2018年2月25日日曜日

ALCパネルの割付

パーツで割付

ALCパネルを割り付ける場合、やはり平面詳細図だけではなく、立面図にも割付を表示したいところです。こんなときはパーツの活用を考えてみましょう。

パーツの使い方


まずは下の図のような簡単な壁を作成しパーツにしてみます。この壁は、マテリアルで切断面にALC記号を製図で、サーフェスに600mmモデルの塗潰し領域を割り当てています。
ALCを割ってみる
この壁からパーツを作成して、600mmピッチに割り付けてみます。

  1. 平面ビューを開く
  2. 壁を選択して、[修正|壁]タブ>[作成]パネル>[パーツを作成]
  3. [修正|パーツ]タブ>[パーツ]パネル>[パーツを分割]
  4. [修正|分割]タブ>[描画]パネル>[スケッチを編集]
  5. [修正|分割>スケッチを編集]タブ>[描画]パネル>[線分]を選択し、下の図のように分割する。このとき重要なことは、スケッチライン(マゼンタの線)が破線の端部を超えるか接するように線を作成することです。
    分割をスケッチ
  6. [モード]パネル>[編集モードを終了]
  7. パーツを選択
  8. プロパティウィンドゥで、[基点別マテリアル]のチェックを外し、[マテリアル]をカテゴリ別にする。
  9. [モード]パネル>[編集モードを終了]
8の操作を省略するとパーツに、元となった壁のマテリアルが割り当てられてしまい、サーフェイスに600mm間隔の塗潰しが表示されてしまうので、いったんカテゴリ別にしました。この結果、図は下の図のようになります。パーツは分割した要素ごとに独立しています。
パーツに分けられたALC
このときビュープロパティの[パーツ表示]の値は「パーツを表示」になっています。
パーツ表示

立面図

では立面図を見てみます。せっかくパーツに分割したのに、割付がおかしいですね。
これはパーツではなく、「壁」が表示されているからです。ビュープロパティを[パーツ表示]を「オリジナルを表示」から「パーツを表示」に変更します。
パーツを表示
すると、関連するパーツをもつ壁は非表示になりパーツが表示され正しい割付が表示されます。
立面図と平面図でパーツを表示する

パーツを削除するには?

パーツと壁は関連付けられた別の要素です。壁をパーツにするのではなく、壁からパーツを新たに作成するのです。ですからパーツを削除するには単純にパーツを選択して削除すればいいのです。関連するパーツを全て削除すると、元の壁が表示されます。

コーナーパネル

2つ以上のパーツを合成することができます。この機能を利用してコーナーパネルを作成てみます。まず下の図のように直行する壁からパーツを作成します。
直行する壁からパーツを作成する
次にコーナーの二つのパネルを選択します。
コーナーのパーツを選択
[修正|パーツ]タブ>[パーツ]パネル>[パーツを合成]
合成したパーツ
複数の要素から作成したパーツをまとめて一つのパーツに合成することができます。もちろん3Dビューでもプロパティ[パーツ表示]を「パーツを表示」にすればパーツを表示できます。
もちろん3Dビューでも




2018年2月17日土曜日

いろいろな形式のファイル(3)

その他のファイル形式

前回、AutoCADが対応していないのは、STL、SKP、IFC、RVM、VRMLと述べましたが、これらのファイルはどうしたらいいでしょうか?(SKP-スケッチアップはRevitで直接読み込めるので除外します。)

STL

STL→コンバータ→DXF

AutoCADではSTL形式のファイルを読み込むことができません。STLはいろいろなフリーの変換ソフトがありますが、以下のサイトを使ってDXFに変換するとよいでしょう。

CAD FORUM STLtoDXF Converter

たとえば、Thingiverseで取得した下のようなSTLファイルを、
STLファイル
上記サイトで変換し、DXFにしてRevitに取り込むと下の図のようにキレイに取り込めます。
Revitのファミリに取り込んだSTLを変換したDXFファイル

PCで変換する場合

Webにデータを出したくない場合は、PCで変換しなければなりません。ライノセラスがあればベスト(ライノセラスが読み込めるファイル形式はこちら)ですが、ない場合はNavisworksを使う方法もあります。

STL→Navsiworks-FBX→AutoCAD→DWG→REVIT

NavisworksでSTLファイルを読み込んでFBXに出力し、AutoCADでFBXを読んでDWGを出力します。

無償ソフトでなんとかならないか?

