2023年4月29日土曜日

地形がSOLIDになった!(2)

外構設定はどこへ?

Revit2024では外構設定は廃止されました。外構設定の「等高線」「断面グラフィックス」「プロパティ(敷地境界線)データ」の三つの機能は、

  • 等高線・断面グラフィックス→地形ソリッドのタイプパラメータ
  • プロパティデーター>敷地境界線データコマンド

となりました。

外構設定の各機能の振り分け先

等高線

地形ソリッドのタイププロパティの等高線表示プロパティの編集ボタンをクリックすると、次のようなダイアログボックスが表示されます。機能は今までと同じですが、指定した等高線ごとに表示非表示を切り替えられるようになっています。

等高線の間隔を指定する

このように等高線の間隔はタイプごとに指定することができます。

等高線を表示した地形ソリッド
もちろん、今まで通り等高線ラベルも配置できます。
等高線ラベル設定

【注意】

地形ソリッドを新規作成するときは、いくつかの基準を指定して相対的に数値を設定できましたが、表示される等高線は内部基準点からの標高となります。やはりベンチマークの高さと内部基準点の高さを一致させておいたほうが便利そうですね。

断面グラフィックス

断面グラフィックスはサーフェスであった地盤面が切断された(断面図で表示された)場合に疑似的にマテリアルを付ける機能でした。地形ソリッドではこのような工夫は必要なく、マテリアルを各レイヤに設定します。

次の図は、建築テンプレートに含まれる地形ソリッドタイプ「草原地帯-1200mm」のレイヤ構造です。

レイヤ構造

 この地形ソリッドを作成すると、基準レベルから50+150+1000=1200mm低い位置までの地形ができます。

地形ソリッドの断面

一番下のレイヤの変形(=variable=可変の誤訳)に✔が入っていることに注目してください。これはまさに床と同じ理屈で、上面の高さを編集すると、一番下のレイヤの厚みが変形するということを示しています。他のレイヤの厚みは変わりません。

チェックを入れたレイヤが変形する

たとえば一番上のレイヤの変数チェックすると次のような状態になります。

一番上のレイヤが変形

この振る舞いは床や屋根と同じです。2023以前のバージョンをお使いの方は、床を使って同様に地盤をソリッドで表現することができます。等高線は表示されませんが、建築としてはあまり問題ないでしょう。

切り取り

地形ソリッドは様々な要素で切り取ることができます。例えばテーパ付きの擁壁を作成し

「切り取り」を使って、壁→地形の順にクリックし、壁を非表示にすると
壁を非表示にしたところ

地形ソリッドが切り取られます。ほかにも多くの要素で切り取りが可能になりました。

根切や山留にも

建築工事で地形ソリッドを切り取るといえば、やはり根切工事でしょう。フーチングの周囲の根切を考えて次のようなボイドだけのファミリをつくってみました。高さや根切底のサイズはインスタンスパラメータで自由に変えられるようにしておきます。
簡単な根切ボイドファミリ

この時重要なことは、ファミリのプロパティ「ロード時にボイドで切り取り」を✔しておくことです。
ロード時にボイドで切り取りを✔

プロジェクトにロードして、切り取りコマンドを使えば地盤の掘削も簡単です。
根切

フェーズを使えば、今まで通り盛土切土の計算も可能です。

盛土切土も今まで通り


地形がソリッドになって、活用範囲が広がりそうです。

2023年4月23日日曜日

地形がSOLIDになった!(1)

地形ソリッド

長らくRevit唯一のサーフェス要素だった地盤面が、Revit2024から地形ソリッドとして生まれ変わりました。旧バージョンで作成した地盤面は引き続き有効ですが、編集や新規作成はできなくなります。

次の図はRevit2024のマス&外構タブ>外構作成パネルの外観です。

Revit2024
こちらはRevit2023の外構作成パネルです。
Revit2023
ご覧のようにいくつかのコマンドが廃止されています。大きな変化は次の通りです。

  • 地形(→地形ソリッド)
  • 地盤面を簡略化(→廃止・今のところ代替手段はない)
  • 地形面を分割(→修正タブの「要素を分割」)
  • 外構設定(地形ソリッドのタイプパラメータに組み込まれた)
  • 建築舗装(廃止・ボイドファミリを自作して切り取りを行う)

アップグレードすると地盤面はどうなるのか?

