2014年5月25日日曜日

RevitとExcel(3)~帖数と坪数

部屋の面積を帖・坪に換算する

住宅の場合、部屋の面積を㎡とともに帖で表記することはよくあることですが、残念ながら帖はRevitの単位にありません。そこでExcelで部屋の帖数を計算し、それをRevitに戻し、なおかつタグに表示してみます。

共有パラメーター「帖」の作成

共有パラメーターとは、複数のプロジェクトやファミリ間共通で使用するパラメーターのことです。共有パラメーターはGUIDという固有の番号を持っているため、名前が一致するだけでは複数のプロジェクト・ファミリで共通して使用することができません。定義方法はとても簡単です。

(1)[管理]-[設定]-[共有パラメーター]を選択
(2)[作成]ボタンをクリックし、任意のフォルダに任意の名前で保存します

任意のフォルダに任意の名前で保存

(3)[グループ]で[新規作成]をクリックし、任意の名前(ここでは「面積情報」)をつけます。
パラメーターグループを追加
(4)[パラメーター]の[新規作成]で名前を「帖」、パラメータータイプを「実数」とします。
名前は帖、パラメータータイプは「実数」
パラメーターのタイプを面積にすると、単位表示をした際「㎡」が付加されることを避けるためです。実数は「単位なし」という意味だと考えてください。

つづいてプロジェクトにパラメーターを追加します。


(1)[管理]-[設定]-[プロジェクトパラメーター]で[追加]をクリック
(2)パラメータータイプで「共有パラメーター」を選択、[選択]ボタンをクリック
共有パラメーター「帖」を追加する
(3)先ほど作成した「帖」を追加します。
(4)カテゴリで「部屋」を選択しOKします。
部屋カテゴリに「帖」パラメーターを追加
以上で共有パラメーター「帖」がプロジェクトに設定されました。

部屋の面積を出力

前回同様、Revit User Group提供のRUTSのExcel書出しを使いますが、書出しの前に単位の設定をしておきます。


(1) [管理]-[設定]-[プロジェクトで使う単位]
(2) [面積]をクリックし、「丸め」を小数点以下の桁数 2、単位記号 なしとしOK



RUTSのExcel書出し(エクスポート拡張版)を用いて、部屋の面積および帖を書き出します。
レベル、名前、面積、帖をチェック

帖のセルに計算式を設定します。1帖=1.652㎡として、小数点以下第2位を四捨五入するようにしてみます。計算式は

=ROUND(F2/1.652,1)


でよいでしょう。桁処理に正確さを期するのであれば、Round関数を二重にかけるなどの処置が必要です。
計算式を設定


この状態で、エクセルからRevitに情報を戻します。

[RUTS]-[EXCEL]-[インポート]


任意の部屋を選択し、帖が表示されていることを確認します。
部屋のプロパティ「帖」が設定されている

タグに帖数を表示する

次にタグに面積と帖数を表示してみましょう。


(1) 任意の部屋タグを選択し、[修正|部屋タグ]の[ファミリを編集]ボタンをクリックします。
(2) ファミリエディタが開いたら、中央の101を選択

(3) [修正|ラベル]の[ラベルを編集]
(4) 既存の「番号」を削除し、左下の「パラメーターを追加」アイコンをクリック
パラメーターを追加をクリック

(5) [選択]ボタンをおして、「帖」を追加します。
帖を→ボタンで追加し、末尾表記を「帖」とする
(6)ラベルを編集ダイアログボックスに戻り、「帖」を追加し、末尾表記に「帖」をいれます。
(7)ファミリエディタで「プロジェクトにロード」をクリック
(8)「既存のバージョンを上書きする」をクリック


帖数をタグに表示することができました。
帖数が表示されている

このようにエクセルと共有パラメーターを組み合わせることで、プロジェクトの状況に応じた様々な属性情報を追加したり、計算したり、表示したりすることができるようになります。

次回はさらにいろいろな応用例をご紹介します。

2014年5月17日土曜日

ExcelとRevit(2)~仕上表と平面図では部屋の呼称を変えたいとき

平面図では「廊下(1)」、「廊下(2)」、仕上表では両方「廊下」

Revitは部屋をあつめて仕上表をつくります。確かに理に適ってはいますが、世の中そう理屈通りにはいかないもので、仕上表という一覧性を考えた場合、複数の部屋の情報を一行にまとめる、という行為はたいていの建物の設計行為の中で発生します。この場合は、部屋という要素に「本名」と仕上表用の「ニックネーム」が必要です。そしてほとんどの部屋ではこの「本名」と「ニックネーム」は同じであるため、パラメーターの値をコピーする必要があります。

使用するパラメーターは?

