2013年12月21日土曜日

カーテンウォール(4)~パネルを割り込まないマリオン

バックマリオン

今回参考にさせていただいているメタルポイントのカーテンウォールは三協アルミのメタルポイントグレージングカーテンウォール(http://buildingsash.net/product/curtain/21/217/mpg.html)の固定タイプです。
カタログや参考図をみると、メタルポイントは後ろの直径120mmの支柱に支えられています。この円形のマリオンはカーテンウォールの芯から300mm程オフセットしています。
そこで、円形のマリオンのタイプを複製して、次のような設定にしてみます。
半径とオフセットを設定する。

一見問題なさそうですが、これを縦のグリッドに割り当てると・・・
マリオンの厚さだけパネルとパネルの間に隙間ができる

長方形のマリオンや円形のマリオンでは、オフセットをどのように設定しても、必ずパネルの間に隙間ができます。

パネルを割り込まないマリオン

パネルを「割り込まない」マリオンを作成するにはどうしたらいいでしょうか?答えは前々回説明したようにオリジナルのプロファイルを作成すればいいのです。具体的に見ていきましょう。

Step By Step


  1. [新規作成]-[ファミリ]で「プロファイル - マリオン(メートル単位)」を選択します。
  2. 図のように、水平の参照面と交わらないように円を作成し、名前を付けて保存します。

中心(正面/背面)参照面とプロファイルの線が交わらないようにする。
このプロファイルをプロジェクトにロードし、円形のマリオンタイプを複製し編集します。下の図は円形マリオンのタイププロパティです。
プロファイルを作成したプロファイルに変更する
このマリオンを使えば、下の図のようにカーテンパネルを割り込まない、独立した支柱をマリオンとして作成することができます。
カーテンパネルを割り込まないマリオンの完成
カーテンウォールを使う場合、デザインをよく見て、マリオンとパネル、どちらに何を受け持たせるかを考える必要があります。また、パネルは複数のマテリアルを割り当てることができますが、マリオンは単一のマテリアルしか使えません。うまく使い分ければ、マリオンだけは木質系のカーテンウォールも下の図のように作成可能です。
アルミと木質のコンビネーションも可能
どこまでがパネルで、どこからがマリオンか、考えてみてください。

2013年12月7日土曜日

カーテンウォール(3)~パネル

メタルポイントのパネルを作ってみる~その1

マリオンが自由に作れるようになったところで、今度はパネルを作ってみましょう。パネルは「ストレッチ可能な矩形」と思えばだいたいOKだと思います。そこで今回は四隅をメタルポイントで支えるタイプのパネルを作成してみます。
メタルポイントのカーテンウォール

作り方の方針

マリオンはプロファイル(外形線)のスイープ(引き伸ばし)ですから、メタルポイントには使えません。そこで、メタルポイントはパネルの四隅に作成します。
メタルポイントはパネルの一部として作成
四隅のメタルポイントは実際には上下左右のパネルにより表示されますから、左上か右上の一つだけを作成し、さらに表示非表示がインスタンスで切り換えられるようにしておきます。

Step By Step


  1. [アプリケーションマーク]-[新規作成]-[ファミリ]
  2. 「カーテンウォール パネル(メートル単位).rfa」を選択

ガラスの作成

最初からパネルの範囲を示す参照面が引かれているので、これを利用してガラスを作成します。よほど特殊な事情がない限り、参照面-中心(正面/背面)の前後に均等にガラス厚をとります。

Step By Step


  1. [立面図(立面図 1)]-[外部]を開きます。
  2. [作成]パネル-[フォーム]パネル-[押し出し]
  3. 矩形をスケッチし、上下左右の参照面にロックします。
    上下左右の参照面にスケッチラインをロック
  4. プロパティで押し出し終点を10、押し出し始点を-10、サブカテゴリを「ガラス」とし、合計2mmのガラスパネルとします。
  5. マテリアルを後から変えられるようにしたいので、マテリアルの右端の小さなボタンををクリックします。
    マテリアルにパラメーターを追加
  6. [パラメーターを追加]ボタンをクリックし、名前を「カーテンパネルガラス」としてOKを2回押し、修正|押し出しを作成タブのモードパネルの終了をクリックします。

