2017年4月30日日曜日

パラペット(2) ~ ハト小屋

立ち上がり部分のあご

今回は塔屋やハト小屋など、立ち上がりの防水部分についてです。あごまでの高さをコントロールできるように作成してみましょう。
こんなハト小屋を作ってみます

プロファイル

前回のあご部分のプロファイルと、先端の高さをそろえて、下の図のようなプロファイルを準備します。今回は外壁の外側にあごが突き出すように作成するため、前回とは向きがことなります。
増打部分のプロファイル
ポイントは左上の20mmの水平部分です。この部分は、上部のかべの仕上や増し打ちに合わせて調整します。今回はこのパラペットの上の壁の増し打ちを20mmと想定しています。
次に躯体の部分ですが、これは上の増し打ち部分のプロファイルに重ならないように注意して作成します。
躯体部分のプロファイル


壁タイプへの適用

(1) 躯体180mm、防水層10mmの壁タイプを作成。
(2)サンプルの高さを「600」、プレビューボタンを押してビューを「断面図:タイプ属性を修正」を選択
ビューを断面図にすると垂直部材の編集が使えるようになる
(3) 壁の造作材(壁のスイープ)をクリックし、下の図のように壁の先端にスイープを追加する。
壁のスイープで作成したプロファイルを壁の上端に追加する。オフセットは防水層分の10mm
(4) OKを押してプレビューを確認し、OKで壁タイプの編集を終了する。
プレビューを確認する

重ね壁

あご部分の上に壁を加えるには、重ね壁を使うと便利です。もう一つ壁タイプを作成し、下の図のような外壁増し打ちが20mm、躯体180mmとします。
次に、重ね壁を作成します。
(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>重ね壁の任意のタイプを右クリックして複製し、適切な名前を付けます。
(2) (1)で作成した壁タイプのノードをダブルクリックして壁タイプ編集ダイアログボックスを開きます。
(3) 構造プロパティの編集ボタンをクリック。
(4) 下の図のように設定し、パラペット立ち上がりの高さを設定(ここでは600)します。
重ね壁の設定

ハト小屋を作ってみる

それでは実際に使ってみます。
(1) 平面ビューを開いて、建築タブ>ビルド>壁
(2) タイプセレクタで作成した重ね壁のタイプを選択。
(3) オプションバーで「見上げ」「指定」「2000」、配置基準線を「躯体の中心」
(4) 描画パネルで「長方形」
タイプセレクタ・オプションバー・描画パネルの設定
(5) 任意の2点をクリックして、矩形の壁を描画
矩形で壁を描画
これで高さ2000mmのハト小屋の壁の部分はできました。
ハト小屋の壁

屋根

ハト小屋の屋根を作成します。これは素直に屋根を使うと屋根勾配が取りやすいです。
(1) 平面ビューを開いて、建築タブ>ビルド>屋根
(2) 適切な屋根タイプを選択し、オプションバーの「勾配」のチェックをはずして、下の図のようにスケッチラインを作成。
(3) スケッチラインのうち1本を選び、オプションバーの「勾配を定義」を✔
(4) △マークの角度をクリックして「=1/100」と打ち込みENTER
スケッチラインの1本だけ勾配を定義する
(5) モードパネル>✔
(6) ハト小屋の壁を選択して、屋根にアタッチする。
これでハト小屋ができました。
完成したハト小屋
断面図
壁の上端を屋根にアタッチしておけば、屋根のレベルを変更するだけで壁の高さも変わります。
プロファイルを工夫すれば様々な形状のパラペットに対応できます。

2017年4月22日土曜日

パラペット(1)

お話の前に、以下のURLでRevit2018のHELPが公開されています。どのような機能が追加されたか、確認してみてください。
http://help.autodesk.com/view/RVT/2018/JPN/

コンクリートあご

さて、今回は防水立ち上がりのコンクリートあごの作成方法についての考察です。立ち上がり部を壁で作成し、あごはプロファイルを使って作成すると、立ち上がりの高さを壁の高さでコントロールできて便利です。
こんなパラペットを作ってみます

壁のタイプ

壁のレイヤは外側から順に

  • 外部仕上ふかし 20mm
  • 躯体     180mm
  • 防水層    10mm

の三レイヤとします。任意のプロジェクトを開いて、壁タイプを作成します。

(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>標準壁 の任意のノードを右クリック>複製
(2) 追加されたタイプを右クリック>名前変更で「パラペット」としOK
(3) パラペット をダブルクリックしてタイプを編集ダイアログボックスを開く
(4) 構造プロパティの[編集]ボタンをクリック。
(5) 各レイヤを追加する。マテリアルは適宜作成して設定する。
レイヤを追加・編集
(6) OKを2回押してタイプ編集を終了する。

