2025年11月2日日曜日

カーテンウォールの建具表

カーテンウォールの集計表

カーテンウォールはあくまでも「壁」です。カーテンウォールには、複数のインスタンスで一つの建具記号だったり、インスタンスベースで自由にサイズが変更出来るという特徴があるため、タイプパラメータをベースとするドアや窓の集計表と同じ集計表にまとめることは無理があります。

そこで今回はカーテンウォール専用の集計表(建具表)の作り方の一例をご紹介します。

前提条件

次のモデルには、3箇所の建具があります。それぞれの建具は3つと1つと2つのカーテンウォールのインスタンスで構成されています。これをそれぞれ、ACW-1,ACW-2,ACW-3として集計表を作成します。

パネルはすべてカーテンパネルカテゴリで作成

各カーテンウォールのパネルはすべてカーテンパネルのカテゴリで作成されています。ドアや窓のカーテンパネルはありません。

共有パラメータの作成

集計表に必要なパラメータをプロジェクトに追加します。集計表に表示するだけであればプロジェクトパラメータでもいいのですが、タグに表示する必要があるならば共有パラメータを使ってプロジェクトパラメータを作成します。

次の共有パラメータを作成します。

  • CW_メイン記号:文字
  • CW_サブ記号:文字
  • CW_仕様:マルチラインテキスト
共有パラメータを作成しよう!

壁とカーテンパネルにプロジェクトパラメータを設定

壁カテゴリとカーテンパネルカテゴリのインスタンスパラメータとして作成した共有パラメータを追加します。

  1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータ
  2. [新しいパラメータ]ボタンをクリック
  3. カテゴリリストから「壁」と「カーテンパネル」を選択
  4. パラメータタイプで[共有パラメータ]を選択
  5. 選択ボタンをクリックし、CW_メイン記号を選択しOK
  6. パラメータグループにデータを指定
    • パラメータグループは何でも構わないのですが、データだと下の方に表示されるのであまり邪魔になりません。
  7. インスタンスを指定
  8. OK
壁とカーテンパネルにパラメータを設定

2~3の手順を繰り返して、CW_メイン記号、CW_サブ記号、CW_仕様の共有パラメータを壁とカーテンパネルカテゴリにインスタンスパラメータとして追加します。

カーテンウォールにプロパティを設定する

カーテンウォールのメイン記号とサブ記号

カーテンウォールに「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定します。
カーテンウォールのCW_メイン記号とCW_サブ記号に値を設定
  1. カーテンウォールを選択し、プロパティウィンドウで上の図のように「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」を設定する。

カーテンパネルのメイン記号とサブ記号

カーテンパネルにもホストとなるカーテンウォールと同じ「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定します。

  1. カーテンウォールを選択
  2. 右クリック>ホスト上のパネルを選択
    ホスト上のパネルを選択

  3. この状態でホスト壁と同じ値で「CW_メイン記号」「CW_サブ記号」の値を設定する。

集計表の作成

壁の集計表

壁の集計表は、建具全体の情報を表示するために使用します。カーテンウォールのみ、CW_メイン記号、CW_サブ記号が設定されている要素のみを表示するようにフィルタを設定するところがポイントです。
  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量 で壁カテゴリを選択し、名前を設定する

  2. フィールドタブで次の図のようにフィールドを追加
    フィールドを追加
  3. フィルタタブで次の図のように設定
    カーテンウォールで記号に値があるものだけ表示

  4. 並べ替えグループ化タブで次の図のように設定

  5. 書式タブでファミリ、基準レベル、CWメイン記号の[非表示のフィールド]に✔

  6. OK
次のような集計表が出来上がります。
この集計表はカーテンウォールの枠などの仕様を表示するために使用します。
コメントはカーテンウォール各部の概要を表示するために使用します。

カーテンパネルの集計表

カーテンパネルの集計表は、建具に含まれる各パネルの内訳を表示します。CW_メイン記号、CW_サブ記号が設定されている要素のみを表示するようにフィルタを設定します。
  1. 表示タブ>作成パネル>集計▼>集計表/数量 で次の図のようにカーテンパネルカテゴリを選択し、名前を「カーテンパネル建具表」に設定する
  2. フィールドタブで集計表に使用するフィールド(パラメータ)を追加します。