Revit2023以前からRevit2024にデータをアップグレードするとどうなるでしょうか?次のデータは地盤面に舗装とサブ領域を追加したモデルです。
舗装とサブ領域を含むRevit2013のデータ

これをRevit2024にアップグレードすると、まずは今まで通りの地盤面、舗装、サブ領域として再現されます。
Revit2024でも同じ要素として読み込まる

この地盤面を選択すると、次のようなボタンがリボンに表示されます。

このボタンを押してみると次のダイアログボックスが表示されて、地形ソリッドのレベルとタイプを指定します。
このダイアログボックスで注目するべきは3行目に書いてある「建築舗装は無視される」という一文です。
地盤面から地形ソリッドを作成する
地形ソリッドが指定したタイプで生成されますが、元の地盤面自体はなくならないので、変換が終わったら削除します。


サブ領域はサブ区画に変換されますが、舗装は変換されず地盤面として残ってしまいます。

地盤の分割

舗装はRevit2024で廃止されました。代替手段の一つとして、地形を分割して異なるタイプを設定することができます。
  1. 修正タブ>修正パネル>要素を分割
    要素を分割

  2. 地形を選択
  3. 分割線をスケッチして✔

  4. 地形ソリッドが分割されるので、選択して形状をリセットしたり、異なる地形タイプを設定します。
    異なる地形ソリッドタイプを割り当てる

要素を分割で地盤が分割できることは素晴らしい進化だと思います。残念なことは要素を分割で領域を分けることができるのは地形ソリッドだけで、床や屋根などは分割できない点です。

新規に地形ソリッドを作成する

新規に地形ソリッドを作成する手段として
  • スケッチから作成
  • 読込から作成
の二つの手段があり、読み込みから作成する場合はさらに
  • CADから作成
  • CSVから作成

と、旧バージョンの地盤面作成と同じ手段が提供されています。こちらにサンプルのCSVファイルを配置しておきますので、メートル単位で読み込んでみてください。
CSVから作成された地形ソリッド

スケッチから作成

スケッチから作成は次のステップで行います。
  1. 床と同様に外形線をスケッチして作成
  2. 選択して、床と同様にサブ要素(点・分割線)を追加する
2のステップでは、従来の「点を配置」と同様に、ポイントを作成してその高さを指定していきます。地盤面を作成するときの点の高さは内部基準点からしか指定できませんでしたが、地形ソリッドでは
  • 現在のレベル(地形ソリッドの基準レベル)
  • プロジェクト基準点
  • 測量点
  • 内部基準点
  • 現在の面の高さからの相対距離
で指定することができます。

まずスケッチで地形ソリッドの外形を作成します。この時注意するべきこととして、地形ソリッドの基準レベルをベンチマークのレベルに設定しておくことです。これにより、次工程の点を入力する作業において、点の高さの計算が不要になるでしょう。

次に、作成した地形ソリッドを選択すると次のような編集ツールがリボンに表示されます。
地形ソリッドを選択すると編集ツールが表示される

点を追加を選択し、「絶対」「現在のレベル」を選択

高さの値に適切な値を入れて、地形ソリッド面上をクリックして点を追加します。
高さを設定して点を追加

これを繰り返すこと地形ソリッドを作成できます。



今回の地形ソリッドの採用は、外構作成にとって朗報です。いまだ不十分な点はありますが、これからの改善が楽しみです。

2023年4月16日日曜日

注釈スケールを使用とは2(MEP)

継手

前回は付属品についての注釈スケールを使用について説明しましたが、今回は接手のお話です。

配管継手

次の図は配管のみを赤で表示した図です。左側から「レデューサ」「ジョイント」「クロス」「ジャンクション」「エルボ」です。

配管設定の配管継手注釈サイズは3mmで、スケールは1:200です。

1:200 上:詳細モード 下:簡略モード

詳細表示(上)と比べると、簡略表示(下)では配管接続位置が実際のコネクタの位置とは一致していないことがわかります。

簡略表示におけるダクト端部間の長さは、1:200なので、3mm×200=600 (エルボとレデューサは半分の300)となっています。

ダクト継手

配管同様にダクト継手も確認してみます。左側から「レデューサ」「ジョイント」「クロス」「ジャンクション」「エルボ」です。

ダクト設定のダクト注釈サイズは3mmでスケールは1:200です。

1:200 上:詳細モード 下:簡略モード

こちらも配管同様に簡略表示の際にダクトコネクタの位置に関係なく、ダクトと接手の接続位置は600mm(エルボは300mm)になりますが、左端のレデューサについては実際のコネクタの位置と同じ位置で接続されていますね。。。。

パーツタイプによる違い

注釈スケールは接手のパーツタイプによっては適用されない場合があります。ほかのパーツタイプはどうでしょうか?

