定ができたら、一度上書き保存をします。そのうえで
  1. ファイルタブ>名前を付けて保存>クラウドモデル
  2. 適切なアカウントとプロジェクト、フォルダを選択して保存する。
最初に保存したとき、パブリッシュは自動で行われます。以後は任意のタイミングで自分でパブリッシュする必要があります。

V2モデルを作成してクラウドに保存

引き続き、モデルにちょっとした変更を加えます。今回はJ-1の構造柱:450mm→600mmに変更し
柱を太くしてみた
さらに、3通りと4通りの間に新しい柱を追加してみました。
柱を加えてみた
この状態で「上書き保存」(すでにクラウドモデルになっているので、上書きするだけでよい)を実行

自分でパブリッシュ

  1. CTRL+Dでホーム画面に戻り、Autodesk Docsをクリック、適切なアカウントとプロジェクトを選択して、保存したモデルがあるフォルダにナビゲートし、ファイルに✔を入れる。

  2. チェックを入れると[パブリッシュ]ボタンが表示されるので、このボタンを押して新しい情報をクラウドにパブリッシュ(情報公開)をする。

Docsで比較

いよいよDocsで新旧比較をしてみましょう。
  1. ブラウザで、acc.autodesk.comに移動する
  2. プロジェクトの一覧が表示されるので、比較対象のモデルを保存したプロジェクトをクリック。
  3. 左上の製品ピッカーで「Docs」を選び、[ファイル]を選択し、目的のファイル(ここではrst_advanced_sample_project.rvt)をクリック
  4. シートとビューをクリックし、3Dタブから{3D}を選ぶ

  5. 画面右上の[比較]ボタンをクリック

  6. ドキュメント比較ウィンドウで適切なバージョンとビューを選択する。
    • 注意することはドキュメントAが新しいほうである、ということです。
    • 異なるバージョンで同じビューを指定します。

  7. [比較]ボタンをクリック。しばらくすると比較結果が表れる
    • 緑が追加、赤が削除、黄色が変更 の色は覚えておくと便利です

  8. [変更]ウィンドウから緑の項目をクリックしてみると、変更箇所がズームアップされ、何が追加されたのか情報が表示される。
    追加された情報

  9. 変更ウィンドウで[結果をツリー表示]に切り替えて、構造柱から黄色(変更)の項目をクリックすると、何が変更されたか詳細な情報が表示される
    変更はより詳細な情報が表示される

  10. 変更ウィンドウでで追加、削除、変更のタイルをクリックすると、表示非表示が切り替わる。
    こうすると追加項目のみが表示される

  11. 画面中央下の右端のボタンから[並べて表示]を選択

  12. 新旧のモデルが並べて表示され、変化がわかりやすい。
    どのように変わったかがわかりやすく表示される

  13. 画面中央下の右端のボタンで比較終了

Revitはファイルがどんどん更新されていくため、「前のバージョンのファイル」というのが存在しません。しかしクラウドモデルとパブリッシュをきちんと管理すれば、以前の状態をいつまでも保存できるため、新旧比較は非常にやりやすいといえるでしょう。

2024年10月19日土曜日

ケーブルラック接手(2/2)

金具部分

自在継手の金具部分は、作成した「台座」の側面にとりつく要素なので、面基準のファミリとして作成してネストするとよいでしょう。

ネグロス電工HPより

作り方


金具部分

  1. 一般モデル(メートル単位)、面付き.rft を指定してファミリを新規作成
  2. 作成タブ>ファミリカテゴリとパラメータ で「ケーブルラック継手」を選択
  3. 作成タブ>フォームパネル>押し出し
    • 図のように外形をスケッチ
    • 押出終端の値を5に設定
      厚さを5mmに


  4. モードパネル>✔
  5. 必要ならばマテリアルを関連付ける
  6. 名前を「上下自在継手金具」として保存
  7. ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード で、継手ファミリにロードする

金具の配置

  1. 継手ファミリがアクティブになる
  2. 修正|配置コンポーネントタブ>配置パネル で面に配置をクリック
  3. コネクタを配置したフォームの側面を指定して金具ファミリを4面に配置する
    • 金具ファミリの挿入点がコネクタを配置している面と一致するように配置します。
      金具ファミリをフォームの側面を指定して配置

