2018年10月27日土曜日

全角・半角・イライラ

全角半角問題を克服する

今週、あるユーザーの方々と話していたら、ショートカットのことが話題となりました。ショートカットは便利だが、IMEが全角入力モードだとRevitがショートカットを受け付けないばかりか、何度ESCを押しても、反応しなくてイライラする、という話がありました。
なるほど、実際かなりイラつきますが、これを克服する、とうか「かわす」方法がありますのでご紹介します。
全角モードにゃ気を付けろ!

キーボードショートカットは全角でも登録できる

キーボードショートカットは、[KS]または[ファイル]>[オプション]>[ユーザーインターフェイス]のキーボードショートカットの[カスタマイズ]で設定できます。このショートカットの特徴は

  • 最大5文字までの英数字キー
  • [Ctrl]、[Shift]、および[Alt]と 1 つの英数字キー
  • [Alt]が含まれる場合は、[Ctrl]または[Shift](あるいはその両方)も含める必要がある。
が条件ですが、実は、「全角で登録可能」ということは意外とご存じない方も多いのではないでしょうか。英数字は5文字までですがこちらは制限はなさそうです。

登録してみる

ですから、たとえば位置合わせは標準ではALですかが、全角で「位置」も登録してみます。
全角漢字でショートカットを登録
そしてプロジェクトで、[半角/全角]キーをおして、IMEを全角モード(あ)にします。そしてキーボードから「ichiawase」と入力し[スペースバー]で変換し、[ENTER]で確定します。

すると位置合わせコマンドが起動します。こんな調子でALだけではなく、「AL」(全角)も登録しておけば、多少イライラも解消するかもしれません。

ESCの連打は意味がない?

間違って全角で英数字ショートカットを打ってRevitが何も反応しないとき、よくやるのが「ESCキーの連打」ですが、手順を間違えると実は何の効果もありません
状況を再現してみましょう。

間違った対処方法

  1. IMEを全角モードにし、Revitのビューをアクティブにし、いったん何らかの要素を選択して、ESCで選択を解除。
  2. [K]キー[S]キーと連続で打ちます。しかし何も変化がありません。
  3. ここで[ESC]を連打します。
  4. [半角/全角]を押して、半角英数字モードに切り変えます。
  5. もう一度[K][S]を打ちます。何も変化がありません。。
これがいつもの「効かないショートカット」の実態です。このときなにが起こっているかというと、5の段階で、IMEに2で入力した[K]と[S]が変換待ちで残ったままになっているのです。ですからこの変換待ちの[K]と[S]をクリアしないと、Revitは次のキー入力を受け付けてくれないのです。

正しい対処方法


  1. IMEを全角モードにし、Revitのビューをアクティブにし、いったん何らかの要素を選択して、ESCで選択を解除。
  2. [K]キー[S]キーと連続で打ちます。しかし何も変化がありません。
  3. [半角/全角]を押して、半角英数字モードに切り変えます。
  4. ここで[ESC]を1度だけ打ちます。(連打してもいいです。)
  5. [K][S]と打ちます。キーボードショートカットのダイアログが開きます。
4のステップで入力待ちの文字がクリアされます。[半角/全角]→[ESC]の順番です。

格言:ESCはモードを変えてから!

 

強制的に半角にしてENTERする方法

2の段階では[K][S]が変換前の状態でIMEにのこっているので、これを半角に変換して確定すればRevitはコマンドを受け付けてくれます。
  1. IMEを全角モードにし、Revitのビューをアクティブにし、いったん何らかの要素を選択して、ESCで選択を解除。
  2. [K]キー[S]キーと連続で打ちます。しかし何も変化がありません。
  3. [F9][F8]を連続でを押して、[ENTER]
    • キーボードショートカットのダイアログが開きます。
    • モードが全角のままであることを確認します。
この方法が最終的には一番手数が少ないのではないかと思います。

Fnキーはモードに左右されない

英数字キーはどうしてもIMEの変換モードから逃れることができません。一方、キーボードの上部に並ぶファンクションキーは変換モードに左右されません。
  • Fn
  • CTRL + Fn
  • SHIFT + Fn
  • CTRL + SHIFT + Fn
が登録できます。Fn単体だと、システムで予約済みのものが多いのですが、CTRLやSHIFTと組み合わせることでかなり多くのショートカットを登録することができます。

一番大事なことは右下のIMEのモードには常に気を付けていることです。おかしいな?と思ったら、タスクバーの[あ]と[A]と[A]によく気を付けてください。

2018年10月21日日曜日

マスとマス床(1)

元はといえば…

マスというと自由な形状入力というのが最近のマスですが、そもそもマスは初期のRevitでは建物の大まかな形状とボリュームチェックを目的としたものでした。今回はそのころを思い出して、マスの使い方ついて練習してみましょう。

