2019年10月27日日曜日

平面図はどこを表示しているのか?

平面図を3Dで見るには

平面図ビューを作成すると、ときどきなんだかよくわからない線が表示されることがあります。こんなときは、平面図がどこで切断されているのか3Dで表示してみましょう。
標準添付のサンプルrac_advanced_sample_project.rvtの平面図-01 - Entry Levelで実際に操作してみましょう。

  1. プロジェクトブラウザで[ビュー]>[平面図(Floor Plan)]>[01 - Entry Level]を表示。
  2. ビューのプロパティ[ビュー範囲]を確認してOK。
    • 断面が+1300であることを確認してOK。
      ビュー範囲を確認
  3. [表示]タブ>[作成]パネル>[3Dビュー]
  4. ビューキューブを右クリック>[ビューで方向指定]>[平面図]>[平面図:01 - Entry Level]を選択
    ビューキューブを右クリックして平面図 01- Entry Levelを選択
  5. [SHIFT]+[マウスホイール]を押し下げて、ビューを見やすい方向に調整。
    平面図の範囲を示す3Dだが・・・
注意しなければいけないのは、この方法で表示される範囲は、ビュー範囲のメイン範囲(FL+0~+2300)であるということで、断面位置(ここではFL+1300)は表現されていない、ということです。
メイン範囲が表示されている
また、カテゴリの表示状態も異なっているということにも注意が必要です。
もう少し詳細に設定してみましょう。
  1. プロジェクトブラウザで[ビュー]>[平面図(Floor Plan)]>[01 - Entry Level]を表示。
  2. ビューのプロパティ[ビュー範囲]を下の図のように上と断面の位置を同じにしてからOK。
    断面と上を同じ高さに
  3. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[ビューテンプレート▼]>[現在のビューからテンプレート作成]
  4. 名前を「平面図 01 - Entry Level」とする。
    ビューテンプレートに名前をつける
  5. [表示]タブ>[作成]パネル>[3Dビュー]
  6. ビューキューブを右クリック>[ビューで方向指定]>[平面図]>[平面図:01 - Entry Level]を選択
  7. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[ビューテンプレート▼]>[現在のビューにテンプレートプロパティを適用]
  8. ビュータイプフィルタで平面図、構造伏図、エリアプランを選択し、作成したビューテンプレートを選択してOK
    断面で切断された3Dビュー
これでカテゴリの表示状態も同じになりました。

平面図の描画システムを熟知しよう

以上の手順で平面図の範囲を正しく3D表示できるようになっているように見えます。しかしながら、Revitの平面図の描画システムはそれほど単純ではありません。このシステムについてはRevitPeeler開始当時のブログに詳細に述べています。
Revitがモデルをどのように図面に表示するのかを熟知すれば、自在に平面図の表示をコントロールできるようになります。Revitユーザーには必須の知識ですし、このブログを始めるきっかけになった記事です。ぜひ、内容をご理解いただきRevitを使いこなしてください。

2019年10月20日日曜日

ワークセット(3)

ワークセットの確認

前回は要素をワークセットに分類しました。要素がどのワークセットに属しているかを視覚的に表示する方法があります。
  1. ビューコントロールバーの[ワークシェアリング表示]>[ワークセット]
  2. 要素が色分けされて表示される。
    ワークセットごとに色分けされる
  3. ビューコントロールバーの[ワークシェアリング表示]>[ワークシェアリングの表示と設定]でワークセットタブを選択し色を確認する。
この表示を使用すれば、要素を明示的にワークセットに振り分けることができます。

閉じる(Revit)≒保管(AutoCAD)

ワークセットを閉じると、ビューごとの非表示とは異なり、プロジェクト全体でそのワークセットに属する要素は「ないもの」として扱われるため、作業のパフォーマンスが向上します。これはAutoCADのレイヤの非表示と保管の関係に似ています。

ワークセットを閉じるには

例えば、下の図では

  1. [コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]パネル>[ワークセット]でワークセットダイアログボックスを表示します。
  2. 開いた状態の列を「いいえ」にするとワークセットを閉じることができます。
    ワークセットを閉じる
要素がすべてのビューで表示されなくなります。
ワークセットを閉じるとパフォーマンスが向上する

最初から開かない

そもそも最初から必要なワークセットだけを開いて作業をするということもできます。
  1. [ファイル]タブ>[開く]>[プロジェクト]で目的のローカルファイルまたは中央ファイルを選択し、[開く▼]を選択。
    指定を選択
  2. 指定を選択して[開く]を選択すると下の図のダイアログボックスが表示される
  3. 必要なワークセットを選択し[開く]をクリック(閉じたいワークセットは[閉じる])
    ワークセットを開く
OK。(開くスピードも向上します。)
開くのも早い
[コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]パネル>[ワークセット]でワークセットダイアログボックスを表示し・・・・
開いた状態列をはいにすると
後から追加で開くこともできます。
追加で開く