プロファイル

笠木(あご)の部分のプロファイルを準備します。あごの部分を躯体仕上に分けて2つ、それと壁を切り欠くプロファイルを一つ準備します。

仕上のプロファイル

パラペットの形状に応じて自由にプロファイルを作成します。プロファイルは簡単に言えば「断面形状」で、どのような形状でも作成可能です。
(1) [R]>新規作成>ファミリ
(2) 「プロファイル(メートル単位).rft」を選択し開く
(3) プロパティウィンドウのプロファイルの用途プロパティを「壁の造作材」に設定。
(4) 以下のように仕上の部分をスケッチする。参照面の交点を外壁面の天端と考え、第3象限にスケッチする。
第3象限にスケッチする
(5) [R]>名前を付けて保存 で「プロファイル_パラペット_仕上」として保存。
(6) ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード をクリックする。
(7) プロジェクトの画面に切り替わるので、CTRL+TABを何度か押してプロファイルの画面に戻す。

躯体のプロファイル

躯体のプロファイルを作成します。プロファイルが重なったらエラーになるので、「プロファイル_パラペット_仕上.rfa」をベースに改造して使います。
(1) [R]>名前を付けて保存>ファミリ で名前を「プロファイル_パラペット_躯体.rfa」として保存する。
(2) 内側の部分だけを残し、他を削除。さらに底辺を下の図のように追加して躯体のプロファイルを作成する。
仕上プロファイルの内側を使って躯体のプロファイルを作成
(3)  ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード をクリックし、プロジェクトにロードする。

壁を切り欠き用のプロファイル
仕上と躯体を壁の上部にくっつけた分、壁を切り欠くのですがそのためのプロファイルを作成します。単なる長方形のプロファイルです。やはり参照面の交点が挿入点(外壁面天端)なのですが、今度は第4象限に作成します。
(1) [R]>新規作成>ファミリ
(2) 「プロファイル(メートル単位).rft」を選択し開く
(3) プロパティウィンドウのプロファイルの用途プロパティを「壁の化粧目地」に設定。
(4) 下の図のような矩形を第4象限に作成
切り欠き用プロファイルを「壁の化粧目地」として作成
(5) [R]>名前を付けて保存>ファミリ で 「プロファイル_パラペット_壁.rfa」として保存する。
(6) ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード でプロジェクトにロードする。

壁の造作材・化粧目地の設定

ロードしたプロファイルをパラペットの壁タイプに適用します。

(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>標準壁>パラペット のノードをダブルクリックしてタイプ編集ダイアログボックスを開く。
(2) 構造プロパティの編集ボタンをクリック
(3) サンプルの高さを「600」、プレビューを押して、ビューを「断面図:タイプ属性を修正」に設定。
サンプルの高さを「600」、プレビューをおして、ビューを断面図にする
(4) 壁の造作材ボタンをクリック
(5) 追加ボタンを2回おして、ロードした「プロファイル_パラペット_仕上」「プロファイル_パラペット_躯体」を追加し、基準を「上」、壁を切り取るを「□」、マテリアルを壁タイプのレイヤ1とレイヤ2と同じものに設定する。適用ボタンを押して、正しい位置にプロファイルがあることを確認してOK。
※ここでのポイントは「壁を切り取る」をOFFにすることです。これをOFFにしないと、(6)以下の手順でエラーになります。切り取りは切り取りプロファイルに任せます。
壁の造作を追加
(6) 化粧目地ボタンをクリック。
(7) 追加ボタンを押して、ロードした「プロファイル_パラペット_壁」を追加し、基準を「上」として適用ボタンをおして、正しい位置にプロファイルがあることを確認してOK。
化粧目地を作成
(8) OKを何度か押して、タイプ編集を終了する。

※2016までは、壁の造作は「壁のスイープ」、化粧目地は「壁のリビール」という正確な訳だったのですが、2017では翻訳がさらに悪化し、あちらこちらに誤訳が散見されます。

パラペットの作成

作成したパラペットを実際に使用してみます。

(1) R階などパラペットを配置するのに適切な平面ビューを開きます。
(2) 建築タブ>ビルド>壁
(3) タイプセレクタで「パラペット」を選択
(4) オプションバーで「見上げ」「指定」「600」「躯体の中心線」と設定し、必要な位置にパラペットを作成します。
(5) コーナーへトリムや単一要素をトリムなど、普通の壁と同様に編集できることを確認します。
普通の壁と同様にパラペットを作成
断面図をみて、パラペット天端が600になっていることを確認します。
パラペットの天端までの距離
上の図はラインワークを使って、パラペットの仕上と躯体の境界線を破線表示にしています。プロファイルを作成すれば、いろいろな形状のパラペットが作成できます。
完成したパラペット
次回はハト小屋などの立ち上がり部のあごを作ってみます。

