2026年9月27日日曜日

『シンプル・確実な』Revitモデルの作り方(2)

【第2回】Revit標準テンプレートで十分

「Revitで綺麗な図面を描くには、テンプレートをガッツリ作り込まないとダメだ」と思っていませんか?実は、Revitに標準添付されている「建築テンプレート」のままでも、素直に機能を使いこなせば十分に美しく、見やすい図面が作成できます。データをダウンロードしてチェックしてみてください。

データのダウンロードはこちらから(ver2026・前回から少し修正しています)

標準機能を素直に使うコツ

  • 基本の見た目調整
    • 文字スタイル、オブジェクトスタイル、線種をちょっと整えるだけで、図面の品格は劇的に上がります。
  • 「ビューフィルタ依存」からの脱却
    • 図面作成で最も迷宮化しやすいのが、ビューフィルタの乱用です。「この要素、なぜこのビューで消えているの?」という原因不明のストレスは、ほとんどの場合過剰なフィルタ設定が原因です。

特殊なルールで要素を隠すのをやめ、Revitの標準的な表示制御(表示/グラフィックスやフェーズなど)に素直に従うことで、「誰もが仕組みを理解できる安心なモデル」へと生まれ変わります。

基本の見た目調整

文字タイプは文字サイズとフォント選びが重要です。まずA1出力前提として文字のサイズは2.5mmと2.0mmに、フォントは歴史と伝統のMS UI GOTHICを使用しています。少々古臭いのですが、Forgeも標準で対応しているMS UI GOTHICは超無難な選択です。

建築テンプレートの線種パターンは見分けがつきやすいのでそのまま採用していますが、少し引き締めた線種(1TS01~3HA04)を導入しています。

オブジェクトスタイルはで修正したのは、床・壁・天井・屋根の切断の太さです。線の太さは1,2,3を使うこととして、基本的には投影は1、ホスト要素の断面は3としています。

ビューフィルタ依存からの脱却

ビューの表現に「上書きの優先度」で述べたように、いろいろな段階があります。特にビューフィルタはRevitらしい機能なのですが、かえってわかりにくさを助長している面も否めません。

ビューフィルタは「サンプル意匠」から大幅に削減しています。原則として線の表現はオブジェクトスタイルで、カテゴリの表示非表示は表示グラフィックスで制御することとし、だれでも理解しやすいビューを作ることを心がけています。

平面図のビューフィルタは1つだけ

各図面について

各図(ビュー)の見どころについて説明します。

内部仕上表
集計キーを使った内部仕上表

集計キーの機能を使っています。作り方は「ゆるめの仕上表チュートリアル」の通りですが、使用しているパラメータは組み込みパラメータの
  • 部署
  • 仕上 床
  • 仕上 幅木
  • 仕上 壁
  • 仕上 天井
を使っています。下地と仕上は一つのパラメータにまとめています。値の入力方法については「複数行の入力」を参考にしてください。

外部仕上表
外部仕上表

組み込みパラメータの
  • マーク(タイプ)
  • コメント(タイプ)
  • 説明
を使用しています。作り方は「外部仕上表と立面図」をご覧ください。この情報は平面図などほかの図にもタグで表記していますので探してみてください。

平面図・立面図・断面図
平面図
立面図

断面図

  • 床壁天井のタイプ
    • タイプはまだ計画段階なので、原則として外壁200mm、内壁100mmのできるだけ簡素なタイプ分けにしています。
    • 二重壁などの詳細化は次の段階とし、まずは変更のしやすさ、作業性の良さを重視しています。
  • 壁・床の表現
    • 詳細レベルは「簡略」で尺度は「1:100」です。「サンプル意匠」のような床壁天井の黒塗り潰しはせず、それぞれのタイプの「簡略ハッチカラー」「簡略ハッチパターン」を使って、RC、押出成形版、区画壁の見分けがつくようにしています。
  • 図中の注釈
    • マルチカテゴリタグで、タイプパラメータ「説明」や「コメント(タイプ)」を表示しています。これにより各ビューで一貫した情報表示が可能になります。
  • 天井表現
    • 天井段差や庇のラインはラインワークで表示しています。手法については「天井のラインを平面図に表示するには?」を参考にしてください。
    • ブラインドボックスや天井点検口は造作工事のカテゴリです。造作工事はビュー範囲に含まれていれば切断線より上にあっても表示されるので、ビューのグラフィックを上書き>要素別で線種パターンをオーバーヘッド、透過度100%としています。
      ブラインドボックスの表示は要素で上書きしている

  • たくさんの断面
    • 断面は各スパンに1つ以上の断面ビューを作成しています。きれいな図面を作るにはきれいなモデルが必要です。断面ビューをたくさん図面として作ることで、モデルの隅々まで気を配ることができます。

天井伏図
天井伏図

  • 天井仕上
    • 天井仕上は組み込みパラメータ「仕上 天井」をタグで表示しています。こうすることでモデルとプロパティの内容の整合性をチェックしやすくなります。
    • 軒の仕上は外部仕上表にも使用したコメントと説明を使用しています。
  • 天井高
    • 指定点高さで実際の天井のレベルを表示しています。

建具表
建具表

  • ドア・窓については枠のファミリにパネルの共有ファミリをネストする方法で作成しています。ファミリの詳しい作り方や使い方についてはデータとともに次の機会に説明しますのでしばらくお待ちください。
  • 法の記号はBIM図面審査における確認申請図書表現標準初版のP2~の「文字記号」を使用しています。今後タグとして図中に表示できるように共有パラメータとしています。
  • カーテンウォールの建具表は「カーテンウォールの建具表」の方法を使っています。

面積関連
延床面積の集計表

  • BIM図面審査における確認申請図書表現標準初版のP13に従い、根拠式は採用せず各辺の長さを寸法で記入しています。
  • 延床面積の集計表では「集計表~用途別面積表」で紹介した方法を使っています。

2026年9月20日日曜日

『シンプル・確実な』Revitモデルの作り方(1)

【第1回】脱・迷宮化!モデルの「断捨離」

計画段階のBIMモデルを作成していて、こんなストレスを感じたことはありませんか?

