2022年2月27日日曜日

折板(5)~棟押さえ

勾配を可変に

折板を切妻型に葺いた場合、棟部には「棟押さえ」が設置されます。

棟押さえ

棟押さえはけらば包み同様に現場加工の場合があります。ここでは屋根勾配に応じて傾きを変化させるファミリを作成してみます。今回もヨドルーフのCADデータを参考にさせていただきます。

棟押さえ詳細図(出典:ヨドルーフ166

プロファイル

押さえ板のプロファイルを作成します。左半分のみのプロファイルを作成することがポイントです。細かな作成方法は省略しますが、「プロファイル(メートル単位).rft」を使用して次の図のようなプロファイルを作成します。
棟押さえプロファイル

まずはこのような水平のプロファイルでOKです。

線基準ファミリ

棟押さえは線基準ファミリとして作成します。プロジェクトでは水上レベルをホストとして配置します。
  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「一般モデル(メートル単位).rft」を選択して開きます。
  2. 挿入>ファミリをロードで作成したプロファイル「棟押さえ」をロードします。
  3. 作成>フォームパネル>スイープ
    1. パスをスケッチで次の図のようにパスを作成します。
      パスをスケッチ

    2. モード>✔
    3. プロファイルを選択 で「棟押さえ」を選択
    4. モード>✔
      フォームを作成

  4. 作成>フォームパネル>スイープ
    1. 3-1と同じパスを作成
    2. モード>✔
    3. プロファイルで同じく「棟押さえ」を選択
    4. オプションバーの[フリップ]ボタンをクリックしてプロファイルを反転
    5. モード>✔
      X軸を挟んで上下にフォームを作成

  5. 最初に作成したフォームを選択
    1. プロパティウィンドウで角度の関連付けボタンをクリックし、インスタンスパラメータ「角度1」を作成して関連付ける
      パラメータ「角度1」を作成

    2. 同様に後から作成したフォームを作成してインスタンスパラメータ「角度2」を作成して関連付ける。
  6. 管理>プロジェクトで使う単位>勾配をクリック
    1. 次の図のように勾配の単位を設定
      形式を設定

  7. プロパティパネル>ファミリタイプ
    1. 新規作成でインスタンスパラメータ屋根勾配をパラメータタイプ勾配で作成。

    2. 屋根勾配の値に24を入力
    3. 角度1の式に「atan(屋根勾配)」、角度2の式に「-atan(屋根勾配)」を設定

  8. フォームを選択して、マテリアルの関連付けボタンをクリックし、タイプパラメータマテリアルに関連付ける
  9. 管理>オブジェクトスタイルでサブカテゴリ「棟押さえ」を作成
  10. フォームを選択して、サブカテゴリ「棟押さえ」を設定
  11. ファイル>名前を付けて保存 で「棟押さえ」として保存

プロジェクトで配置

それではプロジェクトで次の図のような折板屋根の棟部に配置してみます。
折版切妻屋根の棟に配置
  1. 作成した棟押さえをプロジェクトにロード
  2. 水上レベルの平面図を開く
  3. 建築タブ>構築パネル>コンポーネント
    1. タイプセレクタで「棟押さえ」を選択
    2. インスタンスパラメータ「屋根勾配」に適切な勾配値(1:12ならば12)を入力
    3. 作業面に配置ボタンをクリック
    4. オプションバーで「レベル:水上」を選択
    5. 棟部の通り芯をクリック
    6. この時点ではまだ折板の下に配置されている
      折版の下に配置される

  4. 断面図を作成し、棟押さえを選択し、移動コマンドで適切な位置に移動
    適切な位置に移動
後は長さを整えて配置完了です。

2022年2月20日日曜日

折板(4)~ケラバ包み

ケラバ包み

ケラバ包みは外壁と折板の山までの距離に応じて現場加工して作ることも多いと思われますので、幅が調整可能なプロファイルを作成するとよいでしょう。

ケラバ包み

今回もヨドルーフ166ハゼ CADデータを活用させていただき、ケラバ包みのファミリを作成してプロジェクトに配置してみましょう。ケラバ包みのデータは「16600301.dxf」です。

プロファイルを作成

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「プロファイル(メートル単位).rft」を選択
  2. 次の図の設定で参考データを読み込む
    参考データの読み込み

