2018年12月29日土曜日

部屋から・部屋へ

建具の位置はもちろんわかる

建具表でその建具(ドア・窓)が配置された部屋を記述することがあります。Revitはその建具がどこにあるか、どの部屋に配置されているかすべて把握しています。集計表を使えばその一覧を表示することができます。
建具の取付場所のリスト

部屋から・部屋へ

集計表をつかって建具がどの部屋に配置されているかを集計してみましょう。

  1. [表示]タブ>[作成]パネル>[集計▼]>[集計表/数量]
  2. カテゴリリストからドアを選択、名前をドアの取付場所としてOK。
  3. 集計表プロパティの[フィールド]タブで次の操作を行う。
    フィールド
    • ドアカテゴリのレベルファミリとタイプを追加。
    • [使用可能なフィールドを選択]で部屋からを選択し、部屋から:名前を追加。
    • [使用可能なフィールドを選択]で部屋へを選択し、部屋へ:名前を追加。
  4. [並べ替え/グループ化]タブで下の図のように設定する。
    並べ替え/グループ
  5. [書式]タブでファミリとタイプを非表示にします。
下の図のような集計表ができて、ドアが部屋を認識していることがわかります。
出来上がった集計表

部屋計算ポイント

ではこの「部屋から」と「部屋」はどのように認識しているのでしょうか?ドアの正面と背面のどちらが「部屋から」でどちらが「部屋へ」なのでしょうか?実はドアのファミリで定義されているのです。

ファミリをチェック

ドアファミリをファミリエディタで開いて、プロパティウィンドゥに注目してください。その他グループの[部屋計算ポイント]にチェックを入れます。
ドアファミリのプロパティ
すると矢印が表示されます。この矢印は部屋計算ポイントという要素で、が部屋を認識するポイントです。
また矢印の向きに注目してください。この矢印の向きが「部屋から」と「部屋へ」を決めています。
下の▲が部屋から、上の▲が部屋へ

反転しただけでは認識は変わらない

この部屋から部屋への認識は、ドアを反転しただけでは変わりません。たとえば、下の図のドアは「廊下(2)」から「製図室」と認識されています。
廊下(2)→製図室
このドアの方向をフリップアイコンを使って反転させても、この認識には変化がありません。
反転しても認識は変わらない。

部屋の認識を変更する

この認識は次の手順で変更できます。
  1. ドアを選択して[修正|ドア]タブ>[モード]パネル>[ファミリを編集]
  2. ファミリのプロパティで[部屋計算ポイント]を✔。
  3. 保存して[プロジェクトにロード]
  4. [既存のバージョンを上書きする]を選択。
  5. 目的のドアを選択。部屋計算ポイントの矢印が表示されていることを確認する。
    部屋計算ポイントが表示される。矢印の向きに注目!
この状態で、フリップマークを使ってドアを反転し、部屋から部屋への認識の変化を確認してください。
製図室→廊下(2)
廊下(2)→製図室
部屋計算ポイントを表示すれば、部屋の認識を変更することができます。

部屋が認識されない場合

ときどき、部屋があるのに認識されない場合があります。いくつかの原因が考えられますが、ファミリの部屋計算ポイントを少し高い位置にかえてみるとよいでしょう。
ファミリをファミリエディタで開き、部屋計算ポイントを表示し、ギズモを使って上へ移動します。
部屋計算ポイントを上へ移動する
これにより部屋の認識位置が更新されます。多くの場合、効果的な方法ですのでお試しください。また部屋の計算ポイントは中央の○をクリックすることで反転できます。
中央の○をクリックして部屋の計算ポイントを反転する
ぜひうまく使いこなしてください。

2018年12月22日土曜日

ガラスパネルの階段手摺(3)

上部手摺

前回の中国のAKNの質問にはもう一つありました。上部手摺の端部処理に関する質問です。
上部手摺の始端を加工する
前回の手すりに上部手摺を追加して、端部を処理してみます。

上部手摺用のプロファイル

上部手摺も基本的にはスイープなのでプロファイルが必要です。

  1. [ファイル]>[新規作成]>[ファミリ]でプロファイル - 手すり(メートル単位).rftを選択して開く。
  2. 下の図のようにプロファイルを作成し、パラメータを作成。
    プロファイルを作成
  3. タイプ50(20)x40を作成し、上部手摺矩形.rfaとして保存。プロジェクトにロードする。
参照面「手すり上」と「手すり中心線」の交点が、スイープパスの中心になります。手摺の高さを1100mmと指定すると、この場合1120mmが上部手摺の高さとなります。
上部手摺タイプを追加

