2025年11月22日土曜日

外部仕上表と立面図

サンプル意匠.rvtの外部仕上の仕組み

サンプル意匠.rvtを開いて、シート「0101 - 立面図(1)」を開きます。ここには集計表で外部仕上が表示されていますが、これはプロジェクト内に配置された「一般モデル_材料表」のプロパティに設定されたマテリアルを集計しています。

サンプル意匠.rvtの外部仕上
このマテリアルを様々な要素にペイントなどで設定して、立面図ではマテリアルタグで表示する、という少々複雑な手段をとっています。

そこで、もっと簡単に立面図と外部仕上表をまとめる一例をご紹介します。

使用するパラメータ

使用するパラメータは次のシステムパラメータのみです。

  • マーク(タイプ)
  • コメント(タイプ)
  • 説明

マーク(タイプ)には特定の接頭辞(ここでは"E")を設定し、集計表作成時にフィルタ項目として活用します。

コメント(タイプ)は部位(屋根、外壁、庇など)を設定します。これは集計表で見出しとして使用します。

説明はその内容を設定します。

プロパティを設定する

  1. ファイル>開く>サンプルモデル で「サンプル意匠.rvt」を開きます。
  2. ファイル>名前を付けて保存>プロジェクト で適切な位置に保存します。
  3. 表示タブ>作成パネル>3Dビュー
  4. 屋上の床を選択し、タイプ編集ボタンをクリックして、次のように設定します。

  • マーク(タイプ)=E1
  • コメント(タイプ)=屋上
  • 説明=【床】コンクリート金こて押え+防水(A)+断熱(B)+保護コンクリートt80 1/100

外部仕上情報の設定

これを外部仕上で表示したい部位に対して、繰り返します。マーク(タイプ)の値は、重複しないようにE2,E3...とカウントアップしてください。ただこれだけです。時にはタイプ複製することも必要になりますが、外部仕上として表示したい要素に対して、丁寧に各プロパティを設定します。

作業のヒント

1101-立面図(1)に配置されている集計表:11 立面図凡例 外部仕上の仕上の情報を参考にしてください。説明の書式・内容は適宜アレンジしてください。

この集計表を開き、ファイル>書き出し>レポート>集計 でCSVファイルに書き出して編集し、テキストをコピペすると作業が楽です。

集計表をCSVファイルに書き出し、編集してコピペすると作業が早い

注意事項

  • カーテンウォールの場合は、カーテンパネルに設定してください。
  • パーツではなく、オリジナルの要素に設定してください。
  • 南側PC板はデザインオプションが設定されているので、 オプションBに切り替えて設定してください。
    カーテンパネルのタイププロパティに設定する

外部仕上集計表を作成する

  1. 表示>作成パネル>集計▼>集計表/数量
  2. カテゴリは「マルチカテゴリ」、名前を「外部仕上表」
  3. フィールドに「コメント(タイプ)」「マーク(タイプ)」「説明」を追加
    フィールドタブ

  4. フィルタで「マーク(タイプ)」「で始まる」「E」
    フィルタタブ

  5. 並べ替え/グループ化を次の図のように設定します。各インスタンスの内訳のチェックは外します。
    並べ替え/グループ化

  6. 書式タブでコメント(タイプ)を非表示に設定します。
    書式タブ

  7. OK
    外部仕上

マルチカテゴリタグの作成

外部仕上情報は様々なカテゴリのファミリに設定しました。この情報を立面ビューや断面ビューに配置するためにはマルチカテゴリタグが便利です。タイプパラメータ説明を表示するマルチカテゴリタグを作成します。
  1. ファイル>新規作成>ファミリ で注釈フォルダのマルチカテゴリ タグ(メートル単位).rftを選択します。
※ファミリテンプレートがインストールされていない場合は、Autodesk Accountを開き、すべての製品とサービス>Revit>バージョン>ライブラリでJapanese Content for Revit 各バージョン番号 をダウンロードして設定してください。


  1. 作成タブ>文字パネル>ラベル で参照面の交点付近をクリック
  2. ラベルを編集ダイアログボックスで説明を追加しOK
  3. 作成されたラベルを選択し、タイプ編集ボタンを押して、適切なフォント、矢文字サイズなどを設定する。

  4. 名前を付けて保存する。ここでは「タグ マルチ 説明」としました。

  5. プロジェクトにロードします。

立面図にマルチカテゴリタグを配置

設定した説明プロパティを立面図や断面図で、マルチカテゴリタグで表示します。
  1. プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>11 立面>立面図>南立面図を右クリック>ビューを複製>複製
  2. ビューのプロパティのビューテンプレートを<なし>
  3. パーツ表示をオリジナルを表示
  4. 注釈タブ>タグパネル>マルチカテゴリ
  5. 任意の要素をクリックして、タグを配置します。
    マルチカテゴリタグで外部仕上を表示

サンプル同様に、マルチカテゴリタグにマークを表示し、マークを表示した外部仕上集計表をシートに配置してもいいでしょう。
マーク(タイプ)をタグで表示

マーク(タイプ)と説明をフィールドに持つ集計表

この方法で、平面図でも立面図でも断面図でも、あらゆるビューで統一した情報を表示することができます。

2025年11月15日土曜日

CadMouse

マウスは何を使ってますか?