メタルポイントの作成

上下左右の参照面に回転体を使って作成します。

Step by Step


  1. [立面図(立面図 1)]-[左]を開きます。
  2. [作成]パネル-[フォーム]パネル-[回転]をクリック。
  3. [作業面]パネル-[セット]をクリックし、作業面を「参照面:左」としOK
    回転体のプロファイルをスケッチする面を指定する
  4. 外形ラインを作成し、軸線を参照面にロックします。
    回転体のプロファイルと軸線を作成
  5. ガラスと同様にマテリアルにパラメーター「メタルポイント」を作成して終了します。
    完成したメタルポイント

表示・非表示のコントロールを追加

表示・非表示をインスタンスでコントロールできるようにします。こうすれば端部のパネルにおいて不必要なメタルポイントを非表示にすることができます。

Step By Step

  1. 作成したメタルポイントを選択
  2. プロパティのグラフィックスの表示のボタンをクリックします。
    表示にパラメータを追加する
  3. [パラメーターを追加」ボタンをクリック
  4. 名前を「メタルポイントの表示」、「パラメーターグループ」をグラフィックス、「インスタンス」を選択しOK。これで個々のパネルでメタルポイントの表示、非表示を切り替えらえるようになります。
以上でパネルが完成しました。
次回はマリオンを作成します。

2013年11月23日土曜日

カーテンウォール(2)~マリオンの作成

マリオンの形状

カーテンウォールのマリオン(枠)は、外形線(プロファイル)をグリッドラインに沿ってスイープしたものです。下の図は三協アルミのARMSのシリーズ(http://www.arm-s.net/)の方立です。このプロファイルを作成する方法を見ていきましょう。

Step By Step


  1. [アプリケーションマーク(右上のR)]-[新規作成]-[ファミリ]
  2. プロファイル - マリオン(メートル単位).rfaを選択し開く

このテンプレートを使用すると下の図のようになっています。
ここで注意することは、

  • 水平の参照面-中心(正面/背面)参照面をガラス芯として作図する。
  • 下が外、上が内側として作図する。

の2点です。
特に重要なのが水平の参照面で、右上の注釈にあるように、この参照面と作成する参照面が交差する点までカーテンパネルが伸びてきます。この方立では下の図の水色の部分がガラスですので、この中心を水平の参照面に合わせて、プロファイル(黒色の線)を作成します。
ガラス(水色)中心を水平の参照面に合わせる
このプロファイルに名前をつけて保存します。

マリオンの作成

次にこのプロファイルを使ったマリオンを作成します。

Step By Step


  1. 目的のプロジェクトを開く、または新規に作成します。
  2. [挿入]タブ-[ライブラリからロード]-[ファミリをロード]で作成したプロファイルをロードします。
  3. プロジェクトブラウザで[ファミリ]-[カーテンマリオン]-[長方形のマリオン]を展開し、いずれかのタイプを右クリックし[複製]をクリックします。
  4. 長方形のマリオンのタイプを複製
  5. 適切な名前をつけ、ダブルクリックしてタイププロパティを開きます。
  6. [建設]セクションのプロファイルに作成したプロファイルをセットします。
プロファイルを変更する。
これでマリオンの作成は終了です。下の図はこのマリオンを使って作成したカーテンウォールです。
プロファイルを使って作成したカーテンマリオン

マリオンとガラスのつながり方に着目してください。ガラスパネルが目的の位置で納まっていることがわかります。
皆さんも、水平の参照面とプロファイルの交差位置に注意して色々なマリオンを作成してみてください。

2013年11月10日日曜日

カーテンウォール(1)

マリオン

カットアウトの説明で、外部フェンスの画像をご紹介しましたが、このフェンスは手摺ではなく「カーテンウォール」で作成しています。
カーテンウォールで作成したフェンス
前回紹介したグリッド天井もカーテンシステムの屋根で作成しています。
カーテンシステムで作成した格子天井
今回はカーテンウォールについて考えてみたいと思います。

マリオン

カーテンウォールは

  • マリオン
  • パネル

で構成される格子状の要素です。格子は「グリッド」で作成されます。まずはマリオンについてみてみます。マリオンは壁や床のようにシステムファミリであり、基本的にはプロファイル(閉じた線)を一方向にスイープしたものです。プロジェクトブラウザで[ファミリ] > [カーテンマリオン]を展開すると次のような6つのマリオンファミリがあります。
マリオンのファミリ
この6つのタイプは

