2023年11月19日日曜日

地形ソリッド研究(2)

T字交差

前回作成した道路に交差する道を追加してみます。道路には勾配もつけてみましょう。

交差する道路を作成

計画

高さの計画を立てましょう。平面図を表示し、高さの計画を文字で記入してみます。ここでも「折れ線」を意識することが重要です。

高さの計画を立てる

地形ソリッドを分割

地形ソリッドの外形を修正するには「スケッチを編集」でもよいのですが、既に設定した高さをできるだけ維持したい場合は、まず「分割」を検討してみてください。

縁石・歩道・縁石・側溝の地形ソリッドをとりつき道路の中心付近で分割します。例として歩道を分割します。

  1. 修正タブ>修正パネル>要素を分割(SL)
  2. 地形ソリッドの歩道の任意の辺をクリック
  3. 描画パネルから「選択」をクリックし、次の図に示す計画用用の詳細線分を選択。

  4. モードパネル>✔
  5. 切り下げ部の歩道を削除

  6. 上側の縁石の地形ソリッドも同様に処理します。

道路側の縁石と側溝の地形ソリッドはいったん切り下げ部中心付近で分割します。


側溝と縁石(歩道と側溝の間)の外形を修正して、点に高さを設定します。

  1. 側溝を選択し 修正|地形ソリッドタブ>モードパネル>スケッチを編集
    1. 外形線を整えます。

    2. モードパネル>✔
  2. 形状編集パネル>サブ要素を修正
    1. 円弧の始終端の点を、計画した高さ+150と+40に修正
  3. 同様に縁石も修正

接道を追加

新たにアスファルト道路を追加し高さを設定します。


道路がどこで折れるのか、折れ線を意識しながら高さを設定することが重要です。測量図通りの高さを忠実に再現するのではなく、ある程度数値を丸め(だいたい20mm~50mm程度)ながら、パキパキとスチレンボードを切り張りする感覚で高さを設定してください。

路面標示

路面標示(区画線・道路標示)はサブ区画で作成します。道路を二つに分けて作成したので、それぞれの地形ソリッドにサブ区画を作成する必要があります。

まず、既存の道路のサブ区画を選択して、次の図のようにスケッチを編集します。


新たに作成した道路に、サブ区画を使って路側帯の線を作成します。


以上で次のような地形ソリッドが出来上がります。



2023年11月12日日曜日

地形ソリッド研究(1)

道路

v2024から、地盤は地形ソリッドに変更されました。地形ソリッドを使って様々な外構要素を作る方法を考えてみます。まずは基本のアスファルト舗装道路を作成し、少し勾配もつけてみます。

アスファルト舗装道路と歩道を作ってみよう

※以下の手順は「建築テンプレート」を使うとマテリアルがそろっていて便利です。

地形ソリッドタイプ

まずは地形ソリッドタイプをそろえます。必要なタイプは

  1. アスファルト舗装
  2. 歩道
  3. 側溝
  4. 縁石

の4つです。ポイントは1・2・3のタイプは

  • 総厚さをそろえる(今回は5000mmに揃えました)
  • 最下層の土を変数とする
の二点です。

アスファルト舗装

アスファルト舗装

歩道
歩道

側溝

側溝

縁石 - 60mm

縁石 - 60mm

地形ソリッドを配置

  1. 設計GLまたはベンチマークレベルの平面図を開きます。どちらを開くかは、地形ソリッド表面の高さを決定するために便利なレベルにしましょう。
  2. 次の図のように、道路幅9m、側溝幅500mm、歩道幅3mで地形ソリッドを配置作成します。長さは50mとします。

勾配の計画

道路に勾配を付けるためにまずは詳細線分を使って勾配計画を立てます。次の図のように「折れ線」を詳細線分でスケッチし、高さを計画します。
スチレンボードを切り張りする感覚で計画する

この時重要なことは「点ではなく折れ線」を意識する、ということです。どこで地形ソリッドの面を折るかを考えながら、スチレンボードを切り張りする感覚で計画しましょう。

勾配をつける

地形ソリッドの表面に点を追加して勾配をつけます。
  1. アスファルト舗装を選択
  2. 修正|地形ソリッドタブ>形状編集パネル>点を追加
  3. モディファイヤの高さパネルで絶対を選択
  4. モディファイヤの高さパネル>高さ基準 で「現在のレベル」を選択
    絶対+現在のレベル