今回は珍しくハードウェアのお話です。最近新しいマウスを手に入れました。3D ConnexionのCadMouse Pro Wirelessです。

CadMouse Pro Wireless

3D ConnexionといえばSpace Mouseが有名ですよね。皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか?

SpaceMouse Wireless

今回入手したのは一見普通のマウスに見えるCadMouse Pro Wirelessですが、3か月使ってみたところこれがまたとてもよくできていることがわかったので、Revitを日常的に使用している皆さんにその使用方法について紹介します。おすすめです!

大きな特徴は「CAD操作に特化したマウス」ということです。専用のドライバ「3Dx Ware」をインストールすることでCADを操作するための様々なメリットを享受することができます。

接続について

CadMouse Pro WirelessとPCとの接続方法は
  • Bluetooth
  • 専用レシーバ(付属)
  • 有線(付属USBケーブルTYPE-A)
があります。もしもPCのUSBポートに余裕があるならば、有線での接続をお勧めします。とてもしなやかなUSBケーブルが付属しています。反応速度を重視する方は有線がよいでしょう。
付属ケーブルはとってもしなやか

ノートPCなどでUSBポートにゆとりがない場合はBluetoothでも問題ありません。堅牢なケースも付属しているので持ち運びにも便利です。
ケースが付属していて持ち運びに便利

ボタンレイアウト

Cad Mouse Proのボタンは次のように配置されています。
CadMouse Proのボタンレイアウト

Windowsでは珍しい中ボタン、およびラジアルメニューボタンが特徴的です。それぞれの使い方を見ていきましょう

画面操作はマウスだけで完結

Revitの画面を操作する際、普通のマウスだと

  • 画面の縮小拡大 → ホイール回転
  • オービット → SHIFTキーを押しながらホイールプレス
  • 全体表示 → ホイールダブルクリック
  • 画面移動 → ホイールプレス

でしたが、CAD Mouse Proの場合はSHIFTキーを押す必要がありません。つまりマウスだけで画面操作がすべて可能になります。

  • 画面の縮小拡大 → ホイール回転
  • オービット → ホイールプレス
  • 全体表示 → 中ボタンダブルクリック
  • 画面移動 → 中ボタンプレス

この画面操作方法は非常に優れています。特に優れているのは

  • マウスを持つ手だけで操作が完結(SHIFTキーを押す必要がない)
  • 重いホイールをダブルクリックする必要がない

の2点です。頻繁に行う画面操作の負担が大きく軽減されることはRevit操作においてたいへんなメリットです。

また、親指ボタンはクイックズーム機能が割り当てられています。

◀ボタン=10倍拡大

▶ボタン=1/10倍縮小

この中ボタンとホイールの操作に慣れると、この上なく楽ちんで、もうほかのマウスには戻れない感じです。

秀逸なラジアルメニュー

Revitを操作しているとき、ラジアルメニューボタンを押すと、よく使うコマンドへのショートカットがマウスポインタの周囲に表示されます。

とても便利なラジアルメニュー

使い方は簡単で、Revitを操作中にホイールボタンの手前にあるラジアルメニューボタンを押すと、マウスの周りにコマンドボタンが表示されます。

マウスポインタを使用したいコマンドアイコン上を通過させる、あるいはコマンドアイコンをクリックするとそのコマンドが起動します。

例えば、壁を選択しておいて、ラジアルメニューボタンをクリックし、

ラジアルメニューのタイプ編集アイコン上をマウスを通過させると

タイププロパティウィンドウが開きます。クリックしなくてもいいところがポイントで、手指への負担を軽減してくれます。

このラジアルメニューは現在アクティブなアプリケーションを自動判定し、アプリケーションごとに異なるメニューを表示します。例えば、AutoCADではこのようになります。

AutoCADでのラジアルメニュー

ラジアルメニューを変更する

ラジアルメニューはいくつかのパターンがあらかじめ登録されていて、設定で切り替えることができます。タスクバーの検索ウィンドウに"3dconnexion"と入力し、設定アプリを起動します。この状態でRevitのウィンドウ内をクリックすると、設定アプリがRevitを認識します。

