2021年5月23日日曜日

土木測量データを読み込む

測量データで地盤を作成するには

測量データがあれば、このデータを利用して地盤を作成することができます。

  1. マス&外構タブ>外構作成パネル>地形
  2. ツールパネル>読み込みから作成▼>点ファイルを指定
この時の「点ファイル」とは、土木測量用の点ファイルです。この測量用の点ファイルの形式は
  • 北,東,高度,その他の情報
です。いってみればxyzではなくyxzとなっていますがこの点はRevitがうまく処理してくれるので気にする必要はありません。

地球は球体(楕円体)ですが、これを扱いやすくするために「地球は大きいので部分的には平面直角座標系」として扱います。この内容については国土地理院がわかりやすく解説してくれているので「日本の測地系」のWebページをご覧ください。

現在日本は19の座標系に区分されています。担当しているプロジェクトの原点がどこにあるか、調べてみてください。

GoogleMapでの調べ方

余談ですが、GoogleMapを使って、関東付近の基準となる第9系の原点がどこにあるか探してみましょう。第9系の原点は「北緯36度0分0秒、東経139度50分0秒」です。

  1. GoogleMapを開く
    検索窓に緯度経度を入力する

  2. 検索窓に「36°0'0''N139°50'0''E」と入力しENTER
    ここが第9系の原点

ここからの真北をX、直交する東方向をYとして座標が算出されます。

測地座標値は大きい

ここで注意が必要なことは、Revitのモデリング空間は半径10マイル(16km)である、ということです。

たとえば、東京新宿にある東京都庁は平面直角座標第9系の原点から「北:-34km -東 約-13km」の位置にあります。(参考サイト:地図から座標値を取得するページ

東西はともかく南北は大きく16kmを超えています。たいていの場合、座標の値は非常に大きな数字であり、Revitの内部原点をそのまま測量原点にすることはできません。このデータを読み込んで地形を作成しようとすると

点データを読み込んだときに表示される警告

という警告が表示されます。これは「読み込んだデータの座標値が大きすぎてモデリング空間を超えてしまうので、データの中心を相対的に内部原点の中心に移動して地形を配置します」という意味です。

BMの座標がわかっている場合

ベンチマーク(BM)の座標がわかっている場合は、あらかじめ点データを加工しておけば、正確に位置合わせすることが可能です。

サンプルの測量データはこちらからダウンロードできます。

サンプルデータをそのままメートル単位で読み込むと上記の警告が表示されます。適当な位置に移動されても困るので、BMを原点として地盤を作成しましょう。

エクセルで加工して読み込む

事前にデータを加工して、BM座標からの相対座標にしておけば、内部原点をBMとして読み込むことができます。

  1. ダウンロードしたファイルをエクセルで開く
    点データをエクセルで開く

  2. 仮に第1行目がベンチマークの座標とします。
  3. D,E,F列に1行目との差分の座標を計算式で求めます。
    BMとの差分を計算
  4. 計算結果の値をA,B,C列に張り付けて、D,E,F列をクリアして保存
    相対座標値をABC列にセットする
このデータを使って地形を作成すれば、BMを内部基準点とした地盤を作成することができます。


さらに注意することはこの測量座標系は真北に正対しているということです。読み込んだ地形はプロジェクトの北を真北として作成されるので、地形を真北の方向へ回転する必要があります。この時重要なのがプロジェクト基準点と測量点です。次回はは測量座標系、プロジェクト基準点、測量点の関係について説明します。

2021年5月16日日曜日

CAD出力時に原点を移動するには?

内部原点

Revitを使っているとき座標を意識することはほとんど必要ありません。しかしながらRevitにもちゃんと座標はあり、すべての要素は座標に基づいて位置情報が管理されています。ではいわゆる原点(0,0,0)はどこにあるのでしょうか?

