2016年1月10日日曜日

ファミリ作成チュートリアル(2)

前回の「部品_ガラス.rfa」を利用して、ガラス入りのドアパネルを作成します。

框の作成

(1) [新規作成]-[ファミリ]で「一般モデル(メートル単位).rft」を選択。
(2) [作成]タブ-[プロパティ]パネル-[ファミリカテゴリとパラメーター]で「ドア」を選択し、ファミリカテゴリを「ドア」に設定する。
(3) 平面図で下の図のように参照面と寸法を作成し、「厚さ」「幅」を設定する。また、参照面の参照プロパティおよび名前プロパティも「正面」「背面」「右」「左」を設定する。
寸法にパラメーターをつけ、オプションバーの「インスタンスパラメータ」をチェック

(4) 正面のビューを開いて、下の図のように参照面を作成し、寸法・パラメーターを作成。
高さのパラメーターを作成

(5) 次に、ガラスをはめ込む部分として、図のように参照面とタイプパラメーターを作成する。
ガラスを入れる部分を作成

(6)[作成]-[フォーム]-[押し出し]で枠の部分を作成する。スケッチラインは参照面に確実にロックする。
スケッチラインを参照面にロック

(7)平面図-参照レベルのビューを開き、正面と背面の参照面に形状ハンドル(▲)をドラッグしてロックする。
厚さを調整する
(8) フォームを選択して、サブカテゴリを「パネル」にし、マテリアルをタイプパラメーター「マテリアル_パネル」を新規に作成してに関連付ける。

ガラスの挿入

ガラスをネストし、ガラスのパラメーターをパネルから操作できるように、関連付けを行います。

(1) [挿入]-[ファミリをロード]で、前回作成した「部品_ガラス.rfa」をロードする。
(2) [作成]-[コンポーネント]で任意の場所をクリックして配置する。ガラスのコンポーネントは平面図のビューでは確認できない場合がある。立面図-正面のビューを開いて、配置されていることを確認する。
平面図ビューではカットラインが高くてガラスが見えない
(3) 位置合わせを使って、ガラスの上下左右を参照面にロックする。
ガラスの端をロック
(4) 平面図に移動し、中心の参照面にガラスを位置合わせしてロックする。
ガラスをいちあわせする
(5) ガラスを選択し「タイプを編集」をクリック。「記号_ガラス_長さ」「記号_ガラス_間隔」「マテリアル_ガラス」のパラメーターの右端のボタンをクリックし、同じ名前のパラメーターを新規に作成し関連付ける。
ガラスのパラメーターを関連付ける
(6) ガラスを選択し、インスタンスパラメーターの「反転表示」のボタンをクリックし、「記号_反転表示」インスタンスパラメーターを新規に作成して関連付ける。

ガラスの幅の決定方法

パネルに挿入するガラスのサイズは、框の幅で決めたいこともあれば、ガラスの幅で指定した場合もあるので、どちらもできるようにパラメーターに一工夫加えます。


(1) 作成-プロパティ-ファミリタイプを開いて、図のようにパラメーターを追加する。

  • sガラス幅優先     はい/いいえ
  • sガラス幅        長さ
  • s框左           長さ
  • s框右           長さ
  • sガラス高さ優先    はい/いいえ
  • s框上           長さ
  • s框下           長さ

まとめて、パラメーターグループ「拘束」にいれておくとよいでしょう。これらはユーザー設定用のパラメータです。ここでは名前にはsetのsを付けてみましたが、わかりやすければなんでもかまいません。
入力用のパラメーターを準備
(2) 寸法グループのパラメーターに式を設定します。例えば「sガラス幅優先」を選択したときには「sガラス幅」の値で「框右」「框左」の値が設定され、選択していないときには「s框右」「s框左」の値で設定されるように、if文を使って処理を分岐します。
ifを使って処理を分岐
  • 框上 = s框上
  • 框下 = if (sガラス高さ優先, 高さ-sガラス高さ-s框上,s框下)
  • 框左 = if (sガラス幅優先, 0.5*(幅-sガラス幅),s框左)
  • 框左 = if (sガラス幅優先, 0.5*(幅-sガラス幅),s框右)
(3) この状態で、sがついているパラメーターを変更して、形状の変化を確認します。
スリットガラス

框ガラス

ポツ窓

パラメーターの設定で、様々なパネルを作成することができます。その他にも、前回のガラスに倣って、平面図や断面図での表現をマスキング領域を使って調整すればより実用的なファミリになります。

