2023年12月30日土曜日

参照面とスコープボックス

特定のビューにのみ参照面を表示するには

特定のレベルにのみ表示される参照面を作るには、スコープボックスを割り当てましょう。次のようなレベル1~3(各階高さ3500)のプランの壁芯を参照面で作成し、必要なビューにのみ表示してみましょう。

レベル1

レベル2

レベル3

スコープボックスの作成

各レベルにスコープボックスを作成します。v2024 ではスコープボックスの高さを数値で指定できるようになりました。次の断面図のようにスコープボックス「レベル1」「レベル1-2」「レベル1-3」を作成します。

3つのスコープボックスを作成する

  1. レベル1の平面図を開く
  2. 表示タブ>作成パネル>スコープボックス
  3. 2点をクリックして矩形のスコープボックスを作成し、形状ハンドルをドラッグして全体を囲むようにする。
  4. スコープボックスのプロパティで、高さを階高に、名前を「レベル1」と設定する。
  5. 作成したスコープボックス「レベル1」を選択
  6. 修正|スコープボックスタブ>クリップボード>コピー
  7. 修正|スコープボックスタブ>クリップボード>貼り付け▼>同じ位置に位置合わせ
  8. 貼り付けたスコープボックスのプロパティで、高さを7500、名前をレベル1-2
  9. 修正|スコープボックスタブ>クリップボード>貼り付け▼>同じ位置に位置合わせ
  10. 貼り付けたスコープボックスのプロパティで、高さを10500、名前をレベル1-3

壁芯に参照面を作成

レベル1の平面図を開いて、次の図のように間仕切壁を作成します。
レベル1で3つの間仕切壁を作成

中央と右の間仕切壁をレベル2へコピー、右の間仕切壁をレベル3にコピーします。
断面図:各レベルに間仕切壁を作成

レベル1の平面ビューを開き、各間仕切壁の壁芯に参照面を作成します。
各間仕切壁の壁芯に参照面を作成

このときレベル2、レベル3の平面ビューには、左と中央の参照面が表示されています。
レベル3の平面ビュー
レベル1の平面ビューで、左側の参照面を選択し、プロパティウィンドウでスコープボックスに「レベル1」を設定
参照面のプロパティ「スコープボックス」
続いて中央の参照面のスコープボックスを「レベル1-2」に、右の参照面のスコープボックスに「レベル1-3」を割り当てます。スコープボックスを割り当てると、参照面の範囲がスコープボックスに合わせて調整されます。
参照面の範囲がスコープボックスに合わせて調整される
これは断面図においても同じです。つまり高さについても修正されます。、
参照面の高さもスコープボックスに合わせて調整

平面ビューの確認

レベル2、レベル3の平面ビューを確認して各参照面の表示状況を確認してください。
レベル1

レベル2
レベル3

ビューの表示

2024以前のバージョンでは高さを数値で指定できないため、表示状態が異なる場合があります。そのような場合はスコープボックスのプロパティ「ビューの表示」を確認してみましょう。スコープボックス「レベル1-2」を選択し、プロパティ「ビューの表示」の編集ボタンをクリックします。
スコープボックス ビューの表示
これは、スコープボックスに関連しているデータム要素(通り芯、レベル、参照面)の各ビューでの表示状況を調整するダイアログボックスです。
自動表示は各ビューでのスコープボックスの規定値の表示状態を示しています。ビューの切断面とスコープボックスが交差していれば表示となりますが、「優先」列で上書きすることができます。強制的に表示したり非表示にする場合は優先列の値を修正してください。

2023年12月24日日曜日

シートでフィルタ

シートに配置されたビューにある要素のみ表示する

Revit2023から集計表に「シートでフィルタ」の機能が追加されました。この機能を使えば、シート状に配置されているビューに表示されている要素のみを集計表に表示することができます。

シートでフィルタ

今回はこの機能の利用方法を考えてみます。いろいろなパターンが考えられますが、例えば壁凡例を作ってみてはどうでしょう?

壁記号凡例に応用!

次の図は、集計表を使って壁カテゴリで「マーク(タイプ)」「説明」と説明を使って、集計表を作成し、平面詳細図に配置した例です。シートでフィルタにはチェックが入っていません。

集計表をシートに配置する
この状態だと、すべての壁タイプについて表示されますが、シートでフィルタに✔を入れると、次のようになります。
シートでフィルタに✔
現在シートに配置されているビューに表示されている壁タイプのみ表示されていることがわかります。
シート状のビューに表示されいる壁タイプのみ

赤字はマーク(タイプ)のタグ

集計表もタグもリアルタイムに更新されるので、壁タイプが増えたり変更されたりしても不整合の心配はありません。

各室仕上表に応用!

