2017年5月27日土曜日

条件式を使ったファミリ

条件式 IF

前回のファミリを引き続き題材にします。下の図を見てみると、面取距離(A)の値は取りうる値に制限があることがわかります。0より大きくないといけないし、またX、Yの値の半分より小さくないと押し出しフォームを作ることができません。
前回の面取りファミリ
まとめますと
  • 条件1: 面取距離>0
  • 条件2: 面取距離<0.5*X かつ  面取距離<0.5*Y
面取距離=面取長*sin(45°)ですから、二つの条件は
  • 条件1:面取長*sin(45°)>0
  • 条件2:面取長*sin(45°)<0.5*X かつ 面取長*sin(45°)<0.5*Y
となります。この二つの条件をすべて満たしたとき、Aの値を受け入れるようにしてみましょう。
条件式は if 文を使います。書式は

if(条件式, TRUEの場合の値, FALSEの場合の値)


となります。条件式は数字の判断が使えますが、文字列の判断は使えません。

入力用のパラメータを追加

ファミリを開いて、面取りの長さを入力するためのパラメータを追加します。

  1. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. 新しいタイプ ボタンをクリック
  3. 名前を「面取長」とし、パラメータタイプを「長さ」、パラメータグループを「寸法」としOK
    パラメータ「面取長」を追加

条件を追加

条件1と条件2を評価するためのパラメータを追加します。

  1. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. 新しいタイプボタンをクリック
  3. 名前を「条件1」としてパラメータタイプを「はい/いいえ」、パラメータグループを「その他」
  4. 同様に、「条件2」を追加
  5. 条件1の式を「面取長 * sin(45) > 0」
  6. 条件2の式を「and(面取長 * sin(45°) < 0.5 * X, 面取長 * sin(45°) < 0.5 * Y)」
    条件1と条件2を追加して式を設定する
    条件2の式は「面取長 * sin(45°) < 0.5 * X」, 「面取長 * sin(45°) < 0.5 * Y」の両方の式が満たされていればTRUE(☑)、そうでなければFALSE(□)を返します。

Lの値を制御する

Lの値をifを使った計算式で制御します。
  1. Lの計算式に「if(and(条件1, 条件2), 面取長, 0.1 * X)」と入力

これは 条件1と条件2がどちらもTRUEならば面取長にLの値をそうでなければXの0.1倍の値をLに設定する という意味です。なお、どちらかがTRUEの場合はandではなくorを使います。
Lの式を設定するとグレーになる

面取長の値をいろいろ変えて適用ボタンをおしてみてください。あまり大きな値を入力するとX*0.1の値になります。
安全なファミリ

これで安全な値しか入力できないようになります。

2017年5月20日土曜日

計算式を使ったファミリ

計算式を活用しよう

ファミリのパラメータは、計算式を使うことでいろいろな制限ができます。今回は計算式に関するいくつかのヒントをご紹介します。

面取りの長さ

下の図のような角が面取りされたファミリを考えてみます。面取りの距離(下の図ではA)ではなく、面取りの長さで距離を指定したい場合はどうすればいいでしょうか?
面取りの長さで指定するには?

まずは次の手順でファミリを作成してみます。ここで大事なのは、面取り部分のスケッチラインの拘束方法です。
  1. [R]>新規作成>ファミリ
  2. 「一般モデル(メートル単位).rfa」
  3. 下の図のように参照面を作成し、寸法をつけ、寸法にラベルをつけてパラメータ化します。
    参照面に寸法を作成し、寸法にラベルを付ける
  4. 作成タブ>フォームタブ>押し出し
  5. オプションバーのロックにチェックを入れる。スケッチラインを確実に参照面にロックしましょう。
  6. 描画パネル>選択(緑色の線のアイコン)
  7. 上下左右の参照面を選択してスケッチラインを参照面にロック
    スケッチラインを参照面にロック
  8. 修正パネル>位置合わせ
  9. 内側の参照面①を選択、スケッチラインの端点②を選択(端点●がハイライトされます)
    位置合わせ
  10. 鍵アイコンをクリックしてロック。
    ロックする
  11. これを繰り返して、残りの端部を参照面にロック。
    端部をロック
  12. 描画パネル>線分で面取り部をつなぐ。
    スケッチ完成
  13. モードパネル>✔
  14. プロパティウインドウの押し出し終端のボタンを押して、新しいパラメータボタンを押し、T1というパラメータを作成。
    パラメータT1を関連付け
  15. 同様に押し出し始端にT2というパラメータをつける。
  16. プロパティパネル>ファミリタイプ
  17. Aの値を200に変更して適用し、正しく機能するか確認します。

面取りの長さLをパラメータにする

面取りの長さをLとして計算式で表すと
  • A=L*sin(45)
  • A=L/sqrt(45)
などと表すことができます。面取りの長さをLとしてパラメータを追加します。
  1. プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. 新しいパラメータボタンをおし、「L」パラメータを追加
    パラメータLを追加
  3. パラメータAの「式」の欄に L * sin(45) と入力、「°」は自動的に付加されます。半角で入力して下さい。パラメータの大文字小文字は区別されます。
    L*sin(45)
  4. Lの値を100として適用、Aの値が変わることを確認します。
    面取りの長さを100に
  5. 式の中に変数(この場合はL)が一つしかないので、Aの値を変更してもLの値を変えることができます。

