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2018年7月21日土曜日

廊下の手摺

手摺?壁のスイープ?
病院や老健施設の廊下に補助手すりを接地することはよくあることですが、この補助手摺を作成する最適な方法を探ってみましょう。使う要素として考えられるのは

  • 手摺
  • 壁のスイープ

の二つです。それぞれメリット・デメリットがあります。今回は壁のスイープを使って手摺を作成する方法を紹介します。

プロファイルの準備

まずは手摺のプロファイルを準備します。

  1. プロファイル(メートル単位).rftを使って新規にプロファイルファミリを作成。
  2. 下の図のようにプロファイルを作成
    プロファイル作成
  3. [プロファイルの用途]を[壁の造作材]とする。
  4. 「p手摺⌀35.rfa」として保存し、プロジェクトにロードする。
壁のスイープタイプの作成
このプロファイルを使って、壁のスイープのタイプを作成します。
  1. [管理]タブ>[オブジェクトスタイル]
  2. [壁]を選択して、右下の[サブカテゴリを修正]グループの[新規作成]
  3. 「手摺」を作成してサブカテゴリを追加。
    壁のサブカテゴリを追加
  4. OKで閉じる。
  5. [建築]タブ>[構築]パネル>[壁▼]>[壁 スイープ]
  6. タイプセレクタでタイプを編集
  7. [複製]をクリックし、名前を「手摺⌀35」とする。
  8. [プロファイル]で「p手摺⌀35 : p手摺⌀35」を選択。
  9. [内部構造][挿入して切り取る]をオフ
  10. [既定のセットバック]を100
  11. 壁のサブカテゴリで[手摺]を選択。
  12. OK
    壁のスイープタイプ

壁 スイープで手摺を作成

下の図のような壁に手すりを作成してみましょう。壁 スイープは立面図や3Dで作成します。平面図での作成はちょっと難しいので注意してください。
廊下に手すりを作成
作成方法は簡単で、壁を順番にクリックして、[修正]を押すと下の図のように、開口部を除いて手摺が作成されます。
手摺が作成された
作成した手摺を選択して、基準レベルオフセットを[800]にします。
立面図を見てみると
となっていて、開口部から100オフセットして、手摺が作成されていることがわかります。これが「規定値のセットバック」です。
手摺端点は開口からセットバック
しかし、選択して現れる青い丸のグリップ点をドラッグすることで、自由に端部の位置を変更できます。また開口部を追加・変更すればそれに呼応して手摺も移動したり、分割されたりします。
開口の追加や壁の変更に追随する

デメリット

一見便利そうに見えますし、たいていの場合はこれで廊下の手摺は作成できますが、「こだわる」ならば、このやり方ではできないところもあります。
  • コーナーはピン角のみ。
  • 支持金物は同時に作成できない。
  • 端部を丸めるなどの造作はできない。
この3点を真面目に作成するには「手摺」を使うしかありませんが、手摺は壁の造作のように壁の変化に応じて分割されることはありませんし、1パスしか含めることができないので、開口があるごとにパスを作成すしなければなりません。
一長一短あるので、使い分けが肝心です。

腰壁や幅木も

壁スイープを使えば腰壁や幅木も簡単です。腰壁を作成するには手摺同様に、下の図のようなプロファイルを作成して、壁 スイープタイプを作成します。
腰壁のプロファイル
これを同様に、幅木のサブカテゴリで壁スイープのタイプを作成して、適用すると下の図のようになります。
腰壁を壁スイープで作成

平面図で範囲表示も

平面図で手摺の範囲を示すことはよくありますが、サブカテゴリが分かれているので、手摺のサブカテゴリを赤の点線にして平面図で表示すると下の図のようになります。
手摺の範囲を赤の点線で表示
様々な表示方法が考えられます。
このようにメリットも多いので、デメリットと勘案しながら使ってみてください。