  • 一般マリオン-------------円形・長方形
  • コーナーマリオン----------L字型・V字型・台形・四半円形

に分類されます。まずはコーナーマリオンにどんな種類があるのかを見ておきましょう。


  • L字型コーナーマリオン

L字型コーナーマリオン

  • V字型コーナーマリオン

V字型コーナーマリオン

  • 台形コーナーマリオン

台形コーナーマリオン

  • 四半円形コーナーマリオン

四半円形コーナーマリオン
これらのコーナーマリオンは接合角度によって形状が変化します。
接合角度で変化したL型コーナーマリオン
コーナーマリオンは上記のような一定の形状しかできません。一方で「円形マリオン」と「長方形」マリオンの二つは自由にプロファイルを定義できます。この二つのマリオンを上手に使えばかなり本格的なカーテンウォールが表現できます。
オリジナルのプロファイルで作成したマリオン
次回は自由なマリオンの定義方法について見てみましょう。

Revit Peeler MEP

ところで、Revitの設備モデリング機能について、別途ブログを開始しました。Revitが1BOXになって、意匠・構造・設備がすべて使えるようになりました。これを機会に設備モデリングを始めてみませんか。ぜひ一度こちらもご覧ください。

Revit Peeler MEP

2013年10月26日土曜日

マテリアル(7)~カットアウト

カットアウトは薄い

フェンスやパンチングメタルのような「薄い」ものであれば、カットアウトはお勧めです。しかしながらグリッド天井などある程度の厚さのものをカットアウトで表現するのは若干問題があります。
下の図は厚さ25mmの天井に、200mmの格子をカットアウトで表現した様子です。
カットアウトで表現したグリッド天井
見てのように、天井の表面にのみマテリアルが割り当てられるため、グリッドの厚さを表現されていません。
カーテンシステムで表現したグリッド天井
こちらはカーテンシステムで表現したグリッド天井です。こうのうような厚さを表現することはカットアウトではできません。

薄い金属板は得意

一方でパンチングメタルのような薄い材料はカットアウトの得意とするところです。
パンチングメタルをカットアウトで表現
エキスパンドメタルやパンチングメタルなどの金属板はうすい板状の押し出しにカットアウトで作成するほうが効率的です。

パンチングメタル

パンチングメタルはオートデスク外観アセットに既製品がありますのでこれを改造するとよいでしょう。アセットブラウザで「プレート - メッシュ」を検索してください。
[外観ライブラリ]->[メタル]->[プレート - メッシュ]
名前はメッシュですが、パンチングメタルです。
名前はメッシュでも実はパンチングメタル
この「色」を好みの色に調整し、さらに「イメージのフェード」を調整すれば、様々なパンチングメタルを表現できるでしょう。このマテリアルではカットアウトのパターンにイメージ画像を使用しています。そのほかにも「メタル」フォルダにはいろいろな金属板のマテリアルがあるので、参考にしてみてください。


2013年10月19日土曜日

マテリアル(6)~カットアウト

カットアウトとは?

例えばフェンスの金網のような細かなものは実際にモデリングしてもよいのですが、カットアウトを使って表現することもできます。
カットアウトで表現されたフェンス(リアリスティック+アンビエント)
カットアウトは白黒の画像を使って、マテリアルをマスキングするもので、ちょうどアルファチャンネルのようなはたらきをします。ここでは上の図の金網のマテリアルをどのようにして作成したかを説明します。

フェンスのマテリアルをカットアウトで作成する

[管理タブ]->[マテリアル]でいつものようにマテリアルダイアログを開き、マテリアルを新規に作成してください。名前はフェンス50など、適切な名前を「アイデンティティ」タブでつけます。
アイデンティティタブでマテリアルの名前を設定する
「外観」タブをクリックし、「情報」で名前を設定します。
外観タブで外観アセットの名前を設定
「一般」で金網の色を設定します。

金網の色を指定
「カットアウト」を☑し、表示されたファイルを選択ダイアログボックスはキャンセルします。イメージボックスの右にある▼をクリックし、「タイル」を選択。
「タイル」を選択
ここではプロシージャマップである「タイル」を使用しますが、もちろんイメージ画像を作成してそれを使うこともできます。画像は白黒で作成し、黒の部分が透過されます。フェンスは規則正しいのでプロシージャマップで対応できます。
テクスチャエディタで、以下のように設定し、50mm、45度のひし形を作成しましょう。
200mm角を4等分し45度傾ける
[パターン]のタイルの数を行単位、列単位とも4
[タイルの外観]のタイルの色を「黒」、色の変化、色あせの変化を0
[目地の外観]の目地の色を「白」、ギャップの幅を「1」
[変換][位置]の回転を45°
[尺度]サンプルサイズを幅、高さともに200mm