図面出力時に注意

ワークセットを閉じると、プロジェクトそのものに要素がロードされないため、図面にも要素が表示されません。
図面が?な状態に
図面を出力するときは、すべてのワークセットを開いた状態にすることに注意してください。

2019年10月13日日曜日

ワークセット(2)

ワークシェアリングとワークセット

ワークシェアリングの基本的な仕組みは前回の通りですが、ワークシェアリングの仕組みを簡単に説明します。
前回の手順に従って、中央ファイルを作成し保存、ローカルファイルを開きます。
そしてローカルファイルの要素を一つ選択します。
ローカルファイルの要素を選択
そしてインスタンスプロパティを確認すると、ワークセットと編集者という二つのプロパティが追加されています。
ワークセットと編集者が追加されている
次に、選択した要素を編集、たとえば少しだけ移動してみます。そして同じようにプロパティを見てみると・・・
編集者にユーザー名が入る
編集者プロパティにユーザー名が入ります。このユーザー名は、Revitのユーザー名で、[ファイル]>[オプション]で[一般]タブのユーザー名です。
ユーザ名
これは編集した瞬間に、この要素の所有者になったことを示します。この瞬間から、ほかの編集者はこの要素を編集することができなくなります。

一時借用方式

ワークシェアリングを開始すると、基本的に「早い者勝ち」で要素の所有者になり、要素にロックがかかるのです。これは一時借用という方式で、ワークセットの所有者がいないので、すべての要素が一時借用の手続きをへて自由に編集できるということです。図示すると
一時借用のイメージ
こんな感じです。Aさんが要素を選択して、何らかの編集をしようとすると、
Aさん「この要素を編集したいのですが大丈夫ですか?」
中央DB「今、その要素は所有者がいないので、編集できます。」
Aさん「ありがとうございます。それでは編集します。」
中央DB「じゃあ、この要素の所有者にAさんを設定し、ロックしておきますね。」

直後にBさんが同じ要素を編集し始めます。
Bさん「これ編集してもいい?」
中央DB「今はその要素は所有者がいるので、編集できませんよ。」
Bさん「無念じゃ」

ここで注目するべきことは、あらゆる要素を編集しようとするたびに中央DBへの問いかけが発生するということです。
ここでパフォーマンスのカギを握るのは、各PCと中央DBを保存するサーバーとの間の通信速度とサーバーの演算能力です。要素を選択するたびに、こうした問い合わせが発生するのですから、ネットワーク環境は非常に重要です。

ワークセットを作ってみよう

こうした問い合わせをいちいち行わない方法があります。そのための仕組みがワークセットです。ワークセットとは、要素のグループのことで例えば

  • 外構
  • 外装
  • 内装
  • 設備工事
  • 躯体工事

というように、要素をグループ化して、グループ単位で中央ファイルに使用許諾を得るものです。
分け方は自由です。カテゴリ単位で分けてもいいし、レベルで分けてもいいでしょう。
ですが、一つの要素が複数のワークセットに所属することはできないので、慎重にワークセットを設定する必要があります。

ワークセットの作り方

  1. ローカルファイルを開く
  2. [コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]パネル>[ワークセット]
  3. [新規作成]を選択し、新しいワークセットの名前を入力しOK。
    ワークセットを追加
  4. 必要な数だけワークセットを設定する。
    ワークセットを必要なだけ作る
  5. OKを押すと、最後に作成したワークセットをアクティブにするかどうか聞いてくるのでいいえを選択。

要素にワークセットを割り当てる

次に要素にワークセットを割り当てます。
  1. たとえば外構のワークセットに、地盤や道路、駐車場などを入れたいとすればまず適切なビューで要素を選択します。
  2. 次にフィルタを用いて、必要なカテゴリの要素を選択
    ワークセット外構に設定したい要素を選択
  3. プロパティウィンドゥでカテゴリを選択し、ワークセットプロパティから外構を選択する。
    カテゴリごとでなければワークセットを設定できない
  4. これをすべてのカテゴリで繰り返す。

ワークセットの表示をコントロールする

こうしてワークセットを設定しておくと、様々なメリットがあります。まずは表示/非表示のコントロールをワークセット単位で行えるということです。
  1. [表示]タブ>[グラフィックス]パネル>[表示/グラフィックス]
  2. [ワークセット]タブを選択。
  3. 表示設定から非表示を選択
    非表示
  4. ワークセットに所属する要素が非表示になったことを確認します。

グローバル設定とは?