  3. 鉄骨天端の線を参照面「中心(正面/背面)」に、外壁面を参照面「中心(左/右)」に位置合わせする。
    位置合わせする

  4. 作成>詳細パネル>線
    1. 描画パネルから「選択(緑色の線のアイコン)」を選び、ケラバ包みの外側の線を選択
  5. CADデータを選択して削除
    ケラバ包みの外側の線をなぞる

  6. 参照面を作成して寸法・ラベルを作成
    1. 可変にしたい寸法にラベルを作成します。ここでは幅のみに設定していますが可変にしたいところに参照面と寸法・ラベルを作成してください。
    2. パラメータはタイプパラメータにします。
    3. 可変にしたい線の両端に参照面と寸法を作成します
    4. 参照面は確実に線の端点を通過するように作成します。
      参照面と寸法・ラベルを作成

  7. 作成>詳細パネル>線で厚さ2mmで内側に線を作成し、確実に閉じた形状にします。
    閉じた形状を作成する

  8. 管理>未使用の項目を削除を何度か選択して、使用していない項目を削除します。
  9. ファイル>名前を付けて保存 で「プロファイル_ケラバ包み166」として保存

線基準ファミリの作成

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「一般モデル(メートル単位)、線基準面.rft」を開く
  2. 挿入>ライブラリからロードパネル>ファミリロード で作成したプロファイルをロードする。
  3. 作成>フォームパネル>スイープ
    1. パスを選択で参照線を選択
    2. モードパネル>✔
    3. プロファイルから「プロファイル_ケラバ包み166 : プロファイル_ケラバ包み166」を選択
    4. モードパネル>✔
      スイープ


  4. 管理>設定パネル>オブジェクトスタイル
    1. 新規作成ボタンでサブカテゴリ「ケラバ包み」を作成
    2. 投影、断面に適切な太さを設定
      サブカテゴリを作成

  5. 作成したフォームを選択して、プロパティウィンドウで「サブカテゴリ」をケラバ包みに設定
  6. 作成したフォームを選択して、フリッププロパティの関連付けボタンを押して、インスタンスパラメータ「フリップ」を作成して関連付ける
    フリップを関連付ける

  7. マテリアルの関連付けボタンで、タイプパラメータ「マテリアル」を作成して関連付ける。
  8. プロジェクトブラウザ>ファミリ>プロファイル>プロファイル_ケラバ包み166>プロファイル_ケラバ包み166をダブルクリックし、タイププロパティウィンドウを開き、
    1. パラメータ「幅」の関連付けボタンをクリック
    2. インスタンスパラメータ「幅」を作成し、関連付ける
      パラメータの関連付け

  9. 作成>プロパティパネル>ファミリタイプ で幅(規定値)パラメータを変更して振る舞いを確認する。
  10. ファイル>名前を付けて保存>ファミリで「ケラバ包み166.rfa」として保存
    ケラバ包み166.rfa

プロジェクトに配置

プロジェクトでの使い方は、折版や樋と同じで、作業面を指定して配置します。

  1. 作成したケラバ包み166をプロジェクトにロード
  2. 屋根の鉄骨天端を示す参照面を作成
    屋根鉄骨天端(勾配面)の参照面を作成

  3. 妻側の外壁を選択して、モードパネル>プロファイルを編集
    1. 天端を参照面に合わせた形状にする
      妻壁のプロファイルを編集

  4. 水下の平面図を作成して表示
  5. 建築>構築パネル>コンポーネント
    1. タイプセレクタからケラバ包み166を選択
    2. 修正|配置コンポーネントタブ>配置パネル>作業面に配置をクリック
    3. オプションバーの配置面で「参照面:屋根鉄骨天端」を選択
    4. 描画パネルから選択(緑色の線のアイコン)を選択
    5. 外壁面を選択してケラバ包みを配置
      外壁面を選択して配置

  6. 必要に応じてインスタンスパラメータ「フリップ」にチェックを入れて、反転させる
  7. インスタンスパラメータ「幅」を調整する
    幅を調整

2022年2月13日日曜日

折板(3)~軒樋

 軒樋

樋も線基準のファミリで作成すれば簡単に配置できます。

今回は軒樋を作ってみましょう。

ファミリの作成

今回はパナソニックのエアロアイアンをお手本として作成してみます。折版と同様にCADデータをダウンロードしてプロファイルを作成します。基準は中心の天端とし、形状は少々簡略化しておきます。