  1. 手摺を選択し[タイプ編集]
  2. [上部手摺の有無]にチェックを入れる
  3. [タイプ]の[...]ボタンをクリック。
  4. [複製]をクリックし、[名前]を強化ガラス手摺笠木をしてOK。
  5. [プロファイル]を上で作成した上部手摺矩形:50(20)x40を選択。
    上部手摺のタイプ
  6. OK
これで上部手摺が追加されます。
上部手摺

始端を編集

上部手摺の端部を編集して下に延長します。正確に編集するには立面図または断面図で始端を表示します。
  1. TABキーを使って上部手摺だけを選択。
  2. [修正|笠木手摺]タブ>[手すりを編集]
    手摺を編集
  3. [パスを編集]
    パスを編集
  4. 線を選択し、下の図のようにスケッチ。このとき青い線の端部がスケッチラインの端部と一致するようにする。
    手摺をスケッチする
  5. [モード]>[✔]
  6. [モード]>[✔]
上部手摺端部の処理
このように上部手摺の形状はスケッチで変更できます。

2018年12月15日土曜日

ガラスパネルの階段手摺(2)

強化ガラスパネルの手摺

先日中国のAutodesk Knowledge Networkのサイトを覗いていたらこんな質問がありました。
求 楼梯 扶手 的创建方法(求む!階段手摺のモデリング方法)
「カーテンウォールで作ってしまいましたが、手摺で作る方法はないでしょうか?」という質問です。
なかなか美しい階段手摺です。これは前回の主パターンの考え方を応用すれば可能です。実際に作ってみました。
強化ガラスパネル手摺

この作り方を解説します。

STEP1:主パターンを決める

次のような平面図を持つ階段に手すりを作成します。ささらの厚さは50mmでこの中心に手摺を立てます。
階段の平面図
今回の手すり子はガラスパネルだけです。前回のようにガイドとなる仮の手すりを使わず、EXCELを使ってパネル幅とピッチを算定します。
手摺は階段の踏板の先端で決まります。断面図でその間隔を測定します。
第一階段経路
第二階段経路
第三階段経路
パネルの幅を800mm前後にするとして、割り付けてみます。
パネル幅と直前部材からの距離
直前部材からの距離は最初はパネル幅の半分、次からは(前のパネル幅+パネル幅)÷2です。

この結果に従って前回同様に「パネル - ガラス」のタイプを作成します。
パネルタイプの作成

STEP2:手摺タイプの作成

手摺のタイプを作成します。

  1. [プロジェクトブラウザ]>[ファミリ]>[手摺]>[手摺]
  2. 任意のタイプをダブルクリック、[複製]で名前を強化ガラス手摺1100mmとしてOK。
  3. [手摺子横桟構成]>[編集]で、手摺の欄に何もないことを確認。
    手摺横桟構成
  4. [手摺子構成]>[編集]で次の設定を行う。
    1. 主パターンを次のように設定する。
      主パターン
    2. [パターンを中断]をなし
    3. [位置合わせ]を始端
    4. [はみ出し長さを埋める]をなし
    5. [手摺柱]をすべてなし
    6. OK
      その他の設定 パターンを中断をなしにするのがポイント
  5. [上部手摺の有無]のチェックを外す
  6. [補助手摺1]で以下の設定をする。
    1. [タイプ]を配管-壁取り付け
    2. [位置]を
      上部手摺と補助手すり
  7. OK

STEP3:手摺の作成

ではこの手摺を階段に配置します。スケッチラインを正確にささらの中心に置きます。
  1. [建築]タブ>[階段]パネル>[手摺▼]>[階段/スロープ上に配置]で、階段を選択。
  2. 内側の手摺を削除。
  3. 外側の手摺を選択し、[パスを編集]
  4. インスタンスパラメータ[パスからのオフセット]を-25(ささらの幅の半分)に設定。
  5. タイプセレクタでを強化ガラス手摺1100mm選択。
下の図のような階段手摺を作成することができます。
補助手すり付きの強化ガラスパネル階段手摺
主パターンを理解すればいろいろな種類の手すりを作成することができます。