マスの基本

まずは建築テンプレートを使って、簡単にマスプランを作成します。

  1. [立面図}>[南]を開き、レベルを追加。
    レベル3,4を追加
  2. [平面図]>[レベル1]を開く。
  3. [マス&外構]>[マス作成]。警告が表示された場合は[閉じる]。
  4. [ファミリをロードしますか。]に[はい]と答えて、MetricLibraryの[マス]フォルダから ボックス.rfa をロードし配置。サイズを変更。
  5. 配置したボックスのタイプ名を用途Aに変更。
  6. コピーして、適当に配置し、タイプを複製し、名前を 用途B にする。
  7. 同様に円柱.rfaを配置して用途Cというタイプ名にする。

マスの結合

用途Bのボックスと、用途Cの円柱を結合して、円柱を勝たせます。
  1. [修正]>[ジオメトリ]>[結合]で円柱とボックスを選択。
  2. 円柱が負けているようならば、[結合順序を切り替え]る。
    結合を使えば自由に形状を作成できる

高さの調整

マスの高さを調整します。
  1. [立面図}>[南]を開き、用途Bをレベル3まで、用途Aと用途Cをレベル4まで引き上げる。
    天端はレベルに一致させる
  2. 3Dで確認する。
    3Dでマス形状を確認

マス床

マスにレベルを設定してマス床を作成します。
  1. マスをすべて選択。
  2. [修正|マス]>[モデル]>[マス床]
  3. レベル1~4を選択しOK
    マス床のレベルを設定
  4. マス床が作成されたことを確認。
一番上の面にはマス床は作成されません。パラペットの分上に伸ばしたい場合は、個別に選択して、最上レベルを選択を解除します。

マスのインスタンスプロパティ

マス床を作成したことで、床面積を計測できます。マスを選択してプロパティを確認します。
床面積が計算されている

マス床のインスタンスプロパティ

マス床の一つを選択し、インスタンスプロパティに着目します。
床面積はもちろん、元のマスのパラメータもマス床のパラメータになっています。
マス床はマスのプロパティを引き継ぐ

これらのパラメータを使えば、下の図のような集計表が容易に作成できます。
用途別の集計表
インプレイスマスを使えばもっと自由な形状を作成できます。またマスはADS-BTと組み合わせての日影計算にも適しています。
インプレイスマスならば形状は自由自在

2018年10月14日日曜日

繰返詳細コンポーネント

詳細コンポーネント

折半の屋根断面や、LGSのスタッドなどの断面を詳細コンポーネントを使って表現することができます。詳細コンポーネントは2Dファミリですが使い方によっては作業を効率化することができます。
折板(ヨドルーフ166ハゼを参考にしました)
さらに、この詳細コンポーネントを、繰り返し詳細コンポーネントにすれば、ある一定の間隔で詳細コンポーネントを繰り返します。
繰り返しコンポーネント

作り方

まず詳細コンポーネントファミリを作成します。

  1. [ファイル]>[新規作成]>[ファミリ]で「詳細項目(メートル単位).rft」を選択。
  2. 必要な部分だけの詳細を、詳細線分を使用して作成します。
    繰り返し部分を作成
  3. 名前を付けて保存し、プロジェクトにロードします。
  4. [注釈]>[詳細]>[繰返詳細コンポーネント]
  5. [タイプを編集]をクリック。
  6. タイプを複製して新たに作成し、プロパティを設定します。
    繰り返し詳細コンポーネントの設定
    • [詳細図]には作成した詳細コンポーネントを設定
    • [レイアウト]は固定間隔
    • [間隔]は繰り返しの幅
    • [詳細図の回転]は90°反時計回り
  7. [OK]
  8. 2点をクリックして配置してみます。
たとえば、屋根だけでは断面図として物足りないという場合などは、詳細コンポーネントを使って表現を補完することができます。

メジャーとして利用

たとえばタイル割を考えるときには下の図のような詳細コンポーネントを作成し、
下の図ようなタイプを設定すれば
タイル割のメジャー
45二丁掛けのタイルの割付にも役に立ちます。
繰り返しコンポーネントは線分と同様に扱える

スタッドにも

詳細コンポーネントでスタッドを作成し
繰り返しコンポーネントとしてタイプを作成すれば
455mmピッチ
壁と合わせて以下のように表示することができます。繰り返しコンポーネントは線と同じ扱いなので、壁を選択すれば簡単に配置できますし、[要素を分割]で分割したり、[トリム]も簡単です。
コーナーには詳細コンポーネントを単独で配置しています

工夫次第で様々な使い方ができます。


2018年10月8日月曜日

鉄骨階段のササラ

ササラをなんとかしたい!