そうはいってもライノセラスもNavisもないという場合は、無償ソフトでなんとか変換したいところです。ところがSTLをDXFにするというフリーのソフトは意外に見つかりません。そこで、次のフリーソフトを使って変換を試みます。
Blenderは非常に優れたCG作成ソフトウェアで、あの3dsMaxにも比肩する機能がありながら完全無償かつ商用利用OK、さらに日本語対応というすばらしいソフトウェアです。3Dデータを扱う以上は入れておきたいソフトの一つです。

またFBX ConverterはAutodesk謹製のFBXファイルをOBJ、COLLADA、DXFに変換するコンバータでこれまた無償です。

この方法のメリットは、単にSTLをDXFに変換するだけではなく、Blenderでポリゴン数を削減したうえでDXFに変換することができることです。

Blenderを日本語表示に


  1. Blenderを起動
  2. [File]>[User Preferences...]で[System]を選択
  3. 右下のチェックボックス[International Font]をチェック。
    system-international font
  4. 言語に[日本語]を選択し、翻訳はすべて選択する。
  5. [ユーザー設定の保存]を押して、右上の×でウィンドゥを閉じる。

BlenderでSTLを読む

  1. 右クリックで要素を選択できます。中央の立方体を選択し、Deleteキーを押して削除します。
  2. [ファイル]>[インポート]>[STL]でファイルを指定して読み込みます。
    STLファイルを読み込む
  3. カメラの回転はホイールを押す、カメラの移動は[SHIFT]+ホイールです。
    Blenderに取り込んだSTL

Blenderでポリゴン数を削減する

  1. 要素を右クリックで選択
  2. 右側のパネルで[モディファイヤ]を選択し、生成から[ポリゴン数削減]を選択
    ポリゴン削減
  3. [比率]バーの上をドラッグ、あるいは数値を入力し、形状が崩れない程度にポリゴン数を削減する。(わりと思い切って減らしても形状はそれほどかわらないことが多いようです。)
    三角メッシュ(ポリゴン)を削減
Revitは基本的にSOLIDモデラーなので、メッシュのポリゴン数が多すぎると、どうしてもパフォーマンスが落ちます。必要以上のポリゴンは削減しておくべきでしょう。

BlenderからFBXを作成

[ファイル]>[エクスポート]>[FBX]でファイル名を指定して[FBXをエクスポート]

FBX Converter でDXFを作成

AutoCADがあれば、ここでFBXをAutoCADでIMPORTしてDWGに変換すればよいです。今回はあえてAutoCADを使用せず、FBX Converterを使ってみます。
  1. FBXコンバータを起動。
  2. 左側の[Add]を押して、作成したFBXファイルを指定。
    AddでFBXを追加
  3. 右側の[Destination Format]を「DXF」にする。
  4. [Triangulate]と[deformation]をオフにする。
  5. [Convert]
    Convert
  6. 同じフォルダにDXFファイルが作成される。

Revitに取り込む

作成したDXFをRevitのファミリに取り込みます。CG系のシステムはZ方向がRevitのY方向になっているので、回転が必要です。取り込んだ結果は下のようになります。
ポリゴン削減して取り込んだメッシュ要素
形状としては大きな問題がない程度に簡略化されています。
メッシュ(ポリゴン)の数は、できるだけ削減しておいたほうがパフォーマンスは向上します。

2018年2月10日土曜日

いろいろな形式のファイル(2)

ファミリに取り込む

前回はNavisworksを介して様々なデータをプロジェクトに取り込む方法をご紹介しましたが、今回はファミリに取り込む方法を考えてみます。ファミリにはコーディネーションモデルをリンクすることはできません。ファミリに取り込むことができるファイルの形式は

  • dxf
  • dgn
  • 3dm
  • skp
  • sat

の5種類です。
Revitのファミリで読み込める形式
他のCADからデータをもらうためには、これらの形式に変換する必要があります。

STEP→AutoCAD→SOLID

AutoCADもimportコマンドで多くの種類のデータを取り込むことができます。
IMPORTコマンドで読み込める形式
これらのファイルを読み込むときAutoCADはバックグラウンドで読み込み処理を実行し、できるだけSOLIDとして取り込んでくるので、Revitとの相性はとても良いです。例として前回のクレーンのSTEPデータをAutoCADに取り込み、Revitのファミリにしてみます。

AutoCADでの操作

  1. AutoCADでACADISO.dwtなどのテンプレートで新規ファイルを作成する。
  2. コマンド:import
  3. stpファイルを指定してOKすると下の図のような警告が表示されますが、OKします。
  4. しばらくすると画面右下に、変換の準備ができた旨が表示されるので、リンクをクリックします。
  5. DWGとして保存します。
    AutoCADに取り込まれたSTPデータ
このままRevitのファミリに読み込んでもいいのですが、丁寧にファミリ化するにはひと手間かけて、SOLID一つ一つをDWGファイルに保存して、Revitファミリに取り込んだほうがマテリアルの設定やより正確な形状の読み込みのためにはより良い方法といえます。

3DSOLIDに分解して個別のDWGファイルを作成

  1. [CTRL]+[A]ですべての要素を選択。
  2. 右クリック>[クイック選択]
  3. オブジェクトタイプを「ブロック参照」、演算子を「すべて選択」でOK
  4. コマンド:EXPLODE
  5. 1~4を繰り返し、オブジェクトタイプに「ブロック参照」が表示されなくなるまで繰り返す。
  6. 3DSolidを一つまたは複数(Revitで一つのフリーフォーム要素となる)だけ選択する。(ある程度まとめてWBLOCKしたほうがいいでしょう。)
  7. コマンド:WBLOCK
  8. 保存先のファイル名を指定してOK
  9. 6~8を繰り返してすべてのSOLIDについてDWGファイルを作成する。
  10. 作成したDWGをRevitのファミリに取り込んで、展開する。
  11. SOLIDに展開されるので、要素を選択してマテリアルを設定する。
この手順を繰り返し、取り込んだフリーフォーム要素にマテリアルを設定します。
ファミリにとりこまれたSTEPファイル