2018年3月18日日曜日

ダイナモ白熱教室(13)~壁の造作材の体積

壁のスイープの数量

幅木を「壁のスイープ(造作材)」で作成した場合、そのマテリアルのマテリアル別の体積は算出できるでしょうか?
壁のスイープで作成した幅木の数量は?
残念ながら答えはNoです。壁の造作は[表示]タブ>[作成]パネル>[部材拾い出し]では、そのマテリアルを拾い出すことはできません。壁のスイープは長さしか拾えません。普通に集計表を作成すると、マテリアル別の長さを集計することが可能です。
集計表で長さは拾える
実際のところ、幅木や廻り縁であれば、数量としては長さがわかればよいので実質的な問題はないといえます。

ここでダイナモ

そうはいっても、マテリアル別の体積を計測することはできないのでしょうか?断面積×長さでもよさそうなものですが、ダイナモを使って実際の体積をマテリアル別に求めてみましょう。

要素を選択する部分

ダイナモを立ち上げて、下の図のようにカテゴリで要素を選択します。
カテゴリで選択

[Revit]>[Selection]>[Categories]ノードと、[Revit]>[Selection]>[All Element of Category]ノードを追加し、図のように結びます。これですべての壁のスイープを選択できます。

Solidの取り出し体積を測定

壁のスイープからSolidを取り出します。

  1. [Revit]>[Element]>[Element]>[Geometry]
  2. [Geometry]>[Solid]>[Volume]
  3. [Core]>[Units]>[Convert between units]
を追加し、[All Element of Category]に接続します。
Solidを取り出して体積を抽出
Watchノードを追加し結果を確認します。

マテリアルの取り出し

マテリアルの名前を取り出します。
  1. [Revit]>[Elements]>[Element]>[GetMaterials]
  2. [Revit]>[Elements]>[Material]>[Name]
を追加し、これも[All Element of Category]に接続します。
マテリアル名のリストを取得
Watchノードで結果を確認します。

マテリアルと体積をリストに編成

Watchノードをよく見てください。マテリアルの名前も体積も選択した要素と同じ並び順になっています。これらの情報をエクセルに出力しましょう。

  1. [Builtin]>[Flatten]を二つ追加
  2. [Core]>[List]>[List.Create]を追加し、[+]で[Item1]を増やす
  3. それぞれ[Materiarl.Name]と[Convert Between Unit]に接続
    マテリアルと体積をリストにする
Watchで確認して、リストを確認します。

行列を入れ替えてExcelに出力

結果をエクセルに出力する前に行列を入れ替えます。
  1. [Core]>[List]>[Transpose]
  2. [Office]>[WriteToFile]
  3. [Core]>[Input]>[FilePath],[String],[Number],[Boolean]
  4. エクセルを開き、空のブックを作成して保存し、[FilePath]の[参照]を押して選択します。
  5. 下の図のように接続
    エクセルへ出力
これで、エクセルに容積が出力されます。
エクセルに出力
Revitは基本的にSolidモデラーですので、ネイティブの要素であれば、地形を除いて体積を持っています。したがって体積を求めることが可能であるというわけです。



2017年4月30日日曜日

パラペット(2) ~ ハト小屋

立ち上がり部分のあご

今回は塔屋やハト小屋など、立ち上がりの防水部分についてです。あごまでの高さをコントロールできるように作成してみましょう。
こんなハト小屋を作ってみます

プロファイル

前回のあご部分のプロファイルと、先端の高さをそろえて、下の図のようなプロファイルを準備します。今回は外壁の外側にあごが突き出すように作成するため、前回とは向きがことなります。
増打部分のプロファイル
ポイントは左上の20mmの水平部分です。この部分は、上部のかべの仕上や増し打ちに合わせて調整します。今回はこのパラペットの上の壁の増し打ちを20mmと想定しています。
次に躯体の部分ですが、これは上の増し打ち部分のプロファイルに重ならないように注意して作成します。
躯体部分のプロファイル


壁タイプへの適用

(1) 躯体180mm、防水層10mmの壁タイプを作成。
(2)サンプルの高さを「600」、プレビューボタンを押してビューを「断面図:タイプ属性を修正」を選択
ビューを断面図にすると垂直部材の編集が使えるようになる
(3) 壁の造作材(壁のスイープ)をクリックし、下の図のように壁の先端にスイープを追加する。
壁のスイープで作成したプロファイルを壁の上端に追加する。オフセットは防水層分の10mm
(4) OKを押してプレビューを確認し、OKで壁タイプの編集を終了する。
プレビューを確認する