軒樋のプロファイル(折版120Ⅰ型)
次に樋のファミリを作成します。
  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「一般モデル(メートル単位)、線基準面.rft」を選択して開く
  2. 挿入>ファミリロード で作成した軒樋のプロファイルをロード
  3. 作成>フォーム>スイープ
  4. 作業面>パスをスケッチで次の図のようにパスを作成
    パスをスケッチ
  5. モード>✔
  6. プロファイルにロードしておいた軒樋のプロファイルを選択
  7. モード>✔
  8. 管理>オブジェクトスタイル でサブカテゴリ「軒樋」を作成する
  9. 作成したフォームを選択し、サブカテゴリを「軒樋」に指定。
    サブカテゴリを設定する

  10. フォームを選択し、プロパティウィンドウのマテリアルの関連付けボタンをクリック
  11. マテリアルというタイプパラメータを作成してOK。
    マテリアルを関連付ける

  12. 名前を「軒樋W120」として保存

端部について

軒樋の端部には「止まり」「外曲がり」「内曲がり」などの部材が接続されます。これらの部材をあらかじめ軒樋のファミリに組み込んでおきます。

  1. ファイル>新規作成>ファミリ で「一般モデル(メートル単位).rft」を選択して開く。
  2. 挿入>ファミリロード で作成した軒樋のプロファイルをロード
  3. 次の図のように参照面を作成して、寸法とタイプパラメータを作成
    参照面と寸法・ラベルを作成


  4. 作成>フォーム>スイープ
  5. 作業面>パスをスケッチで次の図のようにパスを作成
    パスのスケッチ

  6. モード>✔
  7. プロファイルにロードしておいた軒樋のプロファイルを選択
  8. モード>✔
  9. 樋と同様にマテリアル・サブカテゴリを設定する。
  10. 名前を「曲がりW120-1.rfa」として保存する。
    曲がり1

  11. 上側に作成した参照面を下にドラッグし、Lの値を150にする
    曲がり2

  12. 名前を「曲がりW120-2rfa」として保存する。

軒樋の両端に配置する

軒樋の両端に作成した曲がりを配置します。
  1. 軒樋W120.rfaを開く
  2. 挿入>ファミリロード で作成した曲がりW120-1と曲がりW120-2をロード
  3. 作成>コンポーネントで「曲がりW120-1」を左端に配置して、中心と右をロック
    左に配置

  4. 配置した曲がりW120-1をミラーコピーして、右に配置、ロックする
    右にもミラーコピーして配置&ロック

  5. 左の曲がりW120-1を選択し、オプションバーのラベルから<パラメータを追加>を選択。
  6. インスタンスパラメータとして「端部1」を作成
  7. 同様に右側の「曲がりW120-1」を選択して、「端部2」インスタンスパラメータを作成
    ファミリにラベルを作成

  8. プロパティ>ファミリタイプで「端部1」「端部2」のパラメータの値を切り替えて振る舞いを確認する
  9. 配置した左の「曲がりW120-1」を選択して、表示プロパティの関連付けボタンをクリックし、インスタンスパラメータ「端部1表示」とする。
    表示のパラメータを関連付ける

  10. 同様に右の「曲がりW120-1」を選択して、表示プロパティの関連付けボタンをクリックし、インスタンスパラメータ「端部2表示」とする。
  11. 上書き保存

プロジェクトに配置する

それではプロジェクトにロードして振る舞いを確認してみましょう。
  1. プロジェクトを開くまたは新規作成
  2. 軒樋を配置するレベル(たとえば水下)または名前の付いた作業面を作成する。
  3. 作成した軒樋W120をプロジェクトにロード
  4. 建築タブ>コンポーネントで軒樋W120を選択し、
    1. 配置>作業面に配置を選択
    2. オプションバーで「レベル:水下」または「作業面:○○」を選択
    3. 2点をクリックして配置
  5. 配置した軒樋W120を選択し
    1. プロパティウィンドウで「端部1」「端部2」「端部1表示」「端部2表示」のパラメータを捜査して振る舞いを確認する。
      端部1、端部2などのパラメータを操作して振る舞いを確認

端部には曲がりに加えて「止まり」もロードしておけば、様々な形状の樋を作成できるでしょう。
どんどんつなげよう!