表現の調整

コネクタを配置している台座となっているフォームは非表示にします。
  1. 台座のフォームを選択
  2. プロパティパネルで表示のチェックを外す
    台座のフォームは非表示

金具は簡略表示の際は非表示とします。
  1. 配置した4つの金具ファミリを選択
  2. プロパティパネルで表示/グラフィックの上書きをクリック
  3. 詳細レベルグループの簡略のチェックを外す
    金具は簡略では非表示

簡略表示の際に表示する単線をモデル線分で作成します。
  1. 参照レベルのビューを開く
  2. 作成タブ>モデルパネル>モデル線分 で図の←の位置にモデル線分を作成
  3. サブ側(右側)のモデル線分に角度寸法を作成し、角度パラメータにマッピングする。
    • このとき確実にモデル線分と水平な参照面との間に寸法を作成する
      簡略表示用のモデル線分を作成
      この図はわかりやすいようにコネクタを一時非表示にしています

  4. 作成した2本のモデル線分を選択し、プロパティパネル>表示/グラフィックの上書きで詳細レベルグループの標準と詳細のチェックを外す



プロジェクトで使ってみる

以上で継手ファミリは完成です。このファミリに「ケーブルラック自在継手_垂直エルボ.rfa」と名前を付けて保存し、プロジェクトで使ってみましょう。

  1. ファイル>新規作成>プロジェクト で電気テンプレートを指定してプロジェクトを作成
  2. 挿入タブ>ライブラリからロードパネル>ファミリロード で作成した継手ファミリをロードする。
  3. プロジェクトブラウザ>ファミリ>ケーブルラック>ケーブルラックと継手 のチェンネルケーブルラックをダブルクリック
    • 垂直内側曲げ と 垂直外側曲げ に「ケーブルラック自在継手_垂直エルボ」を指定してOK
      ケーブルラックタイプに組み込む

  4. 断面図または立面図を開く
  5. 設備タブ>電気パネル>ケーブルラック
  6. タイプセレクタで「チャンネルケーブルラック」が選択されていることを確認
  7. ケーブルラックを描画して、さまざまな角度に曲げてみる
    ケーブルラックを描画

  8. 詳細レベルを簡略にして単線表示されることを確認する。
    簡略表示

  9. 3Dでも確認してみる

ところで組み込みパラメータは?

ファミリには組み込みパラメータが自動的に設定されていましたね。
組み込みパラメータ

これらのパラメータの値はシステム側から継手ファミリに供給される値で、必要に応じてファミリ側で利用する値です。今回のファミリではまったく利用していないのですが、例えば曲げ半径というのは、継手を選択したときに表示される図の四角で囲んだ値です。
曲げ半径
この値はクリックして自由に半径を修正できるのですが、この値に応じて継手の形状を変更するようにファミリを設定できるわけです。
指定した曲げ半径に応じて変形する継手ファミリ

また厚さとは、ケーブルトレイの厚さのことです。組み込みパラメータは必ず利用する必要があるわけではありません。ケーブルラック本体から継手に渡される情報であると考えてください。

2024年10月12日土曜日

ケーブルラック接手(1/2)

自在継手を作る!

ネグロス電工の「上下自在継ぎ金具(ボンディング省略タイプ)」というケーブルラックの接手を作ってみよう!と思い立って、いろいろ継ぎ手について調べてみたら、配管やダクトの接手とは少々異なる設定が必要だとわかったので、ここに記しておきます。


ファミリテンプレートは何を使う?