重ね壁

あご部分の上に壁を加えるには、重ね壁を使うと便利です。もう一つ壁タイプを作成し、下の図のような外壁増し打ちが20mm、躯体180mmとします。
次に、重ね壁を作成します。
(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>重ね壁の任意のタイプを右クリックして複製し、適切な名前を付けます。
(2) (1)で作成した壁タイプのノードをダブルクリックして壁タイプ編集ダイアログボックスを開きます。
(3) 構造プロパティの編集ボタンをクリック。
(4) 下の図のように設定し、パラペット立ち上がりの高さを設定(ここでは600)します。
重ね壁の設定

ハト小屋を作ってみる

それでは実際に使ってみます。
(1) 平面ビューを開いて、建築タブ>ビルド>壁
(2) タイプセレクタで作成した重ね壁のタイプを選択。
(3) オプションバーで「見上げ」「指定」「2000」、配置基準線を「躯体の中心」
(4) 描画パネルで「長方形」
タイプセレクタ・オプションバー・描画パネルの設定
(5) 任意の2点をクリックして、矩形の壁を描画
矩形で壁を描画
これで高さ2000mmのハト小屋の壁の部分はできました。
ハト小屋の壁

屋根

ハト小屋の屋根を作成します。これは素直に屋根を使うと屋根勾配が取りやすいです。
(1) 平面ビューを開いて、建築タブ>ビルド>屋根
(2) 適切な屋根タイプを選択し、オプションバーの「勾配」のチェックをはずして、下の図のようにスケッチラインを作成。
(3) スケッチラインのうち1本を選び、オプションバーの「勾配を定義」を✔
(4) △マークの角度をクリックして「=1/100」と打ち込みENTER
スケッチラインの1本だけ勾配を定義する
(5) モードパネル>✔
(6) ハト小屋の壁を選択して、屋根にアタッチする。
これでハト小屋ができました。
完成したハト小屋
断面図
壁の上端を屋根にアタッチしておけば、屋根のレベルを変更するだけで壁の高さも変わります。
プロファイルを工夫すれば様々な形状のパラペットに対応できます。

2017年4月22日土曜日

パラペット(1)

お話の前に、以下のURLでRevit2018のHELPが公開されています。どのような機能が追加されたか、確認してみてください。
http://help.autodesk.com/view/RVT/2018/JPN/

コンクリートあご

さて、今回は防水立ち上がりのコンクリートあごの作成方法についての考察です。立ち上がり部を壁で作成し、あごはプロファイルを使って作成すると、立ち上がりの高さを壁の高さでコントロールできて便利です。
こんなパラペットを作ってみます

壁のタイプ

壁のレイヤは外側から順に

  • 外部仕上ふかし 20mm
  • 躯体     180mm
  • 防水層    10mm

の三レイヤとします。任意のプロジェクトを開いて、壁タイプを作成します。

(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>標準壁 の任意のノードを右クリック>複製
(2) 追加されたタイプを右クリック>名前変更で「パラペット」としOK
(3) パラペット をダブルクリックしてタイプを編集ダイアログボックスを開く
(4) 構造プロパティの[編集]ボタンをクリック。
(5) 各レイヤを追加する。マテリアルは適宜作成して設定する。
レイヤを追加・編集
(6) OKを2回押してタイプ編集を終了する。

プロファイル

笠木(あご)の部分のプロファイルを準備します。あごの部分を躯体仕上に分けて2つ、それと壁を切り欠くプロファイルを一つ準備します。

仕上のプロファイル

パラペットの形状に応じて自由にプロファイルを作成します。プロファイルは簡単に言えば「断面形状」で、どのような形状でも作成可能です。
(1) [R]>新規作成>ファミリ
(2) 「プロファイル(メートル単位).rft」を選択し開く
(3) プロパティウィンドウのプロファイルの用途プロパティを「壁の造作材」に設定。
(4) 以下のように仕上の部分をスケッチする。参照面の交点を外壁面の天端と考え、第3象限にスケッチする。
第3象限にスケッチする
(5) [R]>名前を付けて保存 で「プロファイル_パラペット_仕上」として保存。
(6) ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード をクリックする。
(7) プロジェクトの画面に切り替わるので、CTRL+TABを何度か押してプロファイルの画面に戻す。