厚さをコントロール

厚さにはT1、T2のパラメータをつけました。総厚をTとして、それぞれ0.5*Tを設定してみます。
  1. プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. 新しいパラメータボタンをおし、「T」パラメータを追加
  3. T1の計算式に 0.5*T 、T2の計算式に -0.5*Tとする。
  4. T の値に 400 と入力し適用ボタンを押し、T1,T2の値が変わることを確認
    T1とT2の値を計算式で設定

使える関数

このようにファミリの値を制御するために計算式を使うことができます。以下のような関数が使えますが、どのように使うかはヘルプ(2017 2018)を参照してください。
  • 加算: +
  • 減算: -
  • 乗算: *
  • 除算: /
  • 指数: ^: x^y、xの y 乗
  • 対数: log
  • 平方根: sqrt: sqrt (16)
  • 正弦: sin
  • 余弦: cos
  • 正接: tan
  • 逆正弦: asin
  • 逆余弦: acos
  • 逆正接: atan
  • 10 の x 乗—exp(x)
  • 絶対値: abs
  • Pi—pi (3.1415926...)
  • 最も近い自然数に丸め:round(X)
  • x 以上の最も大きな自然数に丸め:roundup(X)
  • x 以下の最も小さい自然数に丸め:rounddown(X)

2017年5月14日日曜日

RUTS2017 更新

集計表EXCEL出力

RUTS2017に新たなコマンドを追加しました。右のリンクまたはここからダウンロードできます。今回は集計表のデータをそのままエクセルに出力するコマンドです。

【使い方】


  1. EXCELを開いておきます。
  2. Revitで集計表のビューを開きます。
  3. RUTSタブ>EXCELパネル>集計表EX出力
    集計表EX(CEL)出力
  4. Excelに新しいシートが作成されて、集計表の情報が出力されます。
    集計表がそのまま一瞬でエクセルに出力されます
大変安直ですし、テキストファイルに出力して、エクセルで読み込めば同じことができるのですが、様々な設定の手間が省けるし、一瞬でエクセル化できるので、よりお手軽ではないかと思って作成しました。
ただし、このコマンドで出力したエクセルのデータを集計表に戻すことはできませんのでご注意ください。

CH寸法

これは少し前のバージョンからあったのですが、断面図や展開図で天井高の寸法を作成するコマンドです。

【使い方】

  1. 立面ビューまたは断面ビューを開きます。
  2. RUTSタブ>作図パネル>CH寸法
    CH寸法
  3. 天井・屋根または床を選択すると直下の床(レベルではありません)まで寸法が作成されます。天井または屋根を選択した場合は、作成された寸法に「CH」が接頭辞として追加されます。
    天井を選択するとCH寸法、床を選択した場合は寸法だけが作成されます。
  4. [ESC]で終了。
ちょっとしたコマンドですが、天井を選択するだけでCH寸法が作成できますし、いちいち天井や床の面を選ぶ必要がないので、ストレスがなくてよいのではないかを思います。
選択した面の真下に床がない場合は寸法は作成されません。

ぜひお試しいただき、ご意見をお寄せください。

2017年5月6日土曜日

矢印

矢印のタイプ

矢印は主に引き出し線の先端と寸法の矢印として使用します。寸法タイプも文字タイプもタグのタイプも階段の矢印も「矢印のタイプ」が必要です。矢印のタイプは

管理タブ>設定パネル>その他の設定▼>矢印

で設定します。ここで表示されるタイププロパティダイアログボックスの矢印のスタイルは以下のような種類があります。設定可能なプロパティと合わせて一覧を作成しました。なお、2017は日本語訳がめちゃくちゃなので、英語表記も添付しています。
ティックサイズは記号の大きさを示します。
こうしてみるとティックマークがチェックマークになっていたり、Dotが点線だったり、終了矢印?などと翻訳は???なところもありますが、矢印自体は使えるものが多く含まれています。(矢印の形状を自作することはできません。)
この画像は文字から右に水平に引き出した引き出し線の先端を示しています。

タイププロパティの意味

塗り潰しチェック

Fill Tick?なので「矢印を塗潰しますか?」「☑はい/□いいえ」です。効果は図の通りです。

終了矢印

Arrow Closed?なので「矢印を閉じますか?」「☑はい/□いいえ」ということですね。Fill TickがYesの場合は、☑も□も効果は変わりません。

ティックサイズ=印刷時の長さ

この表のティックサイズは各記号の直径、四角形の辺の長さ、三角形の高さなど、一番外々の長さを示しています。これは印刷時の長さで指定します。この表では仮に3mmとしています。寸法の●などにはA1ならば0.8mm、A3ならば0.4mm程度が適当でしょう。

矢印幅の角度

全く意味不明な訳ですが、英語表記は「Arrow Wdith Angle」となっていて、矢印の開き角度のことを示しています。

太ペン

太ペン(Heavy End Pen Weight)は太チェックマーク(Heavi End Tick Mark)の線の太さのことで
管理タブ>設定パネル>その他の設定>線の太さ 注釈線の太さタブ 
の番号を指定します。

大変基本的な内容ですが、矢印の形状がわかるリストがヘルプに見当たらないのでまとめてみました。テンプレートを整備する場合の参考にしてください。