2025年7月13日日曜日

構造フレームの質量と重量

構造マテリアルを使う時

構造フレームや構造柱、構造壁といった構造体には、組み込みパラメータ「構造マテリアル」があります。構造マテリアルはその要素の構造的な特性を表すマテリアル、つまりマテリアルに「材質」を追加しておきます。

マテリアルに材質を追加する

そうすると、ふつうならばマテリアル集計表でなければアクセスできないマテリアルのプロパティに普通の集計表でアクセスできるようになります。

たとえば構造テンプレートに含まれるマテリアル「SN400」の「材質」タブには構造体の密度(質量密度)を表す情報が設定できるので、集計表を使って要素の質量と重量を求めてみましょう。


次のようなサンプルモデルを作成しました。この鉄骨部分とRC部分の構造フレームの重量を求めてみます。

鉄骨部材とRC部材

集計表

構造フレームの集計表を作成します。

  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量
  2. カテゴリを構造フレームとしてOK
  3. フィールドタブで次のフィールドを追加します。
    1. ファミリとタイプ
    2. 容積
    3. 構造マテリアル
  4. 使用可能なフィールドを選択 で構造マテリアルを選択
    使用可能なフィールドを選択で構造マテリアルを選択

  5. 構造マテリアルに関する次のフィールドを追加
    1. 構造マテリアル:密度
    2. 構造マテリアル:単位重量
  6. OKを数回押して集計表を表示する
    鉄骨部材は密度が空欄だが・・・

出来上がった集計表をみると、鉄骨の構造マテリアル:密度の値は空欄になっています。一方、"構造マテリアル:単位重量"はマテリアルの材料タブでは設定してもいないのに値が表示されていますね・・・・。どうやらマテリアルの材料で指定した密度(kg/㎥)の値が単位重量(kN/㎥)に換算されているようです。

実際に計算フィールドを追加して確認してみます。

  1. 集計表のビュープロパティ"フィールド"の編集ボタンをクリック
  2. "計算されたパラメータを追加"ボタンをクリック
  3. 密度=単位重量/9.80665(重力加速度)なので、次のように設定します。
    計算フィールドの設定

  4. OKを数回押して集計表を表示します
    マテリアルに設定した値と一致

ここで集計表の質量密度フィールドとマテリアルの材料:密度の値を比較してみると一致していることがわかります。どうやら材質を問わずに質量・重量を計算するには"構造マテリアル:単位重量"が便利そうです。

質量と重量を求めてみる

質量と重量も計算フィールドを追加します
  • 部材重量=容積*構造マテリアル:単位重量
    タイプは重量

  • 部材質量=容積*質量密度=容積 * 構造マテリアル: 単位重量/9.80665
    タイプは質量

これで質量と重量を求めることができます。

2025年7月6日日曜日

配管の質量

単位長さあたりの質量はセグメントに定義できない

配管の重さを求めるためには、その配管(=セグメント)に長さあたりの質量を設定すればいいのですが、Revitのセグメントで定義できるのは呼び径、外径と内径の3種類だけで、長さあたりの質量を定義することはできません。

セグメントの定義

そこでJISに記載されている配管の「密度」に着目して、配管の質量を集計表で求めてみます。

配管材料密度のパラメータ

例えばVP、VM、VU管の密度は1.43グラム/立法センチメートルです。この値を配管タイプのタイプパラメータとして追加します。集計表で使うだけなのでプロジェクトパラメータでOKです。

  1. 設備テンプレートで新しいプロジェクトを作成
  2. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
  3. プロジェクトパラメータダイアログボックスで新しいパラメータボタンをクリック

  4. 次の図のように設定し、配管のタイプパラメータを追加します。データタイプ密度は専門分野「一般」にありますが、ここでは専門分野「配管」の「密度」を使用します。どちらでもいいのですが、配管用の密度ということでこちらを採用します。
    専門分野「配管」データタイプ「密度」


  5. OKを2回押してダイアログボックスを閉じます。
  6. プロジェクトブラウザ>ファミリ>配管>配管タイプ>プラスチック - 水をダブルクリックしてタイププロパティダイアログボックスを開く
  7. 配管材料密度を設定する。このタイプはセグメントとしてPVC-U - JIS K 6742を使用しているのでVP管の密度を設定します。Revitでは密度の単位は㎏/㎥なのでg/㎤の値を換算(1000倍)して、1430とします。(単位換算サイトが便利です)
    単位に注意!


