2018年1月13日土曜日

/1の効用

単位にうるさい計算式

集計表の計算式は便利なのですが、「単位」について非常に厳格です。ちゃんと筋が通っていないとエラーになります。たとえば、換気計算の式に次のようなものがあります。

必要換気量(㎥/h) = 20(㎥/h・人)×床面積(㎡)÷一人当たりの専有面積(㎡)

この計算式では20は固定値で、一人当たりの専有面積は部屋の用途に応じて一定の値が定められています。(必要換気量の求め方:三菱電機参照
例えば、Excelであれば、数値だけの操作になるので、この計算表を作ることは簡単です。しかしRevitの集計表で作ろうとすると、単位をそろえなければならないので一工夫必要です。

計算式で自動的に単位を補ってくれる場合

(1) 床面積:㎡

これは素直に部屋の面積を使えばいいです。

(2) 一人当たりの専有面積:㎡

新たに単位を面積としてインスタンスパラメータを作成します。こちらの値は部屋の用途に応じて手動でインプットします。

(3) 必要換気量:㎥/h---計算式

必要換気量を求める式を作成します。式の結果としては㎡/hの単位が必要なので専門分野[HVAC]で[風量]を使います。[風量]の単位は㎥/hですからこれがそのまま使えます。

そして式ですが、素直に「20*面積/一人当たりの専有面積」としてOKします。
OKしてもエラーは起きない
何もエラーは起きないはずです。
もう一度編集ボタンをおして式をチェックしてみる。

もう一度計算式フィールドを編集ボタンで見てみると

  • 20 m³/h * 面積 / 一人当たりの専有面積

となっており、定数20の後に自動的に単位「m³/h」が補われています。「面積/一人当たりの専有面積」の部分が「㎡/㎡」で単位がなくなってしまうので、定数部分の20に「㎥/h」が補われているのです。

自動的に単位を補ってくれない場合

必要換気量の計算として以下のような式もあります。

必要換気量(㎥/h)=毎時必要換気回数(回/h)×部屋の容積(㎥)

部屋の容積はRevitからそのままいただくとして、毎時必要換気回数の「回/h」はどうしたものでしょうか?Revitでは「回/h」という単位は扱えないので、「整数」としてパラメータを作成します。整数は無単位です。(少数がある場合は「実数」を使います。)計算式に

  • 毎時必要換気回数*容積

としてOKを押すと、以下のようなエラーが表示されます。
エラーが表示される
式の中に定数があればRevitが不足する単位を補ってくれるのですが、今回は定数がないので、単位を補完することができず、エラーとなってしまいました。

定数 /1

そこで、無理やり式に定数を加えます。毒にも薬にもならない「÷1」つまり「/1」を式に加えます。Revitが/1に適切な単位を加えてくれるはずです。

  • 毎時必要換気回数/1*容積

としてOKを押します。こんどはエラーが表示されません。もう一度編集ボタンをおして式の様子を見てみると
s(秒)が補完されている

  • 毎時必要換気回数 / 1 s * 容積

となって、時間の単位[s]が補充されてます。今回の時間の単位は秒ではなく時間なので、この「s」を「h」に書き換えてOKします。
「s」を「h」に書き換える

  • 毎時必要換気回数 / 1 h * 容積

これで目的の必要換気量を求めることができます。

*1でもOK

毒にも薬にもならないといえば/1以外にも*1(×1)でも値が変化しないという点では同じですよね。試しに、

  • 毎時必要換気回数*容積*1

としてみると計算式は
「Hz」が補完される

  • 毎時必要換気回数 * 容積 * 1 Hz

と「翻訳」されます。Hzは回/秒ですから理にかなってますね。この式に「/3600」を加えて
  • 毎時必要換気回数 * 容積 * 1 Hz / 3600
とすれば、結果は同じになります。
計算式を作成するときに起こりがちな単位に関するエラーですが、「/1」や「*1」を加えることで、Revitが単位を適切に処理してくれます。