躯体のプロファイル

躯体のプロファイルを作成します。プロファイルが重なったらエラーになるので、「プロファイル_パラペット_仕上.rfa」をベースに改造して使います。
(1) [R]>名前を付けて保存>ファミリ で名前を「プロファイル_パラペット_躯体.rfa」として保存する。
(2) 内側の部分だけを残し、他を削除。さらに底辺を下の図のように追加して躯体のプロファイルを作成する。
仕上プロファイルの内側を使って躯体のプロファイルを作成
(3)  ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード をクリックし、プロジェクトにロードする。

壁を切り欠き用のプロファイル
仕上と躯体を壁の上部にくっつけた分、壁を切り欠くのですがそのためのプロファイルを作成します。単なる長方形のプロファイルです。やはり参照面の交点が挿入点(外壁面天端)なのですが、今度は第4象限に作成します。
(1) [R]>新規作成>ファミリ
(2) 「プロファイル(メートル単位).rft」を選択し開く
(3) プロパティウィンドウのプロファイルの用途プロパティを「壁の化粧目地」に設定。
(4) 下の図のような矩形を第4象限に作成
切り欠き用プロファイルを「壁の化粧目地」として作成
(5) [R]>名前を付けて保存>ファミリ で 「プロファイル_パラペット_壁.rfa」として保存する。
(6) ファミリエディタパネル>プロジェクトにロード でプロジェクトにロードする。

壁の造作材・化粧目地の設定

ロードしたプロファイルをパラペットの壁タイプに適用します。

(1) プロジェクトブラウザ>ファミリ>壁>標準壁>パラペット のノードをダブルクリックしてタイプ編集ダイアログボックスを開く。
(2) 構造プロパティの編集ボタンをクリック
(3) サンプルの高さを「600」、プレビューを押して、ビューを「断面図:タイプ属性を修正」に設定。
サンプルの高さを「600」、プレビューをおして、ビューを断面図にする
(4) 壁の造作材ボタンをクリック
(5) 追加ボタンを2回おして、ロードした「プロファイル_パラペット_仕上」「プロファイル_パラペット_躯体」を追加し、基準を「上」、壁を切り取るを「□」、マテリアルを壁タイプのレイヤ1とレイヤ2と同じものに設定する。適用ボタンを押して、正しい位置にプロファイルがあることを確認してOK。
※ここでのポイントは「壁を切り取る」をOFFにすることです。これをOFFにしないと、(6)以下の手順でエラーになります。切り取りは切り取りプロファイルに任せます。
壁の造作を追加
(6) 化粧目地ボタンをクリック。
(7) 追加ボタンを押して、ロードした「プロファイル_パラペット_壁」を追加し、基準を「上」として適用ボタンをおして、正しい位置にプロファイルがあることを確認してOK。
化粧目地を作成
(8) OKを何度か押して、タイプ編集を終了する。

※2016までは、壁の造作は「壁のスイープ」、化粧目地は「壁のリビール」という正確な訳だったのですが、2017では翻訳がさらに悪化し、あちらこちらに誤訳が散見されます。

パラペットの作成

作成したパラペットを実際に使用してみます。

(1) R階などパラペットを配置するのに適切な平面ビューを開きます。
(2) 建築タブ>ビルド>壁
(3) タイプセレクタで「パラペット」を選択
(4) オプションバーで「見上げ」「指定」「600」「躯体の中心線」と設定し、必要な位置にパラペットを作成します。
(5) コーナーへトリムや単一要素をトリムなど、普通の壁と同様に編集できることを確認します。
普通の壁と同様にパラペットを作成
断面図をみて、パラペット天端が600になっていることを確認します。
パラペットの天端までの距離
上の図はラインワークを使って、パラペットの仕上と躯体の境界線を破線表示にしています。プロファイルを作成すれば、いろいろな形状のパラペットが作成できます。
完成したパラペット
次回はハト小屋などの立ち上がり部のあごを作ってみます。