  8. 設備タブ>衛生設備及び配管パネル>配管 で直径100mmの配管をいくつか作成しておきます。長さ1mの配管も作成しておくとチェックに便利です。
    サンプルとして配管を作成しておく

集計表

集計表を作成して配管の質量を求めます。まず配管の容積を求めて、容積に配管材料密度をかけて求めます。いくつか段階を追って求めてみます。

  • 配管断面積=pi()*((外径/2)^2-(内径/2)^2)
  • 配管容積=長さ*配管断面積
  • 配管質量=配管容積*配管材料密度

  1. 表示タブ>作成パネル>集計表▼>集計表/数量
  2. 新しい集計表ダイアログボックスでカテゴリから配管を選択し、名前を配管質量とします。
    配管の集計表を作成する

  3. フィールドタブで「タイプ」「配管材料密度」「外径」「内径」「長さ」のフィールドを追加
  4. 計算されたパラメータを追加 ボタンをクリック

  5. 「配管断面積」の計算フィールドを次のように設定する。式は上記よりコピーしてください。またタイプを「面積」にすることを忘れずに。
    単位は面積

  6. 同様に「配管容積」の計算フィールドを追加します。タイプは「容積」です。
    単位は「容積」

  7. 書式タブをクリックし、配管断面積を選択し、[形式]ボタンをクリック。丸めをカスタムにして丸目の増分を0.00000001とし表示桁数を調整します。
    表示桁数を調整する

  8. 同様に配管容積も形式を修正します。
  9. OKを数回押して、いったん集計表を表示します。
    集計表

質量

いよいよ配管質量の計算フィールドを追加します。質量のタイプは専門分野「一般」ではなく、専門分野「配管」から選択できます。
  1. プロパティウィンドウのフィールドの編集ボタンを押す
  2. 計算されたパラメータを追加 ボタンをクリックし、「配管質量」の計算フィールドを追加する。このとき専門分野を「配管」として、「質量」を選択します。
    専門分野に注意

  3. OKをいくつか押して集計表を表示します。
    配管の質量が計算できました

計算式をまとめると

今回は確認のため段階を踏みましたが、もちろん配管質量をいきなり求めても問題ありません。

  • 配管質量=長さ*pi()*((外径/2)^2-(内径/2)^2)*配管材料密度

タグに表示

配管材料密度パラメータを共有パラメータとして作成すれば、上記の式をタグに設定してビューに表示することも可能です。
配管材料密度を共有パラメータにすれば配管質量をタグに表示できる

この場合、配管タグのラベルで共有パラメータ配管材料密度を追加しておいて、計算式を設定します。
タグのラベルに計算式を設定する


2025年6月29日日曜日

建築工事標準詳細図(3-31/32) ~カーテンボックス

カーテンボックスのサンプル

建築工事標準詳細図3-31-3のアルミニウム製埋込み形と3-32-1木製埋込み形のファミリを作成しました。

平面図1FLのビュー:カーテンボックスファミリの位置

製図ビューにはディテールシートも作成しています。

3-31-3アルミニウム製埋込み形

シートにレイアウトしています

サンプルデータのダウンロード(v2024)

基準点

挿入基準点は窓の中心&壁面としました。インスタンスパラメータ「D」「L1」「L2」で位置やサイズ調整ができるようになっています。
建築工事標準詳細図より引用
「幅」は窓の額縁の外面に合わせてください。

カテゴリと表示について

カーテンボックスのカテゴリは「造作工事」としました。

「窓」「造作工事」「一般モデル」のカテゴリに属する要素は平面図における表示に注意が必要です。この三つのカテゴリの要素(ファミリのフォーム、シンボル線分)は平面図の「メイン範囲」に入っていれば、断面より上にあっても描画されます。