次は各室仕上表を作成してみます。仕上表に必要なフィールドを追加した集計表を作成し、シートでフィルタに✔して、平面詳細ビューが配置されているシートに配置します。

各室仕上表を配置
シートに表示されている部屋のみの仕上表となります。
シートに配置されているビューに表示されている部屋だけの仕上表

また、仕上表を配置するためにビューのトリミング領域を修正しましたが、壁凡例が自動的に変更されていることにも注目してください。集計表が動的に更新されているのはRevitならではの機能といえるでしょう。

集計表を凡例に使えば、タグと組み合わせて常に更新される状態になりますので、作業効率は大きく向上します。

2023年12月16日土曜日

ホストからのオフセット

ファミリのホスト

たとえば、一般モデル(メートル単位).rftを使って、次のような一辺1mの立方体を作成したとします。これを立方体1.rfaという名前にします。

立方体1.rfaを作成

これをプロジェクトにロードします。プロジェクトには1FL-500の高さに床があり、1FLの平面ビューでクリックして配置します。

プロジェクトでFL-500の床の上に配置

立方体1のプロパティには。。。

基準レベルからの高さ と ホストからのオフセット

「基準レベルからの高さ」と「ホストからのオフセット」の二つの高さを表すパラメータがあります。またホストには特に指定したわけではないのに床が設定されています。

一般モデルや家具などのカテゴリのファミリを平面図で配置した場合クリックした点の直下にあるホスト要素にホストされます。何もない場合は配置に使用した平面ビューの関連レベルにホストされます。

床がある場合とない場合

ホストからのオフセットパラメータは、ホストである床の上面からファミリの挿入点がどれだけオフセットしているかを示します。ホストからのオフセットを200と設定すると、立方体1は床から200浮いた位置になり、基準レベルからのオフセットは-300となります。

ホストからのオフセット=200

この状態で床をFL+400に移動すると、相対的なオフセット距離を保ったままファミリが移動します。
床をFL+400に移動

レベルにホストさせるには?

立方体1.rfaは意図せず直下の床にホストされてしまったので、常に床とともに移動します。これはこれで便利ではあるのですが、強制的にレベルにホストしたい場合もあります。そんなときは、断面図で立方体1を選択し、修正|一般モデルタブ>ホストパネル>新しいホストを選択でレベルを選択します。

新しいホストを選択でレベルを選択

レベルを指定して配置するには

配置するときにレベルを指定して配置したい場合は、ファミリプロパティ「作業面ベース」をチェックします。

作業面ベースを☑

作業面ベースをチェックしたファミリをプロジェクトにロードすると、リボンに[面に配置]と[作業面に配置]が表示されます。

作業面に配置を選択し
オプションバーで、希望のレベルを選択します。
オプションバーで配置レベルを選択

そうすると、床に関係なくレベルにホストされた要素を作成することができます。

床があってもレベルにホストされた要素

2023年12月9日土曜日

地形ソリッド研究(4)U字側溝の配置

地形ソリッドへの配置

U字側溝ファミリを地形ソリッドに垂直に配置する場合、地形ソリッドの上面を平たんに成形することがポイントです。

U字側溝の配置

高さ計画

ここでも高さの計画が重要です。平面ビューを開き詳細線分で高さを文字で記入して計画を立てます。側溝を配置する領域を決定し、その両側を同じ高さにすることで平坦な領域を作っておきます。

U字側溝を配置する領域を平坦になるように計画

サブ要素の編集

サブ要素を修正するときは、地形ソリッドのサブカテゴリ「折り曲げ線」を表示しておくと表面の状況を把握しやすくなります。色や線種を上書きしておくとよいでしょう。

折り曲げ線をオンにしておく
サブ要素を修正して点の高さを追加します。側溝を配置する領域が三角形で分割されないことを確認しながら点の高さを設定します。
三角形で分割されていない平坦な領域をつくる

側溝の配置

この平坦な面ごとにU字側溝を配置します。前回作成したU字側溝のファミリは「作業面ベース」に✔を入れました。

作業面ベースのファミリ
マス&外構タブ>外構作成>外構コンポーネントで作成したU字側溝を選択して配置します。このとき、作業面に配置を選択し、オプションバーでレベルを指定します。レベルは地形ソリッドと同じレベルがよいでしょう。