鉄骨階段をレベルでつなげる場合、どうしてもササラがうまく取り合いません。特に「納まりが苦しい階段」では、うーん、と考えてしまうような結果になります。階段は大筋ではよくできたツールですから、ササラの接続部をできるだけ簡単な方法で補完する方法を考えてみます。
ササラをできるだけきれいに納めるには?

側桁=ササラはスイープです

2FL~3FL 階高3600
1FL~2FL 階高4000

というレベルを設定し、それぞれ鉄骨階段を作成し、この二つの階段を2FLで接続してみます。
まずは、ササラ=側桁の設定です。
Revitは基本的にソリッドモデラーなので、基本的には「押し出し」と「スイープ」でいろいろな要素を構成しています。ササラもプロファイルを階段経路に沿ってスイープしています。単純な長方形プロファイルは、側桁のプロパティに「規定値」としてプリセットされています。
規定値とは矩形のこと

ササラはこのプロファイルを変更することでいろいろな形状に変更できます。今回は単純な矩形のプロファイルを作成し、プロジェクトにロードします。

ゆとりのない階段で試す

では段送りのない苦しい階段をモデリングしてみましょう。まずは1FLの平面ビューを開き下の図のように階段をスケッチします。
1FL-2FLの階段 余裕のない階段になっています
スケッチを終了しないで、続けて[コンポーネント]>[踊り場]を選択、1段目の位置から数段作成します。
レベル(2FL)側に踊り場を作成

この時点で、レベル側の踊り場が作成されるので、上記手順で作成した20+1などの経路を削除します。警告が表示されますが、無視します。3Dビューで状況を確認すると、下の図のようになります。
登り口のササラを削除
青で示したササラを選択してDeleteキーで削除します。
他のササラを選択して、タイプを編集し、断面図プロファイルをロードしたプロファイルファミリに変更します。
プロファイルを変更。奥行合計と幅はプロファイルの値となりグレーアウトする
踊り場の構造の奥行は踏板の厚さを40mmとして、

  • 300mm(ササラの高さ)-30(仕上面からササラの天端)-40(踏板厚)=230mm

としました。この設定が後で重要になります。

続いて

  1. [ツール]パネル>[手摺]で「なし」を選択
  2. [モード]パネル>[✔]で階段の作成を終了します。

同様に2FL~3FLの階段を作成すると、2FLのレベル側の踊り場と階段経路は下の図のようになります。
踊り場と階段経路の取り合いが今一つ
ここで修正すべき点として

  • 1FL-2FL階段の踊り場の形状
  • 2FL-3FL階段のササラの形状

まず2FL-3FLの階段を選択し「編集」に入って、経路を選択します。(TABキーをうまく使えば階段の編集モードに入らなくても、階段経路を選択できます。)
階段経路のインスタンスプロパティ[蹴上の基準より下に延長]を30mmとします。
こうすると、階段のササラの下端と踊り場のササラの上端がそろいます。
階段ササラの下と踊り場ササラの上を合わせる
編集モードを終了します。

踊り場形状の変更

この階段は転び(蹴込)を30mmに設定しています。そのため、階段と踊り場に隙間ができています。1FL-2FLの階段の踊り場形状を変更します。

  1. 1FL-2FLの階段を選択し、編集に入ります。
  2. 2FLの踊り場を選択
  3. [ツール]パネル>[スケッチを編集]
  4. 2FLの平面図で、転び(蹴込)の分だけ右にスケッチラインを移動します。
    踊り場形状を修正
  5. ✔を2回おして、階段の編集モードを終了します。
これで階段と踊り場の隙間は解消されました。
階段経路とササラの隙間は解消

ササラをインプレイスで追加

あとはインプレイスファミリでササラを追加します。


  1. 3Dで段裏が見えるようにビューを調整。
  2. [建築]タブ>[構築]パネル>[コンポーネント]>[インプレイスを作成]
  3. [ファミリカテゴリとパラメータ]で[階段]を選択しOK。
  4. 適切な名前を設定。
  5. [フォーム]>[スイープ]
  6. [修正|スイープ]タブ>[スイープ]パネル>[パスを選択]
  7. ササラの下端をクリックして選択し、長さを調整する。
    2FL-3FL階段の下端をクリック
  8. ロードしたプロファイルを選択し、オプションバーで角度を調整
    ササラと同じプロファイルを使用する。
  9. [モード]パネル>[✔]
  10. プロパティウィンドウで次の操作を行う
    • マテリアルをササラと同じマテリアルに設定。
    • サブカテゴリを[側桁]に設定
  11. 同様に内側のササラを追加。
  12. [インプレイスエディタ]パネル>[モデルを終了]
追加したササラ

全体でみると


こうした納まりが苦しい階段は、Revitとしては「どのようにモデリングしていいのかわかりません。」というところでしょう。
インプレイスファミリはあまり使いたくはありませんが、階段のカテゴリでファミリが作成できるのはインプレイスのみです。