Revitではこの原点を「内部原点(ver2022/2021)/内部基準点(ver2020)」と呼んでいます。


外構カテゴリのサブカテゴリの内部原点にチェックを入れると次のように表示されます。

内部原点

内部原点は移動できない

この内部原点自体は決して移動することはできません。たとえばX1-Y1-1FLの交点を原点としたいというときは、最初からそのようにモデリングを行う必要があります。後から合わせようとするならば、内部原点ではなく、プロジェクト内の要素を移動します。

CAD出力時の原点

既定値の設定ではこの内部原点を基準としてデータが出力されます。たとえば下の図のような平面図がRevitで作成されたとします。

内部原点が通り芯の交点からずれている

X1-Y1の交点から内部基準点がずれています。これを規定値でCAD出力しAutoCADで開いてみます。UCSICONを原点に表示してみると・・

AutoCADの原点とRevitの内部原点は一致している

CAD上の原点(0,0,0)とRevitの内部原点が一致していることがわかります。CAD出力時に原点をX1-Y1の交点に合わせて出力することができるでしょうか?

原点を移動してCAD出力するには?

以下の手順を踏めば、原点を任意の位置に移動したCADデータを作成することができます。

Revitでの操作~出力用の位置の作成

まずは出力用の「位置」を作成します。

  1. 管理タブ>プロジェクトの位置パネル>場所
  2. 敷地タブをクリック
  3. 任意の場所を選択し[複製]ボタンをクリック、任意の名前をつけOK。ここでは「CAD出力とします。
  4. [現在の値にする]をクリックし、OKでダイアログボックスを閉じます。

真北の修正

次にプロジェクト基準点を表示して真北方向を設定します。この真北方向が出力時のY方向となります。
  1. 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス
  2. 外構カテゴリのプロジェクト基準点にチェックを入れてOK
  3. 表示されたプロジェクト基準点を選択し、「真北の角度」の値をクリックして0とします。これは共有座標(=測量点)のY方向を設定する作業です。
    真北を合わせる

測量点を出力原点に移動

測量点を表示して、原点としたい位置に移動します。

  1. 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス
  2. 外構カテゴリの測量点を原点にしたい位置に移動。このとき、クリップがON(斜線が入っていない状態)で移動してください。
    クリップに斜線が入っていない状態で移動

次の図のようにX1-Y1の交点に移動します。3Dデータを出力するときはZ座標も合わせる必要があります。
測量点を出力原点としたい位置に移動
測量点のクリップの働きについてはこちらのページで解説していますのでご一読ください。

CAD出力

CAD出力時に座標の設定を行います。
  1. ファイルタブ>書き出し>オプション>書き出し設定DWG/DXF
    書き出し設定DWG/DXF

  2. ベースとしたい任意の書き出し設定を選択し複製ボタンをクリック
  3. 名前を共有座標とする
  4. 単位と座標系タブをクリックし、座標基底を共有座標とする。
    共有座標を選択

  5. OK
  6. ファイルタブ>書き出し>CAD形式>DWGまたはDXF
  7. 書き出し設定を選択で「共有座標」が選択されていることを確認して次へ。
    書き出し設定を確認する

  8. ファイル名を指定して保存します。
以上の手順で出力したDWGファイルをAutoCADで開いてみると、X1-Y1の交点に原点があることがわかります。
原点が指定した位置になっている

Navisworksの場合

Navisworksに出力する場合も同様にRevit側を準備します。
そして出力前に・・・
  1. アドインタブ>外部ツール▼>Navisworksバージョン番号
  2. Navisworks設定ボタンをクリック
  3. ファイルリーダーの座標を共有に設定。
    座標は共有

  4. OKしてnwcファイルを出力
Navisworks側での特別な操作は必要ありません。最初からモデルが指定しただけ平行移動して取り込まれ、Revit上の測量点の位置がNavisworksの原点と一致します。
Navisworksで最初から平行移動して取り込まれる

このように、他のシステム用に出力する場合は、自由に出力原点を設定できますので、Revitで操作する際にあまり座標は気にする必要がないのです。管理タブ>プロジェクトの位置パネル>場所はいわば任意のユーザー座標系(User Coordination System)をいくつでも設定できる大変便利な機能なのです。

2021年5月9日日曜日

プロファイルのテンプレート

 何が違うのか?

プロファイルのファミリテンプレートは次の6種類があります。

  1. プロファイル - ホスト(メートル単位).rft
  2. プロファイル - マリオン(メートル単位).rft
  3. プロファイル - リビール(メートル単位).rft
  4. プロファイル - 手すり(メートル単位).rft
  5. プロファイル - 段鼻(メートル単位).rft
  6. プロファイル(メートル単位).rft

これらの違いは「プロファイルの用途」の値が異なるだけであり、本質的にはすべて「プロファイル(メートル単位).rft」だけで対応できます。

プロファイル(メートル単位).rftを使って新しいファミリを作成し、ファミリのプロパティ「プロファイルの用途」を確認してください。

プロファイルの用途の一覧

プロファイルの用途を変更するとどうなるか?