グローバル設定とは
[コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]パネル>[ワークセット]
で表示されるワークセットダイアログの「全ビューに表示」の設定のことです。
グローバル設定=全ビューに表示

ワークセットのオーナーになる

ワークセットに所属する要素をすべて所有しておきたい場合は、
  1. [コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]パネル>[ワークセット]
  2. 必要なワークセットを選択して[編集可能]ボタンをクリック
    編集可能をクリック
  3. ワークセットに属する要素を選択し、編集者プロパティを確認
  4. 複数の要素で確認します。
    ワークセットの所有者になる
ワークセットを所有すれば、一時借用とは異なり中央DBへの問い合わせは1回で済みます。自分で所有権を放棄するまでは、ストレスのかからない状態で作業が可能です。

2019年10月6日日曜日

ワークセット(1)

ワークシェアリング基礎

ワークシェアリングは一つのデータを複数で編集するための仕組みです。まずは基本的な使い方を説明します。

ワークシェアリングの開始


  1. [コラボレート]タブ>[コラボレーションを管理]>[ワークセット]
  2. 下の図のダイアログボックスでOK
    OKをクリック
  3. 次のワークセットダイアログボックスで、ワークセットを独自に追加することもできますが、後から追加可能なのでとりあえずこのままOKします。
    OKをクリック
  4. [ファイル]タブ>[名前を付けて保存]>[プロジェクト]で[オプション]をクリック。
  5. 「保存後これを中央モデルに指定」にチェック(グレー表示でかまわない)が入っていることを確認してOK。
    保存後、これを中央モデルに指定に✔が入っている
  6. ファイルサーバー上の適切な位置に名前を付けて保存する。

所有者の確認

この時点ではすべてのワークセット(といっても今のところ2つですが)の所有者が自分になっています。状況を確認してみましょう。
  1. ビューコントロールバーで[ワークシェアリング表示]>[オーナ]
    [ワークシェアリング]>[オーナー]
  2. ビューコントロールバーで[ワークシェアリング表示]>[ワークシェアリングの表示と設定]
    ワークシェアリングの表示と設定
  3. オーナタブをクリックし、要素の所有者を確認しOKします。
    すべて自分が所有者

権利を放棄して保存

このままではほかの人がデータを編集できません。中央ファイルを作ったら、必ずお決まりの手順で権利を放棄します。
  1. [コラボレート]タブ>[同期]パネル>[中央モデルと同期]
  2. 下の図の四角く囲まれたチェックボックスのすべてを✔してOKする。
    赤枠でチェックできるところはすべて✔
  3. オーナーがいなくなったことを確認して閉じる。
    権利が放棄されたことを確認
  4. ファイルを閉じる

ローカルファイルの作成

これで準備ができました。参加者各人のPCにローカルファイルを作ってデータを編集をしましょう。
  1. [ファイル]タブ>[オプション]
  2. [ファイルの場所]で、ユーザーファイルの規定パスを適切なフォルダを指定する。
    ユーザファイルの既定パスを設定しよう
    • ローカルファイルは特に指定しない限りこのフォルダに作成されるのできちんと指定しておきましょう。
  3. [ファイル]タブ>[開く]で中央ファイルを選択する。このとき[ローカルの新規作成]にチェックが入っていることを確認する。
    ローカルをの新規作成
  4. [開く]
以上の手順で、ローカルファイルを作成することができました。あとはこのファイルを編集します。

編集内容を中央ファイルに反映させるには

編集したら、必要に応じて中央ファイルに変更の反映権利の放棄を行います。権利の放棄とはどういうことなのかは次回説明するとして、今回は手順のみを説明します。
  1. [コラボレート]タブ>[同期]パネル>[中央モデルと同期]
  2. 下の図の四角で囲まれた範囲のチェックボックスをすべてチェックし、コメントに適切なコメントをいれてOK。
    赤枠は可能なものはすべて✔。コメント欄に適切な文言を設定しOK。
  3. [ファイル]>[閉じる]または、編集を続行。

編集履歴を見るには

中央ファイルに「だれが」「いつ」「どういう内容で保存したか」を見ることができます。
  1. [コラボレート]タブ>[モデルを管理]パネル>[履歴を表示]で中央ファイルを選択。
  2. 下の図のような結果が表示されます。
    保存履歴が表示される

中央ファイルに保存するときは、マナーとしてコメント欄に編集内容を記入するようにすることをお勧めします。