2013年7月6日土曜日

平面図の描画システム(5)

切断できないカテゴリ

メイン範囲にある要素は、基本的にはオブジェクトスタイルで設定したとおりに切断面と見え掛りが描画されますが、さらに表示グラフィックスの上書き、フィルタ、要素の上書きなどさまざまに上書きされて描画されます。
オブジェクトスタイルをみてみると、「切り取り」がグレーになっているカテゴリがいくつか存在することに気が付くと思います。
切り取り(断面)がグレーになっているカテゴリが存在する
例えば、「家具」のカテゴリです。家具は「切っても切れないカテゴリ」なのです。断面にしても、平面図にしても、断面が要素を横断していても、常に「投影」が表示されます。例えば、高さ800mmのテーブルを配置してみます。ビューの断面がFL+1500の場合は次のようになります。
断面がFL+1500の場合
ところが、ビューの断面をテーブルの天板より下のFL+500に設定しても
断面がFL+500の場合
窓の描画には変化がありましたが、テーブルは相変わらず上からの投影が表示されています。このように、特定のカテゴリの要素は、平面図や断面図などで切断線が要素を「チップ」しるだけで、要素全体の見え掛り(平面・立面ともに)が表示され、断面は存在しません。考えてみれば、家具や衛生陶器など、切断面が表示されても図面としてはあまり意味がないので、これまた納得のいく例外といえるでしょう。

壁にも意外な盲点が・・・

もうひとつ注意しなければならない「盲点」があります。下の図を見てください。包絡されていない壁が存在します。その上、この壁は線が細く、断面ではなく見え掛りが表示されています。このビューの切断面はFL+1500です。
壁が細線(見え掛り)で描画されている
これを断面で見てみると、壁の高さが2000mmあり、ビューの断面(FL+1500)よりも高くなっているので、他の壁と同様に断面が描画されていもよさそうなものです。
ビューの断面はFL+1500だが・・・・
以前簡略モードの構造フレームは常に投影(見え掛り)になる、という例外をご紹介しましたが、壁にも「切っても切れない壁」、「切断されていても必ず投影(見え掛り)で表示される壁」が存在します。

「指定」の壁に注意!

この壁は高さを「指定」している壁です。
上部の拘束を「指定」にしている壁は要注意!

上部の拘束を「指定」にし、高さ指定を2000mmまでにした壁は常に見え掛りで描画されます。これを解消するには高さを2000mmより高くするか、あるいは上部の拘束を下部の拘束と同じレベルにし、上部レベルからのオフセットを2000とすれば
上部レベルからのオフセットを2000とすると
次の図のように断面が表示されます。
「指定」でなければ、断面が描画される
高さを「指定」した場合、2000mm以下なら見え掛りになり、他の壁や柱と包絡しなくなりますので注意が必要です。

描画システムの例外をきちんと把握しておけば、ラインワークに頼ることなく、美しい図面を作成することが容易に可能になるのです。