2015年12月28日月曜日

ファミリ作成チュートリアル(1)

ファミリ作成チュートリアル


ファミリの作成を練習してみましょう。ファミリ作成はまったく難しくありません。これは一種のデザイン行為であり、ファミリ作成ができるようになると、Revitはずいぶん扱いやすくなります。

ここではドアを例に建具を作る練習をします。ドアや窓などの建具は頻繁に作成するものです。部品に分けて作成しておくと、あとは組み合わせればいいのでたいへん便利です。

Step 1-1 ガラス記号の詳細コンポーネント

ガラスを表す記号はいろいろありますが、今回は下の図のような記号を使います。
ガラス記号
いきなりすべてを作らず、まず部品のファミリを作成します。

(1) [新規作成]-[ファミリ]で「詳細項目(メートル単位).rft」を選択
(2) 既存の参照面の交点から45度に新たな参照面を作成し、寸法を使ってロックします。
参照面を作成し角度寸法でロックする
(3) [管理]-[オブジェクトスタイル]で、サブカテゴリ「建具記号_ガラス」を作成。
建具記号_ガラス を新規作成

(3) [作成]-[線分]で線分をを下の図のように「建具記号_ガラス」で作成し、寸法を与えます。
説明を追加

(4) 寸法を選択し、オプションバーの「ラベル」から、<パラメーターを追加>を選択し、タイプパラメーター「記号_ガラス_長さ」「記号_ガラス_間隔」を作成します。

(5) 記号_ガラス_コーナー.rfaとして保存します。

Step 1-2 ガラス記号の詳細コンポーネント

記号_ガラス_コーナー.rfaを複数組み合わせて、ガラス記号.rfaを作成します。

(1) [新規作成]-[ファミリ]で「詳細項目(メートル単位).rft」を選択
(2) 既存の参照面を中心に、上下左右に等間隔で新たな参照面を作成し、それぞれ寸法を与えて均等ロックをします。
上下左右に参照面を作成
(3) 寸法を選択し、オプションバーの「ラベル」から、<パラメーターを追加>を選択し、インスタンスパラメーター「記号_ガラス_幅」「記号_ガラス_高さ」を作成します。
(4) 上下左右の参照面のパラメーター「参照」をそれぞれ「上」「下」「左」「右」とします。
参照面の「参照」プロパティを設定
(5) Step 1-1で作成した、記号_ガラス_コーナー.rfaをロードします。
(6) 回転や鏡像を使って適切な方向にして4つのコーナーに配置し、「位置合わせ」コマンドを使ってロックします。
「位置合わせ」を使って、参照面に確実にロックする
(7) 配置したガラス記号_コーナー.rfaを選択し、「タイプを編集」をクリック
(8) 「ガラス記号_長さ」「ガラス記号_間隔」の右端の□をクリックして、同じ名前のタイプパラメーターを新規に作成して関連付けます。
記号_ガラス_コーナーのタイププロパティを関連付ける
(9) 右上と左下のガラス記号1を選択し。[表示]の□をクリックし、「右上左下」という名前のパラメーターを新規作成して関連付けます。
表示パラメーターを関連付ける
(10) 左上と右下のガラス記号1を選択し、[表示]の□をクリックし、「左上右下」という名前のパラメーターを新規作成して関連付けます。
(11) [作成]-[ファミリタイプ]で、タイプパラメーター「反転表示」を[はい/いいえ]、[グラフィックス]で作成します。

(12) 右上左下の式に「=not (反転表示)」、左上右下に「=反転表示」を設定。これで、二組の記号の表示をクリック一つで反転することができます。
式を設定
(13) 最終的なパラメーターは以下のようになります。
「反転表示」はオフにしておく


(14) 記号_ガラス.rfaとして保存します。

Step 1-3 ガラスのファミリ

ガラスだけのファミリを作成します。平面図、断面図、立面図での表示も作成します。

(1) [新規作成]-[ファミリ]で「一般モデル(メートル単位).rft」を選択
(2) [作成]タブ-[プロパティ]パネル-[ファミリカテゴリとパラメーター]で「ドア」を選択
カテゴリを選択
(3) 平面図で下の図のように参照面と寸法を作成し、パラメーター「厚さ」を設定する。また、参照面の参照プロパティおよび名前プロパティも「正面」「背面」「右」「左」を設定する。
参照面と寸法、パラメーターを設定
(4) 立面図の背面を開いて、参照面の参照パラメーターと名前を設定します。「下」の参照面はレベルの線と重なっているので、TABキーを使って慎重に選択してください。

