2022年5月7日土曜日

共有座標系(1)

測量点・プロジェクト基準点・内部原点

Revitの外構カテゴリには「内部原点」「プロジェクト基準点」「測量点」の三種類がありそれぞれ座標系(XYZ軸と原点)を構成します。それぞれの用途の概要は以下の通りです。

内部原点(グローバル座標系)

内部原点

Revitの唯一の絶対座標(グローバル座標系)の原点。プロジェクトのすべての要素の位置は内部原点を原点とするグローバル座標系で定義されています。XYZベクトルは画面に正対しています。平面図でみればプロジェクトの北がY方向で、右方向がX軸となります。また内部原点は絶対に移動することはできません。

プロジェクト基準点(プロジェクト座標系)

プロジェクト基準点

プロジェクトの原点として設定したい位置、例えば通り芯X1とY1および1FLの交点に配置します。自由にどこにでも移動でき、比較的簡素な目印のような存在です。
プロジェクト基準点のクリップは廃止

もうすでにお気づきとは思いますが、Revit2020以降、プロジェクト基準点のクリップが廃止されています。このためプロジェクト基準点の機能は単純化されて、原点マーカーのような存在になっています。プロジェクト基準点はこの点を原点とする「プロジェクト座標系」を構成します。プロジェクト座標系のY軸もプロジェクトの北です。

測量点(共有座標系)

測量点

基本的にはベンチマークに配置するのですが、測量点座標系は別名共有座標系ともいい、他のプロジェクトと原点やXYZ軸を共有できるという機能があり、非常に重要な要素です。測量点座標系は共有座標系と呼ばれてます。Y方向は「真北」です。ここで気を付けなくてはならないのは、内部原点とプロジェクト基準点とは異なり、このマークがある位置は必ずしも共有座標系の原点ではないという点です。

プロジェクト基準点の座標

プロジェクト基準点を選択すると、N/S、E/W、高さ、真北の角度が表示されます。ここで表示されている座標はいったいどこを原点とし、X軸(E/W)、Y軸(N/S)はどの方向なのでしょうか?

実際に確かめてきましょう。ここではRevit2022を使用します。他のバージョンも訳語が多少異なりますが、基本は同じです。

確認手順

  1. Revitを起動し、プロジェクトテンプレート<なし>、メートル単位で新規プロジェクトを作成。
  2. 表示タブ>グラフィックスパネル>表示/グラフィックス
    1. 外構カテゴリの「プロジェクト基準点」「内部原点」「測量点」に☑してOK
  3. プロジェクト基準点を選択します。
    1. この時の表示は次の図のようになります。

  4. N/Sの値とE/Wの値をクリックし、それぞれ10000とします。
    1. プロジェクト基準点が移動します。
      プロジェクト基準点の位置が移動する

答えから先に行ってしまうと、プロジェクト基準点に表示されている座標の値は、共有座標系の値です。では共有座標系の原点を探ってみましょう!

測量点の座標

測量点を選択するとプロジェクト基準点同様に座標が表示されます。
測量点に表示されるのも共有座標系の値
この値も共有座標系の値です。この値が0になっているということは、現時点ではここが共有座標系の原点です。では、表示されているクリップを解除して任意の位置に測量点を移動してみます。

そのうえで、プロジェクト基準点をクリックして表示を確認します。
プロジェクト基準点の表示値は変化なし

値は変わりません。共有座標系の原点は移動していないことがわかります。
UNDOで測量点を内部原点の位置に戻し、今度はクリップしたまま測量点を移動します。
すると、測量点に表示される値は00のままです。

次にプロジェクト基準点を選択して値を確認すると、今度は値が変わっていることがわかります。つまり共有座標系の原点が移動したのです。
表示される座標値が変わった

まとめ

  • 内部原点(グローバル座標系)は絶対に移動できない。
  • プロジェクト基準点、測量点に表示される座標値は共有座標系。
  • 測量点をクリップしたまま移動すると共有座標系を移動することができる。