2025年9月7日日曜日

建築工事標準詳細図(5-01) ~屋上パラペット

屋上パラペット

建築工事標準詳細図5-01にはRC造の屋根保護防水断熱工法の屋上パラペットのおさまりが7点示されています。

建築工事標準詳細図5-01

今回はこれらをモデリングしてみました。いつものように製図ビューも作成しています。製図ビューはPDFをなぞって作成しているので、小数点以下の精度に難がある点をご容赦ください。

サンプルファイルはこちらからダウンロードしてください。

建築工事標準詳細図令和4年版.rvt(ver2024)

パラペットのモデルは{3D}のビューを開くと次の赤丸の位置にあります。

モデルはRSLに作成している

プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>平面図>平面図>平面図 RSLを参照してください。
平面図RSL

それぞれの断面には関連するディテールがコールアウトで関連付けられています。
吹き出しで関連付け


床について

床はサブ要素を修正することで水勾配を編集するので、躯体と保護コンクリート部を一体で作成しています。

一体で作成された屋上床

5-01-1/2 立上り部コンクリート押さえの場合

モデルはこちら

立ち上がり部がコンクリートで厚さに変化がないので、レイヤ構造を編集して壁タイプを作成しています。

レイヤを編集して作成すると、分割位置が下端からの距離で固定されるので、あまりよくないかもしれませんが、「こんなこともできる」という例として作成しています。

アルミ笠木は壁のスイープで作成しました。原則として笠木は壁のスイープで作成しています。

パラペット天端は壁の天端から35mm上です。



5-01-3/4 コンクリート「あご」つきのパラペット

モデルはこちら

「あご」はプロファイルを使って、壁タイプに組み込んでいます。少々複雑にリビールとスイープを組み合わせた作りですが、次の図のように壁の高さがそのままパラペット天端に一致するようにしています。

ちょっと複雑ですが・・・

パラペット天端は壁の天端±0です。



5-01-5/6 乾式保護材が壁の途中で止まる

モデルはこちら


防水立上り部は別の壁タイプで作成しています。また、アルミ笠木は壁スイープで作成していますが、防水立上りの壁の水切りは利便性を考慮して壁タイプに組み込んでいます。

防水保護部は独立した壁になっている

5-01-7 乾式保護材が壁の天端まである場合

モデルはこちら

一つの壁タイプで作成し、アルミ笠木を壁のスイープで作成しています。

パラペット天端=壁の高さ+35mmです。

今後そのほかのパラペットも作成していきますが、その過程でより良い方法が見つかった場合は今回のモデルも修正します。

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください

2025年8月31日日曜日

Autodesk Construction Cloud ~ Docs入門

Docsを使ってみよう!

Autodesk Viewerに慣れてきたら、次はACC(Autodesk Construction Cloud)のDocsの機能を使ってみましょう。

Autodesk Community Blogに連載を始めましたのでご覧ください。

Revit ユーザーのための Docs ガイド

(1)とりあえずアップロードしてみる

(2)ビューアーを使い倒す

(3)パブリッシュ

(4)過去バージョン

(5)マークアップ

今後、指摘事項の使い方など、Docsだけでできる機能についてチュートリアル形式で記事を掲載していく予定です。

ぜひご覧ください。

2025年8月24日日曜日

Autodesk Viewer (3/3)

受け取り側がサインインすると・・・

送信者に加えて受信者もサインインすると、

  • コメント
  • マークアップ

の機能が使えるようになります。これらの機能を使うことで、より詳細なディスカッションが可能になります。基本の流れは断面・表示非表示などでビューを調整した後に

  1. マークアップして共有する
  2. コメントを追加して投稿する

の二パターンです。

コメントで情報交換する方法

閲覧していて気になる部分があったら、すぐにコメントボタンをおします。

コメントボタンを押す


すると、右側にコメントパネルが開き、画面のキャプチャが表示されるので、コメント欄にコメントを書いて投稿ボタンを押します。

コメントパネルでコメントを入れて[投稿]をクリック

このとき、メールがコメントを作成したリンク受信者から、リンク送信者側に自動送信されます。
メールが送信される

この返信ボタンをクリックすると、ビューアが開き、コメントパネルが開いて同じビューを閲覧することができます。

ビューアが開いて、コメントを共有できる。

さらにこの[返信]をクリックして、返信を書き込み、投稿ボタンを押すと

またメールが発出されます。

メールが再度配信される
これを繰り返して、最終的に解決したら、コメントパネル右上の解決にチェックを入れます。すると、コメントパネルからこのやり取りが非表示となります。

解決に✔をいれる

マークアップからの共有

マークアップは一種の「スクリーンショット」です。スクリーンショットを取ったうえで、静止画にマークアップを作成するというイメージです。

モデルの見え方を十分に調整してから、画面右下の[マークアップ]をクリック。


画面がキャプチャされて、画面下にはマークアップツールバーが表示される

マークアップツールバー
使用できるのは鉛筆、矢印、雲マーク、文字です。直管的に操作できるので詳しい説明は省略します。必要なことを欠き込んだら右上の[保存]ボタンをクリックします。

マークアップしたら[保存]をクリック

コメントパネルが表示されます。
コピーでURLをコピーしても、返信を押してコメントをやり取りしてもよい

コピーを押してURLを取得し、メンバーに送信してもいいし、コメント同様に返信でのやり取りとなります。

サインインすればビューアにコメントを入れながら、経緯をトラッキングすることができます。

コメントの書き出し

このようなやり取りはすべて「コメント」パネルからアクセスできます。このようなやり取りは書き出すことができます。コメントパネル右上の[書き出し]をクリックすると、PDFファイルとしてダウンロードできます。このとき「解決済みを表示」にチェックを入れておくと、解決済みのコメントもすべて書き出すことができます。