  3. 計算フィールドを追加します。集計表の並べ替えフィールドとして使用します。
    Fxボタンを押して計算フィールドを追加

  4. 並び順を整える。
    フィールドを並べ替える

  5. フィルタタブを次の図のように設定
    メイン記号とサブ記号に値があるものだけを表示する

  6. 並べ替え/グループ化タブを次のように設定。各インスタンスの内訳は外してください。
    並べ替え

  7. 書式タブで CW_メイン記号、CW_サブ記号、幅と高さを非表示のフィールドに設定

次のような集計表が出来上がります。
カーテンパネル集計表

仕様を入力

出来上がった二つの集計表で、カーテンウォールとカーテンパネルの仕様を入力します。マルチテキストなので、何でも自由に入力できます。

カーテンパネルにもCW_仕様をインスタンスパラメータとして追加しました。パネル独自の仕様があればここに記入します。カーテンパネルはタイプパラメータでもよいでしょう。その場合は、仕様が異なるカーテンパネルタイプは複製する必要があります。

姿図と集計表

シートレイアウト

立面図などで姿図を作成し集計表とともにレイアウトします。
シートにレイアウト

まとめ

この方法の狙いは
  • 壁のインスタンスパラメータの建具関連のパラメータを最小限に抑えることができる
  • インスタンスベースで気楽にまとめることができる
  • カーテンウォールの仕様は全体を、より詳細はカーテンパネルの仕様に
  • 仕様はマルチラインテキストで自由に記述できる
というところにあります。
壁の建具関連パラメータは最小限に

共有パラメータにしたので、平面図に壁タグを作成することもできます。
壁タグで建具記号を作成

他にも方法はあるかもしれませんが、一例として参考にしてください。

2025年10月19日日曜日

舗装とサブ領域の変遷

名脇役「舗装とサブ領域」の変遷

Revit2024で地形ソリッドが登場

地形ソリッド登場以前は「舗装」「サブ領域」というなかなか便利な機能がありました。舗装は地盤面の一部を平坦にくりぬく機能です。サブ領域は地盤面の一部に異なるマテリアルを割り当てることができました。

2023以前の舗装とサブ領域
 Revit2024で地盤面は地形ソリッドに置き換えられましたが、舗装は廃止されました。サブ領域はサブ区画となりましたが、高さは0.2mm以上必要で地形ソリッドと同面にできません。
v2024で舗装は廃止されました

v2024で舗装が廃止された理由は、ボイドファミリで地形を切り取ることで代替できるからだと推測します。しかしながら、ボイドで切り取るるだけでは、舗装のレイヤ構造を再現することができませんでした。

ボイドで切り取れば舗装と同等


Revit2025で「掘削」が登場

Revit2025では地盤を地盤で「掘削」する機能が追加されました。これで完全に舗装を置き換えることができました。

まず、地形ソリッドの中に地形ソリッドを作成します。

地形ソリッド内部に地形ソリッドを作成
外側の地形ソリッドを選択し、

修正|地形ソリッドタブ>地形ソリッドの成形パネル>掘削▼>掘削

埋め込まれた地形ソリッドを選択すると、外側の地形ソリッドが「掘削」されます。
地形ソリッドの掘削

これで完全に地盤面-舗装の関係は、地形ソリッド-地形ソリッドによる掘削で置き換えられたといえるでしょう。

Revit2026で「サブ区画」を強化

Revit2026ではサブ区画が強化されました。ポイントは2つで

  • サブ区画のオフセット:高さを自由に設定できるようになった
  • サブ区画のレイヤ構造:サブ区画にレイヤを割り当てることができる

この2点はかなりの朗報でして、従来のサブ領域を上回る機能が追加されたことになります。掘削はまったく表面の高さが全く異なる地形ソリッドを使いますが、表面の高さはホストのサブソリッドからの相対距離で決まります。

