2025年8月16日土曜日

Autodesk Viewer (2/3)

受け取り側はサインインしなくてもよい

リンクを受け取ったら、リンクをクリックするだけでアクセスできます。この時点ではAutodesk IDを取得したりサインインする必要はありません。サインインしなくてもビューアのほぼすべての機能が使えますので、受け取り側の人にいろいろと面倒な説明をする必要がないのはありがたいです。

リンクをクリックした直後の状態。右上に[サインイン][サインアップ]のボタンがあるが、このままでもほとんどの機能にアクセスできる。

使用できない機能は

  • コメント
  • マークアップ

です。

表示・非表示

モデルブラウザを表示して、目玉のマークをクリックすればカテゴリごとに表示非表示を切り替えることができます。
モデルブラウザ

非表示といってもゴースト(半透明)状態にするだけですので、要素のが全く見えなくなるわけではありません。
天井がゴースト表示になる
目玉のマークではなく、カテゴリの名前をクリックすると、そのカテゴリを除く要素がゴースト表示になります。
天井を除く要素がゴースト表示になる

画面を右クリックして[すべてのオブジェクトを表示]ですべての要素を表示する、つまりリセットすることができます。

要素単位で表示・非表示をコントロールするには要素を選択し右クリックします
要素を右クリック

選択表示 でその要素だけが表示され
選択した要素を除いてゴースト表示になる
選択非表示 でその要素だけが非表示となります
選択した要素がゴースト表示
いずれも画面を右クリック>すべてのオブジェクトを表示でリセットされます

完全に非表示としたい

非表示=ゴースト表示は規定値ですが、完全な非表示に変更することもできます。
画面左上の[設定]をクリックし、表示セクションの[ゴースト非表示オブジェクト]をオフにします。
設定でゴースト表示をやめることもできる

プロパティにアクセスするには

要素を右クリックして[プロパティを表示]を選択すると、要素のプロパティにアクセスできます。

要素のプロパティにアクセス可能

例えば構造フレームの断面寸法が知りたい場合、プロパティの構造断面ジオメトリグループに情報があります。

Revitのパラメータグループが維持されている

ダクトのシステムが知りたい場合は、ダクトのプロパティの機械のシステム分類またはシステムタイプなどをみるとわかります。

システム分類

断面ボックス

Revitの切断ボックスのように、要素を選択(複数OK)してその要素の周囲のみを表示する断面ボックスという機能が便利です。

要素を選択し右クリック>断面>断面ボックスを選択します。


すると選択した要素の周辺に断面ボックスが作成されます。

要素の周囲に断面ボックスが作成される
ボックスの6つある側面をクリックすると、黄色いギズモ(矢印)が表示されるので

側面をクリックすると矢印が表示される
これをドラッグすることで断面ボックスの範囲を変更できます。

断面ボックスの範囲を変更

画面右クリック>すべてのオブジェクトを表示 でリセットできます。


断面

XYZ平面に平行に切断することもできます。画面下の[断面]をクリックするとツールが現れます。

画面下の[断面]をクリック

X平面、Y平面、Z平面(ビューキューブの左右、前後、上下の方向に相当)に平行な切断面を表示して、要素を切断することができます。

X平面で切断した例
切断面に表示されるギズモ(矢印)をドラッグして切断位置を調整します。

画面右クリック>すべてのオブジェクトを表示 でリセットできます。

計測

寸法を測ることができます。画面下の計測ボタンをクリックするとツールが現れます。


3Dでも2Dでも計測できます。例えば梁と天井の隙間を計測したければ適当に梁のエッジと天井面をくりっくするだけでOKです。

適当にスナップするだけでよい

するとNavisworks同様にXYZの距離が表示されます。Zの値をみれば垂直距離がわかります。

直線距離に加えてXYZの距離が表示される

計測した寸法を削除するには、直線距離部分をクリックし、ツールバーの[削除]をクリックします。
直線距離を選択して[削除]をクリック

スクリーンショット

スクリーンショットを取って画像をダウンロードすることもできます。

画面右上の[スクリーンショット]をクリックします

スクリーンショット

右側に表示されるスクリーンショットパネルの[ダウンロード]を押して画像をダウンロードします。

さて、これだけでもかなり優秀なビューアであることがわかるのですが、サインインしたら使える機能「コメント」「マークアップ」とはどのような機能なのかを次回解説します。


