2018年6月17日日曜日

窓ファミリ作成チュートリアル(8)~平面図/天井伏図での切り取り時とは

ファミリ要素の表示設定

ファミリ要素(フォーム)の表示設定のダイアログボックスには、ちょっと意味不明の用語があります。
ファミリ要素の表示設定ダイアログボックス
「平面図/天井伏図」はわかるとしても、「平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合」とは、いったい何を意味しているのでしょう?またこれをチェックするかしないかでどのような違いがあるのでしょうか?

カテゴリが許可する場合


まずは「カテゴリが許可する場合」の意味を理解しておきましょう。オブジェクトスタイルを表示すると、断面がグレーになっているカテゴリがあります。
断面がグレーになっているカテゴリがある
このように、カテゴリによっては断面が表現できないカテゴリがあります。これが「カテゴリが許可する場合」です。建築のカテゴリに限って調べてみると、「平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合)」が使えるカテゴリは以下の通りです。
表示設定の「カテゴリが許可する場合」が使えるか?断面があるカテゴリか?
一般モデルと構造接合を除いて、整合しています。

表示設定の意味

ではファミリの要素(ジオメトリ)の表示設定ダイアログボックスの

  • 平面図/天井伏図
  • 平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合)
の違いは何なのでしょうか?下の図のような窓カテゴリのファミリを作成して実験してみます。
実験用窓ファミリ。開口一杯に押し出しを3種類作成
このファミリの三つの要素の表示設定は以下のようになっています。
ジオメトリの表示設定
このファミリを使用して、平面図と天井伏図でどのような表示になるかテストしてみます。平面図も天井伏図も断面の位置はFL+1200とします。ビュー範囲は以下の通です。

平面図のビュー範囲
天井伏図のビュー範囲

【切断線にかかっている(切断されている)場合】

まずは、ファミリが断面線にかかっている、つまり切断されている場合です。断面図で見ると次の図のようになります。破線が平面図・天井伏図の切断面です。
切断面にファミリがかかっている場合
このとき平面図と天井伏図は次の図のようになります。わかりやすいように、見え掛りはマゼンタ断面は緑色に上書きしています。
平面図・△は「切り取り時」には表示されない
天井伏図・□しか表示されない。しかも見え掛り!?
平面図では「平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合)」にチェックが入っている要素(□と半円)が断面で表示されますが、チェックが入っていない△は切断されているにもかかわらず表示されません。

「平面図/天井伏図で切り取り時」は、ビューで切断されたときにその要素を描画対象とするかどうかを決めているのです。

また、「平面図/天井伏図」「平面図/天井伏図で切り取り時」両方にチェックが入っている□は、天井伏図では表示はされていますが、切断されているにもかかわらず、見え掛りで表示されてしまいます。

【切断線より下にある場合】

断面でみると下の図のような状態ではどうなるでしょうか?
平面・天井伏図の切断面より下にある場合
平面図と天井伏図は次の図のようになります。
平面図・切り取り時に✔をいれた半円は表示されない

天井伏図・何も表示されません
平面図ではファミリが投影(マゼンタ)で表示されますが、「平面図/天井伏図で切り取り時(カテゴリが許可する場合)」にのみチェックされている半円は、切断されていないので表示されていません。天井伏図では、何も表示されません。

【切断線より上にある場合】

断面で見ると下の図のような状態です。
平面図天井伏図の切断線より上にある場合
平面図と天井伏図は次の図のようになります。
平面図
天井伏図
平面図では切断線より上にある要素でも「平面図/天井伏図」に✔が入っている△と□は壁よりも優先して表示されます。
また天井伏図でも△と□は見え掛りとして表示されています。

まとめ

表示状態をまとめると下の表のようになります。
表示のまとめ
窓のカテゴリでは次の点に注意する必要があります。
  • 「平面図/天井伏図で切り取り時」のみに✔をいれた場合、切断されたときのみ描画対象となる。
  • 天井伏図では断面を表示することはできない。
さて、△□〇のどれが一番理想的だといえるのでしょうか?判断はいろいろあるとは思いますが、平面図天井伏図で切断されていないときにも表示されてしまうのはやはり少々おかしいような気もします。

また、後述しますが実は高さによっては「平面図/天井伏図で切り取り時」を✔していても見え掛りで表示されたりすることがあります。

窓を平面図・天井伏図で適正に表示するには、やはりフォームよりもシンボル線分やマスキング領域を使うほうがいろいろな意味でよいと思います。