作業面に配置+レベル指定
両端の形状ハンドルをドラッグして、平坦な面内に伸ばし、オフセット左、オフセット右の値を地形ソリッドの高さと合わせます。
地形と左右の高さを合わせる
修正タブ>ジオメトリパネル>切り取り で地形ソリッド→U字側溝の順でクリック。

U字側溝などの外構コンポーネントを配置する場合は、現実はともかく、配置するための「面」をいかに形成するかを意識するとうまくいきます。

寸法配置も可能

2023年12月3日日曜日

地形ソリッド研究(3)~側溝ファミリ

側溝ファミリ~ボイド切り取り時のエラー

U字側溝のファミリを作成するときにはボイドを設定しておけば、地形ソリッドを切り取ることができるのですが少し注意が必要です。

例えば、次の図のような線基準のファミリを作成し、

線基準のU字側溝ファミリだとちょっと問題がある

地盤面に勾配なりに配置した場合、次のようなエラーになる場合がります。

微妙な勾配の場合、地盤面を切り取れない
これは微妙な勾配の時に良く起こります。二つのファミリのボイド同士が重なって、非常に細かい「面」が発生するためにエラーとなります。勾配が大きく異なる場合はエラーになることは少ないようです。
大きな勾配であればエラーは起きにくい

常に鉛直になるように

こうしたエラーを防ぐためには、ソリッド/ボイドが勾配に関係なく常に鉛直になるように作る必要があります。作戦は、「スイープではなくブレンドでフォーム/ボイドを作成する」です。

正面から見たところ。勾配にかかわらず常に鉛直に。

作り方

  1. 一般モデル(メートル単位).rft でファミリを新規作成
  2. ファミリカテゴリとパラメータ
    1. カテゴリを「外構」または「ハードスケープ」に
    2. 作業面ベースに✔
    3. ロード時にボイドで切り取りに✔
  3. 左右の参照面を作成し、寸法で拘束して均等に。インスタンスパラメータ「長さ」を設定する。
    左右の参照面と長さインスタンスパラメータを設定

  4. U字側溝の幅を示す参照面を上下均等に作成して、タイプパラメータ「A」を設定
    上下均等に参照面を作成して、タイプパラメータAを設定

  5. 立面図>正面 で次のように参照面とパラメータを設定。バックセットのみタイプパラメータとする。
    正面ビューで高さ関連のパラメータを設定

  6. 立面図>左 で、U字溝に関する参照面とパラメータを作成する。
    U字側溝関連の参照面とパラメータ


  7. このままではわかりにくいので、出来上がりの姿を重ねてみます。かなり簡略化した状態なので、必要に応じて変更してください。
    出来上がりのイメージ

  8. 作成タブ>フォームパネル>ブレンド で左側の形状をスケッチ
    左側の形状

  9. モードパネル>上部を編集 で右側の形状をスケッチ
    右側の形状

  10. モードパネル>✔
  11. 平面図>基準レベル を開き、作成したフォームの左右の面を参照面にロックする
    左右の面を参照面にロック

  12. 作成したフォームを選択し、プロパティウィンドウのマテリアルの関連付けボタンをクリック
  13. 新規作成をクリックし、「U字側溝」という名前のタイプパラメータを作成して関連付ける。
    フォームのマテリアルを関連付ける

  14. 同様に「敷モルタル」「基礎砕石」の部分をブレンドで作成する。
  15. オフセット右、オフセット左のインスタンスパラメータを追加
  16. 制御_オフセット右の式に「バックセット-オフセット右」、制御_オフセット左の式に「バックセット-オフセット左」を設定し、オフセット左、オフセット右の値を変更して挙動を確認してください。
  17. 立面図>左を開き、地形ソリッド切欠き用のボイドを作成します。
  18. 作成タブ>フォームパネル>ボイドフォーム▼>ブレンド
  19. プロパティウィンドウの「ジオメトリを切り取り」のチェックを外す
  20. 次の図のように、左側の形状をスケッチ
    地盤ソリッド切欠き用の左側の形状

  21. モードパネル>上部を編集 で右側の形状をスケッチ
    右側の形状

  22. モードパネル>✔
    完成したU字側溝ファミリ

立面図>正面のビューで、オフセット右、オフセット左の値を変更して形状の変化を確認してください。

オフセット右・左の値を変更して形状の変化を確認

ブレンドを使えば、常に鉛直な形に変化するファミリを作ることができます。次回はこのファミリを使って地盤を切り欠いてみます。