2025年8月10日日曜日

Autodesk Viewer(1/3)

準備が肝心

Autodesk Viewer はAutodeskアカウントさえ取得すれば、だれでも無料で利用できるオンラインビューアです。Revitの2D/3Dビューをでも誰とでも簡単に共有することができます。Docsのライセンスが十分にない場合でも、Revitのモデル情報、図面情報を共有することができるので、ぜひ活用していただきたいサービスです。

Autodesk Viewer

このビューアを上手に活用するにはRevitデータをアップロードする前に次の二項目の事前準備が重要です。

  • 共有したいビュー(共有目的に沿ったビュー)の作成
  • パブリッシュ設定

共有したいビューを作成する

何について協議したいのかを明確にして、その協議内容にふさわしいビューをあらかじめ作成しておきます。例えば構造フレームとダクトの干渉について協議したいならば、情報を受け取った側が素早くその部位にアクセスできるように、3Dビューや2Dビューを作成します。

このとき、透過の設定をしておけばビューア上でも反映されます。

3Dビュー:検討1_3Dビュー

2Dビュー:検討1_断面

できるだけ魅力的なコンテンツを作成することがビューアを上手に使うコツです。またビューにも検索しやすいように接頭辞を統一するなどの工夫をしておくとよいでしょう。

パブリッシュ設定

次に、パブリッシュ設定を行います。

  1. コラボレートタブ>モデルを管理パネル>パブリッシュ設定
  2. パブリッシュ設定ダイアログボックスの[新しいセット]をクリック
    [新しいセット]をクリック

  3. 名前に任意の名前(ここでは「検討1」としました)をつけてOK
  4. セットを選択で検討1が選択されていることを確認(チェックボックスではなくアイテムが選択されていることが大事)
  5. セットを編集リストに表示からモデル内のすべてのビュー及びシートを選択
  6. 検索条件に検索語を入力(ここでは検討と入力)
  7. 表示されたビューにチェックを入れる
    パブリッシュセットを編集

  8. 最後に「このセットをパブリッシュ(公開)する」という意味で、セットを選択の目的のセットにチェックを入れる
    パブリッシュするセットにチェックを入れる

  9. [保存して閉じる]をクリックしてダイアログボックスを閉じる
  10. ファイルタブ>上書き保存
これで準備が整いました。

オートデスクビューアにアップロードする

パブリッシュ設定まで完了したら、オートデスクビューアにアップロードします。オートデスクビューアを開き[新しいファイルをアップロード]をクリックしましょう。
まずメインファイルをアップロード
まずメインのファイルを一つビューアの画面上にドラッグ&ドロップします。
続いてリンクファイルをアップロード
続いて、リンクファイルを画面上にドラッグ&ドロップします。ない場合は[ファイルの追加が完了しました]をクリックします。
アップロードするファイルを確認

ファイルを確認したら[アップロード]ボタンを押します。するとアップロードが開始されます。アップロード中(①~②)はページを閉じてはいけません。
アップロード中はページを閉じないようにする
処理中(②~③)はページを閉じて構いません。閲覧できるようになったらメールが配信されるので、メールのリンクをクリックすれば閲覧できます。パブリッシュ設定をしたビューが閲覧できることを確認してください。
Autodesk Viewerで閲覧
左側のビューパネルで2Dビューに切り替えると
2Dビューも閲覧できる

共有する

このビューアの情報を共有するには、リンクを送信するだけです。画面右上の[共有]をクリックし、表示されるリンクをコピーしメールやTeamsで共有したい相手に送付します。
共有リンクを取得

これでモデルを共有して議論を進める準備ができました。次回はもう少しこのビューアの使い方を深く見ていきましょう。

2025年8月2日土曜日

床にホストされるファミリ

レベルに置きたいのに・・・

今回は「ファミリを配置したら床にホストされてしまった。レベルに配置したいのにホストの変更ができない。」というような場合の対処方法です。

ホスト先をレベルにしたい!