ケーブルラック接手そのものを指定したファミリテンプレートはないので、「一般モデル(メートル単位).rft」を指定してファミリファイルを作成します。

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で一般モデル(メートル単位).rftを選択
  2. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリカテゴリとパラメータ
    • カテゴリ:ケーブルラック継手
    • パーツタイプ:チャネル垂直エルボ
  3. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
    • 継手用の組み込みパラメータが設定されていることを確認する
    • パーツタイプをはしご垂直エルボにすると組み込みパラメータは異なる。
    • これらのパラメータはシステム側から与えられる情報であり、継手ファミリはこれらの値を「指定」するのではなく「利用」すると考えてください。
    • 図A チャネル垂直エルボの組み込みパラメータ

予備知識として。。。

図B

継手ファミリの挿入基点

継手ファミリの挿入基点(「基準点を設定」が✔されている参照面の交点)は、二つのケーブルラックのコネクタ(図BのAおよびB)の延長線の交点(図Bの点O)です。

継手ファミリの角度

組み込みパラメータ以外に重要なパラメータがコネクタにはあります。それは接続したい二つのケーブルラック同士の角度です。角度といっても、なす角ではなく図Bの角度θの値で、この値をケーブルラックコネクタの「角度」にマッピングする必要があります。

自在接手の特徴

自在接手は図Cのように、継手ファミリの原点からコネクタまでの距離が (240-75-75)÷2=45で一定になります。つまり図BでいうとOA=OB=45mmということになります。
図C ネグロス電工HPより

プロファイルの準備

コネクタを配置するフォームが必要です。ケーブルラックと同じ断面をもつスイープを作成するために次の図Dのようなプロファイルを作成し、ファミリファイルにロードしておきましょう。垂直エルボ用なので高さと幅のパラメータの設定位置に注目してください。
ファミリの名前を「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」とします。
図D 幅と高さのパラメータの位置に注目

作成手順

パラメータの準備

作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプでケーブルラックの「幅」と「高さ」を示す長さのインスタンスパラメータ、および接続角度(図Bのθ)を示す角度型のインスタンスパラメータ「角度」を作成しておきます。
図E インスタンスパラメータ「幅」「高さ」「角度」

メイン側コネクタ

メイン側のコネクタはX軸上左側の固定された位置(図BのAの位置)に作成します。作成したプロファイル「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」を使用して、長さ45mmのスイープを作成します。
次に作成タブ>コネクタパネル>ケーブルラックコネクタ で、左側の側面にコネクタを配置します。
図F スイープを作成してコネクタを配置

プロファイルのパラメータを関連付ける

プロジェクトブラウザ>ファミリ>プロファイルで作成したプロファイルのタイプ名をダブルクリックしタイププロパティダイアログボックスを表示し、幅と高さのパラメータをそれぞれ「幅」と「高さ」に関連付けます。
図G プロファイルの幅と高さを関連付ける

コネクタのパラメータを関連付ける

コネクタを選択し、角度、高さ、幅のパラメータを関連付けます。このとき高さを幅に、幅を高さに関連付けます。これは垂直エルボの特徴の一つです。
図H 幅→高さ、高さ→幅に関連付ける

サブ側コネクタ

サブ側のコネクタは、回転する必要があります。点Oを中心にコネクタを取り付けるフォームを回転させるので、スイープのパスの拘束が重要になります。
  1. 作成タブ>フォームパネル>スイープ
  2. 図のようにパスを作成して、参照面と左端で寸法を作成します。長さも位置も適当でOKです
    図I パスをスケッチして参照面と左端に寸法を作成

  3. パスを選択し、アクティブになった寸法値をクリックして「0」と入力して、かぎアイコンをクリックしてロックします。これをもう一つの寸法に対しても行い、パスの左端を点Oに確実にロックします。
    図J 寸法を使ってパスの左端を原点にロックする
  4. 角度寸法を作成し、角度パラメータと関連付ける。
    図K 角度パラメータと関連付ける

  5. パスをドラッグして長さを45mmにし、モードパネル>✔
  6. プロファイルに「プロファイル_ケーブルラック_垂直エルボ」を選択して、モードパネル>✔
  7. 作成タブ>コネクタパネル>ケーブルラックコネクタ で台座の右側側面にコネクタを配置し、メイン側同様に角度、高さ、幅のコネクタのパラメータを関連付ける
    メイン同様に幅=高さ、高さ=幅と関連付ける

  8. 左側のメインコネクタを選択し、コネクタリンクパネル>リンクコネクタをクリック、右側のサブコネクタをクリック
ここまででケーブルラック継手の主要な部分は作成できました。次回は残りの金具部分の作成です。