配管継手の場合

パーツタイプ「マルチポート」については注釈スケールが適用されません。

マルチポートは注釈スケールは適用されない

ダクト継手の場合

パーツタイプ「レデューサ」「オフセット」「パント」は注釈スケールが適用されません。

オフセットとパントは注釈スケールが適用されない

パーツタイプを意識しよう

パーツタイプは様々なところで影響がありますので、MEPのファミリを作成するときは常にパーツタイプを意識する必要があります。

2023年4月9日日曜日

「注釈スケールを使用」とは?(MEP)

注釈スケール~付属品編

配管付属品・配管継手・ ダクト付属品・ダクト接手には注釈スケールを使用というインスタンスパラメータがあります。これはいったい何の役割があるのでしょう?ヘルプにも全くと言っていいほど詳細な機能については記載されていません。今回はこの機能について詳しく見ていきましょう。まずはダクト付属品・配管付属品について。

このプロパティをチェックするとどうなるのか?

配管・ダクトを単線表示したときの問題点

実際の例を見ながら配管ダクトを単線表示、継手や付属品を記号表示した場合の表現上の問題点を確認しましょう。次の図では配管にゲートバルブ(配管付属品)が挿入されている平面ビューの例です。上の図は詳細モードで、下が簡略モードです。

コネクタの位置は記号端部と必ずしも一致しない

ご覧のように、バルブの記号を縮尺にかかわらず一定の大きさで表示したい場合、どうしても実際のコネクタの位置と単線で表現した配管を記号に接続する位置が異なります。かといって記号を実際のバルブの大きさで表示したのでは、小さくなりすぎて記号が判別できなくなります。

そこで、注釈スケールを使用

「注釈スケールを使用」パラメータは、このような配管ダクトを単線表示したときにおこる、コネクタ位置と配管ダクトトリミング位置のギャップを解消するための機能です。

継手・付属品の注釈スケールを使用をオンにすると、コネクタ間、というよりも配管・ダクトの端部の間隔が尺度にかかわらず一定に保たれます。

単線で表示した配管の間隔(矢印)が設定値に保たれる

また、ファミリに設定されたシンボル線分で作成された記号はこの間隔に合わせた比率で拡縮されます。

間隔はどこで設定するのか?

この間隔を設定するには

  1. 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定
  2. 配管設定>配管継手注釈サイズ または ダクト設定>ダクト設定注釈サイズ で指定します。
たとえば、この数値を3.0mmとした場合、1/100では実測で300mm、1/200では実測で600mmが、継手や付属品に接続された配管・ダクトの間隔となります。
配管(ダクト)継手注釈サイズ


ファミリでの記号の設定

この機能を有効にするには、さらに継手・付属品のファミリにシンボル線分またはモデル線分で記号を描画しておく必要があります。注釈記号のネストで記号を作成してもこの機能は有効になりませんのでご注意ください。
たとえば、ゲートバルブ(M_ゲート バルブ - 50~300 mm.rfa)のファミリの場合、コネクタを両端として記号がモデル線分で作成されています。
黒太線がシンボル線分

これはある意味実際のモデルと同じサイズということになります。しかし、このシンボル線分は簡略時に指定したサイズに拡縮されて、印刷時には常に一定のサイズで表示されることになります。記号をコネクタ間にシンボル線分/モデル線分で描画することで適切な接続状況を表示することができます。
出力時に尺度にかかわらず一定のサイズ

なお、モデル線分で記号を作成すると3Dビューでも記号で表示されますが、3Dビューでは注釈スケールは適用されません。注釈スケールが適用されるのは平面/天伏ビューのみです。
3Dビューでは注釈スケールは適用されず実サイズで表示される

機能を体験する

ここで、実際にこの機能を体験してその振る舞いを確認してみましょう。
  1. ファイル>新規作成>プロジェクト で機械テンプレート で新規プロジェクトを作成
  2. 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
    • 単線継手対して注釈スケールを使用:☑
    • ダクト継手注釈サイズが3mm
    • に設定されていることを確認してOK
  3. 設備タブ>空調システムパネル>ダクト
    1. タイプセレクタで角型ダクトが選択されいてることを確認
    2. 適当な長さで一本ダクトを作成
  4. 設備タブ>空調システムパネル>ダクト付属品
    1. タイプセレクタでダンパーが選択されていることを確認
    2. 2か所ダンパーを配置する
      ダンパーを2か所作成

  5. ビューコントロールバーで詳細モード「簡略」を選択して、ダクトを単線表示にする。
    1. このとき、ダクトの端部の位置が変化することに注目してください。
      ダクト-ダンパーの接続位置の変化に注目