プロファイルを使用するのはファミリの作成で「スイープ」「ブレンドスイープ」での活用以外に、いくつかのシステムファミリでも使用します。プロファイルがたくさんプロジェクトにロードされると、プロファイルを選択しにくくなるので、用途を絞っておくことで目的の用途以外のプロファイルが表示されないようになっています。

たとえば、以下の操作をしてみてください。

  1. 建築テンプレートで新規プロジェクトを作成。
  2. 3Dビューを表示。
  3. 建築タブ>構築パネル>壁▼>壁 スイープ
  4. タイプ編集
  5. 表示されるプロファイルを確認してOK
    表示されるプロファイル

  6. プロジェクトブラウザでファミリ>プロファイル>C-溝形鋼-プロファイルを右クリ九して編集
  7.  プロファイルの用途が<一般>であることを確認します。
    1. <一般>が選択されているとあらゆるプロファイルの用途に使用可能であることを示します。
    2. プロファイルの用途を「階段の桁」に設定して適用をクリック。
  8. 作成タブ>ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード で「既存のバージョンを上書きする」をクリック。
  9. 建築タブ>構築パネル>壁▼>壁 スイープ
  10. タイプ編集
  11. プロファイルの値の一覧から「C-溝形鋼-プロファイル」がなくなっていることを確認する。

プロファイルの用途とシステムファミリ

プロファイルの用途とシステムファミリの関係をまとめてみました。

スイープ 樋

建築タブ>構築パネル>屋根▼>屋根 スイープ 樋
屋根 スイープ 樋

スイープ 鼻隠

建築タブ>構築パネル>屋根▼>屋根 スイープ 鼻隠
屋根 スイープ 鼻隠

スラブ デッキ プレート

建築タブ>構築パネル>床
タイプ編集>構造 編集 でレイヤの機能で構造デッキを選択した場合のプロファイル
床タイプ 構造デッキのプロファイル

スラブ ハンチ

建築タブ>構築パネル>床▼>床 スイープ
スラブハンチ = 床 スイープ

マリオン

プロジェクトブラウザ>カーテンマリオン の各種タイプ
マリオン

壁の化粧目地

建築タブ>構築パネル>壁▼>壁 リビール
壁の化粧目地=壁 リビール

壁の造作材

建築タブ>構築パネル>壁▼>壁 スイープ
壁の造作材 = 壁 スイープ

布基礎

現時点で使用用途は不明。

手摺

プロジェクトブラウザ>ファミリ>手摺>手摺 の各タイプ
タイプ編集>手摺横桟構成の編集をクリック
手摺横桟構成編集ダイアログボックス

段鼻

プロジェクトブラウザ>ファミリ>階段>一体型の階段経路/非一体型の階段経路 の各タイプを右クリック>タイププロパティ
段鼻


階段の桁

プロジェクトブラウザ>ファミリ>階段>側桁 の各タイプを右クリック>タイププロパティ
階段の桁 = 側桁:断面図のプロファイル


階段の踏み面

プロジェクトブラウザ>ファミリ>階段>一体型の階段経路/非一体型の階段経路 の各タイプを右クリック>タイププロパティ
階段の踏み板 = 踏み板のプロファイル

階段の蹴上げ

プロジェクトブラウザ>ファミリ>階段>一体型の階段経路/非一体型の階段経路 の各タイプを右クリック>タイププロパティ
階段の蹴上げ = 蹴込みプロファイル

プロファイルは様々な場面で用いられるので、使用用途が明快であるならば、プロファイルの用途プロパティを設定しておくことをお勧めします。

2021年5月1日土曜日

U字側溝

側溝

JIS A5372の規格のU字側溝の作り方を考察してみます。いろいろと作り方はあると思いますが、勾配を考慮するならば、ファミリは線基準あるいは面基準を使うと作りやすいのではないかと思います。まずはこの規格に沿ったファミリを作成してみます。

サンプルプロジェクト(v2019)はこちらからダウンロードしてください。

U字側溝のモデリングは?