話は違いますが、この質問者の画像はENSCAPE(エンスケープ)ですね。なかなか押し出しの強い絵が出ます。興味のある方はこちらのHPをご覧ください。Revitのアドインになっていて手軽に使えます。

2018年12月8日土曜日

ガラスパネルの階段手摺

手摺のパネルは伸縮しない

手摺は縦桟と横桟の組み合わせで構成されます。その詳細はこちらで記述しているので参考にしてください。
しかしながらパネル型の手すりはどうでしょうか?ファミリには「手すり子 - パネル.rft」というテンプレートがありますが、このパネルはカーテンウォールのパネルのようには伸縮しません。ですから下の図のような階段手摺を作成するのには一工夫必要です。
パネル型の手すりを作成する
この手摺の作り方について解説します。やや「手作り」っぽい手順ですからちょっとがっかりするかもしれませんが、手摺の考え方を学習するには最適です。

STEP1:支柱の位置を確定する

まず階段手摺を作成するためにその「支柱の位置(=ガラスパネルの幅)」を確定します。階段を作成して、必要な範囲に

  1. 「建築テンプレート」で新規プロジェクトを開始。
  2. [建築]タブ>[階段]パネル>[階段]で「現場打ち階段:コンクリート」を選択し、蹴上を20に設定。
  3. [ツール]パネル>[手摺]で1100mmを選択。
  4. 階段・踊り場を作成し[✔]。
  5. 手摺を選択して編集し、内側のスケッチラインを削除する。
手摺を選択して、パネルのない、支柱だけの手すりを作成します。
  1. 手摺を選択し[タイプを編集]
  2. [名前変更]を設定し、「ガラス手摺-支柱設定」としてOK。
  3. [手摺子構成]の[編集]をクリックし以下の設定をする。
    • 主パターンの2の行で[直前部材からの距離]に1100
      • これは階段経路の長さが、二つとも2160なので、踊り場も含めてその半分の1100mm程度で分割するためです。
    • [パターンを中断]を各セグメントの端
      • 主パターンをどの範囲で繰り返すかを設定しています。
      • 各セグメントとはスケッチラインの線のことです。
    • [位置合わせ]をフィットするように広げる
      • 1100近辺で等分してください、という意味です。
    • [踏み面ごとに手すり子を配置]のチェックを外す
      • ここにチェックが入っていると階段の踏み板すべてに手すり子が立ちます。
    • 手摺柱の1行目と3行目の[スペース]を0にする。
    • [コーナー手摺柱位置]を各セグメントの端
      手摺子構成
  4. [OK]>[OK]
  5. インスタンスパラメータ[パスからのオフセット]を-12.5
    ガラスの形状が変ですね・・・・
これで、支柱の位置を計測することができるようになりました。つまり、パネルの位置と幅が計測できたわけです。もし、図の○のように、想定されるガラスの形状がおかしい部分があるときは、スケッチラインの切断位置を調整して、きれいな形になるように修正してください。
スケッチラインの切断位置を調整しましょう。
この状態で立面図を作成して、各手摺の間隔を測定します。
最初の階段経路

踊り場
上側の階段経路
この手摺子の間隔(正確には幅-手摺子の幅、つまり内法)が必要なパネルの幅になります。

STEP2:ガラスパネルの準備

建築テンプレートには「パネル - ガラス」というガラスパネルの手摺子がロードされています。

  1. [プロジェクトブラウザ]>[ファミリ]>[手摺]>[パネル - ガラス]を展開。
  2. 800mmをダブルクリックしてタイプ編集ダイアログボックスを表示。
  3. [複製]をクリックし、[名前]を1055mmとしOK。
  4. [長さ]を1055とする。これは支柱間隔1080-支柱見付25=1055(ガラス)という意味です。
  5. 同じ要領で全てのタイプを作成する。
    • 1477.5mm
    • 1075mm
    • 997.5mm
    • 1175mm
      パネル - ガラスのタイプを作成