2017年4月15日土曜日

躯体ボリュームを拾う(2)

金額を設定する

集計表に単価を設定して、合計金額を求めてみます。まずマテリアルに単価を設定します。

  1. 管理タブ>設定パネル>マテリアル
  2. 目的のマテリアルを選択し、コストに単価を設定
    マテリアルに単価を設定

集計表の修正

前回作成した集計表を開きます。

  1. プロパティウィンドゥでフィールドプロパティの編集ボタンをクリック
  2. 「マテリアル:単価」を選択し追加
  3.  書式タブで「マテリアル:単価」を選択し、見出しを「単価(\/㎥)」位置合わせを「右」に設定する。また、形式ボタンを押して書式を設定。

書式タブ
集計表は次のようになります。
集計表

計算フィールドの追加

「体積×単価」の計算フィールドを追加します。

  1. フィールドプロパティの編集ボタンをクリック
  2. fxをクリックし計算値として名前は「金額」、タイプに「通貨」、計算式に「マテリアル: 体積 * マテリアル: 価格」と入力しOK
    計算式のフィールド

すると、単位が一致しません、という警告が表示されます。
単位が一致しません
マテリアル:体積は㎥、価格は¥なので答えが ㎥×\ となり、通貨の単位と異なります。この単位の違いを解決する方法は簡単で、式の一番後ろに「/1」を加え、1で割るといいのです。

  1. 計算式を「マテリアル: 体積 * マテリアル: 価格 /1」と入力しOK
  2. もう一度計算式の編集ボタンを押すと、「マテリアル: 体積 * マテリアル: 価格 / 1 m³」となって、自動的に単位 m³ が追加されていることを確認します。

単位㎥は自動的に追加される

  1. 書式タブで、「合計値を計算」を選択、その他の設定を以下のようにする。

書式タブ
集計表は以下のようになります。
金額を計算した集計表
強度(単価)の異なるコンクリートを使用する場合は、それぞれのマテリアルを準備しておいて、ファミリに割り当てればマテリアルごとの合計も求めらます。

打設日ごとに色分けする

Dateの値に応じて部材を色分けするにはフィルタを使います。

フィルタの作成


  1. 表示>グラフィックス>フィルタ
  2. フィルタグループの下部左端の「新規作成」をクリックし、名前を「Date_20170401」とする。
  3. カテゴリグループで、一般モデル、壁、床、構造フレーム、構造基礎、構造柱に✔
  4. フィルタ規則グループで、フィルタを「Date」、「等しい」、「20170401」
    フィルタの作成
  5. 適用

以上の手順を繰り返して、各Dateの値ごとの規則によるフィルタを作成する。

ビューへ適用

3Dビューにフィルタを適用して色分けします。

  1. 任意の3Dビューを開く
  2. 表示タブ>設定>表示/グラフィックス
  3. 追加ボタンをクリックし、上記で作成したフィルタをすべて選択し、OK
  4. それぞれのフィルタのサーフェスと切断面に色と塗潰しパターンを設定しOK
    フィルタの設定

プロパティに応じて3D表示を色分けすることができました。
打設日で色分けした躯体
表示/グラフィックスダイアログのフィルタタブで、表示チェックボックスをOFFにすれば、
表示のチェックをはずしてフィルタに引っかかる要素を非表示にする
Dateプロパティが設定されていない躯体を素早く見つけることができます。
Dateプロパティを入力していない要素を発見!



2017年4月8日土曜日

躯体ボリュームを拾う(1)

コンクリート立米数を拾うには

作成した躯体モデルを使って、コンクリートの立米数を集計表を使って拾ってみましょう。さらには打設した日付ごと、かつカテゴリごとに分けて集計してみましょう。

モデリング上の注意事項

床はスパンに分けて作成する

モデリングは普通に躯体モデルを作成すればいいのですが、床は要注意です。床を複数のスパンにまたがって一枚で作成してしまうと、スパンごとに拾うことができません。床はグリッドで分割して作成します。