解決策1~断面・立面ビューでレベルを選択

簡単な解決策としては断面・立面・3Dビューなどレベルが表示されているビューを開き、新しいホストとしてレベルを選択する方法です。数がそれほど多くないのであればこの方法が簡単です。

  1. レベルが選択可能なビューを開く
  2. 対象となる要素を選択し、修正タブ>ホストパネル>新しいホストを選択
  3. レベルを選択

ホストがレベルに変更される

解決策2~ファミリの改造

ファミリを選択したときにリボンの表示が異なることがあります。

A
B

Bには「作業面を編集」というボタンがあり、これを押すとレベルを選択することができます。

作業面としてレベルを選択できる

この違いはファミリパラメータ「作業面ベース」のON/OFFで生じます。ファミリをファミリエディタで開いて見ましょう。

ファミリパラメータ

作業面ベースに✔が入っているとBのような「作業面を編集」ボタンが表示され、どのようなビューでもレベルにファミリを配置できます。しかも複数の要素を一度に変更できるので多数の要素がある場合はとても便利です。

新規作成時もオプションが異なる

作業弁ベースのファミリを新規作成するときもリボンの表示に注目してください。

作業面に配置を選択すると、作業面を選択できる
面に配置と作業面に配置を選択でき、作業面に配置を選択すると、ドロップダウンからレベルまたは名前の付いた参照面を選択することができます。

2025年7月27日日曜日

建築工事標準詳細図(4-11) ~木製建具

木製建具

建築工事標準詳細図4-11は木製建具(ドア)の詳細です。

木製ドア(コンクリート壁の場合)

建築工事標準詳細図令和4年版.rvt(ver2024)

とりあえず4-11の木製ドアのファミリを作成してみました。

建具取合い:木製建具(コンクリート壁の場合)

  • 4-11-1 木製建具枠
  • 4-11-2 木製建具枠
  • 4-11-3 木製建具枠

それぞれのファミリには、以下のドアパネルのファミリがネストされています。

  • 4-01 A-1 フラッシュ戸
  • 4-01 A-2 フラッシュ戸
  • 4-01 A-3 フラッシュ戸
  • 4-01 A-4 フラッシュ戸
  • 4-01 A-5 フラッシュ戸
  • 4-01 A-6 フラッシュ戸
  • 4-01 B-1 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-2 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-3 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-4 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-5 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-6 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-7 ガラス入フラッシュ戸
  • 4-01 B-8 ガラス入フラッシュ戸
    建築工事標準詳細図 4-01より抜粋

ネストされたドアパネルにはラベル「戸形状」が設定されていて、タイプごとにタイプを切り替えるようにしています。

ネストファミリの位置合わせについて

ネストされているファミリはパラメータの値を変更するだけで形状が変わります。このようにネストファミリを切りかえる場合は、それぞれのネストファミリに含まれる参照面の「参照」パラメータの値が重要です。
参照面の「参照」の値には、「参照なし」「強参照」「弱参照」のほかに次の値があります。
  • 中心(左/右)
  • 正面
  • 中心(正面/背面)
  • 背面
  • 中心(高さ)
  • 参照面の「参照」

これらの参照は、ネストファミリの位置合わせのための値です。ファミリを切り替えるときRevitはネストファミリに含まれるこれらの参照の値をもつ参照面が一致するように、位置合わせを行います。ネストファミリには、必ずしもすべての参照を指定する必要はありませんが、少なくとも左右、正面背面、上下で一つの参照を指定する必要があります。
平面

正面


ネストファミリの平面/天井伏表示について

ドアパネルの中にはガラスやガラリが含まれているものがあります。例えばB-6はガラスとガラリが入ったパネルです。
B-6

平面図1FLのビューを開くと次のように表示されます。
断面位置を変えてもパネルの表示は変わらない

ビュー範囲の断面はFL+1200です。ビュー範囲をガラスを切断するようにFL+1500にしても表示は変わりません。天井伏も同様です。
ドア・窓・造作工事の平面・天井伏の表示表現はファミリエディタでファミリを保存した時点の平面・天井伏ビューの断面位置での表示に固定されます。これを「平面プレカット」といいます。
4-11-1 木製建具枠のファミリを開き、さらにネストされている4-01 B-6 ガラス入フラッシュ戸を開きます。
平面図>基準レベルのビュー範囲の断面は基準レベル+950となっていて、ちょうどガラスとガラリの中間で切断した状態を表示しています。
断面は基準レベル+1500

平面で切断された時の表示はこの表現で固定されます。

またガラスやガラリの表示設定は平面・天伏では表示されないように設定しています。
ガラス・ガラリは平面/天伏では表示しない

ネストファミリの表示表現はホストのファミリではなく、ネストファミリで設定されますので、平面・天伏ビューの保存時の表示表現には十分注意を払ってください。

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください