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2017年11月25日土曜日

クレーンに挑戦!(3)

アウトリガの幅に応じた荷重

前回はルックアップテーブルの特定の列を参照する式を作成しました。

定格総荷重 = size_lookup("RK130LOAD", "荷重47", 0, 判別キー)

この"荷重47"とは、「アウトリガの張り出しが4.7mのとき」という意味で、アウトリガの張り出しが変われば、定格総荷重も変わります。ルックアップテーブルにほかの張り出しの荷重を下の図のように追記してみます。(編集済みのCSVファイルはこちらからダウンロードできます。

  • 4.3m---荷重43##NUMBER##GENERAL
  • 3.5m---荷重35##NUMBER##GENERAL
  • 2.5m---荷重25##NUMBER##GENERAL

以下のようにCSVファイルを編集し保存します。
荷重43,荷重35,荷重2.5の列を追加

ファミリを編集する

アウトリガ張出し×ブーム長さの組み合わせでタイプを作成します。ファミリを開いてまずはアウトリガの張り出し長さを保持するタイプパラメータを追加し、ルックアップテーブルを更新しましょう。

  1. 作成タブ>プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. ファミリタイプダイアログボックスで次の操作をします。
    • 新しいパラメータボタンをクリックし、パラメータプロパティダイアログボックスで次の操作をします。
      • 名前を「アウトリガ張出
      • パラメータタイプを「長さ」
      • パラメータグループを「寸法」
      • 「タイプ」を選択
      • OK
    • もう一度新しいパラメータボタンをクリックし、パラメータプロパティダイアログボックスで次の操作をします。
      • 名前を「ルックアップテーブル
      • パラメータタイプを「文字」
      • パラメータグループを「文字」
      • 「タイプ」を選択
      • OK
    • タイプでブーム5.3mを選択、名前変更をクリックし「ブーム5.3m×アウトリガ4.7m」としOK
    • ルックアップテーブルの値に「荷重47
    • アウトリガ張出の値に「4700
    • これを繰り返して、すべてのブーム長さとアウトリガ張出の組み合わせたタイプを作成する。
  3. [ルックアップテーブルを管理]をクリックし、ルックアップテーブルを管理ダイアログボックスで次の操作をします。
    • RK130LOADを選択し[削除]
    • [削除を続行]
    • [読み込み]をクリックし、編集しなおしたRK130LOAD.csvを選択し開く
    • OK
  4. 定格総荷重の式で、"荷重47"ルックアップテーブルに変更(""は必要ない)
    size_lookup("RK130LOAD", ルックアップテーブル, 0, 判別キー)
  5. タイプを変更して適用ボタンを押し、定格総荷重の値が変わることを確認する。
  6. OK
  7. 保存
このように、列名はパラメータ化することができます。同様にルックアップテーブル名もパラメータ化することができます。この場合は複数のルックアップテーブルを読み込んでおく必要があります。

使ってみよう

ここまで編集した2017形式のRK130ファミリはこちらからダウンロードできます。これをプロジェクトにロードして、配置してみます。

  1. 平面ビューを開く
  2. 建築タブ>構築パネル>コンポーネント
  3. モードパネル>ファミリをロード で ダウンロードしたRK130_003.rfaを開く
  4. 配置パネル>作業面に配置
  5. タイプセレクタで「ブーム5.3m×アウトリガ2.5m」を選択
  6. 2点を3000mmの間隔でクリックして配置
  7. 3Dビューを開く
  8. 配置したクレーンを選択
プロパティウィンドゥに表示されている定格総荷重が5.9tであることを確認します。
定格総荷重は5.9t
次にワイヤの先端をドラッグして、距離を5000mmに変更します。
定格荷重は0となる
定格総荷重は0となり、揚重不可であることがわかります。そこでタイプセレクタで「ブーム23.8m×アウトリガ4.7m」に変更します。
定格総荷重3.2t
定格総荷重が3.2tとなります。
ルックアップテーブルには複数の列を作成して、様々な値を返すことができます。

次回はせっかくアウトリガの張出しをパラメータとして設定したので、このアウトリガをモデルに表示して、自由に回転できるようにしてみます。

お願い

私自身はクレーンのふるまいについてそんなに詳しいわけではありませんし、仮設計画の経験が豊富なわけではありません。改善すべき点や、盛り込むべき機能にお気づきの点があればぜひコメントをお願いいたします。



2017年11月18日土曜日

クレーンに挑戦!(2)

定格総荷重を表示するには

今回のテーマは「定格総荷重の表示」です。コベルコRK-130のカタログをみると、

  • アウトリガの張り出し
  • ブームの長さ
  • 作業半径
の三つの条件で、定格総荷重の値が決まるようです。こういったある値に対して、決まった値を取り出すには「ルックアップテーブル」を使うとよいでしょう。聞きなれない言葉ですが、実はRevitMEPがリリースされた当初から存在している機能なんです。条件が一つだとさらにやりやすいのですが今回は複数あるので、ちょっと工夫が必要です。

検索キーを作成する

エクセルのルックアップとは異なり、検索できるのは数字だけという制約があります。そこで、検索条件としてブームの長さと作業半径を8桁の数字として編成します。
作業半径はインスタンスパラメータ「長さ」です。ドラッグすれは自由に変更できるので、表にあるような0.5m刻みにする必要があります。そこで以下のような「形式判別」用のパラメータをファミリに追加します。

ファミリパラメータ追加

ファミリを開いて、次のパラメータを追加して式を設定します。

  • パラメータ名:判別キー(長さ、インスタンス)
  • 式:=ブーム長さ * 100 + 5*roundup(作業半径/500)
    判別キー

ブームの長さに100をかけて、上4ケタを作り、作業半径(mm)を500(mm)で除して5をかけて下4桁を作ります。これで数値による検索キーができました。

ルックアップテーブル

ルックアップテーブルはcsv形式のファイルで、エクセルで編集します。
サンプルCSVファイルはこちらからダウンロードできます。

形式

1行目:列タイトル (列名#パラメータタイプ#単位)
2行目以降:値
1列目:メモ(プログラム的には無視されます。自由に書いてよい)
2列名:検索キーの値
3列目以降:検索する値
ルックアップテーブル
A1セルは必ず空欄です。
B1, C1…は列の説明が入りますが、その形式は
  列名##パラメータタイプ##単位
です。パラメータタイプはもともとMEPで複数の配管サイズを一つの呼び称で決定するために作られた機能なので使えるタイプは以下の種類に決まっています。

  • 実数・整数(NUMBER)
  • 長さ(LENGTH)
  • 面積(AREA)
  • 容積(VOLUME)
  • 角度(ANGLE)

今回のように荷重のように重さの値は検索できないので、代わりに実数(NUMBER)を使用します。
ルックアップ関数はB列の値を検索して、C列以降で関数で指定した列の値を取り出します。B列の列名は何でもいいです。パラメータタイプと単位だけは正しく指定します。

【2022.07.01改訂】

仕様が変更となっていました。
単位のない数字のフォーマットは「パラメータ名##NUMBER##GENERAL
パーセンテージは「パラメータ名##NUMBER##PERCENTAGE

修正したCSVファイルをこちらに掲載しました。長い間気が付きませんでご迷惑をおかけいたしました。

検索例

ブーム長さ9mで作業半径3mの場合、判別キーは「900030」となるので、荷重47の列を指定した場合、返される値は「6」となります。

パラメータとlookup式の作成

ファミリを開いて、定格総荷重を示すパラメータを作成し式を設定します。式の書式は
=size_lookup("CSVファイル名","検索列名",見つからないときの値,検索キーパラメータ)
です。

  1. プロパティパネル>ファミリタイプ
  2. ファミリタイプダイアログボックスで[ルックアップテーブルを管理]をクリック。
  3. [読み込み]を押して、ダウンロードしたCSVファイル(RK130LOAD.csv)を選択してOK
    ルックアップテーブルを読み込む
  4. OK
  5. [新しいパラメータ]をクリック。
  6. パラメータプロパティダイアログボックスで次の操作をします。
    • 名前に「定格総荷重」
    • パラメータタイプ「実数」
    • パラメータグループ「データ」
    • インスタンスを選択
    • OK
  7. 定格総荷重パラメータの式に次の式を設定
  8. 定格総荷重パラメータにルックアップ式を追加
    • size_lookup("RK130LOAD", "荷重47", 0, 判別キー)
    • 値が反映されることを確認
  9. OK

使ってみよう

それでは実際に使ってみましょう。
  1. プロジェクトを新規に作成して、ファミリをロードします。
  2. 配置パネル>作業面に配置を選択、2点をクリックして配置します。
  3. プロパティパネルに定格総荷重が表示されることを確認します。
    ワイヤ先端をドラッグし、定格総荷重の変化を確認する
配置したらワイヤの先端をドラッグしたり、タイプを変えてブームの長さを変更したりしてみてください。定格総荷重の値が変化します。

次回はアウトリガの張り出しを変えてみます。

何かクレーンのファミリで気を付けなればならないことなど、ご意見やご提案がありましたら、遠慮なくコメントに投稿してください。