2024年5月19日日曜日

共有座標保存

リンクを管理ダイアログボックス

リンクを管理ダイアログボックスには「共有座標保存」という列があります。今回はこの列の意味について。。。

共有座標保存

英語版だとこの列はPositions Not Savedであり、位置未保存という意味になり、座標公開や、座標取得でリンクファイル間で座標(真北と測量点)を共有している場合に、相互の位置関係を修正して、その関係をまだ保存していない場合に✔がはいるようになっています。いわば警告のような意味なのですがちょっと分かりにくいですね。
具体的に見てみましょう。

座標を公開すると✔

例えば、次のような敷地のプロジェクトを作成し、真北と測量点をBMなどの位置に設定します。

測量点と真北を設定

そこに建物のプロジェクトをリンクし、位置を決定します。

リンクして位置を決定
この時点では、リンクを管理ダイアログボックスは次のようになっており、共有座標保存には✔は入っていません。座標を共有していないので当然といえば当然です。
共有座標保存に✔は入っていない

ここで、管理タブ>プロジェクトの位置パネル>座標▼>座標公開 で、建物のプロジェクトの外構を指定して、敷地プロジェクトの座標を公開します。つまり、建物プロジェクトの指定した外構の真北と測量点を一致させます。これが座標の共有です。

敷地の座標を建物に公開(パブリッシュ)する
この時点で、リンクを管理ダイアログボックスを開くと、共有座標保存に✔が入ります。

共有座標保存に✔が入る
このチェックボックスは、リンクされたプロジェクト(ここでは建物のプロジェクト)が、ホスト(ここでは敷地)のプロジェクトと座標系を共有していて、まだ位置関係が保存されていないことを示しています。

建物の位置を移動すると・・・

では、座標公開後に建物の位置を移動してみます。
建物の位置を座標公開後に移動

このまま保存ボタンを押すと次のようなダイアログボックスが表示されます。
保存ボタンで表示される
これらの意味は
保存:移動後の位置を共有座標としてキープする。
保存しない:最初に座標公開した位置をキープする。
共有位置を無効:座標を共有すること自体をやめる。位置は現状のまま。

一般的には(Revitのダイアログは総じてそうなのですが)一番上の保存を選択し、移動後の建物位置を共有座標として保存します。

この働きは保存ボタン以外にも、リンクを管理ダイアログボックスでも同じ機能があります。リンク名列でプロジェクトを選択すると、ダイアログボックス左下の「位置を保存」ボタンが有効になります。
位置を保存ボタンが有効化される
このボタンを押しても、上記の「位置が変更されました」ダイアログボックスが表示されます。

建物プロジェクトを開くと・・・

いったん敷地プロジェクトを保存して閉じ、建物プロジェクトを開きます。そして、挿入タブ>リンクパネル>Revitリンク をクリックし、敷地のプロジェクトをリンクします。このとき、配置を「自動 - 共有座標を指定」を選択します。
配置に「自動 - 共有座標を指定」
座標系(真北と測量点)が敷地と共有されているので、同じ位置に敷地が設置されます。
敷地が同じ位置に配置される
このとき、リンクを管理ダイアログボックスを見てみると共有座標を保存には✔が入っていません。位置関係は保存済みで問題がないことを示しています。
共有座標を保存には✔が入っていない
ここで、敷地を移動します。
敷地を移動すると警告が表示される
座標を共有しているため、移動後の位置関係を保存するかどうかを尋ねるダイアログボックスが表示されます。今すぐ保存を選択すると、建物と敷地の位置関係が保存されます。OKを押して、いったん保留しても、リンクを管理ダイアログボックスを開くと・・・
位置を保存ボタンが有効に!

共有座標保存に✔が入って、まだ位置関係が保存されていないことがわかります。そこで、リンクファイルを選択すると位置を保存ボタンが有効になり位置関係を保存します。

座標を共有すると、リンク元、リンク先いずれを開いても、相互の関係性を修正して保存することができるようになります。
共有座標保存の列は、「このファイルとは座標を共有していますが位置関係がまだほぞんされていませんよ」という警告の意味なのです。正しい列名は共有座標未保存なのかもしれませんね。