プロファイル

まずはプロファイルを作成します。次のようにa~gのパラメータを作成して寸法に割り当てます。

ファミリ

次にこのプロファイルを使ってU字側溝のファミリを作成します。

  1. 「一般モデル-線基準」のファミリテンプレートを使ってファミリを作成します。
  2. プロパティパネル>ファミリカテゴリとパラメータでカテゴリを外構にしてOK。
  3. 上記プロファイルファミリをロードする。
  4. 3Dビューを開く。
  5. 作成タブ>フォームパネル>スイープ
  6. 作業面パネル>パスを選択 で、参照線を選択。
  7. モードパネル>✔
  8. スイープパネル>プロファイルでプロファイルU字側溝:300Aを選択

  9. モードパネル>✔

  10. フォームを選択し、マテリアルの関連付けボタンを押す。
  11. 新規作成ボタンを押し、側溝というマテリアルを新規に作成して関連付ける。
  12. 平面図>参照レベルを開き、作成タブ>コントロールパネル>コントロールでダブル垂直を選択して配置。
    フリップコントロールを配置

  13. ファイル>名前を付けて保存で外構_U字側溝という名前で保存。
必要であれば蓋も同様の方法でこのファミリ内に組み込めばいいでしょう。

プロジェクトでの利用

線基準の要素はホストとなる面を指定できます。U字側溝には勾配が必要ですから、U字側溝を据え付ける敷モルタルや均しコンクリートなどを舗装で作成して、舗装面に対してU字側溝を配置します。

舗装タイプ

新しいプロジェクトを作成して、舗装タイプとして次のようなタイプを作成します。
  • 名前:側溝敷砂利
  • 敷モルタル:20mm
  • 均しコンクリート:100mm
  • 基礎砕石:150mm
    側溝敷砂利の舗装タイプ
アスファルト舗装も同様にタイプを作成しておきます。
  • 名前:アスファルト舗装
  • アスファルト舗装:50mm
  • 基礎砕石:200mm
    アスファルトの舗装タイプ
ほかにも「緑地客土」など、外構に使いそうな舗装を定義しておきます。

モデリング

プロジェクトで駐車場を作成してその周囲にU字側溝を配置してみます。
  1. 舗装タイプを作成したプロジェクトを開き、設計GLの平面図を開く
  2. マス&外構タブ>外構作成パネル>地形 でだいたい100m□の地形を作成する。
  3. マス&外構タブ>外構作成パネル>舗装
    1. タイプセレクタでアスファルト舗装を選択
    2. 適切な範囲に舗装を作成
  4. U字側溝を配置したい辺に舗装タイプ「側溝敷砂利」のタイプで、U字側溝と同じ幅(400)で細長い舗装を作成し、U字側溝の高さ分(-300)下げる。
    側溝部分に舗装を作成して、基準レベルオフセットを-300とする

  5. 3Dビューで見ると次のようになっている。
    側溝部分を舗装で下げる

  6. 作成したU字側溝ファミリをロードする。
  7. 建築タブ>構築パネル>コンポネント>コンポーネントを配置
  8. タイプセレクタで外構_U字側溝を選択
  9. 配置パネル>作業面に配置
  10. オプションバーで配置面から選択を選択。

  11. 作業面ダイアログボックスで面を選択を選択しOK
  12. 側溝敷砂利の天面をクリックして選択。
    舗装の天端を選択

  13. 続けて描画パネルの選択(緑の線)を選択し、アスファルト舗装の面をクリックして配置する。
    舗装の側面を選択

  14. 修正をクリック
    側溝が作成される

勾配

このU字側溝は舗装面に乗っているので、舗装に勾配をつければU字側溝にも勾配が付きます。
  1. 側溝敷砂利の舗装を選択して、モードパネル>境界の編集
  2. 設計GLの平面図で描画パネル>勾配矢印 で勾配方向に矢印を作成する。基本的にはのぼり方向に向かって矢印を作成するとよい。
    勾配矢印を作成

  3. 勾配矢印を選択し、プロパティで
    1. 指定:勾配
    2. 矢じりレベルオフセット:0
    3. 勾配:=2/100(2%勾配とします)
    4. 適用
  4. モードパネル>✔
これで勾配をつけることができます。
U字側溝に勾配を付けた状態