例えば、サブ区画のオフセットを-100とすると、地形なりに-100オフセットされます。

サブ区画は地形なりにオフセットされる
さらにサブ区画の壁タイプを変更すして、レイヤ構造を割り当ててみます。

サブ区画に地形ソリッドのタイプを割り当て可能

まとめ

2024で地形ソリッドが登場し、2025で舗装が、2026でサブ区画が置き換わりました。すこし時間がかかりましたが、ようやく2026で地形ソリッドがかつての地盤面をしのぐ機能に強化されました。

  • v2024 : 地盤面→地形ソリッド
  • v2025 : 舗装→掘削
  • v2026 : サブ領域→サブ区画の強化

地形ソリッドはサーフェス要素の地盤面よりは相当に扱いやすいので、脇役2つがそろった2026でその力を存分に発揮できるようになりました。今、バージョンアップするならば断然2026以降がおすすめですよ~。

2025年10月5日日曜日

鉄骨構造要素の重量

重量パラメータ

Revit2025.2から、鉄骨の構造フレームと構造柱に「重量」パラメータが追加されました。また、構造柱には「長さ」パラメータも追加されました。

重量と長さパラメータ

以前の記事「構造フレームの重量と質量」では集計表を使う方法を紹介しましたが、2025.2以降ではプロパティウィンドウで確認できるようになりました。

(パラメータ名は「重量」ですが、単位から推測すると「質量」のようですね。。。)

重量パラメータの値が0と表示される場合、ファミリを修正する必要があります。

重量が0!

重量=0の場合のファミリの修正方法

重量の計算は断面形状に基づいているので、鉄骨構造部材ファミリに断面形状とそれに関するパラメータの値を設定します。

  1. 重量=0のファミリを選択し、ファミリを編集でファミリエディタを開きます。
  2. 断面形状の値をクリックし、右端の[...]ボタンをクリック
    断面形状を設定する

  3. 適切な形状を選択します。ここではH型鋼を選択
    断面形状を選択

  4. プロパティパネル>ファミリタイプ 断面形状を設定することで寸法、構造解析、構造断面ジオメトリグループに組み込みパラメータが追加されたことを確認します。
    断面形状を追加すると組み込みパラメータが追加される

  5. ファミリエディタパネル>プロジェクトにロードで 既存のバージョンとそのパラメータ値を上書きする を選択
この時点ではまだ重量は計算されません。重量を計算するには断面形状を追加することで新たに追加された組み込みパラメータのうち、
  • 構造解析グループ:断面積
  • 構造断面ジオメトリグループ:すべて
を設定する必要があります。意外なことですが構造解析グループ:単位重量は必要ありません。

配置された重量=0のファミリを選択し、タイプ編集で次のように設定してみました。
断面積と構造断面ジオメトリのパラメータを設定

すると、重量が計算されます。
重量が計算される


密度の値はどこから?

無事、重量が表示されましたが構造解析グループ:単位重量の値は重量の計算に使われていません。密度は構造マテリアルで設定します。
構造マテリアルの値(図ではメタル - 鉄鋼 - 345 MPa)をクリックし、右端の[...]ボタンをクリックしてマテリアルエディタを開きます。
構造マテリアルを確認する

材質タブを選択し、機械グループの密度の値を確認してください。
材質タブの機械グループの「密度」
試しにこの密度の値を2倍にすると。。。
密度の値を2倍にしてみる
重量の値も2倍になります
重量の値も2倍になる

2025年9月28日日曜日

鉄筋セットの分割

【朗報】ようやく分割可能に

Revit2026.3から、鉄筋セットを分割することができるようになりました。例えば固定数=4で作成した鉄筋セットを単一と3本セット、あるいは4本バラバラに分割することができます。