②断面、⑤メイン範囲
カーテンボックスを造作工事で作成したのは、平面図に表示させるためです。

平面図での表示方法

平面図では何もしないと次のように表示されます。

カーテンボックスの「上」から見た図と窓の断面が重なって表示されているため、窓の額縁部分が見えなくなっているということです。

これを修正するにはカーテンボックスを選択して次のように表示を要素別で上書きします。


こうすることで平面図で次のように表示されます。

平面図での表示

天井伏図は下から順に描画するので大きな問題はありません。

天井伏図 簡略と標準/詳細

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください

2025年6月15日日曜日

パラメータグループの並び順2024~2026

パラメータグループの並び順

2018年にパラメータグループの並び順について調査した記事を掲載しましたが、最近はどうなっているのかver2024、2025、2026について調べてみました。

現在の並び順

2024/2025/2026のパラメータグループの並び順は以下の通りです。

  1. サブ区画(v2024で追加)
  2. 拘束
  3. 構成
  4. 鉄筋セット
  5. セット
  6. グラフィックス
  7. 文字
  8. マテリアルと仕上げ
  9. 分割ジオメトリ
  10. 電気
  11. 電気工学
  12. 電気 - 照明
  13. 電気 - 負荷
  14. セグメントと継手
  15. 給排水衛生設備
  16. メイン端部(元「端部 1」)
  17. サブ端部(元「端部 2」)
  18. 構造
  19. レイヤ
  20. スラブ形状編集
  21. 寸法
  22. 機械
  23. 機械 - 流量
  24. 機械 - 負荷
  25. 解析モデル
  26. 解析用位置合わせ
  27. リリース/要素荷重
  28. 構造解析
  29. 荷重
  30. モーメント
  31. フェーズ
  32. エネルギー解析
  33. IFC パラメータ
  34. 防火
  35. タイトル文字
  36. Green Building プロパティ
  37. フォトメトリック
  38. 解析結果
  39. モデル プロパティ
  40. 一般
  41. 電気 - 回路
  42. データ
  43. 表示
  44. 全凡例
  45. 電気解析
  46. ビジュアライゼーション(v2025で追加)
  47. 人命の安全管理
  48. シート上のビューの位置(v2026で追加)
  49. 構造断面寸法
  50. その他
  51. 識別情報


2025年6月8日日曜日

建築工事標準詳細図(2-41) ~地下二重壁

 地下二重壁

建築工事標準詳細図シリーズ、2-41は地下二重壁です。

地下二重壁のモデリング
2-14-1では地下二重壁はRC150mmをH150mm立ち上げて、鉄骨下地窯業系サイディングの壁を梁下まで立ち上げています。

サンプルデータ(v2024)ダウンロードはこちらから

データの見方

3Dビューでは次の図の位置にあります。

3Dビュー
平面図は平面図 BFLを参照してください。ここから標準図や断面図に移動することができます。
平面図 BFL

断面図 2-41-1にも吹き出しを作成して標準図に移動できるようにしてみました。

断面図 2-41-1

二重壁

モデルの二重壁には重ね壁を使用しています。RC立上り部と上部の窯業系サイディングの壁タイプを仕上面外部で位置合わせしてタイプを構成しています。

重ね壁の構成

二重壁タイプを作成すると上下の壁の位置合わせに気を遣うことがないため効率的に整合の取れたモデルを作成できます。

点検口

点検口は壁ホストの造作工事カテゴリとしてファミリを作成しました。標準図をみると特段開き勝手はなさそうなので簡易な形状としています。

点検口のファミリ

標準図

標準図は製図ビューの「2-41-1 地下二重壁」です。このビューはPDFを600DPIで1:20に設定した製図ビューに読み込んで、"スナップを有効にする"をオンにしたうえで、詳細線分でなぞって作成しました。