rac_advanced_sample_project.rvtの平面図、01 - Entry Levelを開くと、下側のウィングにInstructionという部屋が4つほどあります。集計表で部屋を集めるとそのほかにも同じ名前の部屋がたくさんあるので、これに通し番号をつけて、仕上表では一行にまとめる、という作業を実践してみましょう。
Revit集計表 同じ名前の部屋に通し番号(1)などを付けた
ます、本名とニックネームに使用するパラメーターですが、共有パラメーターを使ってもいいですが、今回は「コメント」を使います。
  • 本名------------「名前」
  • ニックネーム-----「コメント」
この「名前」パラメーターに格納されている値を「コメント」にコピーします。ここで前回ご紹介したRUTS2014のExcel書出/読込機能を活用します。

Excelへ書出し

RUTSのExcelパネルの「エクスポート拡張版」を起動します。
「部屋」「Instance」を選択し、「コメント」と「名前」を選択しまます。
部屋の名前とコメントをチェック
「名前」、「コメント」の順番で出力します。
名前、コメントの順でOK
エクセルに部屋の一覧が出力されます。
出力されたExcel

Excelでコメントの情報を編集

名前列の値をコメント列にコピーします。
名前をコメントにコピー

次にエクセルの置換機能をつかって、末尾の(1)や(2)を削除します。ワイルドカードを使えば簡単に(1)などの通し番号を削除できます。
検索文字列にワイルドカード「*」を使って空白スペースに置換する
エクセルでは使い慣れた豊富な関数や機能が自在に使えるので、パラメーター値の編集にはもってこいです。
EXCELは様々な機能で値の編集をサポートしてくれる
この値をRUTSの「インポート」を使ってRevitに戻してやりましょう。
Revitに編集後のパラメーターを戻す
集計表の並べ替えを変更し、仕上表の体裁を整えます。並べ替えの基準をコメントとし、各インスタンスの内訳をオフにします。

コメントを並べ替え方法とし、各インスタンスの内訳をオフ
そうすると、複数の部屋を一つの行で表示することができます。
室名の値はコメントを利用している

平面図では部屋の名前をタグに表示

この手法は一つの部屋に二つの名前を付けるという点で、ちょっと問題があるかもしれませんが、エクセルの活用方法の一つとしてご紹介しました。


2014年5月10日土曜日

パラメーターをエクセルに書き出すには

エクセルへパラメーター値をエクスポート

パラメーターをエクセルに出力するには、集計表を作成しこれを「書出し」→「レポート」→「集計」を使って、タブやカンマ、スペースで区切ったテキストファイルを作成します。そしてこれをエクセルで読み込めばいいのですが、これではすこし面倒ですし、一方通行、つまり出力しかできません。もっとダイレクトにエクセルと連携できないでしょうか?

RUTS2014を使ってみよう!

私の所属するRevit User Group JapanではRevitのアドオンソフトであるRUTS2014(無償)を公開しています。このアドオンソフトでは要素のパラメーターをダイレクトにエクセルへ書き出したり、編集後の値を読み込んだりする機能が提供されています。
ダウンロードは以下のアドレスにアクセスし、会員登録(無料)を行ってください。
http://www.rugjapan.com/
そして「専門部会フォーラム」の「開発部会」へ移動します。
開発部会をクリック!
「RUTS2014○○」となっている最新のタイトルをクリックします。
RUTS2014のタイトルをクリック!
添付されているZIPファイルをダウンロードして解凍し、インストールしてください。ただし64bit版のみですのでご注意ください。
64bit版のみです

Excelへ書き出すには?

インストールすると、「RUTS」タブが現れ、たくさんのツールがあることがわかります。このなかで、エクセルへの書き出しができるツールは「Excel」パネルにあります。
Excelパネルのプルダウンメニュー
このなかの「エクスポート拡張版」をクリックしてみましょう。ダイアログボックスで「部屋」「Instance」を選択すると、右側に部屋インスタンスのパラメーターのリストが表示されるので、出力したいパラメーターにチェックを入れOKを押します。
カテゴリ、インスタンス(タイプ)、パラメーターを選択
次にエクセルでの並び順を指定します。
順番を指定
この時、「設定保存」を押すと、この設定が保存されて再利用できます。再利用の際は一つ前のダイアログボックスで「設定読込」ボタンをおして保存されたファイルを開きます。
あとはOKを押せばエクセルにプロパティ情報を出力することができます。
エクセルにパラメーターの値が出力された

エクセルで編集た値を戻す

出力されたエクセルでパラメーターの値を変更し、Revitのパラメーターに戻すことができます。たとえば、床や壁、天井の仕上げを変更してみます。
仕上げの値を編集したExcel
そして、RevitでRUTSタブ-Excelパネル-インポートを選択すると、取り込みを行います。取り込みが完了したら、エクセルのセルは灰色になっています。
取り込みが成功したセルは灰色になる
Revitのパラメーターを確認してみると・・・
パラメーターの値が更新されている

一旦エクセルにパラメーターの値を出力すれば便利なエクセルの関数をいろいろとつかえ、その結果をRevitのパラメーターに戻すことができますし、その値をタグに表示するようなこともできます。仕上表もエクセルで編集すればより簡便な入力ができますね。