(5) 幅と高さの寸法を選択して、オプションバーのラベルから「幅」「高さ」を選択し、「インスタンスパラメーター」にチェックを入れる。
インスタンスパラメーターにチェックを入れる
(6) [作成]タブ-[フォーム]パネル-[押し出し]で、[描画]パネルから[長方形]を選び、図のように描画して、スケッチラインを参照面にロックし編集モードを終了します。
参照面に確実にロックする
(7) 平面図を開き、位置合わせを使って、正面、背面の参照面にロック
フォームを参照面にロック

(8) フォームを選択し、サブカテゴリを「ガラス」にする。
サブカテゴリを

(9) マテリアルの□をクリックし、パラメーターを関連付けます。
マテリアルのパラメーターを関連付ける

(10) 立面図-背面 を開き、Step 1-2で作成した、記号_ガラス.rfa をロードし、一旦適当に配置します。
(11) 配置した記号_ガラス.rfaを選択し、[作業面]パネル-[作業面を編集]をクリックし、「正面」を選択します。
作業面を設定

(12) インスタンスプロパティ「記号_ガラス_幅」「記号_ガラス_高さ」の□をクリックして、それぞれ「幅」「高さ」に関連付けます。
幅と高さを関連付ける
(13) 前景で描画のチェックを外します。
前景で描画のチェックを外す
(14) 記号の上下左右の中心を位置合わせします。
位置合わせで中心線をロック
(15) 同様に平面図-正面をひらき、[注釈]タブ-[詳細]パネル-[詳細コンポーネント]で、記号_ガラスを、作業面「背景」に配置し、同様の設定を行い、中心線をロックする。
背景に詳細コンポーネントを配置
(16) 配置した記号を選択し、プロパティウィンドゥの[タイプを編集]をクリック。[反転表示]の□をクリックして、インスタンスパラメーター「反転表示」に関連付ける。
反転表示を関連付ける

(17) 平面図-参照レベル を開き、フォームを選択し、[修正|ガラス]タブ-[モード]パネルの表示設定をクリック。下の図のように設定し、立面図を除いてこのフォームを表示しないように設定する。
フォームは立面図を除いて表示しない。
(18) [注釈]タブ-[詳細]パネル-[シンボル線分]をクリック。サブカテゴリを「ガラス[切り取り]」として、ガラスの線分を下の図のように作成。
詳細線分を作成

(19) 位置合わせを使って、左右、水平位置を参照面に合わせる。
(20) 作成したシンボル線分を選択し、[表示設定]をクリック、「インスタンスが切断された場合のみ」にチェックを入れる。
インスタンスが切断された場合のみをチェックする
(21) 立面図-右 を開き、(17)-(19)の手順を繰り返し、断面時のシンボル線分を作成すします。
断面のシンボル線分を作成
(22) フォームを選択し、プロパティウィンドウの[マテリアル]の□をクリックし、例によって「マテリアル_ガラス」というパラメーターを作成して関連付けます。
マテリアルのパラメーターを関連付ける
(23) 立面図を開き、記号を選択、タイププロパティを開いて、「記号_ガラス_長さ」、「記号_ガラス_間隔」を同じ名前のタイプパラメータを作成して関連付ける。
記号_ガラス_長さ 記号_ガラス_間隔 の関連付け

(24) ファミリパラメーターダイアログボックスで「厚さ」パラメーターを適切な値に変更する。また、[マテリアル_ガラス」にも、適切な値を設定する。
パラメーター一覧

(25) 3Dビューの「ビュー1」を開いて、見え方を調整する。

(26) 名前を付けて保存でファミリを選択し、オプションをクリック。サムネイルプレビューに3Dビュー:ビュー1を設定し、「ビュー/シートが最新でない場合は再生成」にチェックをして、「部品_ガラス.rfa」として保存する。

以上でガラスの部品は完成しました。プロジェクトにロードして、以下の点をチェックしてみてください。

  • 幅・高さの変更に形状、記号がつ追随するか?
  • 記号は片面だけ表示されているか?
  • 記号の反転表示はできるか?

プロジェクトにロードした「部品_ガラス」

今回はガラスの部品を作成しましたが、様々なテクニックをご紹介しました。次回は、このガラスを使って、ドアパネルを作成します。