躯体は結合する

躯体が結合されない状態で重なって作成されていると、立米数は重なっている部分はダブルで集計されます。結合していればダブらずに拾うことができます。

打設日を表す共有パラメータを決める

打設日を入力するパラメータを決めます。打設日はインスタンスパラメータなので、コメントなどのパラメータで代用することができますが、できれば共有パラメータを準備したほうがタグにも集計表にも表示できて便利です。

マテリアル

コンクリートを表現するマテリアルを作成し、各要素に割り当てます。もしコンクリート強度ごとに拾いたいという場合は、それぞれの強度を表す複数のコンクリート用マテリアルを準備しておきます。

実際に拾ってみる

下の図のような簡単な躯体を使って、まずマテリアルごとに数量を拾ってみましょう。
この躯体の数量を拾ってみます
(1) 表示タブ>作成パネル>集計▼>部材拾い出し
(2) カテゴリで「マルチカテゴリ」、名前に「コンクリート立米数」
新しい数量積算
(3) フィールドタブで「マテリアル:名前」「マテリアル:体積」を選択して集計済みのフィールドに追加
フィールド
(4) 並べ替え/グループ化タブで並べ替え方法に「マテリアル:名前」、「各インスタンスの内訳」のチェックをはずす。
並べ替え/グループ化
(5) 書式タブで以下のように設定しOK
書式タブ
まずは以下のようにマテリアルごとの集計表ができます。
簡単な集計表ができる

カテゴリごとにまとめる

今度はこれをカテゴリごとにまとめます。
(1) 集計表のインスタンスパラメータ「フィールド」の編集をクリック
(2) フィールド「カテゴリ」を追加し一番上に
フィールド
(3) フィルタタブ以下のように設定し「RC」のマテリアルだけが集計表に表示されるようにする。
フィルタ
(4) 並べ替え/グループ化の設定---カテゴリごとに集計するように設定する
並べ替え/グループ化
(5) OK
カテゴリごとに集計
これでマテリアル「RC」だけが集計されます。

打設日ごとに集計するには

集計の対象とするカテゴリは上の表から

  • 一般モデル
  • 構造柱
  • 構造フレーム
  • 構造基礎

の5つのカテゴリです。これらのカテゴリに対して、打設日を表すインスタンスパラメータ「打設日」を共有パラメータとして追加します。

共有パラメータの作成


  1. 管理タブ>設定パネル>共有パラメータで[作成]をクリックし、適切なフォルダに適切な名前で共有パラメータファイルを作成
  2. グループの[新規作成]で「施工」というグループを作成
  3. パラメータの[新規作成]で「Date」という名前のパラメータを「整数」で作成。
    Dateプロパティを整数として作成
  4. [OK]でダイアログボックスを閉じる

パラメータをプロジェクトに追加する

上ではパラメータを定義しただけですので、これをプロジェクトで使えるように、プロジェクトに追加します。

  1. 管理タブ>設定パネル>プロジェクトパラメータで、[追加]をクリック
  2. パラメータプロパティダイアログボックスで、パラメータタイプの共有パラメータを選択し、[選択]ボタンで作成した「Date」を選択しOK
    共有パラメータの追加
  3. カテゴリで、一般モデル、壁、床、構造フレーム、構造基礎、構造柱に✔
    パラメータDateを設定するカテゴリを選択
  4. パラメータデータでインスタンスを選択
    インスタンスパラメータとして追加
  5. OK

打設日の設定

打設日をモデル要素に設定します。設定方法は
  1. 複数の要素を選択
  2. 修正|複数選択タブ>選択パネル>フィルタ
  3. 対象とするカテゴリだけにチェックしてOK
    対象とするカテゴリだけにチェックを入れる
  4. プロパティウィンドゥでDateに「20170401」などの日付を表す数字を入力
    打設日をインスタンスパラメータに設定
これを繰り返すだけです。

集計表の修正

集計表を修正して打設日ごとの数量を拾ってみます。

  1. 集計表を開いて、プロパティウィンドゥの[フィールド]の編集ボタンをおす。
    フィールドの編集をクリック
  2. フィールドタブで「Date」を追加し一番上へ移動
    Dateを追加して一番上へ
  3. 並べ替え/グループタブで以下のように設定
    並べ替え/グループ化
  4. 書式タブでDateを選択し、非表示のフィールドに✔
    書式
  5. OK
すると次のような集計表ができます。
集計表
集計表の体裁と各設定の関係を下の図に示します。
見出し・フッタの設定の関係
集計表の仕組みは最初ちょっと難解なところがあると思いますが、慣れてしまえはこれほど便利なものはありません。
次回は金額を計算する集計表や、フィルタを使った色分けなどについて説明します。
打設日ごとに色分けした躯体


価格を計算した集計表