このようにいったんファミリに取り込んでから、プロジェクトにロードすれば、下の図のように、平面図や立面図でくっきりと表示することができます。
平面図

立面図

AutoCAD経由で取り込めるファイル形式

AutoCADでは様々な形式のファイルを読み込んでDWGに変換することができます。

  • 3ds
  • sat
  • model
  • session
  • exp
  • dlv3
  • CATPart
  • CATProduct
  • FBX
  • IGES
  • ipt
  • iam
  • jt
  • wmf
  • dgn
  • prt
  • x_b
  • x_t
  • pdf
  • prt
  • asm*
  • g
  • neu*
  • 3dm
  • sldprt
  • sldasm
  • step
  • stp
主たる3Dデータ形式でAutoCADが対応していないのは、STL、SKP、IFC、RVM、VRMLぐらいです。

2018年2月4日日曜日

いろいろな形式のファイル(1)

コーディネーションモデル

2018からコーディネーションモデルモデルのリンクが可能になりました。コーディネーションモデルとは、早い話がNavsiworksのデータ(nwcとnwd)のことです。
これにより、Revitに取り込み可能なファイル形式の種類が飛躍的に増加します。下の図はNavisworksがネイティブで対応しているファイル形式です。
Navisworksで読み込み可能なファイル
Revitだけだと、DWG、DXF、DGN、SAT、SKPだけであり、ファミリであればこれに3DMが加わりますが、種類は限られています。Navisworksを仲介すれば、非常にたくさんのファイル形式を扱うことができます。

STEPのデータをリンクする

例としてSTEP形式のデータ(*.stpまたは*.step)のデータを読み込む場合を考えてみます。下の図はタダノのHPよりダウンロードしたクレーンのSTEPファイルをナビスワークスで読み込んだ様子です。
Navisworksに読み込んだSTEP形式のデータ

Navisでの操作方法


  1. [ホーム]タブ>[プロジェクト]パネル>[追加]
  2. STPファイルを選択する。
これだけです。読み込んだら、STPファイルと同じ位置に、同じ名前のNWCファイルができますのでこれをREVITにリンクします。

Revitでの操作

  1. [挿入]タブ>[リンク]パネル>[コーディネーションモデル]
  2. [追加]ボタンを押して、NWCファイルを選択し開く
  3. [OK]
    Revitでの表示
Revitに取り込んだNWCファイルは、透過度のみを上書きすることができます。
  1. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]
  2. [コーディネーションモデル]タブ
  3. 透過度の[優先]ボタンをクリックし、透過度を設定して[OK]
    透過度を設定する
すると下の図のように表示されます。
透過度を設定
こういった意味ではなんとなく、あまりご利益がないようにも見えますが、そんなことはありません。Navisworksのデータが読めるということは、実に応用範囲が広がるのです。

色を変更する

読み込んだNWCデータの色ををRevit上で変更することはできません。しかし、Navisworksで色を変更しておけば、Revitで取り込んで色付きで表示することができます。

Navisworksでの操作(Manage/Simulateのみ)

  1. 要素を選択し、[右クリック]>[項目をオーバーライド]>[色をオーバーライド]
  2. 任意の色を選択し[OK]
  3. 以上の手順を繰り返して、各パーツを着色する。
    Navisworksでパーツを着色
  4. [出力]タブ>[パブリッシュ]パネル>[NWD]で任意のフォルダにNWD(Navisworks Document)ファイルを作成。
NWCは変換元のデータと同等で、これ自体を編集することはできませんが、着色してNWDというファイルに変換すれば、色がついた状態を保存できます。
Revitで同様の操作で取り込むと以下の図のようになります。
着色した状態で取り込めた!

要素を移動した状態で取り込む

要素を移動・回転した状態でNWDにすれば、その状態でRevitに取り込むことができます。
Navisworksで要素を移動・回転しNWDに
REVITにNWDを取り込むと下の図のようになります。
NWDをRevitで取り込んだところ

不要な要素を除去して取り込む

他のCADシステムからもらうデータにはRevitでは非表示にしておきたい要素が含まれている場合もあります。こんなときはNavisworksで不要な要素を非表示にしておいてからNWDにして取り込みます。
Navisworks不要な要素を選択し、[CTRL]+[H]で非表示にし、NWDファイルを作成します。
不要な要素を非表示にしてNWDファイルを作成
このNWDファイルを読み込めば下の図のようになります。
要素を非表示にしたままRevitに取り込まれる
元のファイルを作成したソフトがなくても、Navisworksである程度の編集ができ、それを非常に軽量なファイルとしてRevitのプロジェクトにリンクすることができます。しかも読み込めるファイルの種類は非常に豊富ですので、メリットは大きいといえるでしょう。
なにかよくわからない形式のファイルが手に入ったら、とりあえずNavisworksで扱えるかどうかチェックしてみてください。