  • 重くて動かない
    • 初期段階なのに細かく作り込みすぎてデータが肥大化している
  • 修正が手間すぎる
    • 独自の共有パラメータや設定が複雑で、どこを触ればいいか迷う
  • データが合わない
    •  図面の文字とプロパティの値がズレてしまう

近年のBIMは、最初からモデルもプロパティも細かく作り込みすぎる「過剰表現」に陥りがちだと感じています。これがデータの迷宮化を招く一因となっています。

しかし、Revitは製造用の詳細モデルを作るためだけのツールではなく、計画段階で本当に必要なのも、細部まで作り込まれたリアルな3D形状ではないはずです。

そこで今一度初心に立ち返り、モデルとパラメータの「断捨離」を実行してみることにしました。つまり次の3つを切り離したモデルを作ってみよう、と思い立ちました。
  • 過剰な3D形状(幾何ディテール)
  • 乱立する共有パラメータ
  • 「図面に文字を直書きする」習慣

手書き時代はどうだったか

昔の手書き図面を思い出してみました。


線数は少なくシンプルですが、必要な情報が美しく整い、変更にも柔軟に対応できていました。

「データは厳格に、形状はシンプルに」

これこそが、AIやクラウド(Forma等)と連携するこれからの時代に求められるBIMのひとつの姿ではないでしょうか。図面はモデルデータを可視化した「結果(ビュー)」に過ぎません。過剰な幾何形状を追うのを一度やめて、正しくプロパティを管理することに注力してみる。

そんな試みとして、Revit標準添付の「サンプル意匠.rvt」を、この思想のもとでゼロからモデリングし直してみました。

サンプルモデルの無料配布(Revit 2026版)

サンプル意匠.rvtを再構築

このモデルは特別なアドオンアプリを一切使わず、Revitの「標準機能のみ」で作成しています。使用したテンプレートも、標準添付の「建築テンプレート」そのものです。もちろんファミリもシンプルであることを第一として私が新たに作成したので自由にコピーしていただいてかまいません。

形状はシンプルに保つ

私自身、試行錯誤を重ねる中で「Revitが本来持っているソフトウェアの設計思想に素直に従い、我流のルールや過剰な作り込みを排除するだけで、BIMはこんなにも軽快で快適になるのか」と驚きました。

まだまだ模索中ではありますが、ビュー、集計表、シートなど、Revit本来の趣旨に沿って丁寧に作成したつもりです。まずはデータをお手元にダウンロードいただき、モデルを自由に触ってみていただければ幸いです。今後改定を進めていく予定です。

[ 📥 サンプルモデル(Revit 2026)をダウンロードする ]

リンクをクリックし、右上の[ダウンロード]ボタンでデータをダウンロードできます。



この「脱・迷宮化」を実現するための具体的なノウハウを全4回でお届けします。次回からは、このサンプルデータ内の具体的な工夫や見どころ(図面表現・ファミリ・パラメータの扱い方)を順番に解説していきます。

2026年9月13日日曜日

土量計算について

地形ソリッドで土量計算

地形ソリッドで土量計算をする手順を紹介します。地盤の時と基本の考え方は同じで

  • 同じ外形線
  • 隣り合うフェーズ

の二つの原則をまもれば、地盤同様に土量を計算できます。

既存地盤の作成

では建築テンプレートを使ってその手順を確認してみましょう。

  1. 建築テンプレートで新規プロジェクトを開始
  2. ビュー>平面図>設計GLを開き、20m四方の地形ソリッドを作成する
  3. 地形ソリッドのプロパティで次のように設定する
    • 名前:既存地盤
    • 構築フェーズ:既設
    • 解体フェーズ:新設

本来はサブ領域を編集して既存の地形を作成しますが、土量計算の仕組みを確認するだけなので何もしなくても構いません。

構築フェーズ=既設、解体フェーズ=新しい建設

計画地盤の作成

  1. 作成した既存地盤を選択してCTRL+Cでクリップボードにコピー
  2. 修正タブ>クリップボードパネル>貼り付け▼>同じ位置に位置合わせ
  3. プロパティを次のように設定する
    1. 名前:計画地盤
    2. 構築フェーズ:新しい建設
    3. 解体フェース:なし
  4. サブ要素を修正を押して、すぐに修正を押します。
この時点ですでに切土盛土の計算ができています。
切土盛土の値が表示される

あとはこの計画地盤をサブ要素を編集したり、サブ区画や掘削、切り取りなどのコマンドを使って加工していくと、盛土切土の数値が変化していきます。
計画地盤を加工することで土量が算出される
Revit2027ではその地盤を何が何㎥切り取っているかを示す、個々の要素の掘削量も示せるようになっています。