左上に認識しているアプリが表示される

[ボタン]をクリックして、ボタン設定ウィンドウを開きます。次にラジアルメニューの右の>ボタンをクリックします。

ラジアルメニューの>ボタンをクリック
表示されたメニューの中からRadialMenuをクリックして展開すると様々なコマンドセットが既に定義されていることがわかります。

いろいろなコマンドセットが定義されている

これらを選択することで、表示されるラジアルメニューを変更することができます。それぞれの内容をご紹介します。

3D Group


Archtectural Annotate

Edit Group


Most Common

Structural Edi

Structural Model

Systems Annotate

Systems Model - Electric

Systems Model - MEP

Systems Model - Plumbling

さすがCADマウスというだけあって、Revitユーザーのことをよく研究しています。私のお気に入りは「Edit Group」です。

ラジアルメニューをカスタマイズ

これらの規定のコマンドセットではなく、自分でコマンドをカスタマイズすることもできます。お気に入りのコマンドセットを作成する手順を見てみましょう。Revitがアクティブな状態でボタン設定ウィンドウを開きます。次にラジアルメニューの右の>ボタンをクリックし一番下にある「新規ラジアルメニュー」をクリックします。

新規ラジアルメニュー

ラジアルメニューエディタでまずラジアルメニュー名を設定します。

つぎにメニューのアイコンをクリックし、アイコンの選択ウィンドウでアイコンを選択します。このアイコンはカスタムアイコンでお好みのアイコンを設定できます。単なる目印なので気楽に設定してください。

好みのアイコンを設定する

レイアウトで4分割または8分割を選びます。

8分割を選択したところ

8分割を選択すると、右側に1~8のコマンド割り当てボックスが表示されます。

例えば1に位置合わせを設定したい場合は、1の右端の>をクリックし、

Autodesk Revit>修正>修正>位置合わせ

と選択します。Revitのタブ名>パネル名>コマンド名の順です。

タブ名>パネル名>コマンド名 の順で追っていく

これでコマンド1に位置合わせが設定されます。

コマンド1に位置合わせが割り当てられた

この手順で、のこりのコマンドも割り当てます。

全てに割り当てる
保存を押して、Revitで確認します。

お気に入りのコマンドセットを作ろう!

試したところ、これらのコマンドは標準だけではなく、カスタマイズしたコマンドも登録可能になっていました。

親指ボタンにラジアルメニューを割り当てる

親指ボタン(◀と▶)にラジアルメニューを割り当てれば、合計3つのラジアルメニューを使い分けることができます。
例えば、設定アプリで次のように割り当ててみます。
3つのラジアルメニューを割り当てる

こうすることで、合計24のコマンド+片手での画面操作が可能になり、Revitの操作性がものすごく向上することを実感しました。少なくとも私にとって、現時点で最高のRevit用マウスです。

CadMouse ProはRevitの操作性を大きく向上させ、毎日の作業の負担を軽減してくれます。入手は直販サイトやアマゾンなどで可能です。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?


2025年11月9日日曜日

青いレベル

青=リンク

ずいぶんと基本的なお話で恐縮なのですが、レベルの中には黒と青があることにお気づきですか?

青いレベル記号
レベルの中には黒いレベルも存在します。
黒いレベル記号
印刷するとどちらも黒で印刷されるのであまり気にしたことがないかもしれません。この青は

関連する平面ビューへのリンク

なのです。そのレベルに関連する平面ビューが存在すれば、レベルの先端を右クリックすると「平面図に移動」が選択できます。

平面図に移動

また、レベル記号をダブルクリックしても関連する平面ビューに移動できます。

ここをダブルクリックしてもOK

立面・断面・吹き出しもリンク

このような「青いリンク」は断面記号にも存在します。断面線の先端のマーカーも青色で表示されています。

断面線のマーカーも青=リンク

青い記号をダブルクリックすると、該当する断面ビューに移動します。

吹き出しの記号も青色で表示され、ダブルクリックで該当するビューに移動できます。

吹き出し記号も青=リンク

立面マーカは例外的で、ポインタは青くはなりませんが、ダブルクリックすると当該立面ビューに移動できます。

立面マーカーは青くならないがリンクはある

PDFでもリンク可能

PDFに印刷してもこれらのリンクは有効です。印刷後のPDFでは各種リンクの記号をマウスオーバーすると指のマークがでてきてシングルクリックで該当するビューに移動できます。

ただしRevitのPDF書き出し機能、またはAdbeのPDFプリントドライバを使用する必要があります。例えば、Microsft Print to PDFなどではリンクはサポートされていません。

PDF書き出しオプションや出力設定オプションのの「リンクを青で表示(カラー印刷のみ)」のリンクとは、これらの「青い記号」のリンクのことを指しています。

英語版は「View links in blue」でわかりやすい