少々隠しコマンド的になっているので使い方を確認しましょう。

鉄筋を選択して分割

まず主筋を分割してみます。次の図は鉄筋をレイアウト:固定数、本数:4で作成した状態です。これを①~②、③~④に分割してみましょう。

  1. まず①~④の任意の鉄筋を選択します。
  2. 修正|構造鉄筋タブ>継手パネル>継手▼>鉄筋セットを分割

  3. ②の鉄筋を選択して、複数パネルの終了をクリック

これで4本セットの鉄筋が2本+2本の鉄筋セットとなります。このコマンドは、鉄筋セットを分割するものであり、分解してバラバラにするというものではありません。
しかし、3の鉄筋の選択で①→②→③の順で選択すると、結果としてはすべて単一の鉄筋となります。

線分で分割

鉄筋セットを分割すると元のセットには戻せないので、あらかじめ詳細線分を使って計画を立ててから分割することができます。
  1. 平面図などでひとまとめにしたい鉄筋に交差するように詳細線分を作成します。
    分割したい鉄筋に交差するように詳細線分を作成

  2. 鉄筋セットを選択
  3. 修正|構造鉄筋タブ>継手パネル>継手▼>鉄筋セットを分割
  4. 線分を選択
  5. 複数パネル>✔
    詳細線分が交差する鉄筋が分割される



鉄筋セットが分割されて、線分が交差する鉄筋があらたな鉄筋セットになります。

2025年9月7日日曜日

建築工事標準詳細図(5-01) ~屋上パラペット

屋上パラペット

建築工事標準詳細図5-01にはRC造の屋根保護防水断熱工法の屋上パラペットのおさまりが7点示されています。

建築工事標準詳細図5-01

今回はこれらをモデリングしてみました。いつものように製図ビューも作成しています。製図ビューはPDFをなぞって作成しているので、小数点以下の精度に難がある点をご容赦ください。

サンプルファイルはこちらからダウンロードしてください。

建築工事標準詳細図令和4年版.rvt(ver2024)

パラペットのモデルは{3D}のビューを開くと次の赤丸の位置にあります。

モデルはRSLに作成している

プロジェクトブラウザ>ビュー>建築>平面図>平面図>平面図 RSLを参照してください。
平面図RSL

それぞれの断面には関連するディテールがコールアウトで関連付けられています。
吹き出しで関連付け


床について

床はサブ要素を修正することで水勾配を編集するので、躯体と保護コンクリート部を一体で作成しています。

一体で作成された屋上床

5-01-1/2 立上り部コンクリート押さえの場合

モデルはこちら

立ち上がり部がコンクリートで厚さに変化がないので、レイヤ構造を編集して壁タイプを作成しています。

レイヤを編集して作成すると、分割位置が下端からの距離で固定されるので、あまりよくないかもしれませんが、「こんなこともできる」という例として作成しています。

アルミ笠木は壁のスイープで作成しました。原則として笠木は壁のスイープで作成しています。

パラペット天端は壁の天端から35mm上です。



5-01-3/4 コンクリート「あご」つきのパラペット

モデルはこちら

「あご」はプロファイルを使って、壁タイプに組み込んでいます。少々複雑にリビールとスイープを組み合わせた作りですが、次の図のように壁の高さがそのままパラペット天端に一致するようにしています。

ちょっと複雑ですが・・・

パラペット天端は壁の天端±0です。



5-01-5/6 乾式保護材が壁の途中で止まる

モデルはこちら


防水立上り部は別の壁タイプで作成しています。また、アルミ笠木は壁スイープで作成していますが、防水立上りの壁の水切りは利便性を考慮して壁タイプに組み込んでいます。

防水保護部は独立した壁になっている

5-01-7 乾式保護材が壁の天端まである場合

モデルはこちら

一つの壁タイプで作成し、アルミ笠木を壁のスイープで作成しています。

パラペット天端=壁の高さ+35mmです。

今後そのほかのパラペットも作成していきますが、その過程でより良い方法が見つかった場合は今回のモデルも修正します。

ご利用についてのお願い

ファミリも製図ビューも、サンプルファイル内の要素は、なんでも自由に利用していただいて結構ですが、何があっても責任は一切負いませんので自己責任でご利用ください