    • 現在のレベルとは編集対象となる地形ソリッドの基準レベルのことです。
  5. サーフェスからのオフセットの値を、勾配の計画の高さに合わせてから、クリックして点を追加します。
    アスファルト舗装に点を追加して高さ設定

  6. 同様に側溝・歩道に点を追加して高さを設定します。

縁石

歩道の外側に縁石を幅100mmで作成します。上場の高さは歩道に合わせます。
  1. マス&外構タブ>外構作成パネル>地形ソリッド
  2. タイプセレクタで「縁石 - 60mm」を選択
  3. 歩道の外側(アスファルト舗装側)に幅100mmで縁石を作成
    幅100mmで縁石を作成

  4. 修正|地形ソリッドタブ>形状編集パネル>点を追加 で、縁石の両端(この図では上下)に歩道と同じ高さの点を追加
    • 形状に関する警告が表示されますが気にせず点を追加していきます。
  5. 3Dビューで縁石の形状を確認します。
    縁石の形状を確認

  6. 縁石と側溝を結合しておくとよいでしょう。
    縁石と側溝を結合

  7. 次に歩道の反対側に、歩道の内側に向けて縁石を幅100mmで作成。
    歩道の反対側の縁石

  8. スケッチを終了すると歩道のソリッドと重複している旨の警告が表示されます。
  9. 修正|地形ソリッドタブ>形状編集パネル>点を追加 で歩道と同じ高さの点を追加
  10. 3Dビューで縁石の形状を確認します。

  11. 修正タブ>ジオメトリパネル>切り取り で、歩道→縁石 の順でクリック
  12. 歩道が縁石で切り取られます。
    歩道が縁石で切り取られる

白線

道路の白線は地形ソリッドの起伏に合わせる必要がありますが、これには「サブ区画」が便利です。
  1. 平面図を開き、アスファルト舗装を選択します。
  2. 修正|地形ソリッドタブ>地形ソリッドの成形パネル>サブ区画
  3. プロパティウィンドウで
    1. マテリアル:塗装 - 白
    2. サブ区画の厚さ:10mm
  4. センターライン(車道中央線)をスケッチする
    1. だいたい長さ5m、幅150mm、間隔5mで作成します。
    2. こちらの資料が参考になります。
  5. 車道境界線を幅150mmでスケッチ
    車道中央線と車線境界線をスケッチ

  6. モードパネル>✔
3Dビューで状況を確認します。
完成した車道・歩道

地形ソリッドタイプの総厚さを統一したことで、地形ソリッドの下端がそろっていることに注目してください。
このモデリング方法では側溝の長さを求めることはできませんが、お手軽に外構をモデリングできます。一方、インターロッキングやアスファルトや敷砂利の容積や面積はマテリアルから求めることができます。
次回は歩道部分の切り下げや、T字に交わる道路をモデリングしてみます。

2023年11月5日日曜日

集計キーで仕上表

集計キーの改善

Revit2022で集計キーの機能が改善されて、共有パラメータであれば集計キーのフィールドに追加できるようになりました。2021までは既定のシステムパラメータ及びプロジェクトパラメータのみが集計キーのフィールドとして使用できました。

v2021 例:部屋カテゴリ
2022以降では、共有パラメータも使用できるようになりました。
v2022 例:部屋カテゴリ

そこで、改めて集計キーの復習ということで、仕上表を集計キーを使ってまとめてみましょう。まずは、Revitに標準添付されているサンプル意匠.rvtを開きます。

集計キーとは

名前(キー)を指定して、ひとつまたは複数のパラメータに値のセットを設定する機能です。例えば床壁天井の仕上のセットを作成して名前(キー)をつけ、部屋にキーを指定することで、床壁天井の決まった値を間違いなく設定することができます。

集計キーの作成

具体的に仕上の集計キーを作成してみましょう。集計キーに含めるプロパティは、床・壁・天井の仕上げと、それに関連して決定されるプロパティです。

  • 仕上表 SL
  • 仕上表 FL
  • 仕上表 下地 床
  • 仕上表 仕上 床
  • 仕上表 幅木H
  • 仕上表 幅木
  • 仕上表 下地 壁
  • 仕上表 仕上 壁
  • 仕上表 廻り縁
  • 仕上表 下地 天井
  • 仕上表 仕上 天井
これらのプロパティを含めた集計キーを作成していきます。
  1. 集計表「05 部屋 仕上表」を開く
  2. 表示タブ>集計▼>集計表/数量
    1. カテゴリから部屋を選択
    2. 集計キーを選択
    3. このとき、キー名が「部屋スタイル」となっていることに注目しておいてください。キー名は任意に変更できますが、ここでは規定値のままとします。