読み込んだPDFのスナップを有効にする

CADベース(ベクトルベース)のPDFであれば、このスイッチをオンにすることで、PDFの線にスナップを効かせることができます。

製図ビュー

Cチャンネルやアングルは詳細項目ファミリを作成しています。形状が決まっているものはファミリにしたほうが扱いが簡単です。

詳細項目ファミリ

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください

2025年6月1日日曜日

シート間で位置合わせ(v2026新機能)

Revit2026で解決

複数のシートに平面図を配置して、その通り芯の交点の位置を一致させたい、というニーズにこたえるため、Revit2026には新たに「位置を保存」の機能をが追加されました。使い方をマスターしましょう!

ビューポートの位置を保存する

標準添付されている「サンプル意匠.rvt」を開いて、その手順を確認しましょう。

  1. ファイル>開く>サンプルファイル
  2. サンプル意匠.rvtを開く
  3. プロジェクトブラウザ>シート>実施図>1001 - 平面図(1)を開く
  4. 左側の"1 - 平面図 ピット" を選択
  5. 配置とビューパネル>ビューのアンカーで"ビューの原点"を選択
  6. 配置とビューパネル>位置を保存 をクリック
    位置を保存

  7. ビューの位置保存ダイアログボックスで、名前を「平面図左」と入力しOK
    ビューの位置に名前を付ける


  8. 同様に、右側のビュー"2 - 平面図1階"を選択し、ビューの位置を"平面図右”として保存する。

異なるシートでビューの位置を合わせる

  1. プロジェクトブラウザ>シート>実施図>1002 - 平面図(2)を開く
  2. 左側の"1- 平面図 基準階"を選択
  3. 配置とビューパネル>保存位置から平面図左を選択
    保存位置を選択

  4. 同様に右側のビューを選択し、保存位置で"平面図右"を選択
  5. 二つのシート間で、通り芯の位置が一致していることを確認する
    二つのシートでビューの通り芯の位置が一致している

自動?レイアウト

自動というほどのものでもないのですが、あらかじめ位置を指定してビューをレイアウトすることもできます。
  1. プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>10 平面>平面図>平面図 5階を選択
  2. ビューのプロパティでシート状のビューの位置グループ>保存位置で"平面図左"を選択。
    位置を指定


  3. 同様に平面図 6階の保存位置を"平面図 右"に設定。
  4. プロジェクトブラウザ>シート>実施図>1002 平面図(2)を右クリック>シートを複製>空のシートを複製
  5. 作成されたシートに平面図 5階と平面図 6階をそれぞれドラッグ&ドロップする
  6. ビューが指定された位置に自動的にレイアウトされることを確認してください。
    各ビューは指定した位置にレイアウトされる

位置の編集

保存した位置を移動することができます。
  1. プロジェクトブラウザ>シート>実施図>1001 - 平面図(1)を開く
  2. 左側の1-平面図 ピットを選択
  3. 配置とビューパネル>位置を編集

  4. この時点でビューには5つの■が表示され、その一つかオレンジ色になっています。オレンジ色のは現時点でのビューのアンカーを示しており、各■をクリックすることでビューのアンカーを変更することができます。今回はビューのアンカーは変更しません。
    ビューのアンカー

  5. ビューを移動します。
    ビューを移動

  6. ビューの位置を編集パネル>✔終了
  7. 保存された位置を更新ダイアログボックスが表示されます。保存位置「平面図左」を割り当てた他のビューの位置も更新してしまいますよ、という警告なのでOKをクリック。
    OKを押して次へ進む

  8. 1002 - 平面図(2)や1002 (1)-平面図(2)のレイアウトが更新されていることを確認する。
    他のシートでも位置が更新されている

保存位置の名前の変更

保存位置の名前の変更や、割り当てられたビューの数は位置を管理で行えます。

  1. プロジェクトブラウザ>シート>実施図>1001 - 平面図(1)を開く
  2. 左側の1-平面図 ピットを選択
  3. 配置とビューパネル>位置を管理

このダイアログで、名前変更、削除、割り当てられたビューの数の確認ができます。