2016年3月13日日曜日

曲面ガラス

曲面ガラスはどうつくる?

下の図のような曲面ガラスをもったカーテンウォールを作成してみましょう。カーテンパネルは平面のみですが、一工夫すれば、このような曲面のカーテンウォールが作成できます。
曲面ガラスをつかったカーテンウォール (リアリスティック表示)
種明かしをすると、この図のパネルは「ガラスのマテリアルをつけた薄い壁」で作成しています。パネルでないところが引っかかるといえばひっかりますが、カーテンウォールのパネルにはカーテンパネルだけではなく、壁も設定することができるという機能を利用しています。

カーテンウォールの作成

(1) 図のように円弧のカーテンウォールを作成します。この時点では、定義は円弧でもカーテンウォールは直線形をしています。
この時点では曲がっていない
(2) 次にいくつかのグリッドを作成します。だいぶ曲線に近づきましたが、まだパネルは直線形状をしています。
まだカクカクしています。
(3) ここで、パネルを任意の壁に取り換えてみます。この時点で、曲面の壁になっていることがわかります。パネルは平面だけですが、壁ならば曲面の壁が作成できます。
(4) 次に、壁タイプを複製して、下の図のような薄いガラスのマテリアルをもつ壁を作成します。
厚さ10mmでガラスのマテリアルで構成された壁を作成
(5) これを(3)のカーテンパネルに割り当てると、曲面ガラスの壁ができます。
ガラスの「壁」をパネルに設定したところ
(6) さらに垂直マリオンをグリッドに割り当てると「らしさ」が増します。
垂直マリオンを追加 (リアリスティック表示)

水平マリオンは?

水平マリオンを加えるとどうなるでしょうか?これはちょっと残念な結果となってしまいます。
マリオンも直線部材だった! (リアリスティック表示)
残念ながら、マリオンもまた直線部材でしかありません。そこで水平部材はマリオンではなく、「壁の造作材(旧名壁のスイープ)」で作成します。

プロファイルの作成

壁の造作(スイープ)にはプロファイルが必要です。
(1) [R]-[新規作成]-[ファミリ]で「プロファイル(メートル単位).rft」を選択。
(2) [プロファイルの用途]を「壁の造作材」に。
(3) マリオンの形状をスケッチし、名前を付けて保存したら、プロジェクトにロードします。
マリオン形状をスケッチ
(4) ガラス壁のタイププロパティを開いて、[構造]-[編集]を選択、左下の[プレビュー(P)>>]ボタンをクリックし、同じく左下に現れた[ビュー(V)]を「断面図:タイプ属性を編集」に設定。
ビューを断面図に
(5) [壁の造作材]をクリックし、[追加]をクリック、(3)で作成したプロファイルを設定する。プレビューを見ながら、[オフセット]の値を調整する。
壁の造作材のプロファイルを設定
以上で、壁の端部にマリオン(もどき)が作成されます。
曲線の水平マリオン (リアリスティック表示)


2016年3月6日日曜日

マテリアル(8)~木材

Autodesk Material

[管理]-[マテリアル]で見ることのできる「オートデスのマテリアル」では、あまりほしいものがないなぁ、と思われている方も多いかもしれませんが、実は、オートデスクマテリアルライブラリにはまだまだ使われていない、かなり多くの画像が収録されています。これを使わないのはもったいない!と思いましたのでご紹介します。

Autodesk マテリアルライブラリは以下のフォルダに多くのマッピング画像が収録されています。

C:\Program Files (x86)\Common Files\Autodesk Shared\Materials\Textures
1,2,3のフォルダはサイズ違いの同じ画像

この中に「1」「2」「3」のフォルダがあり、それぞれ

  • 1 256x256ピクセル
  • 2 512x512ピクセル
  • 3 1024x1024ピクセル

の同じ画像が保存されています。
多くの画像が収録されている
よくみると、実に様々な素材が提供されており、組み合わせれば一般的なものはすべてこれらだけで作ることができそうです。なかにはバンプとセットになっているものもあり、かなり使えそうです。名前に「.bump.」を含むものだけ表示すると次のようになります。
バンプマップもいろいろある。これはほんの一部。

木の仕上材を作ってみよう

それでは、これらの画像を使ってマテリアルを作成してみます。下の図はウォールナットの素地に塗装をして仕上げるような感じでマテリアルを作成しています。
リアリスティック表示