  6. 修正タブ>計測パネル>2点間を計測
    1. 単線で表示されたダクトの端部間を計測し、300mmになっていることを確認してください。(1/100なので3mm×100=300mmとなります)
      ダクト端部の間隔が300mm(尺度1/100時)

  7. 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
    • ダクト継手注釈サイズを5mmにしてOK
  8. 6と同様の手段でダクト端部の間隔が500mmになっていることを確認してください。また記号全体のスケールも変更されていることにも着目してください。

  9. 左側のダンパーを選択し、インスタンスパラメータ注釈スケールを使用のチェックを外します。
    1. 記号がダンパーの実寸法で表示されます。
      注釈スケールを使用のチェックを外してみる

  10. 管理タブ>設定パネル>MEP設定▼>機械設定>ダクト設定
    1. 単線継手対して注釈スケールを使用のチェックを外す
  11. 設備タブ>空調システムパネル>ダクト付属品
    • ふたつのダンパーの間に新たにダンパーを作成
    • このとき、最初からダンパーが実寸で表示されていることに注目してください。
    • また配置したダンパーの「注釈スケールを使用」がオフになっていることを確認します。
    • 機械設定の「単線継手大して注釈スケールを使用」をオフにすると、その後に配置する接手や付属品の「注釈スケールを使用」がオフになります。
    • また、すでに配置した要素には何の影響もありません。
      既定値で注釈スケールを使用はオフになっている

  12. 全てのダンパーの「注釈スケールを使用」をオンにします。
次回はダクト継手・配管継手における注釈スケールの機能を深堀りしてみます。

2023年4月1日土曜日

配置基準線とスティック記号

配置基準線とスティック記号の関係

配置基準線は構造フレームおよび構造柱の基準となる線です。

青い線が配置基準線

配置基準線は次の図のように構造柱と構造フレームのサブカテゴリが設定されています。

構造フレームと構造柱には配置基準線がある

一方、構造フレームを単線として表示するには、スティック記号という表現方法もあります。スティック記号と配置基準線はそれぞれ役割が異なるのですが、一般的にはビューの詳細レベルが

  • 簡略:スティック記号
  • 標準と詳細:配置基準線

の表示となります。しかしことは単純ではなく、さらに

  • ファミリの「記号表現」プロパティ
  • 構造柱と構造フレームのカテゴリでの違い

が影響します。

構造柱の配置基準線とスティック記号

構造柱のサブカテゴリ「配置基準線」をオンにしても、構造柱のファミリの設定によっては配置基準線が表示されない場合があります。一方構造フレームは、ファミリに特段の工夫がなくても配置基準線が表示されます。

ワイヤーフレームで表示。柱の配置基準線が表示されないことがわかる

構造柱の配置基準線を表示したい場合は、ファミリに配置基準線サブカテゴリでモデル線分で作成する必要があります。
ファミリ内にサブカテゴリ配置基準線のモデル線分を作成する

この時注意しなければならないのがファミリのプロパティ「記号表現」です。記号表現はスティック記号の表示方法をコントロールするプロパティですが、これが配置基準線の表示にも影響します。

記号表現の値がプロジェクト設定からになっている場合、簡略時はスティック記号が自動的に生成されて表示されるため、ファミリ内に作成した配置基準線は表示設定を特に行わなくても、簡略時は非表示となります。

記号表現の値がファミリからになっている場合、簡略時のスティック記号は自動生成されず、自分でモデリングする必要があります。つまり、スティック記号サブカテゴリと配置基準線サブカテゴリのモデル線分を両方作成し、それぞれ表示設定で「簡略」「標準と詳細」で表示するように設定する必要があります。

詳細レベル標準・詳細で配置基準線を表示

詳細レベル簡略でスティック記号を表示

構造フレームの配置基準線とスティック記号

上の図で、構造フレームでスティック記号が表示されているファミリと、されていないファミリがあります。これもまたファミリプロパティ「記号表現」の値が異なることが原因です。

構造フレームのファミリで、記号表現のパラメータの値をファミリからに設定した場合、スティック記号を表示したければ、ファミリ内にモデリングする必要があります。またサブカテゴリ「スティック記号」は構造フレームではシステムカテゴリではないので、自分で作成する必要があります。

一方、配置基準線はモデリングする必要はなく、Revitにより自動作成されます。ただし、柱とは異なり詳細モードにかかわらず配置基準線は表示されます。

「ファミリから」だと、構造フレームの配置基準線は常に表示される

まとめ

以下の表に、スティック記号と配置基準線と記号表現の関係をまとめました。

スティック記号と配置基準線の関係