    4. OK
  3. 使用可能なフィールドから上記のフィールドを追加
    1. フィールドを順番にダブルクリックして追加します。
      集計キーに含めるフィールド(=パラメータ)


    2. 2021より前のバージョンでは使用できるフィールドの数は限られていましたが、2022以降では共有パラメータであればフィールドとして使用できます。
    3. OK
  4. 二つの集計表ウィンドウを見やすいように上下に分割して配置します。部屋スタイル集計のタブをドラッグして、作業ウィンドウ下部にドッキングするとよいでしょう。

データ行の追加

作成した集計キーにデータ行を挿入し、フィールドの値を設定します。
  1. 集計表/数量を修正タブ>行パネル>データ行を挿入 をクリック
  2. キー名の1 を「エントランス」に書き換える
    1. 床仕上-壁仕上-天井仕上の組み合わせでキー名とします。
  3. その他のフィールドを05 部屋 仕上表の風除室の仕上と同じに設定する。
    1. ここではすでに各フィールドに値が設定されているので、プルダウンから選択するだけ。
    2. ゼロから始めた場合は、プルダウンではなく書き込む必要があります。
    3. 練習ですので、忠実に再現する必要はありません。むしろ新たに仕上をつくるような気持ちで取り組んでください。
  4. 同様に、次のデータ行を追加し、それぞれ()内の部屋の情報を参考にして、各フィールドに値を設定する。
    • 事務室(基準階:事務室)
    • 便所(基準階:WC男)
    • 店舗(1階:店舗)
    • 廊下(基準階:廊下)
    • 機械諸室・PS・EPS(共通:PS)
    • 管理諸室(1階:管理人室)
    • 給湯室(基準階:給湯室)
    • 駐車場(1階:駐車場)
      集計キー:部屋スタイルの設定

集計キーを部屋に割り当てる

出来上がった集計キーを部屋に割り当てます。
  1. 集計表「05 部屋 仕上表」を右クリック>ビューを複製>複製
    1. 名前を「05 部屋 仕上表 集計キー設定」とし開きます。
  2. プロパティウィンドウのフィールドプロパティの編集ボタンをクリック
    1. 一番最後に「部屋スタイル」を追加します。
      集計キー:部屋スタイルを追加

  3. 各部屋に集計キーを割り当てます。


    1. 集計キーを割り当てることで、キーに含まれるプロパティの値が設定されます。
    2. 集計キーに含まれるプロパティが変更できなくなっていることを確認してください。
    3. プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>10 平面>平面図1階を開く
    4. 風除室を選択
      1. 集計キーを設定したプロパティがグレー、つまり編集不可になっていることを確認してください。
        集計キーに含まれるパラメータは編集不可

    5. 部屋のプロパティ識別情報グループに「部屋スタイル」があることを確認してください。こちらを編集しても部屋スタイルを割り当てることができます。
      集計キー「部屋スタイル」は識別情報グループにある
      集計キーの所属グループは常に「識別情報」になります。

集計キーを修正する

集計キーの各フィールドの値を修正すると、連動して仕上表も修正されます。

  1. 集計表:部屋スタイルを開く
  2. キー名「便所」の仕上表 幅木 Hの値を変更し、集計表:05 部屋 仕上表 集計キー設定 でWC男・WC女など、キー名「便所」が割り当てられた幅木Hの値が修正されていることを確認します。

集計キーの割り当てを解除する

集計キーを割り当てると、集計キーに含まれるフィールドは編集できなくなりますが、集計キーを(なし)に設定すれば、再び各フィールドを自由に編集できます。2023からは集計キーを(なし)に設定、あるいは集計キー自体を削除した場合でも、各フィールドの値は保持されます。(2022までは値がリセットされて空になっていました。)

  1. 集計表:05 部屋 仕上表 集計キー設定を開く。
  2. 任意の部屋の集計キーを(なし)に設定する。
    1. 値が保持されることを確認してください。
    2. 値が自由に編集できることを確認してください。
      集計キーを(なし)に設定しても値は保持される

集計キーを活用しよう

集計キーを利用すれば、複数の値を確実に設定することができます。また、特定の値しか入力させたくない場合などにも有効です。
2023以降のバージョンをお使いであれば、ぜひいろいろな場面で集計キーの活用を考えてみてください。