(1) [管理]-[設定]-[マテリアル]を選択し、左下の○に+のボタンをおして、マテリアルを新規に作成します。
(2) [アイデンティティ]タブで、名前を設定します。
(3) [外観]タブで[このアセットを置き換えます]をクリックし、アセットブラウザを開きます。
(4) [外観ライブラリ]-[既定]を選択し、「硬質木材」の右端の矢印をクリックし、マテリアルブラウザを閉じます。
硬質木材を選択

(5) [外観]タブで[イメージ]の矩形をクリックし、以下のファイルを選択します。
C:\Program Files (x86)\Common Files\Autodesk Shared\Materials\Textures\2\Mats\Woods & Plastics.Finish Carpentry.Wood.Walnut.png
ウォールナットの素地とバンプ
(6) さらに[レリーフパターン]にチェックを入れて、レリーフパターンを「カスタム」を選択し、イメージに
C:\Program Files (x86)\Common Files\Autodesk Shared\Materials\Textures\2\Mats\Woods & Plastics.Finish Carpentry.Wood.Walnut.bump.png
を指定します。
イメージの設定
(7) 木材グループの[ステイン]にチェックを入れ、塗装色を指定し、さらに仕上と用途を設定します。
ステイン色、仕上、用途を設定
(8) [グラフィックス]タブでシェーディングの[レンダリングの外観を使用]にチェックを入れれば、完成です。

色々な木

木目の作成はこのようにとても簡単です。さらに
C:\Program Files (x86)\Common Files\Autodesk Shared\Materials\Textures\2\Mats
を「Wood」で検索すると、たくさんの画像があることがわかります。
多種多様な木材の画像
これらの画像とステイン、レリーフを使えば、いろいろな木材のマテリアルが手軽に作成可能です。
Autodeskマテリアルライブラリで作成した木のマテリアル(リアリスティック表示)

2016年2月27日土曜日

スラブの段差補強

段差スラブ

スラブの一部を下げる場合、段差部分に補強が必要です。これを「スラブハンチ」(旧名スラブエッジ)で作成してみましょう。
スラブ段差補強
スラブハンチを作成するには断面形状を「プロファイル」で作成しておきます。

プロファイルの作成

StepByStep

(1) [R]-[新規作成]-[ファミリ]で「プロファイル(メートル単位).rft」を選択して開く。
(2) [作成タブ]-[プロパティパネル]-[ファミリカテゴリとパラメータ]で、[プロファイルの用途]を「スラブハンチ」に、[モデルのマテリアルの動作]を「コンクリート」とします。モデルのマテリアルの動作は要素の結合時の振る舞いを決定します。
プロファイルの用途とモデルのマテリアルの動作を指定
(3) 参照線を下の図のように作成し、タイプパラメータを追加します。
参照面とパラメータを追加
(4) 線分を下の図のように追加し、端点に寸法を作成します。
(5) 作成した斜めの線分を再度選択し、寸法の値を0にしてロックします。
参照面の交点に斜めの線の端部をロックする
(6) [作成タブ]-[詳細パネル]-[線分]で[描画]-[選択]を使ってそのほかの線を、参照面にロックしながら作成する。
その他の線を作成
(7) 図のように角度寸法を作成し、パラメーターをAとします。
角度寸法を追加
(8) [プロパティパネル]-[ファミリタイプ]で「新しいタイプ」ボタンをクリックして、タイプ名を設定し、保存したうえで、プロジェクトにロードする。
ファミリタイプ

スラブハンチタイプの作成

プロジェクトにプロファイルをロードしたら、次にスラブハンチのタイプを作成します。

Step by Step

(1) プロジェクトブラウザの[ファミリ]ノードで、[床]-[スラブハンチ]を展開し、任意のタイプを右クリックして複製します。
任意のノードで右クリック―複製
(2) 名前を「スラブ段差」などとしてから、ダブルクリックしてタイププロパティダイアログボックスを開き、プロファイルを上記で作成したタイプに設定し、マテリアルも床と同じにします。

プロファイルとマテリアルの設定

スラブハンチを使う

スラブハンチは床の下端部のエッジラインを使ったスイープです。ですからスラブハンチは上のスラブの端部を指定して作成します。

Step by Step

(1) 3Dビューを開きます。
(2) プロジェクトブラウザの[スラブ段差]ノードをドラッグドロップするか、[建築]-[構築]-[床]-[スラブハンチ]を選択し、タイプを選択してから、下の図のように上のスラブの下のエッジラインを順番にクリックします。
床のエッジをクリック

異なる段差

段差が異なる場合は、プロファイルとスラブエッジのタイプを増やします。たとえば段差が200mmになった場合は、まずプロファイルを増やします。

Step by Step

(1) [プロジェクトブラウザ]-[ファミリ]-[プロファイル]-[スラブ段差]で、任意のノードを右クリックして複製し、適切にタイプパラメータを設定します。
プロファイルの新しいタイプを作成
(2) 同じく、スラブハンチのタイプを複製して、タイププロパティを設定します。
新しいスラブハンチのタイプを設定する
段差ごとにプロファイルとスラブハンチのタイプを作成します。段差が様々な複雑な形状でもスラブハンチならば対応しやすいです。

2016年2月21日日曜日

天井のラインを平面図に表示するには?

天井ライン

平面図に「庇」、「吹抜」、「折上天井」などの位置を示す破線を示すにはどうすればいいでしょうか?よい例が標準添付のサンプルプロジェクト「rac_advanced_sample_project.rvt」にあります。
サンプルプロジェクトを[R]-[開く]-[サンプルプロジェクト]で開いてみます。
サンプルプロジェクトを開く
プロジェクトブラウザで[ビュー]-[平面図]-[01 - Entry Level]を開くと、玄関部分の庇、ロビーの吹抜などが、破線で表示されています。
上方の形状が表示されている
これは、単純に詳細線分で書いたものではありません。庇部分を選択すると、屋根であることがわかります。どのようにして作成しているのでしょうか?
単なる詳細線分ではない

ラインワーク

答えは「ラインワーク」です。実際に実行してみます。

Step by Step

(1) [平面図]-[01 - Entry Level - Furniture Layout]を開きます。ここには屋根の形状は表示されていません。
(2) ビューのプロパティで[下敷参照図]グループの[範囲:基準レベル]を「01 - Entry Level」に、[下敷参照図の方向]を「見上げる」に設定し、アンダーレイを表示します。
アンダーレイを表示
(3) [修正]-[ラインワーク]で[線種]で「オーバーヘッド」を指定します。
ラインワーク
(4) 庇の外形をクリックします。
上方の要素の外形線をクリックして<オーバーヘッド>に変更
(5) (2)で指定した[範囲:基準レベル]を「なし」に戻します。
アンダーレイをなくしても、ラインワークの線は残る

要素の編集もできる

この方法で表示した屋根や吹抜などの要素は、選択して編集することができます。ロビーの吹抜のラインワークを選択し、[スケッチを編集]をクリックすれば、2階の床の形状を編集できます。
選択して編集することもできる。
編集を終了しても、破線表示は維持されます。
表示状態も維持される
大変手軽な方法ですので、切断線より上部にあるものを平面図に表示したい場合、試してみてください。

2016年2月12日金曜日

踊り場の踏面

階段はよくできてはいるが・・・

階段はごく普通の階段であれば手軽に作成できる便利な道具です。しかし、途中の踊り場に1段加えたいときはどうでしょうか?
踊り場に段を加える
今回は「踊り場の踏面」の入力法について考察してみます。

踊り場の踏板は段の一部

まずは踊り場の中間に1つ段を加えてみます。まず、下の図のように下側の経路を作成します。
下側の経路
出来上がった経路を選択し、[ツール]-[変換]をクリックします。
スケッチベースに変換する
[スケッチを編集]を選択すると下の図のようになります。色がついていますが、それぞれの色は下の図のような関係人なっています。
階段スケッチ各部の名称

まず境界を作成

踊り場の段は「大きい踏み面」ととらえます。境界線を下の図のように作成します。
境界線を作成

次に蹴上を作成

蹴上は以下の通りに作成します。蹴上は端部が接触しないようにしてください。
蹴上げの作成
赤○が作成のポイントです。蹴上線の端部が接触しないようにします。
悪い例
また、端部は境界線(緑)に接続するようにします。また、境界(緑)の線の端部は、必ず蹴上(黒)でふさぐようにスケッチします。

階段パス

階段パスを追加します。階段パスは意外に重要で、このままOKしてもエラーになります。必ず階段の上り方向を示さなければいけません。
階段パスを指し示すことが重要
そして、✅をおしてスケッチを終了し、残りの経路を追加します。
残りのパスはコンポーネント階段で作成
3Dで確認してみると
踊り場にステップ
コンポーネント階段だけでは、踊り場にけ上げを作るのは難しいですが、スケッチを併用すれば、このような階段を作成できます。

ささらに注意

以上のようなやり方で鉄骨階段を作成すると、下の図のようにささらの形状がおかしくなる場合があります。
ささらが・・・
この場合は、境界線(緑)をステップの一番上で分割します。
赤丸の位置で緑の線を分割する
完全ではありませんが、ささらの形状が改善できます。