として終了し、プレビューで効果を確認してください。
黒は透過
次回は「カットアウトのちょっとした使用上の注意」について触れてみたいと思います。

2013年10月12日土曜日

マテリアル(5)~プロシージャマップ

目地の色と幅

目地の色を白色にします。テクスチャエディタの[目地の外観]の三角をクリックし展開し、目地の色を白にします。
目地の色を白に変更
さらにギャップの幅を0.2前後に調整し、目地幅を少し細めにします。
ギャップの幅を0.2
このギャップの幅の数字が何を意味するのかは、正直なところ私もよくわかりません。ヘルプにも特に記載されていないので、正確に5mmの目地にすることはできませんが、大体の感覚で決めてください。もしご存知の方がいらっしゃればぜひ、コメントをいただきたいです。

バンプを付ける

さらにバンプを付けることで、目地の「彫り」を表現してみましょう。バンプは前回説明した通りなのですが、これまたプロシージャマップで指定することができます。
マテリアルブラウザに戻り、□バンプをクリックすると、ファイルを選択ダイアログが現れますが、これはキャンセルします。
そして、[イメージ]の右側にある下向きの▼をクリックし、[タイル]を選択します。
バンプにもプロシージャマップを適用する
テクスチャエディタが開きます。ここでは、[一般]で指定した、数値情報をそっくりそのまま指定します。ただし、色だけはタイルを白、目地を黒にします。
数値(赤)は一般(タイル)と同じに、色は白と黒に

白に対して黒い部分がへこみますので、目地を黒とします。数値情報を同じにすることで、バンプの座標をタイルの外観に合わせることができます。
バンプの量を200程度にすると、ぐっと彫りが深くなります。
バンプ量はプレビューを見ながら調整する
バンプの効いたプロシージャマッピング
とりあえず青っぽいタイルがほしい!というようなときにはとても便利です。

2013年9月29日日曜日

マテリアル(4)~プロシージャマップ

プロシージャマップとは?

いままではイメージ画像をマッピングしてマテリアルを作成する方法を説明してきましたが、これをイメージマップといいます。ところが、まだ具体的な材料が決まらない段階では、プロシージャマップと呼ばれる数学アルゴリズムによって生成されるマッピングを使うと便利です。まずは、またまたタイルを例に挙げて、「青っぽい45二丁掛タイル」を作ってみましょう。
プロシージャマップ作成手順
まず、「管理」タブの「マテリアル」でマテリアルブラウザを表示し、前回までに作成した「外壁A」を選択します。
マテリアルブラウザで「外壁A」を選択
右上の「このアセットを置き換えます」ボタンをクリックし、アセットブラウザを開きます。「外観ライブラリ」フォルダを展開し、「既定」を選択、「一般」行の右端にある矢印ボタンをクリックします。
アセットブラウザで「既定」-「一般」を選択し右端のボタン(赤枠)をクリック
マテリアルブラウザで、前回と同様に「情報」を展開し、適切な名前を設定します。
外観アセットの名前を設定
「イメージ」の右端にある▼をクリックします。ここにある8種類がプロシージャマップです。
8種類のプロシージャマップ
この中から「タイル」を選択すると、テクスチャエディタが開きます。(このとき英語版のダイアログが現れた場合は「マテリアル(2)」の方法で修正してください。)
テクスチャエディタ

タイルのサイズや積み方を設定

既定の状態では縦横のサイズは304.8mm、つまり1Feetになっていますのでこれを変更します。
▼変換の下の▼尺度、サンプルサイズを2000mmx2000mmとし、▼パターンを「長手積」、タイルの数を行単位10、列単位20とすることで、タイル一枚のサイズを100mm×50mmに設定します。
タイルサイズを決定する

タイルや目地の色を設定する

「タイルの外観」を展開し、「タイルの色」を任意の色に設定します。このときプレビューがリアルタイムに変更されるので、色合いを見ながら決めてください。
また、「色の変化」「色あせの変化」の値を調整して、微妙な色むらをつければ、よりタイルらしい外観になります。
タイルの色を設定する
次回は目地の設定をしてみましょう。