STEP3:手摺タイプの作成

いよいよ最終ステップです。作成したガラスパネルタイプを使用して手摺タイプを作成します。手摺の始点から終点までのすべての支柱とパネルを記述します。

  1. 手摺を選択し[タイプを編集]。
  2. [複製]で[名前]をガラス手摺Aとする。
  3. [手摺横桟構成]の[編集]をクリックして以下の図のように設定する。
    手摺横桟構成
  4. [手摺子構成]の[編集]をクリックし、以下の設定を行う
    • [パターンを中断]をなし
    • [位置合わせ]を始端
    • [はみ出し長さを埋める]をなし
  5. 続いて[主パターン]の行を追加設定する。
    主パターン
    1. 2行目の[直前部材からの距離]を540
    2. 2行目を選択して[複製]
    3. 2行目の[手摺子ファミリ]をパネル - ガラス : 1075mm
    4. 2行目の[下部]を下枠
    5. 3行目の[下部オフセット]を-150
    6. 2行目を複製して、[下へ]をクリックして、4行目に。
    7. 3行目を複製して、[下へ]をクリックして、5行目に。
    8. 4行目を複製して、[下へ]をクリックして、6行目にし、[手摺子ファミリ]をパネル - ガラス : 1477.5mmに、[直前部材からの距離]に751.25(=1502.5/2)と入力
    9. 5行目を複製して、[下へ]をクリックして、6行目に。[直前部材からの距離]に751.25。
  6. ここでいったんOKを2回おして、階段の様子を確認します。
    下から3枚目まで完成。
このように下から3枚目までのガラスパネルは正しく作成されています。
この要領で踊り場の部分の主パターンを追加していきます。
  1. もう一度手摺を選択し[タイプ編集]>[手摺子構成]>[編集]。
  2. 主パターンを以下の要領で追加
    主パターン 最初から最後までの手摺子を記述する
    1. 6行目を複製して、[下へ]をクリックして、8行目にし、[手摺子ファミリ]をパネル - ガラス : 1075mmに。[直前部材からの距離]に550。
    2. 7行目を複製して、[下へ]をクリックして、9行目に。[直前部材からの距離]に550。
    3. 8行目を複製して、[下へ]をクリックして、10行目に。
    4. 9行目を複製して、[下へ]をクリックして、11行目に。
    5. 10行目を複製して、[下へ]をクリックして、12行目に。[手摺子ファミリ]をパネル - ガラス : 1075mmに。[直前部材からの距離]に550。
    6. 11行目を複製して、[下へ]をクリックして、13行目に。
    7. 12行目を複製して、[下へ]をクリックして、14行目に。[手摺子ファミリ]をパネル - ガラス : 1200mmに。[直前部材からの距離]に600
    8. 13行目を複製して、[下へ]をクリックして、15行目に。[直前部材からの距離]に600
    9. 14行目を複製して、[下へ]をクリックして、17行目に。
    10. 15行目を複製して、[下へ]をクリックして、18行目に。
  3. OKを2回押す。
○数字は主パターンの行番号

これは結局のところ、始点から終点までを1パターンで構成される手摺なのです。パネルの幅が一定間隔の繰り返しではない場合は、この方法しかありません。
しかし、主パターンの考え方さえわかれば、いろいろな手摺に応用できるでしょう。

2018年12月2日日曜日

リンク(2)~グループとの互換性

リンクとグループの互換性

リンクとグループは互換性があります。グループは「手動更新リンク」とも言えます。具体的に見てみましょう。

リンクをグループに変換する

下の図のようなプロジェクト(ProjectA.rvt)を作成し、
リンクされるプロジェクト
もう一つプロジェクト(ProjectB.rvt)を作成しリンクします。リンクのタイプパラメータで[部屋境界]にチェックが入れて、リンクインスタンスの壁を部屋の境界として認識させます。
リンクした状態
リンクインスタンスを選択し、[修正|RVTリンク]タブ>[リンク]パネル>[リンクをバインド]でリンクインスタンスをバンドしてグループにします。
リンクをバインド
警告が表示されるので、[リンクを削除]を選択します。
リンクを削除
これでリンクがグループに変換されます。グループに変換されたため、リンクでは包絡されなかった壁が包絡されていることに注目してください。作成できなかった部屋タグも作成できるようになります。
グループに変換後は壁の包絡、部屋タグの作成などふつうに扱える

グループを更新する

グループは外部のファイルで更新することができます。リンクインスタンスのもとになったファイルを開いて、次のように変更して保存します。
元のファイル(ProjectA.rvt)を開いて変更する
ProjectB.rvtでプロジェクトブラウザで一番下にある[グループ]>[モデル]>[ProjectA]>[再ロード]を選択し、変更後のProjectAを選択します。
対象のグループを選択して再ロード
部屋タグを追加して、更新完了です。
グループを更新
グループは手動更新のリンクですので、リンクではなくグループで運用する、という選択肢も場合によっては考えてもよいと思います。