コメントを書き出し
PDFは次のような書式です。

書き出されたコメント

有効期限は30日間

このように大変便利な機能を有しているAutodesk Viewerですが、さすがに無償だけあって有効期限は最初にアップロードした日から30日間に限られています。ただし、この期間は延長することができます。

Autodesk Viewerの最初の画面で、[自分が所有者]のデザインビューであれば、[延長]ボタンが押せるはずです。

有効期限を延長できる

新しい有効期限は、延長ボタンを押した日から30日になります。

こうして延長はできるものの、いつかは情報はなくなってしまいます。この優秀なビューアはおそらくTeamsなどと組み合わせて使うことで最高のメリットを享受できるのではないでしょうか?

問題を見つける→スクリーンショットを取る→PPTなど好きなツールでコメントをかく→スクリーンショットを取ってTeamsでテーマごとに共有

というのが手間もかけず、経費もかけずに日常の情報共有に3Dモデルを活用するきっかけにならないでしょうか?

皆さんもAutodesk Viewerを積極的に使用してうまい使い方を考案してみてください。


2025年8月16日土曜日

Autodesk Viewer (2/3)

受け取り側はサインインしなくてもよい

リンクを受け取ったら、リンクをクリックするだけでアクセスできます。この時点ではAutodesk IDを取得したりサインインする必要はありません。サインインしなくてもビューアのほぼすべての機能が使えますので、受け取り側の人にいろいろと面倒な説明をする必要がないのはありがたいです。

リンクをクリックした直後の状態。右上に[サインイン][サインアップ]のボタンがあるが、このままでもほとんどの機能にアクセスできる。

使用できない機能は

  • コメント
  • マークアップ

です。

表示・非表示

モデルブラウザを表示して、目玉のマークをクリックすればカテゴリごとに表示非表示を切り替えることができます。
モデルブラウザ

非表示といってもゴースト(半透明)状態にするだけですので、要素のが全く見えなくなるわけではありません。
天井がゴースト表示になる
目玉のマークではなく、カテゴリの名前をクリックすると、そのカテゴリを除く要素がゴースト表示になります。
天井を除く要素がゴースト表示になる

画面を右クリックして[すべてのオブジェクトを表示]ですべての要素を表示する、つまりリセットすることができます。

要素単位で表示・非表示をコントロールするには要素を選択し右クリックします
要素を右クリック

選択表示 でその要素だけが表示され
選択した要素を除いてゴースト表示になる
選択非表示 でその要素だけが非表示となります
選択した要素がゴースト表示
いずれも画面を右クリック>すべてのオブジェクトを表示でリセットされます

完全に非表示としたい

非表示=ゴースト表示は規定値ですが、完全な非表示に変更することもできます。
画面左上の[設定]をクリックし、表示セクションの[ゴースト非表示オブジェクト]をオフにします。
設定でゴースト表示をやめることもできる

プロパティにアクセスするには

要素を右クリックして[プロパティを表示]を選択すると、要素のプロパティにアクセスできます。

要素のプロパティにアクセス可能

例えば構造フレームの断面寸法が知りたい場合、プロパティの構造断面ジオメトリグループに情報があります。

Revitのパラメータグループが維持されている

ダクトのシステムが知りたい場合は、ダクトのプロパティの機械のシステム分類またはシステムタイプなどをみるとわかります。

システム分類

断面ボックス

Revitの切断ボックスのように、要素を選択(複数OK)してその要素の周囲のみを表示する断面ボックスという機能が便利です。

要素を選択し右クリック>断面>断面ボックスを選択します。


すると選択した要素の周辺に断面ボックスが作成されます。

要素の周囲に断面ボックスが作成される
ボックスの6つある側面をクリックすると、黄色いギズモ(矢印)が表示されるので

側面をクリックすると矢印が表示される
これをドラッグすることで断面ボックスの範囲を変更できます。

断面ボックスの範囲を変更

画面右クリック>すべてのオブジェクトを表示 でリセットできます。


断面

XYZ平面に平行に切断することもできます。画面下の[断面]をクリックするとツールが現れます。

画面下の[断面]をクリック

X平面、Y平面、Z平面(ビューキューブの左右、前後、上下の方向に相当)に平行な切断面を表示して、要素を切断することができます。

X平面で切断した例
切断面に表示されるギズモ(矢印)をドラッグして切断位置を調整します。

画面右クリック>すべてのオブジェクトを表示 でリセットできます。

計測

寸法を測ることができます。画面下の計測ボタンをクリックするとツールが現れます。


3Dでも2Dでも計測できます。例えば梁と天井の隙間を計測したければ適当に梁のエッジと天井面をくりっくするだけでOKです。

適当にスナップするだけでよい

するとNavisworks同様にXYZの距離が表示されます。Zの値をみれば垂直距離がわかります。

直線距離に加えてXYZの距離が表示される

計測した寸法を削除するには、直線距離部分をクリックし、ツールバーの[削除]をクリックします。
直線距離を選択して[削除]をクリック

スクリーンショット

スクリーンショットを取って画像をダウンロードすることもできます。

画面右上の[スクリーンショット]をクリックします

スクリーンショット

右側に表示されるスクリーンショットパネルの[ダウンロード]を押して画像をダウンロードします。

さて、これだけでもかなり優秀なビューアであることがわかるのですが、サインインしたら使える機能「コメント」「マークアップ」とはどのような機能なのかを次回解説します。